オーストラリアの口座振替プロバイダー:選択のための必須知識

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成長中のスタートアップからグローバル企業まで、あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、オンライン決済、対面支払いなど、世界中のあらゆる場所で決済を受け付けます。

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  1. はじめに
  2. 口座振替プロバイダーとは
  3. 口座振替プロバイダーの仕組み
    1. 顧客が引き落としを承認する
    2. 支払いのスケジュールを設定する
    3. プロバイダーが送金を開始する
    4. 貴社の口座に資金が入金される
    5. プロバイダーが引き落とし不能と紛争を処理する
  4. プロバイダーの選択時に考慮すべき事項
    1. 料金
    2. 自社システムとの統合と使いやすさ
    3. 顧客の初期登録
    4. 大量処理時の信頼性
    5. 入金のタイミングとキャッシュフロー
    6. セキュリティと法令遵守
    7. 柔軟性と事業内容との適合性
    8. サポート対応
    9. 評判と顧客基盤

オーストラリアの口座振替決済システムであるBulk Electronic Clearing System (BECS) は、2024 年に350 億件の決済 を実行しました。貴社が選択するプロバイダーは、キャッシュフローから顧客体験まで、貴社の口座振替のあらゆる側面を形成します。さらに、オーストラリアの口座振替プロバイダーが、すべて同じ形で運用されているわけではありません。

以下では、口座振替プロバイダーとは何か、口座振替プロバイダーの利用方法、決定前の考慮事項についてご説明します。

この記事の内容

  • 口座振替プロバイダーとは
  • 口座振替プロバイダーの仕組み
  • プロバイダーの選択時に考慮すべき事項

口座振替プロバイダーとは

口座振替で継続支払いを引き落とす場合は、銀行に直接依頼する方法とサードパーティの口座振替プロバイダーを利用する方法があります。

一部の大企業は、銀行と直接契約しています。銀行に申請して BECS ダイレクトデビットのユーザーになり、技術インフラを整備し、BECS の要件を満たす法令遵守プロセスを構築します。この経路を選定した場合は、事業者側が全面的にコントロールできますが、リソースを大量に消費します。社内に決済チームを置き、銀行との間に直接取引関係がある企業にとっては望ましい選択肢と思われます。

特に中小企業がよく選定する経路は、口座振替プロバイダーの利用です。サードパーティープロバイダーが、事業者のためにインフラ、規制対応の諸経費、銀行との接続を管理します。これらのプロバイダーは、BECS ネットワークへのテクニカルゲートウェイであると同時に、決済の法的要件適合を保証する法令遵守のためのレイヤーであり、銀行口座情報とオーソリをキャプチャーする顧客向けシステムでもあります。これらのプロバイダーが代金を徴収し、管理するためのツール (ダッシュボード、ホスト型支払いページ 、 アプリケーションプログラミングインターフェイス (API) など) を提供してくれるので、銀行と直接契約する必要はありません。

ハイレベルなプロバイダーは、目に見えない形でサービスを提供します。 顧客の目にはシンプルな支払い設定が見えるだけです。一方、事業者側は代金が予定どおり着金していることを確認できます。しかし、バックグラウンドでは、プロバイダーが多くの複雑なプロセスを静かに、そして効率的に動かしているのです。

口座振替プロバイダーは事業者に次のものを提供します。

  • 顧客の銀行口座情報を収集し、保管するためのセキュアなツール

  • BECS のルールに準拠した口座振替リクエスト (DDR) とサービス契約

  • 決済のスケジューリング、入金の照合、引き落とし不能または差戻しの処理を行うためのシステム

  • ステータス (振替済み、保留中、引き落とし不能) の可視化

重点を置くところはプロバイダーによって異なります。大量の振替が発生するセクターの継続請求を目的とするプロバイダーもあれば、デベロッパーフレンドリーであることや国境を越えた処理機能を重視するプロバイダーもあります。プラグアンドプレイのインターフェイスを提供するプロバイダーもあれば、自社の API 上で独自のエクスペリエンスを構築させてくれるプロバイダーもあります。Stripe をご利用いただけば、国境を越えた決済機能と継続請求機能が組み込まれた単一の統合型システムのもとで、対面決済とオンライン決済の両方を処理するための幅広いソリューションの一部として、口座振替による決済を受け付けることができます。

口座振替プロバイダーの仕組み

口座振替は、プルモデルのもとで機能します。貴社は、顧客の許可を得た上で、銀行口座から資金を自動的に引き出すことができます。同意の取得からお客様の口座への着金までのプロセスを処理するのが口座振替プロバイダーです。

それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。

顧客が引き落としを承認する

顧客が口座引き落としリクエスト (DDR) に署名すると、その顧客の銀行口座に請求をかける許可がデジタル形式で与えられます。DDR には顧客の銀行口座情報 (Bank State Branch (BSB) と口座番号) がキャプチャされ、合意された金額と頻度が示されます。

支払いのスケジュールを設定する

オーソリが完了したら、貴社の決済システムに対応するルール (金額、頻度、時間) を設定します。たとえば、毎月 1 日に 50 ドルの支払い、あるいは特定のサービスに対する一回限りの課金などが考えられます。一般に、プロバイダーは、ダッシュボードや API でこの設定を行わせます。貴社がアプリや請求システムを持っている場合は大抵、直接統合して、プロセスをバックグラウンドで実行することができます。

プロバイダーが送金を開始する

プロバイダーは予定日に、BECS ネットワークに対して引き落としリクエストを送信します。顧客の銀行は、貴社の決済システムの設定に応じて資金を引き出し、プロバイダー宛てに、または貴社に直接送金して処理を完了します。口座が有効で、十分な残高があれば、決済は完了します。

顧客の明細書には貴社の社名で引き落としが表示されます。顧客はそれ以上何もする必要がありません。

貴社の口座に資金が入金される

決済が実行されると、資金が貴社の法人口座に入金されます。タイミングはご利用のプロバイダーによって異なりますが、オーストラリアでは通常 2 営業日かかります。条件を満たす事業者には当日決済または翌営業日決済を提供するプロバイダーもあります。また、新規の口座やハイリスクのユースケースについては、資金を若干長く留め置くプロバイダーもあります。

このプロセスは完全に自動化されています。フォローアップも、リマインダーの送信も、手動での処理も一切必要ありません。優れたプロバイダーは、リアルタイムの通知、貴社の会計と同期させるためのダウンロード可能なレポート、さらには、決済済みの取引、保留中の取引、失敗した取引を表示するダッシュボードなどを提供し、すべてを可視化します。

プロバイダーが引き落とし不能と紛争を処理する

(残高不足などにより) 決済できなかった場合は通常、貴社に自動的に通知されます。失敗した決済を再試行するプロバイダーもあれば、フォローアップのためにフラグを立てるプロバイダーもあります。顧客は、貴社との間で、または取引銀行を通じて何時でも口座振替をキャンセルしたり一時停止したりすることができます。プロバイダーのシステムは、これらをバックグラウンドで処理します。

顧客が決済に異議を唱えたり、不正な決済だと主張したりした場合、銀行が差戻しを開始することがあります。プロバイダーは差戻しプロセスを管理し、貴社に推移を逐次知らせます。変更が有効になる前に、口座振替利用規約などの法令遵守のための適正な文書や必要な通知を顧客が確実に受け取れるようにします。

プロバイダーの選択時に考慮すべき事項

口座振替プロバイダーの選択によって、支払いを受ける際にどれだけの信頼を得られるか、自社のチームと顧客にとってどれだけ使い易いシステムか、ビジネスに合わせてシステムをどのように拡張できるかどうかが決まります。 ここでは、選択肢を比較する際に考慮すべき事項について説明します。

料金

手数料体系はプロバイダーによって異なります。取引の都度、定額の手数料がかかるプロバイダーもあれば、金額に対するパーセンテージで課金するプロバイダーもあります。初期費用、月額料金、あるいは引き落とし不能時の手数料を徴収するプロバイダーもあります。一般に、口座振替手数料はカード決済より割安ですが、殊に、使い勝手が悪い、サポートが行き届かないといったデメリットを伴う場合には、最安のプロバイダーが最適とは限りません。

件数と平均決済金額に基づいて費用を計算します。隠れた手数料や契約上の下限に注意してください。透明性が高く、料金体系が丁寧に文書化されているプロバイダーを探します。

自社システムとの統合と使いやすさ

貴社が選択する口座振替プランは、自社に適したものでなければなりません。Stripe をはじめとするプロバイダーは、口座振替、クレジットカードなど多数の決済手段を単一のプラットフォームで処理できるため、カスタマイズされた自社システムや複数の決済手段を使用する企業に特に適しています。

自社のアプリやWebサイトを介して決済を処理したい場合は、強力なAPI、充実した資料、プレビルド型の統合機能を提供するプロバイダーを探しましょう。手作業での処理を続けたいのであれば、見やすく機能的なダッシュボードでなければなりません。決済ソフトウェアと会計ソフトウェアを照合する必要がある場合は、両者を統合できるかどうかを確認してください。

顧客の初期登録

初期登録の方法も重要です。フォームを印刷しなければならなかったり、手間がかかりすぎたりすれば導入率は下がります。顧客が次回の決済を確認したり、銀行口座情報を更新したり、口座振替を簡単に取り消したりできるようにしているプロバイダーは、サポートチケットの発行を最小限に減らし、信頼を築くことができます。

一連の流れが貴社の手続きと一体化されるように、わかりやすい説明、顧客への自動通知、モバイル用の洗練されたオンラインフォーム、そしてブランドエクスペリエンスを取り入れているプロバイダーを探してください。

大量処理時の信頼性

貴社はプロバイダーを信頼し、毎回スケジュール通りに、数百、数千もの口座から資金を引き出します。そのプロバイダーの実績を確認してください。毎年数百万件もの決済を処理しているか、サービスレベル契約 (SLA) を結んでいるか、稼働時間の保証を文書化しているか、再振替やバンキングシステム停止時の処理方法はどのようになっているかを検討しましょう。

基盤となる BECS システムは安定していますが、プロバイダーのインフラとプロセスによって大きな違いが生まれます。貴社の取引実績が蓄積された段階で、入金を早めてくれるプロバイダーもあります。

入金のタイミングとキャッシュフロー

オーストラリアの標準的な入金のタイミングは、引き落としの 2 営業日後です。特に、設立後間もない事業者やハイリスクの事業者に対しては入金を遅らせるプロバイダーもあります。週末や祝日に当たった場合、入金スケジュールがどう変わるかを確認してください。

資金繰りに余裕がない場合や、サプライヤーへの速やかな支払いが必要な場合は、入金までの期間が短く、予測可能であることが重要です。

セキュリティと法令遵守

貴社は顧客の銀行口座情報を取り扱っています。したがって、プロバイダーはセキュリティが万全で、オーストラリアの法令を全面的に遵守していなければなりません。

次のことを検討してください:

  • 暗号化とトークン化

  • そのプロバイダーは、義務化されている口座振替利用規約と顧客への通知を自動的に処理しているか

  • 特に貴社がカード払いを受け付けている場合は、ISO 27001、PCI DSS (Payment Card Industry Data Security Standard) などの認証を取得しているか

柔軟性と事業内容との適合性

請求モデルはどれも同じではありません。そのプロバイダーが次に挙げる処理に対応していることを確認してください。

  • 1回限りの支払いと継続支払い

  • 金額の変更 (従量性課金や月の途中でのプランのアップグレードなど)

  • 一時停止、キャンセル、スケジュール変更

  • (先を見据えるのであれば) 海外展開

学期ごとの請求への対応や非営利団体への自動寄付といったニッチなユースケースに特化したプロバイダーもあります。お客様の事業内容が具体的な要件を伴う場合は、それらの特別な要件に対応する機能を早めに探しましょう。

サポート対応

大企業のための専任アカウントマネージャーを置いているプロバイダーがあります。そのほか、Stripe のようにドキュメンテーションシステムやサポートシステムへの投資に重点を置くプロバイダーもあります。トラブルシューティングに関して安心がほしいのであれば、これらは有効なリソースです。

何か質問したいときや不具合が生じたとき、すぐにサポートを受けることができなければなりません。電話、メール、あるいはライブチャットチャットでサポートが受けられるのかどうか、プロバイダーの窓口はいつ開いているのかを確認しましょう。プレセールの質問でレスポンスタイムを尋ねてください。セルフサービスを希望する場合は、ヘルプセンター、ガイド、またはデベロッパーフォーラムを探します。

評判と顧客基盤

そのプロバイダーが貴社と業態の似た事業者と契約しているかどうか、そのブランドを有名ブランドが利用しているかどうか、オーストラリア市場での経験が豊富かどうか (たとえば、物品サービス税 (GST) や現地銀行の休業日に詳しいかどうか) を確認してください。

プロバイダーの名前がわかれば、顧客の安心感は高まります (たとえば、サインアップの際に「Powered by Stripe」が表示されれば、自分が信頼できる事業者と取引していることがわかります) 。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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