国、都道府県、市町村が国民に提供している公共サービス、社会資本整備、社会保障、福祉などは、人々が安全で豊かな生活を送るために欠かせないものです。税は、その財源となり、私たちの毎日の生活を支えています。
そのため、法人、個人に関わらず、様々な税金を納める必要がありますが、そもそも日本の税制は複雑でわかりにくいと言われており、すべてを一度に理解することは非常に困難です。本記事では、法人の消費税の納付期限に重点を置き、詳しくご説明していきます。
目次
- 納税義務があるかどうかを確かめる
- 消費税の申告期限と納付期限
- 消費税の納付時期を考える
納税義務があるかどうかを確かめる
初めに、法人の消費税の納税義務があるかどうかを確かめましょう。個人事業主だけでなく、法人でも免税事業者に該当する場合があり、消費税を申告する必要がないケースがあります。
法人の消費税申告が必要ない場合
次の条件を満たしていれば、法人でも免税業者になることができます。
- 基準期間の課税売上高が 1 千万円以下、かつ特定期間の売上高も 1 千万円以下の場合で、免税事業者になることを選択した
つまり、設立したばかりの法人は、基準期間も特定期間も存在しないため、免税事業者になる可能性が高いと言えます。
ただし、上記の条件を満たしていても、次の 3 つのいずれかに該当する場合は、法人設立初年度から課税事業者と見なされます。
- 法人を設立した際の資本金が 1 千万を超えていた
- 特定新設法人 (大手企業が親会社やグループ会社で実質出資している場合など) だった
- 適格請求書発行事業者として登録を受けた
免税事業者としての利点を最大限に活用し、消費税を払わない方向で考えている場合は、設立時の資本金額などをあらかじめ調整し、計画的に法人設立を行いましょう。
基準期間と特定期間は、法人と個人事業主では異なります。間違えないように、ご注意ください。
法人の消費税申告が必要な場合
次に、消費税の納税義務が発生する場合を見ていきましょう。
先程と逆のパターンになりますが、次のいずれかのケースに当てはまる場合に、法人は課税事業者と見なされ、消費税申告・納税義務が発生します。
- 基準期間の課税売上高が 1 千万円を超えている
- 基準期間の課税売上高は 1 千万円以下であるが、特定期間の売上高、または、特定期間中に支払った給料の支払額が 1 千万円を超えている
- 適格請求書発行事業者として登録している
注意点: 前述のとおり、法人設立時の資本金額が 1 千万円を超えている、特定新設法人に該当する場合など、上記以外にも課税業者として消費税の申告が必要になるケースがあります。
また、受け取った消費税より支払った消費税の方が多いなど、消費税の還付を受けられる事業者の場合は、免税事業者のままでいるよりも、課税事業者になる選択をした方が良いケースもあります。
自社が免税事業者に該当するかどうかわからない場合は、次の手順で確かめてみましょう。
消費税の申告期限と納付期限
課税事業者は、消費税の申告と納付義務を規定通りに行う必要があります。
消費税は申告すると同時に納付することになるため、申告期限と納付期限は基本的に同じと考えてよいでしょう。では、消費税の納付はいつまでに行えば良いのでしょうか?
確定申告分の納期限と課税期間
法人の課税期間はその事業年度に基づきます。事業年度は 1 年以内であれば自由に決めることができます。新たに法人を設立した場合の課税期間の開始日は設立した日、終了日はその事業年度の末日とされています。法人事業者は、課税期間の終了日の翌日から 2 カ月以内に、納税地域の所轄税務署長に消費税と地方消費税の確定申告書を提出し、その申告に係る消費税額と地方消費税額を納付しなければなりません。
個人事業者の場合、消費税の納付期限は、法人ほど自由に決めることができません。
なぜならば、個人事業者の課税期間は1 月 1 日から 12 月 31 日までの期間と定められているからです。
個人事業主は、3 月 31 日 (納期限が、土日、祝日、休日の場合は、翌日) が確定申告分の納期限になります。
- 事業者タイプ:消費税の確定申告分の納期限 (法定納期限)
- 法人事業者:課税期間終了日の翌日から 2 カ月以内
- 個人事業者:3 月 31 日 (納期限が、土日、祝日、休日の場合は、翌日)
また、個人事業主で振替納税 (手続きをすると口座から自動的に引き落としが行われる) を利用している場合は、別途、国税庁で消費税の引き落とし日が案内されています。申告は 3 月 31 日までに行う必要がありますが、実際の税の引き落としは、4 月の中旬から下旬頃に行われるため、慌てずに資金を準備することができます。
課税期間の特例について
法人は、課税期間の特例として課税期間を事業年度の初日から 3 カ月または 1 カ月ごとに区分した各期間を 1 つの課税期間とすることもできます。短くした場合も、それぞれの課税期間の終了日から 2 カ月以内に申告、納付を行うことになります。
四半期ごとの課税期間の申告および支払期限は次のようになります。
ちなみに個人事業者にも課税期間の特例は認められています。個人事業者が課税期間を 3 カ月ごとに短縮する場合には、1 月 1 日から 3 月 31 日まで、4 月 1 日から 6 月30 日まで、7 月 1 日から 9 月 30 日まで、10 月 1 日から 12 月 31 日まで、1 カ月ごとに短縮する場合には、1 月 1 日から 1 カ月ごとに区分した各期間を課税期間とすることができます。
法人、個人事業者共に、課税期間の特例を選択した場合は、事業を廃止した場合を除き、2 年間は特例をやめることができなくなりますのでご注意ください。
中間申告について
消費税の課税期間は原則として 1 年とされていますが、事業年度の途中で、税金の一部を納める「中間申告書」の提出が必要になる場合があります。
中間申告書の提出は、法人の場合は前事業年度 (個人事業者の場合は前年) の消費税の年税額が 48 万円を超える場合に必要になります。また、確定消費税額により、中間申告回数は以下のように異なりますのでご注意ください。
消費税の納付時期を考える
法人は、事業年度により課税期間が決定され、申告・納期限も決まってくるため、期限内に確実に納税するには、消費税の仕組みを十分に理解することが大切です。
課税事業者の場合、消費税は事業がうまくいっているかどうかにかかわらず、納める必要がある税金です。消費税を納期限までに納めることができなかった場合は、延長を申し出ることができるものの、遅延税が発生します。
そのため、消費税はなるべく会社の資金が潤沢な時に納税できるように工夫する必要があります。保険料の支払い時期やボーナス時など他の出費がある時期は避ける、経理の負担を減らすために繁忙期と重ならないようにするなど、対策を考えましょう。
また、経理の負担をなるべく減らそうと考えている場合は、決算・消費税申告や納税機能のある会計ソフトの導入も検討してみてください。
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この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。