カート放棄と決済放棄は同じ問題ではなく、これらを 1 つの問題として扱うと、EC チームにとって高くつく間違いになる可能性があります。カート放棄は、購入者が商品をカートに追加し、決済を開始せずに離脱した場合に発生します。一方、決済放棄は購入者が決済プロセスを開始した後に発生します。それぞれの指標は、ファネルの異なる部分、異なる原因、異なる解決策を示しています。
オンラインショッピングの平均カート放棄率は 70.22% であり、この数値を改善するには、購入者がファネルのどの段階で実際に離脱しているかを把握する必要があります。以下では、カート放棄と決済放棄の違い、それぞれの指標が示す購入者の行動、それらを正確に追跡する方法、およびそれらを減らすのに役立つ対策について説明します。
この記事でわかること
カート放棄は、購入者の意図と検討行動を反映します。決済放棄は、購入フローにおける実行の障壁を反映します。
これら 2 つの指標を 1 つの放棄率にまとめると、問題の箇所や解決策がわからない数値になります。
それぞれの放棄率を減らすには、異なるアプローチが必要です。カート放棄には商品情報の改善と価格の透明性が効果的であり、決済放棄には決済エクスペリエンスの構造的な変更が効果的です。
カート放棄と決済放棄の違い
カート放棄とは、オンラインの購入者が決済を開始せずに購入を放棄することです。購入フローを開始するためのクリックを一度も行いません。決済放棄とは、オンラインの購入者が決済ファネルに入り、配送先や決済詳細の入力を開始した後、取引を完了する前に離脱することです。
この違いは、顧客がいつ購入を諦めるかによって決まります。カート放棄は決済が開始される前に発生し、決済放棄は決済フローの途中で発生します。
カート放棄と決済放棄を混同するとデータが歪む理由
これら 2 つのイベントを 1 つの「放棄率」としてまとめると、技術的には正確でも、実際にはあまり役に立たない数値になります。
総合的な放棄率が 72% だとします。この数字は、商品を追加した購入者の 72% が購入しなかったことを示していますが、カート段階の問題 (配送料が高すぎるなど) で離脱しているのか、決済段階の問題 (決済フォームの必須項目が多すぎる、または顧客が希望する決済手段に対応していないなど) で離脱しているのかはわかりません。
カート放棄からわかる購入者の意図
カート放棄のタイプによって、購入者の意図や改善すべき点が異なります。
それぞれのシグナルが示す内容は以下のとおりです。
カテゴリーレベルの放棄率: 特定のカテゴリーで放棄率が継続的に高い場合、通常は商品ページに問題があります。仕様の記載漏れ、不明確なサイズ、不適切な写真、あるいは認識されている価値と見合わない価格設定などが考えられます。
放棄までの時間: 商品を追加して数秒で離脱する購入者は、複数のタブで価格を比較している可能性があります。放棄するまでに何度も戻ってくる購入者は、コンバージョンに近く、タイミングの良いお知らせに反応する傾向があります。
カートリカバリーメールのパフォーマンス: どの件名やタイミングでクリックされるかによって、購入者がリサーチ段階 (自身のタイミングで再訪する可能性がある) にあるのか、特定の懸念点があるのか (社会的証明や期間限定の特典に反応する可能性がある) がわかります。
ほしい物リストとカートの行動の違い: 両方の機能を提供するプラットフォームでは、保存メカニズムとしてカートのみを使用する購入者は、ほしい物リストのユーザーとは異なるコホートであり、長期的な検討期間ではなく、単なる後押しを必要としている可能性があります。
カート放棄のデータは、商品ページ、価格の提示、事前の配送料見積もり、閲覧からカート追加までのフローなど、決済前のエクスペリエンスの改善に活用するのが最適です。
決済放棄からわかる実行の障壁
決済中に放棄する購入者は、通常、購入する意図を持ってその段階に達したものの、決済フローの何らかの理由で手続きを中止しています。
よくある実行の障壁と、それぞれからわかることは以下のとおりです。
決済時の予期せぬ費用の発生: 決済時に初めて表示される配送料、税金、手数料は、放棄の最大の要因です。原因は価格そのものではなく、開示が遅いことにあります。
強制的なアカウント作成: 多くの購入者は、単発の購入のためにその場でアカウントを作成することはありません。特にモバイルではその傾向が顕著です。購入を完了する前にアカウント作成を要求すると、決済放棄が増加する可能性があります。
多すぎるフォームの入力項目: 必須項目が追加されるたびに離脱が増加します。住所の自動補完、リピーター向けの保存済み住所、スマートなデフォルト設定 (請求先住所のデフォルトを配送先にするなど) はすべて、この手順を大幅に簡素化できます。
決済手段のギャップ: 主にデジタルウォレットを使用する購入者は、決済時にそのオプションが表示されない場合、カード番号を手動で入力するよりも離脱することが多くなります。これは特に若い層や、デジタルウォレットが普及している市場に当てはまります。
トラストシグナルの欠如: 決済詳細を入力する購入者は、最もセキュリティーを意識しています。見慣れない決済エクスペリエンスやセキュリティーインジケーターの欠如は、決済手順での放棄につながる可能性があります。
パフォーマンスの問題: ページの読み込みの遅さ、フォーム検証のエラー、モバイルレイアウトの問題は、退出アンケートで明確な問題として現れない決済放棄の原因となります。購入者は単に離脱するだけです。
カゴ落ちと決済の離脱を正確に追跡するには?
正確に測定するには、セッションデータのみに依存するのではなく、イベントレベルのファネルトラッキングが必要です。
次のイベントを追跡します。
カートへの追加
決済の開始
配送先情報の入力
支払い情報の入力
注文の確認
これらを準備すれば、計算は簡単です。
カゴ落ち率 = (「カートへの追加」セッション数 − 「決済の開始」セッション数) ÷ 「カートへの追加」セッション数
決済の離脱率 = (「決済の開始」セッション数 − 「注文の確認」セッション数) ÷ 「決済の開始」セッション数
決済プロセス内のステップレベルでの離脱 (配送先情報を入力した購入者のうち、支払いステップに到達しなかった割合など) を計算することもできます。決済の離脱データは、このような場合に最も役立ちます。
イベントが正しく設定されていれば、Google Analytics 4 (GA4) のファネルデータ探索レポートを使用して、このトラッキングを処理できます。主要な EC プラットフォームでは、詳細レベルは異なりますが、通常、組み込みのレポートとして表示されます。Hotjar、FullStory、Heap などの専用の購入率最適化 (CRO) プラットフォームでは、セッションリプレイやファネル分析が追加され、イベントデータを定性的なインサイトで補完します。
トラッキングの特定の間違いにより、数値が歪む可能性があります。次の点に注意してください。
イベントではなくページビューをカウントする — これでは、カートや決済のアクションを確実にとらえることはできません。
複数セッションにまたがる行動 (月曜日にカートに追加し、木曜日に決済を完了する購入者など) を考慮していない
離脱の計算からボットやテスト注文を除外していない
各イベントの定義を確認せずに、プラットフォームのネイティブの離脱率を使用している
カート放棄を減らす方法
情報の介入は、カート放棄率に最も大きな影響を与える傾向があります。以下の対策が考えられます。
配送料の早期表示: 商品ページやカート自体で見積もり配送料を表示することで、予期せぬ費用の発生を防ぎます。一定額以上の購入で配送料無料を提供している場合は、その基準額をカートに表示します。
ほしい物リスト機能の追加: リサーチ段階の購入者は、カートに入れるという暗黙の約束なしに商品を保存する場所を必要としています。ほしい物リストを提供することで、カートの乱雑さが軽減され、純粋な購入直前の意図と受動的な検討が区別されるため、放棄データも明確になります。
商品ページの情報ギャップの解消: サイズの不確実性、素材に関する疑問、互換性への懸念によるカート放棄には、商品ページの改善が効果的です。サイズガイド、詳細な仕様、顧客の写真、明確な返品ポリシーの記載はすべて、商品をカートに追加した後に購入を思いとどまる購入者の数を減らすことができます。
カートのお知らせキャンペーンの戦略的活用: タイミングを合わせたカートのお知らせメール (1 通目を放棄から 1 時間以内に送信するなど) によって売上を回復できますが、その効果はカテゴリー、平均注文額 (AOV)、および購入者の過去の購入履歴の有無によって異なります。すべてのカート放棄者に単一のシーケンスを適用するのではなく、行動によってセグメント化します。
決済放棄を減らす方法
決済放棄は、決済エクスペリエンス自体の構造的な変更によって改善できます。効果を最大化するには、以下の方法があります。
強制的なアカウント作成の排除: ゲスト決済をメインの手段として提供します。購入が完了した後にアカウント作成を促すことができます。その時点で情報はすでにシステムに登録されており、ワンクリックでアカウントを作成できます。
フォームの入力項目の削減: 取引の完了に不要な項目がないか、決済フォームを確認します。住所の自動補完を有効にします。顧客の請求先住所のデフォルトを配送先住所に設定します。モバイルでは、各項目に適切なキーボードタイプ (カード番号には数字、メールアドレスにはメール用キーボードなど) を使用します。
進捗状況の表示: シンプルな 3 ステップのバーであっても、進捗インジケーターによって残りの手順が明確になり、長時間の決済フローでの不安を軽減できます。購入者は、完了が近いことがわかると放棄しにくくなります。
決済手段の対象範囲の拡大: カードだけに依存しないでください。デジタルウォレット、国内主要決済手段、後払い (BNPL) オプションは、さまざまな顧客セグメントに対応します。Stripe の決済インフラストラクチャーを使用すると、単一のアプリケーションプログラミングインターフェイス (API) を通じてこれらの決済手段を有効にし、顧客の店舗やカートの金額に基づいて表示する決済手段を設定できます。
エクスプレス決済の追加: 決済詳細を保存しているリピート購入者は、再入力する必要がありません。Stripe が構築したデジタルウォレットの Link を使用すると、以前に情報を保存した購入者は、Link を使用するすべてのビジネスで決済情報と配送先情報が自動入力され、ワンクリックで決済を完了できます。決済手順でのフォーム入力の手間が省けることで決済が迅速化され、顧客が放棄する理由を 1 つ減らすことができます。
決済手順でのトラストシグナルの表示: Secure Sockets Layer (SSL) インジケーター、認知されている決済ロゴ、購入者がカード詳細を入力する際の明確なセキュリティーに関する文言によって、特に決済時に発生するセキュリティー関連の離脱を減らすことができます。
Stripe Payments でできること
Stripe Payments は統合型のグローバル決済ソリューションです。成長中のスタートアップから大企業まで、あらゆるビジネスがオンラインや対面により、世界各地でスムーズに決済を導入できます。
Stripe Payments の特徴
決済体験の最適化: 構築済みの決済 UI、125 種類以上の決済手段、Stripe が構築したウォレット「Link」により、スムーズな顧客体験を実現するとともに、数千におよぶ開発時間を削減します。
新市場へのスピーディーな展開: 195 カ国、135 以上の通貨で利用可能な決済オプションにより、世界中の顧客にリーチし、多通貨管理の複雑さとコストを削減します。
対面とオンライン決済の統合: オンラインと対面を統合したコマース体験を構築。顧客とのやり取りをパーソナライズし、ロイヤルティを高め、収益拡大を促進します。
決済パフォーマンスの向上: ノーコードの不正利用対策や承認率改善のための高度な機能など、カスタマイズ可能で設定が簡単な決済ツールで収益を増加させます。
柔軟で信頼性の高いプラットフォームで事業成長: 業界最高レベルの信頼性を備えたプラットフォーム上でビジネスを構築し、拡大。稼働時間は 99.999% を誇ります。
Stripe Payments のオンラインおよび対面決済について、詳しくはこちらをご覧ください。今すぐ開始する場合はこちら。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。