Faster Payments とは: イギリスのリアルタイム銀行振込システムのガイド

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成長中のスタートアップからグローバル企業まで、あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、オンライン決済、対面支払いなど、世界中のあらゆる場所で決済を受け付けます。

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  1. はじめに
  2. Faster Payments Service とは
  3. Faster Payments と CHAPS や Bacs との比較
    1. スピード
    2. 利用可否
    3. コスト
    4. ユースケース
  4. Faster Payments を利用する企業向けのベストプラクティス
    1. インフラが対応している機能を正確に把握する
    2. オートメーションを利用する
    3. FPS 取引を現金と同様に扱う
    4. 消し込みプロセスを変更する
    5. ハイブリッド戦略を採用する
    6. システムの変更を注視する

これまで、イギリスの銀行振込は決済に数日かかっていました。現在は、Faster Payments を利用することで、数秒で口座間送金が完了するようになりました。企業は、サプライヤーへの支払い、返金、口座間の資金移動を即座に行うことができます。

この記事では、Faster Payments の仕組み、イギリスの他の決済システムとの比較、企業における効果的な活用方法について説明します。

この記事の内容

  • Faster Payments Service とは
  • Faster Payments と CHAPS や Bacs との比較
  • Faster Payments を利用する企業向けのベストプラクティス

Faster Payments Service とは

イギリスの Faster Payment System は、Faster Payments Service (FPS) を支えるインフラとして 2008 年に運用が開始されました。FPS を利用すると、土日祝日を含む 24 時間年中無休で、イギリスの銀行口座間のリアルタイム決済が可能になります。

イギリスのほとんどの銀行とペイメントプロバイダーは、直接的または間接的に FPS に接続しています。これまで、バンキングアプリを介して送金し、振込がすぐに行われたことがある場合は、おそらく FPS を利用しています。

FPS は、Bacs などの従来の決済システムとは異なる方法で決済を処理します。従来の決済システムはバッチで動作し、決済期間があらかじめ定められているのに対し、FPS は取引を個別にリアルタイムで処理するため、受取人の銀行口座にほぼ即座に反映されます。

FPS は非営利団体 Pay.UK によって運営されており、Bacs の運営もこの団体が行っています。このサービスは、イギリスのほぼすべての銀行口座保有者が利用でき、一部のノンバンク金融機関はイングランド銀行に決済口座を保有することで FPS に直接接続できます。このようにアクセスしやすいことから、特にフィンテックが発展する後押しになってきました。

FPS は、1 回限りの支払いや 100 万ポンドまでの自動振替などを含め、イギリスポンドでの日常的な国内送金に使用されています。銀行は不正利用防止と内部リスク管理のために、限度額をさらに低く設定できます。2024 年に、FPS は 4 兆 2,000 億ポンドに相当する約 51 億件の取引を処理しました。

Faster Payments と CHAPS や Bacs との比較

Faster Payments は最速で送金できる方法ですが、イギリスの他の主要な決済システムである CHAPS や Bacs とは他の点でも違いがあります。これら 3 つの決済システムを比較すると、次のようになります。

スピード

  • FPS 送金は通常は数秒で決済されます。まれなケースですが、かかっても最大 2 時間です。

  • CHAPS 送金は、銀行の締め切り時刻 (多くの場合は午後 3 時から午後 5 時の間) までに送金されていれば、通常は同日中に決済されます。締め切り時刻を過ぎた場合や、土日祝日に取引を開始した場合は、翌営業日に着金します。

  • Bacs 送金は決済に通常 3 営業日かかります。月曜日に Bacs で支払いを開始した場合、決済が行われるのはおそらく水曜日です。

利用可否

  • FPS は、土日祝日を含め 24 時間年中無休で利用できます。連続稼動できるように設計されています。

  • CHAPS はイギリスの営業時間内 (月曜日から金曜日) にのみ利用できます。夜間と土日祝日の処理はありません。

  • Bacs も営業日のスケジュールに従います。金曜日に Bacs 決済で送金すると、たいていは火曜日に決済されます。

コスト

  • FPS のコストは通常は Bacs よりも高く、CHAPS よりは低くなります。

  • 通常は CHAPS の手数料が最も高額になります。CHAPS は時間的制約のある大規模取引の送金を専門としているため、それを反映してこのようなコストになっているのです。

  • 一般的に、企業にとっては Bacs が最も低コストな選択肢です。

ユースケース

  • FPS は、サプライヤーへの緊急の支払い、自社口座間での送金、顧客への即時返金など、時間的制約がある少額から中額の送金に最適です。柔軟性、信頼性、スピードに優れています。

  • CHAPS は、不動産の購入、大口企業取引、銀行間決済など、時間的制約のある高額送金に利用されています。同日中の決済が必要であり、遅延のリスクを許容できない場合は手数料が高くても妥当だと見なされます。

  • Bacs は、サプライヤーへの毎月の支払い、公共料金やサブスクリプションの口座振替など、予測可能で緊急度の低い支払いに利用されています。支払いの予定が事前に決まっていて、タイミングがそれほど正確でなくてもよい場合に最適です。

Faster Payments を利用する企業向けのベストプラクティス

Faster Payments はスピード、送金範囲、柔軟性に優れていますが、適切に使用するには、システムが実際の状況でどのように動作するのか明確に理解しておく必要があります。ワークフローに FPS を取り入れようとしている場合や、またはコアプロセスを強化するために FPS を利用する予定の場合は、以下のベストプラクティスを参考にすると成功につながります。

インフラが対応している機能を正確に把握する

イギリスのほとんどの銀行では、FPS 取引の送入金が可能です。利用している銀行やペイメントプロバイダーで実際に利用できる状態かどうか確認するには、次のような質問をしてください。

  • FPS 取引件数と取引額に関してどのような制限がありますか?

  • 制限の引き上げをリクエストすることはできますか?プロセスとタイムラインはどのようになりますか?

  • 手動審査のために決済が保留されることはありますか?

  • 口座の締め切り時間や土日の制限はありますか?

  • アプリケーション・プログラミング・インターフェイス (API) の提供状況やファイル送信ワークフローはどのようになっていますか?連携機能を通じてリアルタイム FPS を開始する機能に対応していますか?それとも、ビジネスポータルからしかできませんか?

金曜の午後 4 時 59 分になって、「即時」入金が月曜まで保留されるとわかる事態は避けたいものです。利用している銀行またはペイメントプロバイダーが貴社の期待どおりのサービスを実際に提供できるか確認してください。

オートメーションを利用する

たまにしか使わないのであれば、FPS 送金の情報をウェブインターフェイスに手動で入力するのも問題ありませんが、大量の取引や時間的制約のある取引を処理する場合、それでは適切に規模を拡大できません。FPS 決済を頻繁に行う場合や大量に行う場合は、次の機能を利用することを検討してください。

  • ダイレクトバンク API

  • 事前検証機能を備えた安全なアップロードサービス

  • API レベルで FPS へのアクセスを許可しているペイメントプロバイダー

たとえば、Stripe は FPS を利用してイギリスの口座向けの Instant Payouts を提供しており、そうすることでリアルタイムの支払い、エラー率の低減、消し込みのスピードアップを実現しています。

FPS 取引を現金と同様に扱う

口座から資金が出た後に FPS 取引をキャンセルすることはできないため、強力な内部統制を設けることが重要です。少なくとも、次のものをプロセスに取り入れてください。

  • 一定額を超える FPS 決済で二重承認を義務付ける (特に、若手スタッフや自動化されたシステムによって開始された場合)

  • 受取人の確認手順を設ける (新規口座に多額の送金をする前に 1 ポンドのテスト支払いの受領を確認するなど)

  • 受取人の口座名義人と想定した受取人が一致することを確認する受取人確認機能を設ける (利用可能な場合)

プッシュ型決済の不正利用の一般的なシナリオ、特にビジネスメール詐欺、偽のサプライヤーからの連絡、経営幹部のなりすましについて、チームを教育します。このような詐欺は、焦っているときに標準のプロセスを飛ばすような手口になっています。誤って FPS 送金した資金を回収できる Credit Payment Recovery プロセスはありますが、時間がかかり、必ず成功が保証されるわけではありません。取引の決済後にミスを取り消そうと試みるよりも、防止策を設けたほうが確実です。

消し込みプロセスを変更する

ほとんどのシステムでは、Faster Payments を即座に確認でき、構造化されたメタデータも合わせて提供されます。そのため、会計と運用のワークフローでこれまでとは違うことができるようになります。ここでは、それを最大限に活用する方法をご紹介します。

  • 決済に関する役立つ参照情報を必ず含めます。FPS は 18 文字までサポートしているため、請求書番号、注文 ID、クライアントコードを含めるのに十分な長さがあります。

  • FPS 入金のリアルタイム通知を設定し、それらのアラートを使用してシステムを自動的に更新します。銀行によっては、Webhook の実装を介したリアルタイム通知機能に対応しています。たとえば、アラートに基づいて請求書を支払い済みとしてマークしたり、顧客のウォレット残高を更新したりすることができます。

このようにプロセスを少し変えることによって、手作業によるチェックをなくし、消し込み作業の負担を最小限に抑えながら、財務チームがキャッシュの動きの最新状況を常に把握できるようになります。

ハイブリッド戦略を採用する

FPS はさまざまなユースケースに適していますが、あらゆる決済フローを解決できるわけではありません。ほとんどの企業はこれら 3 つの決済システムをすべて使用しており、定型的な給与計算には Bacs、返金や修正には FPS、高額な買収には CHAPS を使用するといったように使い分けています。目的に合ったシステムにすることで、コスト、スピード、リスクをより適切に管理できます。

システムの変更を注視する

イギリスの決済システムは絶えず変化しています。先回りして対応するために、イギリスの決済インフラを最新化するために構築された新しいプラットフォームである New Payments Architecture (NPA) を注視しておくことをお勧めします。FPS と Bacs は最終的に NPA に統合される予定であるため、企業でのこれらの決済システムの仕組みが変わるでしょう。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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