近年「ストックビジネス」や「ストック型とフロー型のどちらを目標にすべきか」などの会話をよく耳にするようになりました。ストックビジネスは、継続的な収益を見込めるビジネスを指します。その安定性と継続性を求め、フロー型のビジネスからの移行を目指す企業が増えています。
本記事では、ストック型ビジネスとフロー型ビジネスとの違いや、ストックビジネスの成功事例をメリットデメリットと共にわかりやすく解説します。
目次
- ストックビジネスとは
- ストックビジネスのメリット
- ストックビジネスのデメリット
- ストックビジネスの種類
- ストックビジネスの成功事例
- ストックビジネスで成功するために
ストックビジネスとは
「ストックビジネス」は、英語の「stock」に由来する和製英語で、「仕入れる」「蓄積する」「備える」といった意味を持ちます。売上が顧客ごとに継続的に積み上がっていくビジネスモデルで、営業活動をやめても収益は止まらないため、計画が立てやすく安定性があるのが特徴です。
顧客との関係性を深めることができ、長期的な取引を見込めるようになれば、新規顧客の獲得にそれほど力を入れる必要がなくなるため、既存顧客からの収益を増やすことに重点を置けるようになります。
たとえば、動画配信サービス、クラウドサービス、不動産の賃貸、学習塾、各種公共料金などは、定期的に収益を得られるビジネスモデルであることから、すべてストック型のビジネスと考えられます。
フロービジネスとの違い
「フロービジネス」は「ストックビジネス」の対義語にあたり、英語の「flow」 (流れる) に由来する和製英語で、「流動性の高い」ビジネスモデルを指します。単発的に売上が上がる飲食店、小売店などがフロー型のビジネスに該当します。
ストックビジネスとフロービジネスには、メリットとデメリットがそれぞれあります。
ストックビジネスにはメリットが多く、ビジネス成功への大きな可能性を秘めています。反面、フロービジネスには、短期間で収益化ができるメリットがあるものの、売上は外的要因に左右されがちなため、単発的で収益が安定しにくいというデメリットがあります。
事業内容によっては、すべてをストック型のビジネスに移行するには難しいものもありますが、安定性を目指すために、事業の一部をストック型にできないか検討するのも良いかもしれません。
例えば、飲食店であれば、企業と契約しお弁当や飲料の配達を契約するなどです。そうすることで、安定した収益を得ることが可能になり、事業の運営に余裕が生まれます。
ストックビジネスは、顧客が増えるにつれ売上も増加し、継続的に収益を得ることができるのに対し、フロービジネスは単営業活動を停止すると売上も止まってしまうのが難点と言えるでしょう。
サブスクリプションとの違い
サブスクリプションもストック型のビジネスモデルです。顧客が定期的に料金を支払ってサービスを受ける仕組みになっています。定額制の動画配信サービス、音楽配信サービス、クラウドサービスなどがサブスクリプションに当たります。
リカーリングビジネスとの違い
リカーリングビジネスは、英語の「Recurring」に由来し、「繰り返し」を意味します。リカーリングビジネスも定期的に収益が発生するビジネスモデル全般を指し、ストックビジネスの一部とみなされます。
リカーリングビジネスとサブスクリプションは両方とも定期的に収益が発生するという点で類似したビジネスモデルであると言えます。一般的に、リカーリングビジネスは使用量に応じて課金される「従量課金ビジネス」、サブスクリプションは、毎月決まった金額を顧客が支払う「定額制ビジネス」と区別されています。
ただし、両者の区分は明確ではないため、リカーリングとサブスクリプションの両方に該当すると捉えられる場合や、どちらにも属さないもののストックビジネスと考えられるケースもあります。
ストックビジネスのメリット
1. 収益性が安定する
ストックビジネスのメリットの中でも最も注目すべき点は、安定した収益を得られることです。一定以上の契約や会員を確保できれば、毎月決まった売上を見込めるため、事業計画が立てやすくなります。
2. 継続性がある
フロー型ビジネスの場合は、顧客が一度購入したら、その後リピートしてもらうための施策を講じる必要がありますが、ストックビジネスは継続購入が前提となるため、顧客との継続的な関係を築きやすいのが特徴です。そのため、LTV (顧客生涯価値) を高めやすいビジネスモデルとも言えます。
3. 管理しやすい
契約数や会員数などから、どれくらいの商品の在庫が必要になるのか予測できるため、それに伴う従業員数の確保など、事業面での管理が容易になります。また、顧客の幅広いデータを蓄積できるため、商品やサービスの開発もしやすくなり、事業の拡大につなげることが可能です。また、将来的に事業売却のシナリオを考慮し、誰がやっても管理、販売可能な形態のストックビジネスを目指すことが望ましいでしょう。
ストックビジネスのデメリット
1. 初期費用がかかる
ストックビジネスの仕組みを構築するまでには、広告費用や人件費など一定の資金や時間が必要になります。そのため、事業の初期段階では十分な資金を準備しておくことが望ましいでしょう。
2. 利益が出るまで時間がかかる
ストックビジネスは定額制のため、一人当たりの単価が低くなりがちです。しかも、事業の開始時は契約数や会員数が少ないため、フロービジネスよりも売上高が低くなる傾向にあります。
3. 解約されない努力が必要
契約や会員の獲得に成功しても、サービスに満足できなければ顧客は離れていきます。継続してもらうためには、顧客の満足度を高める努力をし、日々サービスの改善に務める必要があります。
ストックビジネスの種類
定期購入型
一定期間ごとに商品を購入してもらう形式のストックビジネスで、定期的に必要になる消耗品に適しています。化粧品や健康食品などの定期購入は広く普及しています。
賃貸型
商業用ビル、マンション、アパート、駐車場などから賃料収入を得る形式の不動産賃貸経営は、ストックビジネスの代表例です。
配信型
動画配信、音楽配信などを定額制で行うストック型ビジネスです。
サービス型
弁護士、税理士、社労士なども、顧問契約として定額制でサービスを提供し、定期的に収益を得られるため、ストック型の職業と言えます。
消費型
ウォーターサーバーと水、コピー機と用紙、トナーなど、本体を安く販売した後で、セットとなる消耗品を継続購入してもらう形式のモデルです。
学習型
英語教室、学習塾、スイミング、ピアノレッスンなど、継続的に授業やレッスンを行うことで収入を得るタイプのストックビジネスです。
権利使用型
ソフトウェアのライセンス、フランチャイズなどのロイヤリティ料金、更新が必要な資格料金などで収益を得るタイプのストックビジネスです。
保険型
健康保険、自動車保険、生命保険、火災保険などの保健全般もストックビジネスのひとつです。
インフラ型
電気代、ガス代、携帯電話、インターネット回線など、私たちの日常生活に欠かせないインフラもストックビジネスと考えられます。
ストックビジネスの成功事例
KUMON
KUMON は、日本各地に教室があり、学習塾として特に低学年の子供を持つ家庭に人気があります。教室運営のノウハウを提供することで毎月ロイヤリティを受け取り、安定した収益を得ています。
コストコ
会員制倉庫型スーパーマーケット (卸売・小売) のコストコは、年会費が必要であるにもかかわらず、会員数は毎年増え続けています。メンバーシップの種類は複数あります。
Xbox
世界屈指のソフトメーカーのマイクロソフトが立ち上げたゲームブランドのXbox は、Xbox Game Pass というゲームのサブスクリプションを購入すると、随時新しいゲームをプレイできることを特徴としています。
ストックビジネスで成功するために
本記事では、ストックビジネスとは何かをフロー型のビジネスとの違いやメリット、デメリットについてご紹介しました。
ストックビジネスで成功するには、継続して商品やサービスを利用してもらうことを常に意識する必要があります。
Stripe を利用すれば、決済に関する業務の負担を軽減できるため、ビジネスに集中できます。たとえば、Stripe Billing は、ストック型のビジネスに必要な多くの機能を標準サポートしています。継続的なストックビジネスの請求を数分で開始することや、Smart Retries と回収ワークフローを自動化することで、売上の最大化を図り、解約率を下げることができます。
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