特定商取引法に基づく表記とは?テンプレート付きで記載方法を分かりやすく解説

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  1. はじめに
  2. 特定商取引法 (特商法) とは?
    1. 行政規制
    2. 民事ルール
  3. 特定商取引法の対象となる取引類型は?
    1. 訪問販売
    2. 通信販売
    3. 電話勧誘販売
    4. 連鎖販売取引
    5. 特定継続的役務提供
    6. 業務提供誘引販売取引
    7. 訪問購入
  4. 特定商取引法に基づく表記とは?
  5. 特定商取引法に基づく表記のテンプレート
  6. 特定商取引法に基づく表記がない場合は?

特定商取引法は「とくていしょうとりひきほう」と読み、別名「特定商取引に関する法律」や「特商法」としても知られています。この法律は年々増加する悪質な取引から消費者を守るために生まれました。EC サイトの運営者が「特定商取引法」と「特定商取引法に基づく記載」についてきちんと理解することは、顧客の満足度を高め、事業者と消費者間のトラブルを未然に防ぐためにとても重要です。特定商取引法とは何か、特定商取引法に基づく記載には何を書けば良いのかなど、具体例を交えて一つひとつ詳しく解説していきます。

目次

  • 特定商取引法 (特商法) とは?
  • 特定商取引法の対象となる取引類型は?
  • 特定商取引法に基づく表記とは?
  • 特定商取引法に基づく表記のテンプレート
  • 特定商取引法に基づく表記がない場合は?

特定商取引法 (特商法) とは?

特定商取引法とは「消費者の利益を守るための法律」です。消費者が不当な勧誘や契約に巻き込まれないようにするために、取引類型に該当する事業者への規制 (行政規制) と、クーリング・オフ等の消費者を守るルール (民事ルール) を設けています。

なお、特定商取引法は、B2C (事業者と消費者間の取引) を対象とした法律であり、B2B (事業者と事業者間の取引) は対象外となりますのでご留意ください。

行政規制

特定商取引法では、消費者に適切な情報を提供するために、事業者に対して以下のような規制を定めています。特定商取引法に違反した場合は、業務改善の指示や業務停止命令・業務禁止命令の行政処分の対象となるだけでなく、罰則の対象になる場合もあります。

  • 氏名等の明示の義務付け - 事業者に対し、事業名や勧誘目的であることを事前に消費者に告げることを義務付けています。
  • 不当な勧誘行為の禁止 - 価格や支払条件等の虚偽の説明、および消費者を威迫して困惑させる行為を禁止しています。
  • 広告規制 - 事業者が広告をする際には、重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大広告を禁止しています。
  • 書面交付義務 - 事業者に対し、契約終結時に重要事項を記載した書面を交付することを義務付けています。

民事ルール

消費者と事業者間の後々のトラブルを最小限にするために設けられたルールです。

  • クーリング・オフ (通信販売には適用されない) - 訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供、訪問購入は契約の申し込みから 8 日以内、連鎖販売取引と業務提供誘引販売取引は 20 日以内に無条件で契約を解約することができます。通信販売には、クーリング・オフに関する規定はありません。
  • 意思表示の取り消し - 事業者の誤情報や故意の不告知などにより、消費者が購入や契約をした場合は、その意思表示を取り消すことができます。
  • 損害賠償額の制限 - 消費者が中途解約する場合に、事業者が請求できる損害賠償額の上限を設定しています。

注意: 上記の行政規制と民事ルールは、代表的な項目です。上記の他にも様々な規制やルールがあり、次で説明する取引類型により、少しずつ異なります。

特定商取引法の対象となる取引類型は?

特定商取引法は、すべてのビジネスに適用される法律ではありません。以下が、特定商取引法の規制の対象となる取引類型です。

  • 訪問販売
  • 通信販売
  • 電話勧誘販売
  • 連鎖販売取引
  • 特定継続的役務提供
  • 業務提供誘引販売取引
  • 訪問購入

訪問販売

訪問販売は、事業者が消費者の住居を訪問して、商品を販売したり、契約を行なったりすることです。その他、公民館、喫茶店、路上など、店舗に該当しない場所での販売や契約、キャッチセールス、アポイントメントセールスなども訪問販売に含まれます。

通信販売

EC サイト、テレビ、新聞、雑誌などで広告し、それを見た消費者が、郵便、電話、ファックス、インターネットなどで購入の申し込みを行う取引が通信販売に該当します。EC サイトを運営している事業者は、「特定商取引法に基づく表記の記載」が義務付けられています。

電話勧誘販売

事業者が消費者に電話をかけて勧誘し、商品の購入や契約の申し込みを受けると、電話勧誘販売に該当します。また、消費者が一旦電話を切り、後日申し込みを行なった場合でも、電話勧誘により購入することを決めた場合は電話勧誘販売となります。また、事業者が消費者に電話をかけて勧誘するだけでなく、SNS、郵便、信書便、FAX、ビラ、パンフレットなどを用いて消費者に電話をかけさせ、商品や契約の申し込みを受けることも電話勧誘販売とみなされます。

連鎖販売取引

別名、「マルチ商法」「マルチレベルマーケティング」とも呼ばれる販売方法です。他の人を勧誘して入会させると紹介料がもらえるなど、事業者が個人を勧誘し、その個人が新たな販売員を勧誘することで販売組織を連鎖的に拡大し、利益を得る仕組みになっています。

特定継続的役務提供

一定期間を超える期間にわたり、一定金額を超える対価を受け取ってサービスを提供することを意味します。詳しくは下記の表をご覧ください。

現在、以下の 7 つが特定継続的役務として指定されています。

業務提供誘引販売取引

消費者に仕事の提供を誘って、商品やサービスの購入を強いる取引です。「内職商法」「モニター商法」などとも呼ばれ、在宅ワークに必要だからと言って、初めにパソコンやソフトなどを購入させる取引方法などがそれに当たります。

訪問購入

事業者が消費者の自宅や職場等を訪問して、物品を買い取る取引のことです。「不要なものを購入したいと言ったのに、貴金属などを強引に買い取られた」などの悪質なケース、いわゆる「押し買い」が近年みられます。

いずれの取引類型も、取引内容方により特定商取引法に違反することになるため、十分に注意が必要です。

特定商取引法に基づく表記とは?

通信販売には、行政規制の広告の表示 (法第 11 条) 義務というものがあり、トラブルを避けるために、様々な広告の表示事項を特定商取引法に基づく表記として常に明確に表示しなければならないとしています。

特定商取引法に基づく表記とは、事業者が商品やサービスを販売する際に、消費者に対して開示しなければならない情報をわかりやすくまとめたものです。

なぜ通信販売にだけこの表記が義務付けられているかと言うと、消費者は、商品やサービスを購入するときに、「広告」を通じてしか販売条件や契約条件を確認できないからです。

ここで、広告を出していない場合は、特定商取引法に基づく表記は必要ないのでは?と思われる方もいるかもしれません。しかし、ここでいう広告とは、インターネット上で見る PR ページやバナー、新聞に入ってくるチラシのような一般的な広告の概念とは少し違います。消費者庁によると「事業者がウェブサイトで契約の申込みを受ける意思が明らかであり、かつ、消費者がその表示により契約の申込みをすることができるもの」を広告としています。つまり、EC サイトの商品ページや申し込みページも広告に該当するため、特定商取引法に基づく表記の表示が必要になります。また、個人、法人などの事業形態や EC サイトの規模に関わらずこの記載は必ず必要になりますので、特定商取引法のガイドラインに沿って正しく記載、公開するようにしましょう。

それでは、特定商取引法に基づく表記とは具体的に何を書けば良いのか、もう少し掘り下げてみます。

広告にはいろいろな形式やスタイルがあり、使われるスペースも様々であることから、特定商取引法に基づき、全ての事項を表示することは難しい場合もあります。

そのため、条件を満たした場合は、一部の表示事項を省略することができます。省略できる事項については、下記の表をご参照ください。

個人事業主が自宅をオフィスに使用している場合などで、自宅の住所や電話番号をウェブサイトに表示することに抵抗がある場合は、上記にある条件を満たせば省略することが可能になりますので確認してください。

ただし、消費者庁によると省略するための条件があり、「消費者からの請求によって、これらの事項を記載した書面 (EC サイトの場合は、電子メールも可) を遅滞なく提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に、遅滞なく提供できるような措置を講じている場合に限り、省略することができる」とありますので、自社の運営しているサイトがその条件を満たすことができるかどうか事前に確認する必要があります。

事業内容上、条件を満たすのが難しいようでしたら、別の案として、バーチャルオフィスの住所や電話番号の利用を検討することもできます。

その他、通信販売の広告表示事項に関する詳細については、消費者庁の「特定商取引法ガイド、通信販売広告Q&A」をご覧ください。様々なケースが紹介されています。

特定商取引法に基づく表記のテンプレート

特定商取引法に基づく表記の一般的な例を下記にまとめました。下記のテンプレートと上記の広告の表示事項を参考にし、自社のサービス内容に合わせて「特定商取引法に基づく表記」を作成してください。

特定商取引法に基づく表記がない場合は?

特定商取引法に基づく表記がない場合、状況によっては事業者が不利益を被るケースがみられます。

たとえば、通信販売の場合、クーリング・オフは認められていません。しかし、返品に関するトラブルが非常に多いことから、返品について特定商取引法に基づく表記をすることが義務付けられています。もし、返品についての表記を怠った場合、消費者からの返品に無条件に応じる必要が出てきます。

同様に、特定申込み (EC サイトの注文の最終確認画面など) の表示に不備や虚偽があった場合も、注文の取り消しや返金対応などをしなければならなくなり、実質、事業者の負担が大きくなります。

ガイドラインに沿った、明確な特定商取引法に基づく表記をし、スムーズな取引ができるようにしましょう。

本記事では特定商取引法とは何か、特定商取引法に基づく表記の記載方法について詳しく説明してきました。EC サイトを運営している事業者にとって、消費者とのトラブルを未然に防ぐだけでなく、信頼関係を築くうえでも非常に重要な法律になります。

特定商取引法は、2022 年 6 月 1 日に法の改正 (改正特商法) が行われており、それ以降は、顧客に表示される「最終確認画面」において、新たに一定の事項を表示することが義務付けられるようになりました。

Stripe の Stripe Support では、「特定商取引法に基づく表記」ページの作成方法改正特定商取引法におけるガイドラインにて、新しく対応が必要な項目について詳細を記載しています。新しくStripe でアカウントを開設される事業者様だけでなく、法改正前からすでに Stripe アカウントをご利用いただいている事業者様も、同ページを参考にし、もう一度必要な記載事項を見直されることをお勧めいたします。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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