日本のプラットフォーム課税とは?仕組み・導入の背景

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  1. はじめに
  2. プラットフォーム課税とは
    1. プラットフォームの意味
    2. プラットフォーム課税の仕組み
  3. プラットフォーム課税の導入背景
    1. 日本国内における海外デジタルサービスの普及
    2. 日本の消費税納付に関する理解不足
  4. プラットフォーム課税の適用対象企業と適用時期
    1. 特定プラットフォーム事業者
    2. 国税庁が公表している特定プラットフォーム事業者
    3. プラットフォーム課税への適用はいつから始まる?
  5. プラットフォーム課税を正しく理解することが大切

近年、インターネットの普及と通信技術の向上に伴い、アプリストアや EC モールをはじめとするプラットフォームビジネスが世界中で急速に発展しています。日本でも、メルカリや楽天、ヨドバシ.com など多くのプラットフォームが存在し、これらの運営事業者には消費税の納税義務があります。

一方、日本に拠点を持たない海外の事業者の場合、プラットフォームを介して日本国内の消費者を対象に、オンラインゲームなどのデジタルサービスを販売する際にも、消費税が発生します。この場合、プラットフォーム運営事業者が海外の事業者に代わって消費税を申告および納税する「プラットフォーム課税」が適用されます。

本記事では、日本のプラットフォーム課税の基礎知識として、概要や導入背景、対象企業、適用開始時期などを踏まえながら解説します。

目次

  • プラットフォーム課税とは
  • プラットフォーム課税の導入背景
  • プラットフォーム課税の適用対象企業と適用時期
  • プラットフォーム課税を正しく理解することが大切

プラットフォーム課税とは

プラットフォーム課税とは、デジタルプラットフォームを運営する事業者が適用対象となる制度です。たとえば、日本国外の事業者 (サプライヤー) が、プラットフォームを介して日本国内の消費者にデジタルサービスを販売する場合、プラットフォーム運営事業者が日本の消費者に「サービスの提供」を行ったとみなして、日本国外のサプライヤーの代わりに、消費税の申告と納税を行うものです。

プラットフォーム課税は、今日のデジタル市場の成長において、すべての事業者に対する課税への公平性を重視しており、競争条件の中立性を確保することを目的としています。また、この税制はヨーロッパや北米地域、アジア圏などでも既に採用されており、詳細は各国でさまざまとなっています。

プラットフォームの意味

プラットフォーム (Platform) とは、日本語では「土台」や「乗降口」を意味します。わかりやすくいうと、日本でも電車の乗降場所をプラットフォームと呼ぶように、人々がサービスを利用する「場」を指します。

インターネット上のプラットフォームについても同様に、取引が行われるオンラインの「場」ということになるため、サプライヤーとバイヤーとを結び付ける場を提供する B2B マーケットプレイスのほか、人と人とを繋ぐ SNS、オンラインゲームなどを配信するアプリストアなど多種多様なものが存在し、これらはすべて大枠としてプラットフォームに該当します。

プラットフォーム課税の仕組み

プラットフォーム課税制度のもとでは、プラットフォーム上で海外のデジタルサービスを購入する日本の消費者は、サービスの販売者である海外の事業者ではなく、プラットフォーム運営事業者に対してサービスの代金と消費税を支払います。したがって、消費者から消費税を受領したプラットフォーム運営事業者には、税務署への消費税申告および納税義務があります。

つまり、プラットフォーム課税は、プラットフォーム運営事業者を「消費者への最終的なサービス提供者」とみなして納税義務を課すことで、日本または海外に関係なく、すべての事業者にとって公平にビジネスが行えることに重点を置いた仕組みとなっているのです。

プラットフォーム課税の導入背景

日本国内における海外デジタルサービスの普及

近年、インターネット上でサービスを提供するデジタルサービス市場は、日本の国内外において急速に拡大しています。たとえば、スマートフォン向けのモバイルアプリについては、オンラインゲームを中心に、多くの海外の事業者が参入しており、日本の消費者にもさまざまなサービスが提供されています。

このように、プラットフォーム上のデジタルサービスに対する消費税の納税義務は、本来、サプライヤー、すなわちプラットフォーム上で消費者にサービスを販売する事業者にあります。

これは、モバイルアプリなどのデジタルサービスの場合、消費者がサプライヤーに対して代金と消費税を直接支払うことで、サプライヤーが税務署に消費税を申告する仕組みが一般的であるからです。これを「セールスエージェント方式」といいます。つまり、プラットフォーム運営事業者は、あくまでも取引の仲介のみを行う立場にあり、消費税の納税義務は本来サプライヤーにあるのです。

しかし、このセールスエージェント方式では、日本への消費税の申告と納付を行わない海外のサプライヤーも少なくないのが現状です。消費税が適切に申告されていない原因の 1 つには、日本国内に拠点のない海外のサプライヤーでも、日本に向けたデジタルサービスを提供することが可能であることが挙げられます。そのため、これらのサプライヤーが、日本の消費者にデジタルサービスを提供した場合、どのように消費税を徴収するかが税務当局の課題でした。

そこで、こうした課題を解決するにあたり、海外のサプライヤーに代わってプラットフォーム運営事業者によって消費税を回収させることで、プラットフォーム運営事業者に納税義務を課すプラットフォーム課税が導入されることとなったのです。

日本の消費税納付に関する理解不足

プラットフォーム上では、世界中の多くの事業者が国を越えたデジタルサービスを展開しています。自国に留まらず、国内という限られた市場を越えた取引には、ビジネス拡大の可能性を秘めています。しかし、プラットフォーム上のデジタルサービスにかかる日本の消費税の納付については、海外のサプライヤーの間ではまだまだ浸透していません。

前述したセールスエージェント方式において、事業者と異なる国に居住する消費者がデジタルサービスを購入、利用する場合など、事業者の属する国以外で収益が発生し、その国で納めるべき税金が収められていなかったりと、税金に対する理解不足が引き起こす未納の問題は、これまでも重要視されてきました。

日本の消費税の場合、消費税未納の国外事業者については、意図的に納付をしていない事業者もいれば、日本の税制度を十分に理解していない事業者もいます。こうした事業者に対しては、本来、税務署による調査のもとで税金の徴収が行われるはずではあるものの、すべての未納税者を把握したうえで税金を回収するにも限りがあります。

しかし、日本でプラットフォーム課税制度が導入されることで、これまで徴収が難しかった消費税について、今後はより公平かつ適切に徴収ができるようになると期待されています。

プラットフォーム課税の適用対象企業と適用時期

プラットフォーム課税は、海外のサプライヤーが「特定プラットフォーム事業者」を介して、日本の一般消費者 (事業者を除く) にデジタルサービス (電気通信利用役務) の提供を行っている場合に適用対象となります。言い換えると、日本国内のサプライヤーによる取引や、「特定プラットフォーム事業者」を介していない取引、B2B 決済や取引は対象外です。そのため、プラットフォームを介したすべての取引が対象となるわけではないことを覚えておきましょう。特定プラットフォーム事業者の詳細については、次に詳しくご紹介します。

また、プラットフォーム課税が適用されるプラットフォームの具体例としては、任天堂の Nintendo eShop (ニンテンドーイーショップ)、アップルの App Store (アップストア) 、グーグルの Google Play (グーグルプレイ) が挙げられます。これらのプラットフォームは、日本に拠点のない海外の事業者が日本国内で、日本の一般消費者向けにアプリを配信する際に利用されています。

特定プラットフォーム事業者

特定プラットフォーム事業者とは、国税庁長官の指定を受けた事業者を意味します。特定プラットフォーム事業者の具体的な要件は、プラットフォーム運営事業者の課税期間において「電気通信利用役務の提供にかかる対価の合計額が 50 億円を超える」場合に指定されます。なお、事業者がこの特定プラットフォームの要件を満たしている場合、その課税期間の確定申告書の提出期限までに、指定届出書を所轄の税務署長を経由して国税庁長官に提出する必要があります。

国税庁が公表している特定プラットフォーム事業者

上述したように、特定プラットフォーム事業者は、国税庁長官の指定を受けた事業者を指します。同庁より公表された特定プラットフォーム事業者名簿によると、2024 年 12 月 6 日付で指定された特定プラットフォーム事業者は以下のとおりです。

  • iTunes 株式会社
  • アマゾンウェブサービスジャパン合同会社
  • グーグル アジア パシフィック プライベート リミテッド
  • 任天堂株式会社

プラットフォーム課税への適用はいつから始まる?

プラットフォーム課税の適用時期は、2024 年度の税制改正で定められているように、2025 年 4 月 1 日以後に行われる電気通信利用役務の提供を対象に、特定プラットフォーム事業者への適用が開始されます。

したがって、今後は、特定プラットフォーム運営事業者として指名された事業者については、国内事業者か国外事業者であるかにかかわらず、当該役務提供を行う事業者として消費税の申告と納税が求められます。

プラットフォーム課税を正しく理解することが大切

今回はプラットフォーム課税の仕組みや、導入の背景、適用対象企業などについて解説しました。プラットフォーム課税は、すべての事業者に直接的な影響を与えるものではありませんが、デジタルサービスに関するプラットフォームビジネスを展開している事業者の方にとっては、理解しておくべき税制といえるでしょう。

また、プラットフォーム課税は、日本以外のさまざまな国でも既に導入されています。そのため、プラットフォームビジネスを検討中の方は、各国のプラットフォーム課税についてもしっかりと理解を深めておくようにしましょう。

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この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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