ワンストップショップ (OSS): ドイツの企業が知っておくべきこと

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  1. はじめに
  2. ワンストップショップとは
    1. ViDA について
  3. ワンストップショップ参加のために満たすべき要件
    1. 配送しきい値
  4. ワンストップショップを利用できないケース
    1. 小規模起業家規定を使う場合
    2. 差額課税の恩恵を受ける場合
    3. 販売先の EU 加盟国に倉庫がある場合
  5. ワンストップショップの仕組み
    1. OSS に登録する
    2. 国境を越えた販売を文書化する
    3. OSS 納税申告書を作成する
    4. 税金を支払う
  6. ワンストップショップの今後について
  7. ワンストップショップのメリット
    1. 企業にとってのメリット
    2. 税務当局にとってのメリット

2021 年 7 月にワンストップショップ (OSS) が設立されて以来、EU における国境を越えた B2C 販売の付加価値税 (VAT) の処理が大幅にシンプルになりました。最近 EU 理事会は、将来的に OSS システムを拡大すると決定しました。この記事では、ワンストップショップの仕組み、どのビジネスが使用できるか、どのような条件で使用できるかなどについて詳しくお話します。また、今後 OSS に適用される新しいルールについても説明します。

この記事の内容

  • ワンストップショップとは
  • ワンストップショップ参加のために満たすべき要件
  • ワンストップショップを利用できないケース
  • ワンストップショップの仕組み
  • ワンストップショップの今後について
  • ワンストップショップのメリット

ワンストップショップとは

EU 税法では、ワンストップショップ (OSS) とは、国境を越えた E コマースVAT を処理するためのシステムを指します。特定の条件下で、企業は各国で個別に登録するのではなく、一元型オンラインポータルを介して売上を報告できます。オンライン小売業者が OSS に参加するかどうかは任意ですが、特に複数の EU 加盟国に商品やサービスを販売している小売業者には推奨されています。

OSS は、以前の Mini One Stop Shop (MOSS) システムの改良版として 2021 年 4 月 1 日に初めて導入されました。OSS は、「デジタル時代の VAT 」または ViDA パッケージと総称される措置の一環でした。ViDA は 2027 年に、現在の OSS 規制を拡大する予定です。

ViDA について

デジタル時代のVAT (ViDA) は、既存の欧州 VAT システムの近代化を目的とする EU 委員会のイニシアチブです。欧州委員会は、2024 年 11 月にこの措置パッケージを採択しました。ViDA は、既存の付加価値税指令に基づいて、デジタル報告義務とプラットフォームエコノミーに関する新しい規定を導入し、OSS システムを拡張しました。

ワンストップショップ参加のために満たすべき要件

EU 内の企業は、以下の要件を 1 つ以上満たす場合に、自発的に OSS に参加できます。

  • 他の EU 加盟国の顧客 (個人) に商品またはサービスを供給している。 ビジネスは、販売先の加盟国に倉庫を所有できないことに注意してください。
  • EU に設立されていない課税対象事業体による加盟国内での商品供給をサポートする電子インターフェイスを提供している。 この場合、EU の税務当局は、EU 内のインターフェイスプロバイダーが商品を供給したとみなします。

配送しきい値

2021 年 7 月以降、EU のオンライン小売業者は配送しきい値を遵守する必要がありました。ビジネスの売上高が暦年あたり純額 10,000 ユーロ未満の場合、原産国で売上税が課税されます。このしきい値を超えると、商品やサービスの配送先の国で売上税を支払う必要があります。後者の場合、ビジネスは配送先の国ごとに該当する VAT を登録して支払うか、ワンストップショップに 1 回登録して 1 か所で VAT を支払います。

EU に拠点を置いていないビジネスも OSS を利用できます。ただし、そのビジネスが個人に域内配送を行うために、EU 内に倉庫を有していることが前提条件です。

ワンストップショップを利用できないケース

他のビジネスに販売する場合
商品やサービスを他のビジネスにのみ販売するビジネスは、OSS から除外されます。OSS は、個人 (B2C など) に販売するビジネスのみを対象としています。

小規模起業家規定を使う場合

VAT 法 (UStG) 第 19 条に基づく小規模事業者規則を利用する企業も、OSS の対象外となります。小規模起業家ルールを適用するための前提条件は、前年の年間売上高が 22,000 ユーロ未満で、今年の予想売上高が 50,000 ユーロ未満であることです。対象となるビジネスは VAT が免除されるため、OSS は必要ありません。

差額課税の恩恵を受ける場合

OSS は、差額課税の恩恵を受ける企業は利用できません。たとえば、使用済み商品を再販するために個人から商品を購入するオンライン小売業者は、税務当局から販売価格の全額に対しては VAT を請求されません。代わりに特別な規制により、EU 加盟国は、購入価格と販売価格の差額に対してのみ VAT を請求します。この差額課税の額を、OSS を通じて支払うことはできません。

同様に、物品税がかかる商品は OSS の対象から外れます。具体的は、コーヒー、アルコール、タバコなどが挙げられます。

販売先の EU 加盟国に倉庫がある場合

また OSS は、倉庫がある EU 加盟国に商品を配送する場合には利用できません。このケースでは、国境を越えた配送は行われず、現地で配送が行われるからです。

ワンストップショップの仕組み

OSS を利用したいビジネスは、わずか数ステップで手続きできます。

OSS に登録する

各 EU 加盟国には、独自のバージョンの OSS があります。したがって、登録は売り手の母国の電子ポータルを介して行うことが重要です。たとえば、ドイツの企業は、連邦中央税務局 (BZSt) のオンラインポータルから OSS に登録します。登録には VAT 識別番号が必要で、最初の課税対象取引の前、遅くとも前四半期末までに登録を完了する必要があります。

国境を越えた販売を文書化する

企業は、OSS に関連するすべての取引を正確に文書化する必要があります。特に重要な情報としては、個々の売上額、商品・サービスの販売先であるそれぞれの国、適用される税率、計算された VAT が挙げられます。

Stripe Tax は、VAT の処理に役立ちます。世界各国における支払いの税金を徴収し申告できます。Stripe Tax は正しい税額を自動的に計算します。たとえば、企業が配送しきい値を超えているかどうかを迅速に判断できます。また関連するすべての税務書類にアクセスできるため、迅速かつ簡単に税金の還付を申請できます。

OSS 納税申告書を作成する

OSS を利用するビジネスは、四半期ごとの納税申告書で、記録された国境を越えた売上を報告する義務があります。情報はユーロで入力し、四半期最終日の欧州中央銀行の為替レートに基づいて計算する必要があります。

課税査定期間の翌月末までに、納税申告書を提出するよう義務付けられています。各四半期の提出期限は、4 月 30 日、7 月 31 日、10 月 31 日、翌年 1 月 31 日です。当該四半期に国境を越えた販売を行っていない場合でも、OSS 納税申告書は提出しなければなりません。この場合は、「ゼロ宣言」と呼ばれるものを提出します。

自国で発生した売上については、別途納税申告書を作成する必要があります。

税金を支払う

未払いの VAT 額を、トリーアの連邦財務省に送金する必要があります。その後、ドイツ税務当局は、個々の VAT 金額をそれぞれの対象国 (つまり、販売先の国) に転送します。
売上データを保管する

企業は、OSS に帰属するすべての販売データを 10 年間保存する必要があります。また要求があった場合は、関連書類を税務当局に提供しなければなりません。

How the OSS works - Steps for using the OSS: register in the OSS, document cross-border sales, prepare the OSS tax return, pay taxes, and store sales data.

ワンストップショップの今後について

将来的には、ViDA の施行により OSS が拡張される予定です。これは、さらに多くの企業がそれぞれの国とその言語の単一オンラインポータルを使用して、国境を越えた B2C 配送の VAT を申告できるようにすることを目的としています。

この拡大には、船、航空機、または列車で商品を販売するビジネスと、設置や組み立てが必要な商品およびガスと電気を販売するビジネスが含まれます。また 2028 年 7 月以降は、OSS を介して EU 内の倉庫移動 (ある EU 加盟国の倉庫から他の加盟国の倉庫への商品の移動) も報告するようになると思われます。

将来的には ViDA は、第三国の企業が販売先の国に倉庫を持っている場合、ワンストップショップを介して取引を処理できるようにすることを目指しています。たとえば、EU 域外の企業がドイツの倉庫からドイツの個人に商品を販売する場合、その企業は OSS を使用できる、とういようにです。また、2027 年 1 月からは、第三国の企業が OSS を通じて EU 域内の課税対象サービスを報告することも可能になります。これは、EU 域外の顧客に提供するサービスが EU 域内の課税対象である場合に限り適用されます。

将来的には、売り手は、VAT 申告期限前に行う限り、OSS 納税申告書をすぐに修正できるようになります。現在は、次回の申告で修正を行う必要があります。しかし、ViDA により欧州委員会は、申告の期限前までは OSS レポートを修正できると決定しました。

ワンストップショップのメリット

OSS は、企業と税務当局の両方に多くのメリットをもたらします。ここでは、最も重要なものを説明します。

企業にとってのメリット

  • 一元登録: オンライン小売業者は、課税対象の売上がある国ごとに VAT を登録する代わりに、OSS に一度登録するだけで済みます。

  • 統一納税申告書: 複数の申告書ではなく、OSS ポータルを介した四半期ごとの単一の納税申告書だけで、EU 内のすべての国境を越えた B2C 販売がカバーされます。そのため、EU 加盟国ごとに売上税を個別に申告する必要がなくなります。

  • 納税を効率化: 複数の支払いを行う代わりに、企業は自国の税務当局にまとめて税金を支払います。当局がそれぞれの金額を対象国に分配します。

  • 時間とコストを節約: 複数のプラットフォームを使用する代わりに、VAT を処理するための単一の一元型ウェブサイトを使用するため、会計が容易になり、時間を節約できます。小売業者もお金を節約できます。たとえば、VAT 申告の複雑さが軽減されるため、税務コンサルタントを雇わずに済むようになります。

  • 法令遵守がシンプルに: 複雑な規制や手続きではなく、OSS の分かりやすいルールと標準化されたプロセスに従うことで、すべての EU 諸国の税法に簡単に準拠できます。これにより、税金関連の罰則や罰金のリスクも低下します。

税務当局にとってのメリット

  • 徴税がより効率的に: 各国の税務当局は、売り手の国の登録機関を通じて、国境を越えた販売から税金を一元的に受け取ります。これにより、国税当局の事務負担が軽減されます。

  • 標準化および透明性: OSS では手続きが統一され報告義務が明確であるため、税務処理の透明性が高まります。税務当局は、すべてのデータを一元的に記録し、迅速に分析できます。

  • 税収が増加: また OSS は、税務当局が企業のキャッシュフローをよりよく把握できるため、脱税がより困難になります。このように透明性を向上させることが、詐欺の件数を減らし、税収を増やすのに役立ちます。

  • 加盟国間での調整: EU 加盟国の税務当局間が情報を交換することで、国際協力が改善されます。これにより、管理上の負担が軽減され、関係するすべての当局の監査が効率的になります。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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