埋込型金融サービスとサービスとしてのバンキング (BaaS): 区別がつきにくいこれらのモデルを比較する方法

  1. はじめに
  2. 埋込型金融サービスとは?
  3. サービスとしてのバンキング (BaaS) とは
  4. 埋込型金融サービスとサービスとしてのバンキングの違い
    1. 埋込型金融サービス
    2. サービスとしてのバンキング
    3. 規制に関する考慮事項
    4. データと分析
    5. ターゲット市場

2023 年の時点で世界のフィンテック市場の評価額は約 2,270 億ドルで、2032 年までに 9,170 億ドル以上に成長する見込みです。金融テクノロジーが進化するにつれて、企業や顧客はさまざまな方法で金融サービスを提供したり、利用したりしています。この変化をまさに体現している 2 つのビジネスモデルが、埋込型金融サービスとサービスとしてのバンキング (BaaS) です。埋込型金融サービスは、2026 年までにアメリカ国内だけで金融取引額が総計 7 兆ドルに達すると予想されています。

埋込型金融サービスやサービスとしてのバンキング (BaaS) では、従来の金融機関における仲介機能が必要ありません。これらは、人々がお金を扱う方法や、その扱い方に関与する事業のタイプを再定義しています。しかし、埋込型金融サービスと BaaS モデルは、手法、技術的な実装、ターゲット市場が異なります。以下では、それらの技術的な相違点について説明し、企業がこれらのモデルを使用して顧客や他の事業のために幅広い金融サービスを提供しているかを示します。

この記事の内容

  • 埋込型金融サービスとは?
  • サービスとしてのバンキング (BaaS) とは
  • 埋込型金融サービスとサービスとしてのバンキングの違い

埋込型金融サービスとは?

埋込型金融サービスは、金融業界以外のプラットフォームに統合された金融サービステクノロジーです。これらのプラットフォームは、アプリケーションプログラミングインターフェイス (API) を利用して、支払い、ローン、保険などのサービスを提供することができます。これにより、金融取引を顧客体験の一部に組み込みます。

サービスとしてのバンキング (BaaS) とは

サービスとしてのバンキング (BaaS) は、金融機関がコアバンキング機能へのアクセスを API を介して提供するモデルです。これにより、第三者ビジネスが銀行という形態をとらずに、自身の金融商品を構築することができます。API を使用することで、これらの事業者は支払い、口座管理、貸付やリスク評価などのより複雑な機能を含む幅広いサービスを作成し、展開することができます。BaaS は、カスタマイズ可能なモジュール式の銀行体験への移行を促進し、金融サービスの提供方法および利用方法に直接影響を与えています。

埋込型金融サービスとサービスとしてのバンキングの違い

埋込型金融サービスと BaaS モデルの運用方法は異なりますが、両者とも従来の金融システムの破壊を加速させています。両者はサービスを提供するために API に依存していますが、その目的、対象とする顧客、金融取引に対する全体的な影響は異なります。ここでは、両者の違いと類似点について簡単に説明します。

埋込型金融サービス

埋込型金融サービスでは、異なる分野を対象とするプラットフォームに金融サービスを組み込んでいます。埋込型金融サービスは、小売業、旅行予約、ソーシャルメディアであれ、これらのプラットフォームが支払い、ローン、保険などの銀行機能を追加できるようにします。この統合により、そのプラットフォームの顧客は使い慣れたプラットフォームを離れることなく、金融取引を行うことができます。たとえば、ライドシェアアプリで、顧客に対して旅行のためのローンを提供し、同じアプリでリンクされた口座からそのローンを直接引き落とすことができます。

サービスとしてのバンキング

BaaS は、API を介してモジュール式の金融機能のメニューを企業に提供することで、その企業が金融サービスを簡単に構築できるように支援します。これは、銀行業務のアラカルトと言えます。つまり、第三者がどの銀行機能をそのプラットフォームに統合するかを自由に選択できます。これは、特に本格的な銀行インフラを構築せずに、短時間で立ち上げたいと思っているフィンテックのスタートアップにとって有利です。たとえば、あるフィンテック事業は、BaaS を利用して、顧客に口座の作成、送金、株式市場への投資などの機能を提供できました。これは、パートナー銀行が提供する API を介して行っています。

規制に関する考慮事項

これらの 2 つのビジネスモデルでは、規制に関する考慮事項に対して、異なる方法で取り組んでいます。埋込型金融サービスを実装する企業は、多くの場合、主要なプラットフォームに金融規制に関する専門知識が欠けているため、金融機関と提携し、コンプライアンスの責任の一部を担ってもらいます。一方、BaaS は通常、フィンテック事業を営む企業がある程度銀行のような機能を果たすため、その企業と顧客との間で、より直接的な関係を築けるようにします。その結果、BaaS を提供する企業は、より多くの面で規制監督を受け、ライセンス要件、報告義務、社内コンプライアンス担当者の要件により多く従う必要があります。

データと分析

埋込型金融サービスと BaaS は、分析のために異なるタイプのデータを提供しています。埋込型金融サービスは通常、特定の活動やセクター (小売業や運輸サービスなど) の顧客動向に関するインサイトをもたらします。企業はこのデータを活用して、そのコンテキスト内での金融商品の提供を向上させていくことができます。BaaS は、独立した金融サービスに焦点を当てているため、より一般的な金融データを生成します。このデータにも大きな価値がありますが、埋込型金融サービスが提供するような特定のコンテキストに関するインサイトは欠けています。

ターゲット市場

どちらのモデルも現行の市場が提供できていない分野でサービスを提供しようとしていますが、それぞれが異なる顧客のニーズと好みに合わせて微調整しています。以下に、各モデルが主にターゲットとする顧客の種類について概要を示します。

埋込型金融サービス

  • 一般の顧客: 顧客重視のプラットフォームの利用者、とりわけ、多様なニーズに対応するワンストップショップのエクスペリエンスを重視する人々が、このカテゴリに分類されます。
  • ギグワーカー: この利用者は、作業プラットフォームに即時決済ソリューションを組み込んでおり、もう 1 つの重要な顧客グループを形成しています。
  • 小規模企業のオーナー: 埋込型金融サービスによって、小規模企業 のオーナーのニーズが満たされています。これには、オンラインショップを経営し、統合された決済および融資ソリューションを必要としている個人事業主などが含まれます。

サービスとしてのバンキング

  • フィンテック愛好家: BaaS は、チャレンジャーバンクやロボアドバイザーなどの新しい金融商品をいち早く試そうとするユーザーに人気があります。
  • 中小企業: 1 つの銀行に縛られることなく、モジュール式の金融ソリューションを求める事業者は、BaaS に適している可能性があります。
  • 非銀行利用者層: BaaS は利用要件が低く、非銀行利用者層が従来の金融サービスよりも簡単に利用できる可能性があります。

埋込型金融サービスのモデルは、より広範な顧客層をターゲットとしており、利便性と機能豊富なエクスペリエンスに焦点を当てています。BaaS は、より特殊なユーザーをターゲットとしており、従来の銀行オプションに不満を抱えている人、モジュール式のソリューションを必要としている人、従来の金融システムを利用していない人などが含まれます。

埋込型金融サービスでは、金融以外のプラットフォームを拡張して金融サービスの機能を含める手法を取りますが、一方で BaaS は、事業者が迅速に独立した金融サービスを提供することを可能にしています。両者とも、サービスの提供方法、サービスの対象となる顧客層、顧客が金融サービスを利用する方法などで、新たな形を積極的に提案しながら、今後の金融業界において重要な役割を担っていくでしょう。

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