チャレンジ
バックパックやスーツケースなど、さまざまな手荷物を世界中の顧客に販売しているサムソナイト。サムソナイトの日本法人は、顧客との結びつきを強化するため、CRMの改善や一部業務の内製化を進め、DTC ビジネスモデルの追求に取り組んできました。その一環として、3D セキュア 2.0 を導入しました。
「3D セキュア 2.0 は購入完了率を下げる可能性があると聞いていましたが、当社のブランドと顧客を不正利用対策から守るためには必要不可欠なトレードオフだと考えました。当社の決済サービスも、すべての取引に 3D セキュア 2.0 を使用することを推奨していましたので、採用に当たっては何も疑問はありませんでした」とサムソナイト・ジャパンのEコマースマネージャー、友田由紀子氏は述べています。
サムソナイト・ジャパンでは、3D セキュア 2.0 を導入して 2 ~ 3 カ月が経った頃、支払い失敗が急増し、購入が困難になった顧客からの照会が数件寄せられました。サムソナイトのチームは、この件についてさらに調査したかったのですが、営業担当者を通じてしか調査できず、状況を完全に把握するまでに長い時間がかかりました。
「購入完了率が大幅に低下したため、早急に対応する必要がありました。3Dセキュア2.0の導入を改善するため、決済サービスに Stripe を採用することにしました」と友田氏は述べています。
ソリューション
Stripeを採用して以来、最も大きな変化は、支払いステータスをリアルタイムで可視化するダッシュボードの導入です。これにより、決済の失敗やその原因、3D セキュア 2.0 で認証した取引のチャージバックなど、詳細な分析が可能になりました。これは、企業での対応が難しいとされている分野です。
Stripe Radarは、数百万件のグローバル取引で学習した AI モデルを使用して不正利用をブロックするアドバンス不正検知システムです。Radar のカスタマイズ可能なルールにより、リスクの高い支払いに対して選択的に 3D セキュア 2.0 を適用することができます。
「そもそも、私たちはあまり知識がありませんでした。正直なところ、設定が柔軟でカスタマイズ可能だと言われても、どうすればいいのかわからなかったでしょう。でも、Stripe の有料サポートチームが、すべてのステップを丁寧に教えてくれました。ダッシュボードの見方からルールの設定に至るまで、すべてにおいて詳細なアドバイスを提供してくれました。彼らの対応のおかげで、適切なルールを導入することができ、本番稼動後の運用負担はほとんどありませんでした」と友田氏は述べています。
成果
Stripe を採用したところ、支払いの成功率は 98% に上昇しました。サムソナイトでは、不正支払いが増加することなく、ブラックフライデーの繁忙期を乗り切ることができました。Stripe の Adaptive Acceptance 機能は、失敗した支払いを再試行し、各カード発行会社に何度かトライすることで、決済成功率を向上させます。
カスタマーサポートチームがダッシュボードにリアルタイムでアクセスできるようにしたことで、サムソナイトでは支払いに関する照会が平均 15 ~ 30 分で解決するようになり、顧客体験が向上しました。
「以前は照会があってから確認していました。今は、不審な支払いを事前に調査することで、照会に迅速に対応できるようになりました」と友田氏は述べています。
サムソナイトでは従来、日本国内で発行されたクレジットカードしか使えませんでしたが、現在はデビットカードや海外のクレジットカードも使えるようになりました。その結果、海外からの注文が増え、売上の 5 %弱を海外発行のクレジットカードが占めるようになりました。日本国外で発行されたクレジットカードの決済を受け付けることで、サムソナイトは広告宣伝費などを増やすよりも効率的に売上を獲得できるようになりました。また、海外カード保有者の特徴的な傾向も把握できるようになりました。
「データの可視化のおかげで、次に何をすべきかを判断するのに役立つ見識を得ることができます」と友田氏は述べています。
3D セキュア 2.0 は購入完了率を下げると言われていますが、さまざまなアプローチや対策があることを知っておいてください。