オランダでビジネスを行う場合、商工会議所 (KVK) 番号、付加価値税 (VAT) 番号、RSIN など、複数の公式番号を追跡する必要があります。ほとんどの創業者、CFO、コンプライアンスチームは、ビジネスのために何かを提出したり、法人を確認したり、金融サービスを使い始めたりするまで、RSIN (オランダのシステムで特定の組織に割り当てられるコード) について把握していません。しかし、RSIN は、舞台裏ですべてを静かにつなぐ重要な情報です。

以下では、RSIN とは何か、誰が RSIN を必要とするのか、オランダのシステム間でどのように機能するか、なぜそれが非常に重要なのかを説明します。

この記事の内容

• RSIN とは
  
• RSIN を取得する必要があるケース
  
• RSIN の割り当て方法
  
• オランダのビジネスで RSIN が使用される場面
  
• RSIN は一般公開情報か、機密情報か
  
• RSIN の誤用や誤報告のリスク
  

RSIN とは

RSIN は「Rechtspersonen en Samenwerkingsverbanden Informatienummer」の略で、法人およびパートナーシップ情報番号という意味です。このコードは、オランダのシステムに登録されると、特定の種類の組織に自動的に割り当てられます。

RSIN は日常業務では使用されません。RSIN とは、ビジネスを、税務当局、KVK、土地登記所などのオランダの政府システムを、データベース間でビジネスへとリンクさせる方法です。ビジネス名が変更されたり、複数のブランドで事業を展開したりという場合でも、RSIN により、納税記録、申告、登録、および規制開示を、正しいビジネスと確実に照合できる、という仕組みになっています。また、税務署は RSIN を使用して法人の VAT 税番号を生成します。ANBI (公益団体) ステータスの財団または非営利団体を運営している場合は、透明性を保つために RSIN または納税者番号をウェブサイトで公開する必要があります。

RSIN を取得する必要があるケース

ビジネスが RSIN を取得できるかどうかは、法的構造によって異なります。このシステムには、オランダの法律でビジネスがどのように定義されているかが反映されます。組織が次のいずれかのカテゴリに分類される場合、RSIN が割り当てられます。

• 法人: 非公開会社 (BV)、公開有限責任会社 (NV)、財団、協会、協同組合が含まれます。これらは創業者や取締役とは法的に区別されるため、それぞれに独自の RSIN が付与されます。

• 登録パートナーシップ: ジェネラルパートナーシップ (VOF)、リミテッドパートナーシップ (CV)、および専門パートナーシップが含まれます。BV や NV のような完全な法的アイデンティティはありませんが、それでも正式な事業体であり、政府のシステムで明確に識別する必要があります。

個人事業主の場合、RSIN は発行されません。オランダの法律では、事業主と事業の間に法的な分離がないため、税務および管理目的には市民サービス番号 (BSN) が使用されます。

RSIN の割り当て方法

RSIN を申請または要求する必要はありません。あなたのビジネスが対象である場合、RSIN は自動的に発行されます。KVK に新しい法人または正式なパートナーシップを登録すると、その登録プロセスの一環として RSIN が生成されます。これは、BV、NV、財団、協会、VOF や CV などの登録パートナーシップなどの構造に適用されます。

発行されると、RSIN が公式の KVK 抄本に表示されます。これは、名称、法的構造、登録住所など、法人の法的登録をまとめた公式文書です。KVK は、税務当局を含む他のオランダ政府機関と RSIN を共有しています。RSIN は、税務当局が VAT 番号と給与税番号を生成するために使用する基礎データです。

いったん割り当てられると、RSIN は変更されません。会社の名前を変更したり、取締役を変更したり、オフィスを移転したりしても、RSIN は同じままです。他の詳細が変更されても、法律、財務、規制システム全体であなたのビジネスを結び付ける、不変の ID です。日常業務でより目立つ KVK 番号や、クライアントに引用することもある VAT 番号とは異なり、RSIN はバックグラウンドで運用されますが、政府のインフラ全体でビジネスを一貫して把握するという機能があります。

オランダのビジネスで RSIN が使用される場面

RSIN は日常業務では使用しません。ここでは、それがどこに表示されるのか、なぜそれが重要なのかについて説明します。

税務管理

税務管理局 (Belastingdienst) は、すべての税金関連アクティビティの起点 ID として RSIN を使用します。ビジネスが VAT 番号、法人所得税の申告、給与税勘定 (スタッフを雇用している場合)、税務署からの連絡に、どのようにリンクされているかが示されます。

KVK 登録抄本

貴社の RSIN は、KVK 公式抄本に、その名称、法的構造、住所と共に記載されています。KVK は、アカウント登録、確認、コンプライアンスのワークフローで、特に銀行、決済サービスプロバイダー、クロスボーダーパートナーと連携する場合によく使用されます。

財務諸表と申告書類

RSIN は、年次決算書や規制当局への提出時にビジネスを識別するために使用されます。公開財務報告、商用データベース、および会社登記簿に表示されます。

慈善団体ステータス (ANBI)

ANBI ステータスを持つ慈善団体などの組織は、RSIN をウェブサイトで公開する必要があり、その番号は税務当局の公開 ANBI データベースでも検索できます。これにより、寄付者、税務当局、規制当局に透明性が生まれます。

RSIN は一般公開情報か、機密情報か

RSIN は、会社の KVK 抄本に表示されます。KVK は、会社の法的構造やその他の主要な詳細が記載された正式な登録書類です。誰でも少額の手数料で KVK からこの抄本を購入できます。したがって、RSIN はすぐに検索できるわけではありませんが、RSIN を調べたいと考えていて、手数料を支払っても構わないと思うならば、誰でも入手できます。

組織が ANBI ステータスの場合、オランダの透明性規則により、ウェブサイトで RSIN を公開する必要があります。また、税務当局がオンラインで公開している ANBI 登録簿にも表示されます。

RSIN の誤用や誤報告のリスク

他の公式 ID と同様に、RSIN は正確かつ一貫して報告される必要があり、そうしなければビジネスに大きな問題を引き起こす可能性があります。RSIN を誤用したり、誤って報告したりした場合のリスクは次のとおりです。

納税申告の誤りまたは不一致

RSIN は、VAT 番号や給与税アカウントなど、すべての納税者番号の起点となります。RSIN と税務当局に登録されている情報が一致しないと、申告の遅延、申告書の拒否、不要なコンプライアンス審査につながる可能性があります。

アカウント登録や第三者認証に関する問題

RSIN が KVK や政府データベースまたは法令遵守データベースの VAT の詳細と一致しない場合、事業用銀行口座の開設、Stripe アカウントの設定、その他の金融サービスの利用開始時に、遅延が発生する可能性があります。ID が一致しない場合、本人認証 (KYC) プロセスやマネーロンダリング防止 (AML) プロセスで警告が生じます。

ANBI ステータスの組織に対する規制上の問題

RSIN は、ANBI ステータスの慈善団体の公開義務の一部です。これらの組織の 1 つが、必要な RSIN の公開を怠ったり、誤った RSIN を公開したりすると、法令遵守違反のリスクが生じる可能性があります。その結果、寄付者の税控除と組織の法的ステータスが危うくなります。

監査の複雑さと法的リスク

規制当局と監査人は、RSIN を使用して、財務諸表、納税申告書、およびその他の開示を相互参照します。これらの文書に記載されている RSIN に一貫性がなかったり誤っていたりすると、監査が複雑になり、基礎となるデータが健全であっても、法令遵守違反とみなされる可能性があります。