一時的品目は、経常の収益や費用とは根本的に異なる会計の重要な部分です。この記事では、一時的品目とは何か、その主な特性を含めて説明し、その概念を説明するための実用的な例をご紹介します。

この記事の内容

• 一時的品目とは
  
• 一時的品目の基準
  
• 一時的品目の例
  
• 一時的品目のメリット
  
• 一時的品目の簿記での処理方法
  
• 一時的品目の正しい処理方法の例
  
• 一時的品目の処理の際に起こりがちなエラー
  

一時的品目とは

一時的品目は、企業が第三者に代わって受け取る金額、または第三者に転嫁する金額です。これらの品目は、会社自身の収益または費用とは見なされません。この資金は、後で正当な当事者に送金する一時的な金額を保持するための勘定である、消込勘定に入れます。一時的品目の典型的な例としては、得意先またはビジネスパートナに代わって行う出荷またはサービスのための前払金が挙げられます。また、これらの種類の支払いは会社自身の事業に帰せられないため、損益計算書に営業収入または費用として記載する必要がありません。

もう一つの一時的品目の例は、税務コンサルティング会社がクライアントに代わって支払う税金です。これらの金額は経済的にクライアントに帰せられるため、最初に別勘定に記録されます。後に、その額の請求書がクライアントに渡されます。

一時的品目の基準

資金が一時的品目と見なされるためには、次の条件を満たす必要があります。

• 第三者に代わり、または第三者の名義で行動する: 企業は仲介者 (代理人または受託者とも呼称) としてのみ行動し、資金に経済的利害関係がないことが必須です。

• 資金を利用しない: 会社が自由に利用することはできず、直接転嫁する必要があります。

• 別勘定が発生する: 資金は、会社の会計記録に一時的品目として記載されなければならず、会社の売上または営業費用に含めてはなりません。

• ラベル付けが明確である: 一時的品目は、税務上の問題を回避するため、会計記録で明確に識別できることが必須です。

一時的品目の例

一般的な一時的品目には、税金と関税、第三者の手数料、その他の外部費用が含まれます。以下は、これらの各カテゴリーの一般的な例です。

税金と関税

• 付加価値税勘定 (VAT): 企業が顧客から徴収し、税務署に転送します
  
• 自動車税: レンタカー会社がレンタカーを借りる際に顧客に代わって支払います
  

第三者の手数料と外部費用

• 裁判費用: 法律事務所が依頼者に代わって前払いします
  
• 配送料: 顧客が小売業者に支払い、小売業者が配送業者に払います
  
• ホテル代や航空券の料金: 旅行代理店が直接支払い、顧客に請求します
  
• 仕訳の手数料: 公証人役場が支払い、その手数料をクライアントに転嫁します
  

一時的品目のメリット

一時的品目には、会計法と税法の両方においていくつかメリットがあります。これは、営業利益または費用とは見なされないため、特別な扱いを受けるからです。ここでは、一時的品目の最も顕著なメリットをいくつか紹介します。

• 税負担の少なさ: 企業は、その資金が事業の成功に寄与しない限り、一時的品目として識別された資金に対して税金を支払いません。
  
• 第三者コストを効率的に処理し会計を明朗に: 企業が第三者に代わって支払う金額 (手数料、税金、送料など) を「一時的品目」として分類することで、企業はそれらの金額を効率的に処理できます。また対象の額は、会社の通常の収入と支出とは別に認識されるため、会計がクリーンで透明に保たれます。
  
• 資金計画を改善: 一時的品目は営業費用とは見なされないため、現金や営業利益などの会社の財務指標は変更されません。つまり、会社自身のものではない第三者の資金を含めませんので、貸借対照表が歪められることがありません。
  
• 顧客への請求が明確に:(請求書などで) 一時的品目を個別に報告することで、企業が明瞭さに務めていることが顧客ベースに伝わります。サービスにどのようなコストが発生しているかが分かり、企業が単に転嫁している金額が明確になります。
  

Stripe Invoicing は、迅速かつ正確に請求するのに役立ちます。請求書を数分で作成し、オンラインで顧客に送信できます。時間を節約し、物事を常に把握し、会計プロセスをスピードアップできます。

一時的品目の簿記での処理方法

一時的品目は営業利益に影響しないため、売上税の課税対象にはなりません。したがって、現金主義会計法 (EÜR) には影響しません。ただし、該当する仕訳が実際に一時的品目であることを、税務当局に証明する必要があります。

資金が一時的品目であることを証明するには、次の情報が重要です。

• 合計金額
  
• 受領日
  
• 送金日
  
• 目的
  
• 資金移動の使役主である個人または会社の名前と住所
  

貸借対照表上の一時的項目

資産と負債を正確に記録するには、一時的品目を別の勘定に記録する必要があります。貸借対照表自体では、一時項目は資産側と負債側の両方で同じ金額で表示されます。一意の識別子を使用すると、誤分類を回避できます。さらに、貸借対照表日に未払いの金額がある場合は、貸借対照表に売掛金を記録する必要があります。そうすることで、時期尚早な利益認識を防ぐことができます。

一時的品目の正しい処理方法の例

一時的品目の適切な処理を説明するために、実際の例を見てみましょう。

シナリオ

この例では、あるオンライン小売業者が顧客に製品を販売します。オンライン小売業者は顧客へと配送を行うために運送会社を雇い、小売業者は配送料の請求書を受け取ります。その後、オンライン小売業者は、顧客に代わって支払わなければならなかった配送料を顧客に請求します。

この場合、送料が一時的品目であるのはなぜでしょう？

• 直接的な売上ではない: オンライン小売業者は、配送サービスを直接提供したわけではなく、送料を顧客に転嫁しています。単に、顧客と運送会社の間を仲介しただけです。
  
• 第三者に請求: 送料は、オンライン小売業者宛てに請求されます。ただし、実際の債務者 (つまり、お金を借りている当事者) は顧客です。
  
• 転嫁が明白: 送料はすぐに全額顧客に転嫁されます。送金でオンライン小売業者が利益を得ることはありません。
  

会計処理

この一時的品目の会計処理は、次のようになります。

• 別勘定: オンライン小売業者は、送料用に別の消込勘定を設定する必要があります。
  
• 予約:
  
  • 消込勘定の借方: 船会社に送料を支払う場合、消込勘定に借方計上されます。
    
  • 顧客口座への引き落とし: その後、送料の金額は顧客の口座に請求されます。
    
• 付加価値税: オンライン販売が VAT の対象となる場合、配送料に含まれる VAT は仕入税として請求できます。Stripe Tax を使用すると、企業は国内取引と国際取引の両方で税金を把握できます。Tax では、すべての納税義務を完全に把握でき、納税申告などの重要な作業に役立ちます。
  

貸借対照表での認識

このシナリオの送料は一時的品目と見なされるため、オンライン小売業者の貸借対照表に直接影響することはありません。なぜなら一時的品目は、貸借対照表の両側、つまり資産と負債に同額で表示され、事実上互いに相殺されるからです。

一時的品目の処理の際に起こりがちなエラー

報告が不正確

一時的品目に関連するよくあるエラーは、会計で発生します。資金が営業利益または営業費用として、誤って報告されるといったケースです。これにより、会社の利益や収益が歪められ、誤った税額計算につながる可能性があります。

区別が不適切

また、一時的品目と経常的な収入や費用の区別がついていない、というエラーもあります。会計処理が難しくなり、社内外の混乱を招きかねません。

割り当ての誤り

割り当てが誤っているのも、よくある間違いです。この状況では、会社自体が金銭的に利益を得ているにもかかわらず、資金は一時的品目として扱われます (利幅のある送料など)。このようなエラーは、監査中に追加の請求や罰則につながる可能性があります。

領収書の紛失

裏付けとなる領収書がなかったり、不足していたりすることで、問題が発生する場合もあります。領収書がないと、企業は単に仲介者としての行為であったことを証明できず、監査中に問題になります。

VAT の計算が正しくない

また、VAT の計算が間違っていることもよくあります。一時的品目は税に関連せず、税金を誤って適用すると、不要な税金の支払いや請求書の誤った情報につながる場合があります。

顧客に対する透明性が低い

同様に問題となるのは、一時的品目が顧客に対して個別に識別されず、通常のコストとして表示される場合です。これにより、追加料金が請求されているという印象を与える可能性があります。

法的根拠についての知識不足

さらには、第三者の名義で、または第三者に代わって業務を行う企業が、特定の法的原則を明確に理解していない場合に、資金を誤って一時的品目に分類してしまう可能性があります。

文書におけるずれ

忘れられた、または記録されなかった一時的品目も、企業への信頼を損ない、顧客や第三者からの法的請求につながる可能性があります。

資金を不適切に使用

深刻な結果をもたらす恐れがあるエラーは、一時的品目の不適切な使用です。これらの資金が内部目的で使用されると、適正会計の原則の違反にあたるため、法的結果につながる可能性があります。

期限に間に合わない

最後に、一時的品目の期限に間に合わないと、支払いの督促、支払い遅延に対する利息、または訴訟につながる可能性があります。