手順や入力欄が多すぎる決済は、顧客のカゴ落ちのきっかけとなります。決済を合理化することは、より高速でシンプルにし、購入の邪魔になる要素を取り除くことです。以下では、合理化とは具体的にどういうことか、よくある失敗例とその改善方法について説明します。
この記事の内容
- 一般的な決済の流れ
- 企業側ができる決済プロセスの合理化
- 複雑な決済のカゴ落ち率への影響
- 企業側が決済で取り除くべき主な煩わしさ
一般的な決済の流れ
サイトごとに設計は異なりますが、オンライン決済プロセスは基本的に馴染みのある以下のステップで構成されています:
カートの確認
配送先情報の入力
請求先情報の入力
希望する配送方法の選択
支払い情報の入力
注文内容の確認
注文の確定
企業側が冗長な入力欄、不必要なページ、動作の遅いユーザーインターフェース (UI) で決済フローに負担を感じさせると、顧客は離れてしまいます。
企業側ができる決済プロセスの合理化
決済を効率化するというのは、プロセスをできるだけ速く、迷わず進められるようにすることです。これにより、顧客がフラストレーションを感じたり、購入を再考する機会を減少させることができます。決済を効率化すると、購入までの迷いやストレスが無くなり、企業側にとっては購入成立の増加、カゴ落ちの減少といったメリットがあります。
ここでは、そのための方法を紹介します。
フォームの入力欄を減らす
多くの決済画面では、必要以上の情報を入力させています。2024年の調査では、決済フローで平均11.3の入力項目がある一方で、ほとんどの購入は8つの入力項目で完了できます。
フォームの入力欄を減らすための工夫には次のようなものがあります:
配送先住所を流用して請求先住所を自動入力する。
任意入力欄を折りたたみ、「さらに表示」で表示するようにする。
本当に必要でない限り、「会社名」や「電話番号」などの入力を排除する。
ステップをまとめる (例:すでに見た情報を「確認」画面で何度も表示しない)。
支払い方法に柔軟性を持たせる
支払い方法を1つに限定してしまうと、特にモバイル環境や国際市場でのカゴ落ちの原因になります。
コンバージョンを高く保つために:
世界的に使われているデジタルウォレットに対応する (Apple Pay や Google Pay など)。
後払い (BNPL) に対応する。
顧客の地域に応じた、現地で一般的な支払いオプションを提供する。
次回購入時に再利用できるよう支払情報を保存できるようにする。
Stripeを使えば、たった1回の連携作業で世界中で利用されている100以上の決済手段に対応できるため、企業側が個別に組み立てる必要はありません。
リピーター向けのワンクリック決済を実装する
スピードは重要です、特にリピーターはこれを重視します。ワンクリック決済オプションを実装することで、リピーターはフォームの入力を省略できるようになります。
Stripeの高速決済機能であるLinkのようなツールは、顧客情報を保存し、対応するすべてのサイトで高速決済を実現します。このように購入者情報を保存しておくことで、特にスマートフォンなどで同時並行で購入作業を行っているモバイル購入者の離脱を減少させることができます。
すべての入力欄の機能をスマートにする
入力欄の数を減らすことができなくても、デフォルト入力、オートコンプリート、リアルタイムの入力チェックなどを実装することで、決済スピードの体感を向上させることができます。
決済プロセスを高速化させるための工夫:
GoogleのPlace Autocomplete (または同様のサービス) を使用して住所入力を高速化する
ブラウザのオートフィルが機能するように入力欄の名前を適切に設定する
入力中のチェック機能を実装する
エラーがあった場合のメッセージを (「郵便番号が短すぎます」など) 具体的で分かりやすいものにする
こうしたちょっとしたユーザー体験 (UX) に対する気遣いが、「面倒な決済」と「スムーズな決済」の違いとなります。
想定外 (特に金額に関するもの) を排除する
税金、送料、またはその他の追加料金がプロセスの後半に突然表示されるような設計は、カゴ落ちの原因となります。
このようなことを避けるための工夫:
早い段階で推定送料と税金を表示する。
追加料金がある場合は、その理由を明確に表示する。
購入者が金額が変動する事象を制御できるようにする (例:注文確定前に配送速度や配送方法を選択できるようにする)。
こうした透明性が、購入が成立するかどうかの大きな分かれ目になります。
モバイル向けに設計し、速度を最適化する
モバイル決済には、レスポンシブデザイン以上のものが必要です。以下のような工夫を実装して小さな画面で並行作業しているような顧客もスムーズに操作できるように設計する必要があります:
大きく押しやすいボタン
最小限の入力
どの端末や画面でも読みやすいレイアウト
パフォーマンスも重要です。ページの読み込み速度に不安がある場合は、すでに最適化されているホスト型決済ソリューションを使用して重い処理を移管することをご検討ください。
例えば、Stripe Checkoutは最初からモバイル向けに最適化されており、住所の自動補完、リアルタイムのカードチェック、分かりやすいエラーメッセージなどの機能を備えていますが、ブランドに合わせたカスタマイズも可能です。
複雑な決済のカゴ落ち率への影響
決済に時間がかかる、分かりにくい、入力が多すぎると、顧客は離れます。2025年には、18%のアメリカの買い物客が決済に時間がかかる、または複雑すぎるという理由で購入を放棄しています。これは、すでにカートに商品を入れていた顧客のほぼ5人に1人が、手間がかかりすぎるために注文を途中でやめたことを意味します。
次のような状況に直面した場合、顧客は購入を途中でやめてしまう可能性があります:
ページ数が多すぎる
入力欄が多すぎる
強制的なアカウント作成
予期せぬコスト
モバイルで使いにくい
ページの読み込みが遅い
エラーメッセージが不明確、または操作が途中で止まってしまう
こうしたどれか一つの要素でも顧客側は購入をためらう理由になり、このためらいによってコンバージョンが取れなくなる可能性があります。決済プロセスが短くても、ページの読み込みが遅いと長く感じ、その時間が長いほど、購入を思いとどまるための考え直す時間を与えていることになります。1ステップ、1秒増えるごとに、収益の取りこぼしに繋がります。
カゴ落ち率は、デスクトップよりもモバイルでの方がさらに高いと言う結果が出ています。ノートパソコンではそれほど気にならないフォームも、スマートフォンではボタンが小さい、読み込みが遅いなど、使い勝手が非常に悪く感じることがあり、1つステップが多いだけでフラストレーションは指数関数的に増大します。
StripeのPayment Elementを使用している企業は、グローバルな支払い方法に対応した安全で埋め込み可能なUIコンポーネントで、平均して11.9%多くの売上を記録しています。より高速で直感的な決済画面にすることで、収益増加に直結する可能性があります。
企業側が決済で取り除くべき主な煩わしさ
決済が複雑だと、本来は回避できた小さな問題が重なり、そのままでは失敗してしまいます。以下によくある問題と、その対策を紹介します。
アカウント作成の強制
これは売上を逃す原因になりがちです。多くの顧客は、初めて購入する前に関係を結ぶことを望んでいません。
- ゲストで決済できるようにする。
-「ゲストとして購入」を分かりやすい場所に表示する。
- 購入後に任意でアカウントを作成できるようにする。
予期せぬ手数料
最終ステップで突然追加料金 (送料、手数料、税金など) が追加されていることを知ることは誰しも好みません。
早い段階で合計価格を表示する。
カート内、または郵便番号入力時に、推定送料と税金を表示する。
どうしても手数料が発生する場合、事前に理由と内容を明確にした情報を伝える。
長く複雑な決済フロー
決済に時間がかかったり分かりにくいと、顧客は途中で購入をやめてしまいます。その原因として、入力欄が多すぎる、進め方が分かりづらい、不要なステップなどがあります。
必須入力欄を最小限に抑える。
できるだけステップをまとめ、初期入力機能 (例えば、配送情報で請求情報を自動入力する) を使用する。
決済が複数ページにわたる場合は、進行状況を示すインジケーターを表示する。
決済オプションが限られている
顧客が使用したい支払い方法が無い場合、その時点で購入をやめてしまうかもしれません。
クレジットカード、デビットカード、デジタルウォレット、BNPL、地域特有の決済手段を含む複数の支払い方法を提供する。
支払情報を保存して次回購入時に使用して高速化できるようにする。
これを管理できる決済プラットフォームを使用する。
動作が遅いまたは不安定
決済ページの読み込みが遅かったり、送信中にエラーが発生すると、顧客を不安にさせる可能性があります。
決済ページのパフォーマンス (速度と稼働時間の両方) をしっかりと監視する。
ページが重くなる原因となるスクリプトやプラグインを取り除く。
さまざまなデバイスやブラウザで徹底したテストを行う。
こうした対応を自社で構築・維持するのが負担であれば、高速かつ高信頼性に最適化されたホスト型決済ソリューション (例:Stripe Checkout) の使用を検討してください。
信頼できることを示す要素の欠如
他の部分がしっかりしていても、決済が安全であるという確信を得られなければ、顧客にためらいが生じます。
HTTPSを使用し、それを明示する。
カートから決済完了までのブランディングを一貫させる。
小さくても鍵アイコン、コンプライアンスバッジ、「安全な決済」という言葉など見慣れた安心感のある印を表示する。
最後に表示される想定外
決済直前に、配送の遅延、商品の在庫切れ、厳しい返品ポリシーなどが表示されると、購入者の不安を煽り、購入を途中でやめてしまう可能性があります。
決済処理開始前に、配送のタイムラインと返品ポリシーを表示する。
郵便番号を入力したタイミングで、配達予定日をすぐに表示する。
決済ページの最終段階でアップセルの提案など、決済以外の情報を過度に表示しない。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。