EC サイトの成果を確認する際に、重要な指標のひとつがコンバージョン率 (CVR) です。CVR が高いほど、訪問したユーザーが実際の購入につながっていると考えられます。
一方で、実際に改善を進めるとなると「CVR の数値をどのように見ればよいのか」「CVR を上げるには何を改善すればよいのか」と迷う方もいるのではないでしょうか。
この記事では、CVR の意味や計算方法から、平均値の目安、日本の EC サイトで見直したい改善施策までわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- EC サイトの平均 CVR は、一般的に 1%〜3% 前後がひとつの目安とされていますが、商材や価格帯、流入経路、デバイス、既存顧客の割合などにより異なります。
- CVR が低くなる原因には、購入手続きがわかりにくいこと、希望する決済手段がないこと、送料や手数料が購入直前までわかりにくいこと、スマートフォンで購入しにくいことなどがあります。
- CVR を改善するには、商品ページの情報を充実させるほか、Web 広告や検索流入の質を高め、メルマガやリマーケティング、会員プログラムなどを活用することが有効です。
- 日本の EC では、クレジットカードだけでなく、コンビニ決済、銀行振込、後払い、QR コード決済など、ユーザーが使いやすい決済手段を用意することが大切です。
- CVR を改善するためには、アクセス解析ツールなどで現状の CVR や離脱ポイントを確認してから影響の大きい施策から実施し、その後も継続的に効果を検証することが求められます。
EC サイトにおける CVR とは
CVR とは、EC サイトに訪問した顧客のうち、どれくらいの割合が成果 (コンバージョン) につながったかを表す指標です。
EC サイトでのコンバージョンの定義は、何を持って成果達成とするかにより違ってきます。商品を販売している BtoC サイトであれば、商品が売れたことをコンバージョンとすることが多いでしょう。法人向け (BtoB) であれば、資料請求が行われたことをコンバージョンとするなど、目的や業種によりさまざまです。
いずれの場合にも CVR が高いほど、Web サイトは効率的に運営されていると見ることができ、自社 EC サイトや特定ページを客観的に見ることができる重要な指標として広く利用されています。
CVR の計算方法
CVR は、以下の計算式で求めることができます。
CVR = CV 数 ÷ セッション数またはユニークユーザー数 x 100
たとえば、10,000 人が EC サイトを訪問し、そのうちの 300 人が商品を購入した場合の CVR は次のように計算できます。
CVR = 300 ÷ 10,000 x 100 = 3%
セッション数とは、Web サイトへの訪問回数、ユニークユーザー数とは、Web サイトを訪問した人数を表しています。セッション数は同じユーザーが Web サイトを 5 回訪れた場合は、「5」としてカウントされます。ユニークユーザー数の方は同一ユーザーが繰り返し Web サイトを訪れてもカウントは「1」になります。
CVR を求める際には、セッション数かユニークユーザー数のどちらを母数に使うかをあらかじめ決めるようにしましょう。
EC サイトの平均 CVR
EC サイトの CVR は、一般的に 1%〜 3% 前後がひとつの目安とされています。ただし、CVR は業種、商材、価格帯や、ユーザーが新規顧客か既存顧客かによっても異なります。
EC サイトでは、日用品や食品のような比較的安価で購入頻度が高い商品は CVR が高くなりやすい傾向があります。一方で、高額商品や比較検討が必要な商品は CVR が低くなりがちです。また広告経由の新規ユーザーと、メールマガジンやリピート購入するユーザーでは購入意欲にも差があります。
そのため、CVR の平均値はあくまでも参考程度にとどめ、自社の事業形態や商材、ターゲット層、流入経路などを過去のデータを基に分析しながら、改善点を見つけていくことが求められます。
EC サイトの CVR が低くなる原因
EC サイトの CVR が低くなる原因はさまざまです。具体的にどのようなケースがあるか見ていきましょう。
購入手続きが複雑でわかりにくい
商品をカートに入れた後の購入手続きに時間がかかると、ユーザーは途中で離脱しやすくなります。
たとえば、入力項目やページ遷移が多い、会員登録が必須になっているといった場合、購入意欲があってもカゴ落ちにつながる可能性があります。また、エラーが発生した場合の適切な対応も重要です。たとえば、郵便番号のハイフンや電話番号の全角・半角など、入力形式の違いでエラーが出るにもかかわらず、エラーメッセージが「正しく入力してください」のように抽象的だと、ユーザーはどこを直せばよいかわからず、何度も同じ入力を繰り返すことになり、結局購入を諦めてしまうこともあるでしょう。
日本で利用されている決済手段に対応していない
ユーザーが利用したい決済手段に対応していない場合、購入直前で離脱される可能性が高まります。
総務省の令和 7 年通信利用動向調査報告書 (世帯編) によると、インターネットで商品等を購入した 15 歳以上の人が利用した決済方法は、クレジットカード払いが 79.9%と最も高く、ついで電子マネーによる支払いが 45.8%、コンビニ払いが 35.2% となっています。
このように、日本の EC サイトでは、クレジットカード決済が主要な決済方法である一方、QR コード決済、電子マネー、コンビニ決済、銀行振込、キャリア決済なども利用されています。ユーザーにより使いやすい決済方法は異なるため、自社の商材やターゲット層に合った決済手段を用意するようにしましょう。
送料が購入直前までわかりにくい
商品ページでは安く見えても、最後の決済画面で送料が追加されているとユーザーは「思ったより高い」と感じて離脱してしまうことがあります。商品価格だけでなく、送料や配送予定日などは早い段階で表示させることが大切です。
スマートフォンやタブレットで購入しにくい
日本ではスマートフォンの保有率が 9 割以上と高く、EC サイトでもスマホから商品を閲覧し、そのまま購入するユーザーも多くいます。モバイル端末で購入しにくい画面になっていると、CVR が下がる原因になり得ます。
EC サイトでは、レスポンシブ対応を行い、PC、スマートフォン、タブレットなど、さまざまなデバイスで購入しやすくすることが求められます。
決済画面やサイトの安全性に不安がある
ユーザーは、決済時にカード情報や個人情報を入力するため、決済画面の見た目が不自然だったり、セキュリティに関する説明が不足していたりすると、不安を感じて離脱する可能性があります。
特に初めて利用する EC サイトでは、購入するのが安全かどうかを慎重に判断します。安心して購入できる環境を整えることも、CVR 改善において重要です。
EC サイトの CVR を改善するための具体的な施策
EC サイトの CVR を改善するには、購入手続きや決済画面の見直しだけでなく、新規顧客の獲得、購入前の不安解消、リピート購入の促進など、複数の観点から施策を組み合わせると効果的です。
特に EC サイトでは、初回購入までのハードルを下げることと、購入後も継続して利用してもらう仕組みを整えることの両方が CVR 改善につながります。
レビューや購入判断に必要な情報を掲載する
新規顧客は、商品やブランドに対する信頼がまだ十分ではないため、購入前に不安を感じやすい傾向があります。そのため、商品ページでは、商品の特徴やサイズ、素材、使い方、配送条件などをわかりやすく記載するようにしましょう。
また、実際に購入したユーザーのレビューや評価、写真付きの口コミなどを掲載すると、購入後のイメージを持ちやすくなります。
また、EC サイトでは「特定商取引法に基づく表記」が義務付けられています。よくある質問や返品・交換条件も、商品ページや購入前に確認しやすい場所に記載し、ユーザーの不安要素をできるだけ払拭することが大切です。
Web 広告や検索流入の質を高める
CVR を改善するには、サイトに訪問するユーザーの質を高めることも重要です。リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS 広告などの Web 広告を活用する場合は、単にアクセス数を増やすのではなく、購入意欲の高いユーザーに広告を届けることが大切です。
たとえば、商品カテゴリや価格帯、ターゲット層に合ったキーワード、広告文、ランディングページを設計することで、購入につながりやすいユーザーを集客しやすくなります。
また、広告で訴求している内容と、遷移先の商品ページの内容を一致させることも重要です。広告をクリックした先の商品がすでに販売終了していたり、キャンペーン情報が古いままだったりすると、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。広告、商品ページ、カート、決済画面までの情報を常にアップデートし、一貫した購入体験を用意しましょう。
メルマガやリマーケティングで再訪問を促す
一度サイトを訪問したユーザーが、その場で購入するとは限りません。比較検討中のユーザーや、カートに商品を入れたまま離脱したユーザーに対しては、メルマガやリマーケティング広告で再訪問を促す方法があります。
たとえば、新商品のお知らせ、期間限定キャンペーン、カゴ落ちメール、閲覧履歴に基づいたおすすめ商品などを案内することで、購入のきっかけを作りやすくなります。
ただし、配信頻度が高すぎたり、ユーザーの関心と合わない内容を送ったりすると、かえって離脱や配信停止につながる可能性があります。ユーザーの行動や購入履歴に合わせて、適切なタイミングで情報を届けることが大切です。
会員プログラムやポイント施策を取り入れる
CVR 向上に向けては、新規顧客の獲得に加え、リピート購入を促進する仕組み作りが欠かせません。会員プログラムやポイント制度を導入することで、購入額や回数に応じた特典を提供でき、継続的な利用を促しやすくなります。
さらに、既存顧客による紹介制度やアフィリエイトの活用も有効です。ブランドをまだ知らない層へ認知を広げられるほか、広告のみに頼らず、既存顧客やパートナーを通じた信頼性の高い流入経路を確保することが可能になります。
購入手続きと決済画面を改善する
カートから決済完了までの流れをシンプルにわかりやすくし、購入意欲のあるユーザーを離脱させないようにしましょう。
入力項目やページ遷移はできるだけ減らし、エラーが出た時の自動メッセージもユーザーが迷わないような回答をあらかじめ準備することが大切です。
会員登録を必須にしている場合は、ゲスト購入を可能にすることも有効です。購入前にアカウント作成やログインを求めると、ユーザーが面倒に感じたり、パスワードを忘れてしまった場合にも手続きが止まることがあります。ゲスト購入を用意しておけば、ログインがうまくいかない場合でも購入を続けられます。
決済手段についても、ユーザーが使いやすい方法が用意されているかどうかを確認しましょう。
また、日本ではクレジットカードの不正利用対策として、3D セキュア 2 への対応も求められています。あわせて、カード情報を安全に扱うための PCI DSS (Payment Card Industry Data Security Standard) への準拠や、カード情報を自社サイトで保持しない仕組みを整えることで、セキュリティ面の負担を抑えながら、ユーザーが安心して購入できる環境を用意しやすくなります。
自社で決済画面を一から構築することが難しい場合は、複数の決済手段や本人認証に対応した、決済代行サービスの決済画面を活用することも検討できます。
CVR 改善を進める際のステップ
CVR 改善は、ユーザーがどこで離脱しているかを確認してから、影響の大きい箇所から改善していくことで、効果的に自社 EC サイトの CVR を改善することが可能です。
現状の CVR と離脱ポイントを計測する
CVR を改善するためには、まず、現在の CVR を確認することから始めましょう。Google アナリティクスなどのアクセス解析ツールを使用すれば、商品ページ、カート画面、配送情報入力画面、決済画面など、ユーザーがどの段階で離脱しているかを把握することが可能です。
カゴ落ち率とその原因を特定する
カゴ落ちが多い場合は、単に離脱率を見るだけでなく、ユーザーがなぜ購入を完了しなかったのか原因を深掘りすることで、CVR 改善につなげることができます。
たとえば、広告経由の CVR が通常より低い場合は、「広告とリンク先のページの内容が合っていない」「広告を出している商品が在庫切れになっている」など、課題を具体的に把握しやすくなります。
また、カスタマーサポートへの問い合わせ内容や、決済エラーの傾向を確認することも大切です。決済手段の不足、送料や手数料への不満、ログインのしづらさ、入力エラーの多さなど、カゴ落ちの原因をより具体的に把握できます。
原因を確認したら、「入力フォームの問題」「決済手段の不足」「送料や手数料の表示」「ログインや会員登録の負担」などに分類し、CVR アップにつながる施策を整理しましょう。
優先順位を決める
課題をリストアップしたら、影響が大きい箇所から改善します。すべての施策を一度に実施すると、どの施策が CVR 改善につながったのか判断しにくくなるため、できれば段階的に進めるのがよいでしょう。
たとえば、決済画面での離脱が多い場合は、入力項目の削減や決済手段の追加から始めるなどです。
施策の実施前後で効果を検証する
改善施策を実施した後は、CVR やカゴ落ち率にどのような変化があったかを確認します。ボタンの文言やフォームの項目、送料の表示位置などの画面上の変更は A/B テストで比較できます。
決済手段の追加、本人認証への対応、決済画面の安全性改善などは、施策の実施前後で数値を比較します。
ただし、一時的なキャンペーンや季節要因、広告の予算の変更などでも CVR は変動します。そのため、短期間の数値で判断するのではなく、一定期間のデータを見ながら効果を確認することが重要です。
一度の改善で大きな効果が出るとは限りません。計測、分析、改善、検証を繰り返しながら、購入完了までの流れを最適化していきましょう。
Stripe Checkout でできること
Stripe Checkout は、ウェブサイトやアプリで簡単に決済を開始できる完全カスタマイズ可能な事前構築済みの決済フォームです。
Checkout の特徴
購入完了率の向上: Checkout の決済フォームはモバイル向けに最適化され、ワンクリックで完了する決済フローが構築されています。顧客は支払い情報を簡単に入力し、再利用できます。
開発時間を短縮: Checkout を自社サイトに直接組み込むか、顧客を Stripe のオンライン決済ページへ誘導します。数行のコードで実行可能です。
セキュリティの向上: Checkout が機密性の高いクレジットカードデータを処理し、PCI 準拠を効率化します。
グローバルに拡大: Adaptive Pricing で 100 以上の通貨および 30 以上の言語に対応し、各地域に合った決済フォームを提示。購入完了率を向上させる決済手段を動的に表示します。
高度な機能: サブスクリプションのための Billing、不正利用防止のための Radar など、他の Stripe プロダクトと Checkout を連携できます。
柔軟な管理: 決済手段の保存や購入後のアクション設定など、決済体験を完全にカスタマイズできます。
Checkout を活用した決済フローの最適化について、詳しくはこちらをご覧ください。今すぐ開始する場合はこちら。
CVR の改善についてよくある質問
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。