一般販売条件 (Conditions générales de vente、または CGV) を通じて企業は、商品またはサービスの販売に関する重要な情報を顧客に提供できます。フランスでは、CGV を作成・発行する際に従うべき手続きがいくつか定められており、その多くは義務化されています。本記事では、フランス企業が現行の規制を遵守して CGV を発行できるよう、重要な情報をまとめてご紹介します。
本記事の内容
- 一般販売条件 (CGV) とは?
- CGV が果たす役割
- CGV が必要な当事者
- CGV に含めるべき情報
- CGV に違反することのリスク
一般販売条件 (CGV) とは?
CGV は、商品の販売やサービスの提供に関する詳細を記した文書 (多くの場合、デジタル形式) に収録されています。この取り決めは、企業とその顧客との間の商取引の基礎を形成し、取引ごとに特定の販売条件を定義することを可能にします。
CGV の提示方法
CGV は、企業から提供された情報を顧客が保持でき、かつ耐久性のある媒体によって閲覧できる必要があります。印刷された文書、電子メールの添付ファイル、個人が持つ安全なオンラインアカウントはいずれも許容されている形式です。
CGV は通常、契約前の文書 (例: 広告) または契約文書 (例: 見積もり書、発注書) に収録されています。
また、形式を問わず、契約が確定する前に顧客に提示していなければなりません。つまり、買い手がショッピングカートを確認したり、支払いを完了したりする前に、CGV は容易に閲覧できる状態にしておく必要があります。ただしフランスの例では、CGV は請求書に収録することはできません。
CGV と CGU の違い
商用サイトに掲載されている条件は混同しないようにしましょう。CGV は販売に関する規定を説明するものであり、一般利用条件 (conditions générales d’utilisation、または CGU) はオンラインサービスのアクセスおよび利用に関する条件を定めたものです。CGU は、サービスプロバイダーに対するユーザーの権利と義務を定義します。
また、購入の意図がない場合でも、サイトを閲覧するすべての個人に CGU は適用されます。まとめると、CGV が売り手と買い手の間の商取引関係を規律するのに対し、CGV はサイトの利用条件を説明するに留まります。
CGV が果たす役割
CGV は、フランスでの取引において重要な役割を果たします。CGV が必要とされるのは、以下の目的のためです。
透明性と明瞭性:CGV は、売り手と買い手の間の商業的関係を、明確かつ正確な契約上の枠組みに収めるために設計されたものです。この構造は、不審請求の申し立ての可能性を見越し、未然に防ぐ一助となります。
顧客の保護:フランスの規制は、顧客の権利の保護に細心の注意を払っています。購入後に問題が発生した場合、CGV も例に漏れず顧客を保護します。
法的安定性:販売条件を明確に規定する CGV により、フランスで交わされるすべての商取引に安定かつ安全な法的枠組みがもたらされています。
証拠機能:CGV は、不審請求の申し立てが行われた場合に重要な証拠・反証資料として機能し、各当事者の権利と義務を客観的に確立するのに役立ちます。CGV を念入りに作成するほど、その保護は企業に有利に働きます。
顧客ロイヤルティ:フランス語で CGV を提示することで、フランスの顧客は質問に対する回答を迅速かつ自主的に見つけることができ、一方で企業側もその配慮に好感を得られます。
Stripe Checkout を使用することで、企業は複数の決済手段を提供できるようになり、さらに情報入力を合理化して顧客の支払いをシンプルにできます。法的有効性を確実なものにするために、CGV の文言と承諾機能はすべての取引に取り入れることをお勧めします。

CGV が必要な当事者
法人顧客:顧客が法人である B2B 取引の場合、売り手の企業は顧客の要求に応じてのみ CGV を提示します。売り手は自動的に提示することもできますが、義務ではありません。
個人顧客:顧客が個人である場合、契約が成立する前に CGV を必然的に提示しなければなりません。この要件は、対面かオンラインかを問わず、すべての販売に適用されます。
CGV に含めるべき情報
法律を遵守するために、CGV には特定の情報を記載する必要がありますが、企業は自社の利益をさらに保護するために追加の規則を設けることもできます。
その法律は、顧客に対して情報を開示することを企業に義務付けています。フランス消費者法 L111-1 条および R111-1 条は、支払い条件、納期、法的保証 (隠れた瑕疵に対する保証や保護など) といった販売の主要事項を CGV に明確に記載することを求めています。
その主要事項は以下のとおりです。
商品またはサービスの基本的な機能
商品またはサービスの納品日時
売り手の身元に関する情報
会社の連絡先
記載される情報の種類は、商品とサービスのどちらを販売するかによって若干異なります。ただし、いずれの場合も、企業は契約の締結前にこれらの情報およびその他の関連情報を提示しなければなりません。シナリオごとの記載内容については、フランスの公共サービスサイトを参照してください。
商品の販売
商品を販売するためには、上記のような、取引に必要な情報や説明を顧客に提示する必要があります。CGV には、所有権がどのタイミングで移転され、商品がどのように配送されるかを明確に記載してください。
サービスの提供
サービス契約の場合、企業はサービスの提供方法を詳述した文書を契約前に提供しなければなりません。フランス消費者法 R111-2 条に従い、一般販売条件には、会社の法的地位と、該当する場合は、貿易会社登記簿 (RCS) または貿易事業者名簿 (RM) の登録番号を明記する必要があります。
遠隔販売
フランス消費者法 L221-5 条および R221-2 条に従い、企業は契約締結前に、撤回権に関する重要な情報を顧客に提示する義務を負います。これらの法律は、実店舗で行われる販売ではなく、遠隔販売を対象としています。
契約のやりとりの証跡を確実に残すため、企業は、オンライン通信に使用する手段を指定し、発行日時を記載したすべての文書のコピーを永続的に保管する義務があります。
CGV に違反することのリスク
顧客の要求があったにもかかわらず CGV を提示しなかったり、必須情報を省略したりすると、企業は罰金に科せられる可能性があります。この場合、個人事業主は最大で €15,000、企業は最大で €75,000 の罰金が科せられます。
監督当局は調査を実施し、CGV の違反が判明した場合に、違反者に行政処分を科すことを認められています。また CGV の内容が不明瞭な場合、顧客は異議を唱えた上で、売り手に補償を求めることができます。CGV の違反は、顧客を失うだけでなく、法的措置に直面するリスクを伴います。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。