署名された見積もりは、サプライヤーとクライアント間における業務上のコミットメントとして機能しますが、これが常に必要とされる訳ではありません。さらに、見積もりの構成とそれに含めるべき情報は、業種や関連するサービスによって異なります。では、フランスにおける行政上の要件に準拠した詳細な見積書を作成するにはどうすればよいのでしょうか?この記事では、罰則を回避しつつ、見積もりを作成するために知っておくべきことについて説明します。
この記事の内容
- 見積もりの意味と使用方法
- 見積もりを提出する適切なタイミング
- 見積もりに記載すべき情報
- 見積もりに対して請求を行うことのできるタイミング
- 見積もりの有効期間
- 見積もりを作成する方法
見積もりの意味と使用方法
見積もりとは、担当者がクライアントのために作成する契約の草稿です。この文書は対象の商品またはサービスの性質と価格を確定するもので、クライアントが署名した時点で拘束力を持ちます。見積もりは、クライアントがオファーを受け入れるかどうかを判断する上で、オファーの詳細と条件を伝えるものです。
見積もりを提出する適切なタイミング
詳細な見積もりが常に必要とされる訳ではありません。場合によっては価格を提示するだけで十分です。ただし、特定のサービスを提供する上で、見積もりが義務となる場合もあります。特に建設や住宅設備関連の分野で、作業や修理のサービスを提供する場合がそれに該当します。見積もりは原則として無料で提供されますが、上述の業種では料金が発生することもあります。
引越し、車両レンタル (3.5 トン未満の車両で、運転手付きではなく、購入オプションもなし)、または葬儀サービスを提供するすべての業者には、そのサービスを実施する前にクライアントに対して見積もりを無料で提供することが義務付けられています。
検眼および眼鏡に関係する業種における専門医療従事者または医療機器の提供者は、無料の見積もりを 2 通作成する必要があります。専門医療従事者による文書は少なくとも 1 年間保管しなければなりません。
美容整形外科では、サービスの総額が 300 ユーロ以上である場合、全身麻酔が必要な場合、また患者が見積もりをリクエストする場合に、クライアントに見積もりを提供する必要があります。
障がい者や病気の罹患者が自宅に戻って自立できるように支援するための、製品やサービスを提供または販売する事業者も、見積もりを提供しなければなりません。また、製品がカスタムメイドである場合、リースで提供される場合、価格が税込で 500 ユーロ以上の場合には見積もりが必要となります。歯科や足部疾患専門の医療サービスについても、費用が高額になる場合は見積もりが必要となります。
さらに、サービスが月額 100 ユーロ (税込) を超える場合、またはクライアントが見積もりをリクエストする場合 (サービスの価格や業種にかかわらず) は、見積もりが必要となります。
見積もりに記載すべき情報
見積もりの内容は、対象のビジネス分野と提供されるサービスによって変わります。見積もりに必要な特定の法務情報については、フランス行政当局の公式ウェブサイトで確認してください。
必須情報
通常、見積もりの有効性を確保するために、次の情報を含める必要があります。
- 見積もりが作成された日付
- 事業者の名称と所在地
- クライアントの名称と連絡先情報
- サービス開始日とその期間
- 提供される商品またはサービスの数量と単価
- 労働コストと時間 (該当する場合)
- 出張費 (該当する場合)
- サービスまたは商品の課税前合計価格と税込合計価格
見積もりをクライアントに送付するに当たり、日付と担当者による署名が必要です。
法務情報
建設工事または建造物の修理を行う業者には、見積もりの有効期限と見積もりが有料であるかどうかを示す法的義務があります。この場合、見積もりに要する費用を書面に明示しなければなりません。
罰金
見積もりには必須情報および法務情報を含めなければならず、情報が不足している場合には罰則の対象となる可能性があります。個人には最大 3,000 ユーロまで、法人には最大 1 万 5,000 ユーロまでの罰金が科せられる場合があります。
見積もりに対して請求を行うことのできるタイミング
一般的に言えば、見積もりは担当者が無料で作成する文書です。ただし、建設工事または建造物の修理を行う業者の場合や、見積もりを作成する際に詳細な調査、実現可能性の分析、または出張が必要となる場合は、クライアントに対して見積もり作成の費用が請求される可能性があります。
なお、一部の特殊な事業活動では見積もりの費用を請求することはできません。これには、引越し、葬儀サービス、眼鏡製品の提供、車両のレンタル、非専門のサービスなどが含まれます。このような場合、見積もりはクライアントに無料で提供されます。
見積もりの有効期間
見積もりの有効期限は、それを作成する担当者が決定します。見積もりにクライアントの署名がない場合でも、法的にその見積もりは 3 カ月間有効とされます。
見積もりを作成する方法
オファーするサービスの費用を正確に見積もるために、まずクライアントの要件を調査します。見積もり総額が確定したら、オンラインのテンプレートを使用したり、Microsoft Word / Excel を使用して手作業で作成したりできます (テンプレートは無料で利用可能で、簡単にカスタマイズできます)。Stripe Billing のような自動請求ソリューションを使用することもできます。こういったソリューションは CRM ソフトウェアと一体化されており、見積もりの作成、カスタマイズ、処理を簡略化できます。Stripe Billing には、クライアントが承認した見積もりに対応する請求書またはサブスクリプションを自動的に作成する機能も備わっています。詳細については、Stripe の担当部署にお問い合わせください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。