ACH 処理の説明:事業者向けガイド

Payments
Payments

成長中のスタートアップからグローバル企業まで、あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、オンライン決済、対面支払いなど、世界中のあらゆる場所で決済を受け付けます。

もっと知る 
  1. はじめに
  2. ACH 送金の種類
    1. ACH クレジットの一般的な種類
    2. ACH デビットの一般的な種類
  3. ACH 処理の仕組み
  4. ACH 処理時間
    1. 標準的な ACH 処理
    2. 同日 ACH 処理
  5. ACH 処理の課題とその解決方法
    1. 不正利用と不正取引
    2. Nacha 規則と規制の遵守
    3. 操作エラーと遅延
    4. 口座の照合と売上処理の問題
    5. 処理期間の制限
    6. コスト管理
  6. 適切な ACH 決済代行業者の選び方
    1. ビジネス要件
    2. コンプライアンスとセキュリティ
    3. 互換性と連携のオプション
    4. 料金体系と手数料
    5. カスタマーサポート
    6. 評判と経験
  7. ACH 処理のベストプラクティス
    1. セキュリティと不正防止
    2. 業務効率化とエラー削減
    3. コンプライアンス

自動決済機関 (ACH) 処理は、銀行口座間で資金を電子的に送金するためにアメリカで使用されているシステムです。ACH ネットワークは全米自動決済センター協会 (Nacha) によって規制されており、安全で正確な取引のための規則が確立されています。ACH 処理は一般的に、給与計算、政府給付、税金還付、請求書や住宅ローンの支払い、企業間 (B2B) 取引など、高額または定期的な支払いに使用されます。ACH ネットワークは、2023 年に 80 兆 1,000 億ドル相当の約 315 億件の支払いを処理し、前年と比較して件数では 4.8%、金額では 4.4% の年間成長を記録しました。

このガイドでは、ACH 決済代行業者の業務、ACH 処理時間、および ACH 処理を行う際に従うべきベストプラクティスについて説明します。

この記事の内容

  • ACH 送金の種類
  • ACH 処理の仕組み
  • ACH 処理時間
  • ACH 処理の課題とその解決方法
  • 適切な ACH 決済代行業者の選び方
  • ACH 処理のベストプラクティス

ACH 送金の種類

ACH 送金には、ACH クレジットと ACH デビットの 2 種類があります。ACH クレジットでは銀行口座に資金を送金し、ACH デビットでは銀行口座から資金を引き出します。どちらの ACH 送金も、事業取引および個人取引で一般的に使用されます。

ACH クレジットの一般的な種類

  • 口座振込: 雇用主は ACH クレジットを使用して、従業員に給与や賃金を送金します。

  • 政府による支払い: 政府機関は、ACH クレジットを使用して給付金 (社会保障など) の送金や税金の還付を行います。

  • ベンダー決済: 企業は多くの場合、ACH クレジットを使用してサプライヤーや請負業者に支払いを行います。

  • 個人間決済: 一部のサービスでは、ユーザーが ACH クレジットを使用して相互に送金できます。

ACH デビットの一般的な種類

  • 請求の自動支払い: 顧客は ACH デビットを使用して、公共料金や保険料などの請求を支払います。

  • ローンまたは住宅ローンの支払い: 金融機関は ACH デビットを使用して、毎月のローンや住宅ローンの支払いを自動的に回収します。

  • B2B 取引: 企業は ACH デビットを使用して、クライアントや他の企業から支払いを回収します。

  • サブスクリプションとメンバーシップ: サービスプロバイダーは、多くの場合、ACH デビットを使用してサブスクリプション料金を回収します。

ACH 処理の仕組み

ACH ネットワークはバッチ処理システムとして動作します。金融機関は、特定の時間 (通常は夜間) に取引を収集して処理します。ACH 取引の一般的なプロセスには、次のステップが含まれます。

  • オーソリ: 送金元 (個人、企業、または政府機関) は、受取人または口座名義人から ACH 取引を開始するためのオーソリを取得します。これは、取引の種類に応じて、書面、口頭、または電子的な同意で行われます。

  • 提出: オーソリされたら、送金元は ACH 取引を Originating Depository Financial Institution (ODFI) として知られる銀行に提出します。ODFI には、取引が Nacha の規則と規制要件に準拠していることを確認する責任があります。

  • 送信: ODFI は、ACH 取引のバッチを ACH オペレーター (通常は連邦準備制度理事会または決済機関) に送信します。オペレーターは取引をバッチで処理し、送金先やその他の要因に基づいてソートします。

  • 払い出し: ACH オペレーターは、受取人または口座名義人の銀行である Receiving Depository Financial Institution (RDFI) に対して取引の経路を選定します。RDFI は、適切な口座に資金を支払う責任があります。

  • 売上処理: ACH オペレーターは、ODFI と RDFI の間の売上処理を容易にします。この作業には、ODFI 口座からの引き落としと RDFI 口座への入金が含まれ、これで送金が完了します。

  • 照合: RDFI は、入金取引を照合し、個々の口座に支払います。

ACH 処理時間

ACH 処理時間は、ACH 取引の種類、ACH オペレーターの処理スケジュール、取引が同日か標準かなどの要因によって異なります。また、ODFI と RDFI では内部処理時間が異なる場合があり、取引を送受信するタイミングに影響します。取引の詳細に誤りがあったり、オーソリに問題があったりすると (高額な取引や新しい口座で追加の検証が必要になるなど)、処理にさらに時間がかかることがあります。

標準的な ACH 処理

標準的な ACH 取引は、通常、処理に 1 〜 3 営業日かかります。正確なタイミングは、取引が送信されるタイミングと ACH オペレーターのバッチ処理スケジュールによって変化します。ACH 取引は、特定の時間 (通常は夜間) にバッチで処理され、カットオフタイム以降に送信された取引は次のバッチに含まれます。ACH 処理は通常、週末と祝日を除く営業日に行われます。週末や祝日に開始された取引は、翌営業日に処理されます。

同日 ACH 処理

同日の ACH 取引は、同じ営業日 (通常は数時間以内) に売上として処理されます。同日処理の対象となるには、カットオフタイムまでに取引を送信する必要があります。同日の ACH は、緊急の給与支払い、緊急の請求書支払い、時間的制約のある商取引などによく使用され、迅速な処理のために追加料金が発生する場合があります。

ACH 処理の課題とその解決方法

他の支払い処理と同様に、ACH 処理にはコスト、セキュリティリスク、規制要件、および運用上のハードルとなる可能性があります。ACH 処理で発生する一般的な課題に対処するための解決策を次の通りです。

不正利用と不正取引

ACH の不正取引は、金銭的損失や風評被害につながる可能性があります。

解決策

  • 機密データを保護するための多要素認証 (MFA) や暗号化などの強力なセキュリティ対策

  • 通常とは異なる取引パターンを特定するための異常検出および不正利用監視システム。

  • 契約書への署名や ACH デビットおよびクレジットの電子同意などの適切なオーソリの要求。

  • フィッシング、ソーシャルエンジニアリング、その他の不正利用のリスクに関する従業員と顧客の教育。

Nacha 規則と規制の遵守

Nacha には ACH 取引を管理する厳格な規則があり、違反すると罰則が科せられる可能性があります。

解決策

  • Nacha 規則と変更内容に関する最新情報を入手する。

  • 定期的な監査やスタッフのトレーニングなど、社内のコンプライアンスプログラムを実施する。

  • すべてのオーソリを文書化し、適合確認のために ACH 取引の記録を保管する。

  • 法務およびコンプライアンスの専門家と協力して、複雑な規制問題に対処する。

操作エラーと遅延

口座番号や送信タイミングの誤りなどのエラーは、処理の遅延を引き起こし、手動による介入が必要になる場合があります。

解決策

  • 自動検証およびエラーチェックシステムを実装して、手動エラーを最小限に抑える。

  • ACH 取引の作成と送信に標準化されたプロセスを使用する。

  • ODFI および RDFI とコミュニケーションを取り、処理の問題に迅速に対処する。

  • 遅延を避けるために、明確なカットオフタイムと処理スケジュールを確立する。

口座の照合と売上処理の問題

金融機関間の ACH 取引の照合と口座の売上処理は複雑で、エラーが発生する可能性があります。

解決策

  • 自動照合ツールを使用して、受信および送信する ACH 取引を追跡および照合する。

  • 照合および監査の目的で取引の記録を保管する。

  • 金融機関と連携して、売上処理の不一致を速やかに解決する。

  • 中断を最小限に抑えるために事業継続性計画と災害復旧計画を導入する。

処理期間の制限

ACH 取引は通常、特定の時間にバッチで処理されるため、緊急取引では遅延が発生する可能性があります。

解決策

  • 緊急取引には同日 ACH を使用する。

  • 処理期間と営業日を考慮して、事前に ACH 取引を計画する。

  • 顧客やビジネスパートナーと処理スケジュールについてコミュニケーションを取り、それぞれの期待を管理する。

コスト管理

ACH 処理、特に同日 ACH や大量取引の場合には、手数料がかかる場合があります。

解決策

  • 取引件数や頻度を基に、金融機関と手数料を交渉する。

  • ACH プロセスを最適化して不要なコストを削減する (給与支払いに口座振込を使用して小切手処理手数料を最小限に抑えるなど)。

適切な ACH 決済代行業者の選び方

コスト、評判、セキュリティ対策、システムとの互換性などの要素を考慮して、自社に最適な ACH 決済代行業者を選択します。ACH 決済代行業者を確定する前に、プラットフォームとその機能をテストするためのデモや試用版をリクエストしてください。使いやすさ、機能性、自社への全体的な適合性を評価します。

ビジネス要件

ACH 処理に関するビジネスニーズを特定します。

  • 取引件数: 毎月処理すると予想される ACH 取引件数を見積もります。

  • 取引の種類: ACH クレジット、デビット、またはその両方のどれが必要か判断します。

  • 特別な機能: 同日 ACH、継続支払い、会計ソフトウェアとの連携など、必要になる可能性のある追加機能を特定します。

コンプライアンスとセキュリティ

次の基準に基づいて、ACH 決済代行業者の候補を評価します。

  • Nacha の遵守: 決済代行業者が ACH 取引に関する Nacha の規則と規制に準拠していることを確認します。

  • セキュリティ対策: 暗号化、MFA、その他のセキュリティ機能を使用して機密データを保護している決済代行業者を探します。

  • 不正防止: 不正取引を防ぐための不正検出および不正防止ツールを決済代行業者が提供しているかどうかを確認します。

互換性と連携のオプション

既存のシステムとの連携により、時間を節約し、エラーを減らすことができます。

  • ソフトウェアの互換性: ACH 決済代行業者が会計、給与計算、または顧客関係管理 (CRM) システムと連携できることを確認します。

  • API の提供状況: 決済代行業者が、導入をカスタマイズする、またはプロセスを自動化するためのアプリケーションプログラミングインターフェイス (API) を提供しているかどうかを確認します。

料金体系と手数料

ACH 決済代行業者のコスト構造を把握します。手数料はプロバイダーによって異なる場合があります。

  • 取引手数料: 個々の取引の手数料。

  • 月額または年会費: アカウントのメンテナンスや追加サービスに対する継続的な手数料。

  • 数量割引: 取引件数が多い場合の割引。

カスタマーサポート

カスタマーサポートの信頼性が自社の体験を左右する可能性があります。

  • 利用可能時間: カスタマーサポートが営業時間内、および緊急の場合は 24 時間 365 日利用できることを確認します。

  • 応答時間: 決済代行業者が顧客からの問い合わせや問題にどれだけ迅速に応答するかを確認します。

  • サポートチャネル: 決済代行業者が提供するサポートチャネル (電話、メール、チャットなど) を確認します。

評判と経験

ACH 取引の経験を持つ評判の良い決済代行業者を探します。

  • 業界経験: 決済代行業者は、ご自身の業界での実績と経験を有している必要があります。

  • カスタマーレビューとお客様の声: 他の企業からのレビューを読んで、顧客満足度を判断し、潜在的な問題を特定します。

  • 取引関係: 決済代行業者が有名な金融機関やその他の評判の良い組織と提携しているかどうかを確認します。

ACH 処理のベストプラクティス

ACH 支払いの処理を円滑に進めるために企業が実装できるベストプラクティスがいくつかあります。

セキュリティと不正防止

  • デュアルコントロール: 内部の不正利用やエラーのリスクを軽減するために、ACH 取引のオーソリと開始を 2 人以上で行うよう要求します。

  • 強力なオーソリ: 継続的な ACH デビットに対して書面によるオーソリを取得します。不審請求の申請が発生した場合に備えて、オーソリが取り消された後も少なくとも 2 年間は、オーソリを確実に保管してください。

  • 口座検証: ACH 取引を開始する前に、顧客と銀行口座情報を検証します。単純なテスト取引 (少額) が、初期検証に役立ちます。

  • システムセキュリティ: ACH ファイルを ODFI に送信するときは、安全なファイル転送方法 (Secure File Transfer Protocol [SFTP] など) を使用します。強力なファイアウォールとウイルス対策保護を実装します。

  • 監視: 銀行口座を定期的に照合して、不正な取引を検出します。継続取引の変更や不審な行為に対しては銀行アラートを使用します。

業務効率化とエラー削減

  • データ精度: 口座番号と銀行支店コードを確認して、差戻しと関連手数料を回避します。データ検証ソフトウェアソリューションに投資します。

  • 適時性: ACH 処理の期限と売上処理期間に注意を払います。適時に完了するために、それに応じてバッチ支払いを行います。

  • 拒否の管理: ACH 拒否を処理するための明確なプロセスを用意します。拒否コードを理解し、タイムリーな再提出または解決のために迅速な是正措置を講じます。

  • 顧客とのコミュニケーション: 継続的な ACH 決済について顧客とコミュニケーションを取ります。変更や問題は事前に通知します。

コンプライアンス

  • Nacha の規則: 定期的に改訂される Nacha の運営規則を最新の状態に保ちます。変更内容を定期的にレビューし、必要に応じて社内の手順を調整します。

  • 記録管理: コンプライアンスと監査の目的で、すべての ACH 取引、オーソリ、および差戻し通知の記録を保持します。

  • パートナー: 評判の良い ACH 処理ソフトウェアまたはプロバイダーと ODFI を選択します。すべてのパートナーが関連する規則や規制に準拠していることを確認します。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

今すぐ始めましょう

アカウントを作成し、支払いの受け付けを開始しましょう。契約や、銀行情報の提出などの手続きは不要です。貴社ビジネスに合わせたカスタムパッケージのご提案については、営業担当にお問い合わせください。
Payments

Payments

あらゆるビジネスに対応できる決済ソリューションを利用して、世界中のあらゆる場所でオンライン決済と対面決済を受け付けましょう。

Payments のドキュメント

Stripe の支払い API の導入方法について、ガイドをご覧ください。