課題

クリエイターの創作活動を支援する製品・サービスを展開するセルシス。特に中核となるイラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」は2012年の発売以来、4,500万人以上が利用しており、世界各国のクリエイターに愛用されています。多言語対応など、海外展開を積極的に進めるなか、海外向けに利用していた決済代行サービスの不安定さが課題となっていました。

「特に海外での一括払い版購入に利用していたサービスは障害が多く、なぜかセールのタイミングを狙ったようにメンテナンスが入ったうえ、サービス停止が予定より長引いて販売機会を逃したこともありました。ダッシュボードや問い合わせも英語のみで、使い勝手も対応のレスポンスも悪く、問題になっていました」（株式会社セルシス 大塚直隆氏）

また、対応通貨が限られており、特に利用者の多い韓国ウォンに非対応だったこと、新たに言語対応したインドネシアルピーにも対応したいと考え、決済代行サービスのリプレイスを検討し始めました。そのなかで候補に挙がったのがStripe です。
「サービスが安定していることは魅力的でした。セキュリティも強固で、手数料も納得できる設定となっていたことから、ほぼ一択で導入を決めました」（株式会社セルシス 大塚直隆氏）

まずは海外向け一括支払い版にて、支払い用URLで決済をおこなう Payment Links を導入しました。トラブルもなく安定して運用できたうえ、毎日発生していた不正利用のチャージバックが約75％削減、決済環境が大きく改善されました。

ソリューション

次のステップとして、新たにリリースするサブスクリプション版でもStripe を採用、まずは Stripe Elements を利用し、既存の内製決済基盤に組み込みました。しかし、価格や仕様が変更されるたびに改修が必要で、大きな負担となっていました。そんななか紹介されたのが、定期購読、継続購入などのサブスクリプションの管理を行うツール「 Stripe Billing 」でした。

「Stripe Billingは未収金の対応や、決済失敗時の自動再試行（スマートリトライ）、契約の一時停止などサブスクリプションに必要な機能が揃っていました。お客様も使いやすくなりメリットが大きいと、移行を決断しました」（株式会社セルシス 大塚直隆氏）

Stripe Billing導入時には有償サービスを利用し、今回の実装に必要なポイントをピックアップした開発ガイドの作成のほか、様々なアドバイスを受け、実装期間を大幅に短縮しました。

「基本的にはStripe Billingの標準機能に合わせながらも、どうしても残したい特殊な仕様をどう実装するかなど、Stripeに精通したエンジニアに相談できたため、スムーズに開発が進みました。既存基盤で管理している20万件の契約情報の移行についても相談し、APIを利用した移行方法や段階移行の計画などについて目途が立ちました」（株式会社セルシス 大塚直隆氏）

結果

Stripe の安定性は期待通りで、2022年の導入以来、一切障害が発生していません。サポートやダッシュボードも日本語に対応しており、使い勝手が改善しました。

「特にダッシュボードは検索性が高く、例えば問い合わせ対応時にはメールアドレスや契約番号など、把握できた情報で検索すれば該当する情報が提示されます。お客様への対応もスムーズになりました」（株式会社セルシス 大塚直隆氏）

価格変更などにともなうシステム改修の工数を大幅に減らすことができ、障害対応などのコスト削減にもつながりました。今後は、クーポン発行や友達紹介などStripe Billingの機能を活かしたマーケティング施策も検討しています。

「国ごとにメジャーな決済方法は異なり、どう対応するかは大きなテーマです。若年層などより幅広い方にリーチするためにも、多様な決済方法に対応するStripe を活かしていければと思います」（株式会社セルシス 大塚直隆氏）