デジタル決済やオンライン取引に移行するビジネスが増加するにつれ、フレンドリー詐欺という問題も多くなります。従来の詐欺では、犯罪者がビジネスに対して意図的な窃取を試みますが、フレンドリー詐欺では、顧客が正当な支払いに対して異議を唱えます。フレンドリー詐欺は、その名前とは裏腹に、チャージバック手数料、収益の損失、風評被害という形でビジネスに大きな打撃を与える可能性があります。フレンドリー詐欺は、一般に考えられるほど珍しいものではありません。ある調査では、回答者の 23% がフレンドリー詐欺への関与を認めています。
当然ながら、企業が懸念するのはフレンドリー詐欺の収益への影響です。フレンドリー詐欺に対抗するため、企業では、不正検出ソフトウェア、チャージバック管理サービス、不審請求の申請の解決プロセスなど、さまざまなツールや戦略を活用しています。また、カスタマーサービスやコミュニケーションの改善にも力を入れ、顧客が購入した商品やサービスに満足し、支払いに対する不審請求の申請が少なくなるよう努めています。
適切なツールと戦略があれば、フレンドリー詐欺のリスクを軽減し、安全かつ持続可能な方法で成長することに集中できます。ここでは、フレンドリー詐欺について知っておくべきこと、フレンドリー詐欺からビジネスを保護する方法、そして発生した場合の対応方法について説明します。
この記事の内容
- フレンドリー詐欺とは?
- フレンドリー詐欺がビジネスに与える損害
- フレンドリー詐欺の種類
- フレンドリー詐欺を防ぐ方法
- フレンドリー詐欺に対応する方法
フレンドリー詐欺とは?
フレンドリー詐欺は、「不正チャージバック」または「フレンドリー不正チャージバック」とも呼ばれる不正利用の一種で、顧客がクレジットカード、デビットカード、またはその他の決済手段で行った正当な支払いに対して不審請求の申請を行うことです。従来型の詐欺では、加害者は、不明な第三者であることがほとんどですが、フレンドリー詐欺では、取引を開始するのは顧客であり、その顧客が、後になって支払いが不正または未承認なものであったと主張します。
フレンドリー詐欺が発生する理由は複数あります。ここでは最も一般的な理由をいくつかご紹介します。
物忘れ
フレンドリー詐欺の最もよくある理由一つが物忘れです。顧客が自分で購入した商品を忘れたり、クレジットカード明細書に記載されている支払いを覚えていなかったりすることはあります。このような場合、顧客は自分が購入したものなのに、不審請求の申請を行うことがあります。誤解
誤解もフレンドリー詐欺のよくある理由の一つです。顧客が販売に関する利用規約を誤解していたり、キャンセルや返品に関するポリシーを理解していなかったりすると、不審請求の申請やチャージバックにつながることがあります。未承認の使用
顧客のクレジットカードやアカウント情報が盗まれたり、無断で使用されたりしたときに、フレンドリー詐欺が発生することがあります。このような場合、顧客はカード盗難についてクレジットカード会社に連絡するのではなく、不正使用として不審請求の申請を行うことがあります。衝動買い
衝動買いがフレンドリー詐欺につながることもあります。顧客が気まぐれに買い物をして、後になって買ったことを後悔したり、商品やサービスについて気が変わったりすることはあります。
フレンドリー詐欺がビジネスに与える損害
オンラインビジネスにおけるフレンドリー詐欺の問題は拡大しており、複数のビジネス分野で問題を引き起こす可能性があります。フレンドリー詐欺の結果として生じうる悪影響をいくつかご紹介します。
経済的損失
フレンドリー詐欺の最も大きな影響の一つが経済的損失です。顧客が支払いに対して不審請求の申請を行い、チャージバックを開始すると、取引に対する支払いだけでなく、それに伴う手数料や管理コストも発生します。これは特に、こうした損失を吸収するだけの資金力を持たない中小企業にとってはダメージとなります。評判の失墜
自分たちの懸念に企業が適切に対応してくれない、あるいは不審請求の申請に対処するための対応が適切でないと考えた顧客は、否定的なコメントやレビューをオンラインに投稿する場合があります。これにより、ビジネスの現在の顧客や見込み客からの評判が傷つき、今後の販売見込みが少なくなったり、成長努力が妨げられたり、顧客生涯価値 (LTV) が低下したりする場合があります。チャージバックの罰則
チャージバック率が高い企業は、クレジットカード会社や決済代行業者から、手数料の値上げやアカウント停止などの罰則が課される場合があります。これがビジネスにとって深刻な脅威となり、収益が失われ、代わりの決済処理ソリューションを見つけなければならなくなる可能性があります。時間とリソース
フレンドリー詐欺への対応には時間がかかり、多くのリソースが必要です。クレームを裏付ける証拠や書類を集め、顧客と連絡を取り、チャージバックや返金リクエストへの対応が必要になることもあります。他のビジネス活動の貴重な時間とリソースを奪うことにもなりかねません。不正防止コスト
また、不正防止対策を導入すると、不正使用取引を防止および検出するためのテクノロジー、ソフトウェア、スタッフのトレーニングに投資する必要が出てくるかもしれません。これは企業にとってはコストがかかることです。
フレンドリー詐欺の種類
フレンドリー詐欺はさまざまな理由で発生しますが、主なカテゴリーは「不正チャージバック」と「返金詐欺」の 2 つです。
不正チャージバックとは、顧客が銀行やクレジットカード会社に対して、未承認または不正使用による支払いとして、その支払いに対して不審請求の申請を行うことです。これは、顧客が自分で商品やサービスを購入し、期待どおりのものを受け取った場合にも発生することがあります。銀行やクレジットカード会社がチャージバックプロセスを開始すると、取引に対する支払いが失われ、追加手数料が発生することもあります。
返金詐欺とは、顧客が受け取った商品やサービスの返金をリクエストしているにもかかわらず、商品を返品しなかったり、サービスを利用し続けたりすることです。顧客が実際に商品やサービスの利用をやめたかどうかを見極めるのは難しく、この種の不正利用は発見しづらい場合があります。返金詐欺はビジネスに金銭的損失をもたらすだけでなく、顧客がその経験をネット上に投稿すると、風評被害につながります。
どちらのフレンドリー詐欺もコストと損害が大きくなる可能性があり、企業が積極的に防止策を講じ、対処することが重要です。幸いなことに、この種の不正利用を最小限に抑えるために企業が利用できる、非常に効果的な施策やベストプラクティスはいくつかあります。
フレンドリー詐欺を防ぐ方法
フレンドリー詐欺に対して着実かつ包括的に取り組んでいる企業は、成功に向けた有利な立場に立っていると言えます。ここでは、フレンドリー詐欺防止のために企業が実施できるベストプラクティスをいくつかご紹介します。
顧客との緊密なコミュニケーション
フレンドリー詐欺を防ぐには、明確なコミュニケーションが重要です。キャンセル、返品、チャージバックに関するポリシーを顧客に周知徹底する必要があります。また、主張の食い違いを避けるために、商品やサービスの明確な説明や写真をオンラインで提供する必要もあります。請求書の表記を明確にする
請求書の表記を顧客にとって明確でわかりやすいものにします。これは、未承認の支払いに関する不審請求の申請を防ぐのに役立ちます。認証
企業は、認証手段を使用して顧客の本人確認を行い、顧客に購入する権限があることを確認できます。たとえば、顧客のメールアドレスや電話番号に送信される確認コードの入力を要求したり、多要素認証を使用したりします。注文の確認
購入顧客には、購入日時、購入金額などの取引情報が記載された注文確認メールを送信する必要があります。注文確認メールは、顧客に取引を覚えておいてもらうのに役立ち、後の不審請求の申請を防ぐことができます。また、正当な顧客にとっては、不正使用取引の可能性をできるだけ早く発見する機会にもなります。カスタマーサービス
カスタマーサービスが優れていると、顧客が購入に満足し、支払いに対する不審請求の申請を行う可能性が低くなるため、フレンドリー詐欺の防止に役立ちます。顧客からの問い合わせや苦情には迅速に対応し、問題解決に努める必要があります。不正利用の検出と防止ツール
企業は不正利用の検出と防止ツールを使用して、不正使用取引を特定し、防止することができます。たとえば、不正利用スコアリング、IP アドレスによる地理的な位置の特定、デバイス・フィンガープリンティングなどのツールがあります。
企業はこのようなベストプラクティスを実施することで、フレンドリー詐欺のリスクを減らし、自社と顧客を守ることができます。不正利用は常に進化しているため、重要なのは、企業が警戒を怠らず、不正防止戦略を更新し続けることです。しかし、あらゆる緩和策を講じたとしても、フレンドリー詐欺が発生する可能性はあるため、対応策を用意しておく必要はあります。
フレンドリー詐欺に対応する方法
企業がフレンドリー詐欺に遭った場合、重要なのは、迅速かつ効果的に対応し、経済的損失を最小限に抑え、罰則を回避し、評判を守ることです。迅速に対応することで、カスタマーサービスを向上させながら、不審請求の申請やチャージバックの原因を特定し、今後同様の不審請求の申請が発生しないよう対策を講じることができるのです。
ここでは、企業が講じることができるフレンドリー詐欺対策をいくつかご紹介します。
不審請求の申請を調査する
顧客からチャージバックや返金リクエストがあった場合、企業はその不審請求の申請を調査して、理由が正当なものかどうかを判断する必要があります。たとえば、取引記録や顧客とのコミュニケーションを確認します。証拠を提出する
企業は取引を裏付けるすべての関連文書と証拠を提出することで、チャージバックに迅速に対応する必要があります。提供した商品やサービスの詳細、出荷記録、顧客とのコミュニケーションなどが証拠となります。プロセスのこの段階では、大きな負担が生じる場合もあればそれほどでもない場合もあります。これは、利用する不正利用の検出方法および防止プロバイダーによって異なります。たとえば、Stripe Radar のチャージバック保証では、不審請求の申請に関する文書を提供するために、企業が追加作業を行う必要はありません。顧客に連絡する
質の高いカスタマーサービス、そして顧客との明確なコミュニケーションは、まずは多くのチャージバックを未然に防ぐことができますが、チャージバックが発生した後の解決にも役立ちます。フレンドリー詐欺の場合、企業は顧客に連絡して、不審請求の申請の解決を試みる必要があります。たとえば、取引の正当性を裏付ける追加情報や証拠を提出したり、返金や交換を提案して問題を解決したりします。チャージバックに対する異議申し立てを利用する
企業側にその主張を裏付ける十分な証拠がある場合は、チャージバックに対する異議申し立てを利用して、カード発行会社またはクレジットカード会社に、チャージバックに対する異議を申し立てることができます。このプロセスで、企業は、取引の正当性を裏付ける証拠書類を銀行またはクレジットカード会社に提出する必要があります。不正防止を強化する
フレンドリー詐欺に対応するだけでなく、不正防止策の改善に取り組むことで、今後フレンドリー詐欺が発生するのを防ぐ必要もあります。たとえば、不正利用の検出と防止ツールを導入したり、顧客とのコミュニケーションやサービスを改善したり、提供する請求書の表記を明確にしたりします。
Stripe のチャージバック保証がフレンドリー詐欺の防止と対策にどのように役立つかについて詳しくは、こちらをご覧ください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。