近年、会員制ビジネスが増えており、私たちの身近にも会員制度を導入したオンラインや店舗のサービスが広がっています。
会員制ビジネスは、顧客との関係を深めることができるため、企業の安定と成長を支える運営方法として注目されています。
日本での事例を踏まえ、企業にとって会員制サービスを提供するメリットは何か、成功のポイントや導入する際の注意点について解説します。
目次
- 会員制サービスとは
- 会員制サービスのビジネスモデル
- 会員制サービスの課金方式
- 会員制サービスのメリット
- 会員制サービスのデメリット
- 会員制ビジネスの始め方
- 会員制ビジネスを成功させるポイント
- 会員制ビジネスの成功事例
- 会員制ビジネスへの実現に向けて
会員制サービスとは
会員制サービスは、顧客に自社のサービスを利用する前に登録してもらい、特典や利便性を提供することで継続的な利用を促進する仕組みになっています。
会員制サービスには、無料と有料のものがあり、それぞれ提供される特典やサービス内容が異なります。無料会員には基本的なサービスのみが提供されるのに対し、有料会員には有料ならではの優先権や、会員限定のコンテンツなど、より充実したサービスが提供されます。
メンバーサービスのビジネスモデル
メンバーサービスとは、料金と引き換えに特別オファーや限定サービスを利用できるサービスのことで、大きく 5 つのカテゴリーに分類されます。
施設利用型
施設利用型サービスでは、会員はフィットネスクラブ、コワーキングスペース、高級スパ、レクリエーション施設などの指定施設を利用する権利を得られます。施設そのものがサービスの中核となります。
施設利用型メンバーサービスでは、会員がアクセスできる施設が実際に存在する必要があります。
商品販売型
このビジネスモデルでは、ユーザーは会員登録を行い、EC サイトまたは実店舗から商品を購入します。食品・飲料のサブスクリプション、定期食料品購入サービス、会費を支払って店舗で商品を購入するビジネスなどが含まれます。
情報提供型
情報提供型サービスでは、会員限定のニュースや記事のほか、株式投資データなどの専門性の高い情報を提供します。提供する情報が正確で価値があるとユーザーが判断すれば、信頼に基づく長期的な関係を築くことができます。
コミュニティ型
ミュージシャンのファンクラブやオンラインサロンは、コミュニティ型サービスに分類されます。このタイプのビジネスは、共通の目標や関心を持つ人々を集め、互いに交流できる場を提供します。
会員は通常、限定特典や情報を受け取り、他のファンとつながり、特別なイベントに参加できます。このようなサービスを継続的に運営するには、一定数の会員が必要になる場合があります。適切な会員数を確保することで、活発なコミュニティを維持することもできます。
人材サービス型
人材サービス型は、専門知識を持つスタッフが直接サポートを提供するサービスです。具体的な例としては、ヘルスクラブのパーソナルトレーナー、学習塾の個別指導講師、キャリア開発やビジネスの成功を支援するコーチやコンサルタントなどがあります。
このビジネスモデルでは、代行業者の質とスキルが成功の鍵となります。
会員制サービスの課金方式
会員制サービスの課金方法は大きくふたつに分類することができます。サービス内容に応じて適した課金方法を選びます。
都度課金
サービスを利用したタイミングで料金を支払います。必要な時だけ料金を払うため、柔軟性が高く、継続利用を前提としないライトユーザー向けであるとも言えます。
具体例として、映画の単品レンタル、コワーキングスペースのドロップイン、単発のオンライン講座などがあります。
利用頻度により、収益が変動する可能性があります。
継続課金
利用者が一定期間ごとに料金を支払う方式です。継続的なサービスを利用するヘビーユーザー向けのサービスです。
スポーツジム、サブスクリプション型の定期購入や動画・音楽配信などがあります。
継続的に収益を得られるため、事業の予測が立てやすく、安定性は都度課金よりも高めです。
会員制サービスのメリット
会員制サービスには多くのメリットがあります。ここでは企業側からみたメリットをご紹介します。
収益の安定性
継続課金の会員制サービスは、定期的に収益を見込めるため、事業の計画が立てやすくなります。また、継続的に長期間利用するユーザーが多いため、売上や利益の増加に直結する LTV (顧客生涯価値) が高くなり、企業の成長に大きな影響を与えます。
顧客満足度の向上
会員限定の特典やサービスが受けられ、ブランドとのつながりを感じやすくなります。また、コミュニケーションの機会が増えるため、良好な関係を築きやすく、信頼感が高まります。
顧客データの蓄積と分析
会員の利用履歴や嗜好データを継続的に収集し、それらのデータをマーケティングに活用することができます。また、データを元に、顧客のニーズに合わせたサービスや商品の開発がしやすくなります。
会員制サービスのデメリット
会員制サービスにはいくつかのデメリットもみられます。導入してから慌てないために、どのようなリスクがあるかを前もって理解しておきましょう。
新規会員獲得のコスト
新規顧客獲得には高いマーケティングコストがかかります。特に会員制サービスは、最初の契約を結ぶまでのハードルが高くなりがちなため、特にこの傾向が強く出ることが多いと言えます。
解約リスク
会員制サービスでは、顧客の解約が収益の減少に直結するため、解約率が高い場合は企業にとって深刻な問題となります。そのため、トレンドの商品を提供したり、サービス内容を常にアップデートするなどして、顧客に解約されない努力が必要になります。
サービスの過剰供給
会員数を増やすために、特典や割引を提供しすぎると、コストが重くなり利益を圧迫します。ユーザーも過剰サービスに慣れてしまうと、その後も期待しすぎてしまうことがあり、期待に届かなかった時に満足度が下がり、最悪の場合には解約されてしまうことも考えられます。
会員制ビジネスの設立方法
サービスの選択
ビジネスを開始する前に、提供するサービスの種類や会員の満足度を維持するための特典など、具体的な内容を検討することが重要です。特典の例としては、割引料金、プロモーション、ロイヤルティプログラム、限定コンテンツ、特別イベントなどがあります。
顧客ペルソナの作成
ペルソナを作成することで、ターゲットとする顧客のタイプを明確にできます。性別、年齢、学歴、年収、職業、ライフスタイル、価値観、行動パターンなどを想定し、会員になりやすい人物像を分析します。
請求方法の選択
メンバーサービスの内容によって、従量課金か継続課金かが決まります。サービスの利用頻度が低い場合や 1 回限りの場合は従量課金が適切ですが、継続的に利用するサービスの場合は定期課金が適しています。月額サブスクリプションと 1 回限りの購入を組み合わせたサービスでは、両方の課金方法を併用するのが一般的です。いずれの場合も、サービス内容に最適な課金方法を選択することが重要です。
プラットフォームの選択
会員の管理や請求・利用状況の追跡ができるよう、会員向け決済システムを導入します。会員数が少ない場合は手動での対応も可能ですが、人為的ミスを最小限に抑え、会員数の増加に備えるため、最初から自動化することを推奨します。
プラットフォームはいくつかありますが、Stripe は会員制ビジネスに必要な機能を備えた決済システムです。特に Stripe Billing は、さまざまな請求サイクルを自動化でき、月額料金と年会費の両方に対応しているため、継続課金サービスに適しています。また、幅広い決済手段に対応しているため、ビジネスのグローバル展開も可能です。
マーケティングによる顧客獲得
広告は、メンバーサービスにおいて特に新規会員の獲得に重要です。SNS、リスティング広告、メールマーケティングなど、効果的なマーケティング手段を活用することが求められます。
会員制ビジネスを成功させるポイント
適切な価格設定
商品やサービスの価格は、顧客の満足度や継続率、収益に直結するとても重要な要素になります。
市場調査を行い、競合他社の価格を参考にすると共に、サービス提供にかかるコストを考え、利益を確保できる価格帯を設定します。
高品質なサービス
会員に継続して利用してもらうには、質の高いサービスの提供が鍵となります。
会員だけが参加できるイベントの企画、特別なコンテンツやサービスの提供など、一般顧客との差別化を図ります。
効率的な会員管理
会員の属性や、利用頻度などのデータ分析を行い、利用頻度が低い顧客にリマインドメールを送るなど、長期的な関係を築くための会員管理をしっかりと行いましょう。
会員制ビジネスの成功事例
どのような会員制ビジネスが日本で成功しているか、具体的な事例をいくつかご紹介します。
楽天
日本における巨大 EC モールのひとつである楽天市場を始め、楽天トラベル、楽天銀行、楽天カード、楽天モバイル、楽天証券、楽天リーベイツなど、幅広い分野でサービスを展開している楽天グループは、楽天会員に様々な特典を提供しています。
楽天会員になると、上記の様々なサービスで使用できる共通 ID が発行されます。楽天会員にならなくても楽天のサービスを利用することはできますが、会員になることで楽天ポイントが多く貯められ、その他、各種キャンペーンに参加できます。
ひとつの ID で様々なサービスを利用できるようにし、ユーザビリティを向上させています。また、会員限定の特典を設け、リピート率を上げることに成功しています。
Amazon Prime (アマゾンプライム)
会員費用は年間プラン、月間プランから選べるサブスクリプション型のビジネスモデルで、会員になると配送特典や動画、音楽、電子書籍など対象のデジタル特典を追加料金なしで使える仕組みになっています。
一定料金で複数のサービスを提供し幅広い顧客のライフスタイルをカバーしたこと、会員登録してもらうことで必然的に Amazon での購入頻度を増やせたことが成功のポイントです。
蔦屋書店・TSUTAYA
書籍、文具、雑貨、ゲームの販売と、音楽や映像ソフトのレンタルと販売を行う大型複合量販店です。
TSUTAYA でレンタルするには、まず会員登録する必要があります。また、定額料金を払うことで、動画の視聴ができ、DVD やコミックが借り放題になるサービスもあります。
会員になることで自然とポイントが貯められること、コミックのレンタルなど日本独自のカルチャーに寄り添ったサービスが同店舗に会員を定着させています。
Costco (コストコ)
倉庫型店舗やオンラインで大量の商品を割安で購入できる会員制の大型スーパーです。
Costco の一番の強みは、会員費を払ってもお得だと思わせることができる独自の低価格戦略です。そして顧客に優しい返品ポリシーを採用しており、不良品だけでなく商品に満足がいかなかった場合でもレシートなしで返品が可能です。
商品価格、サービスの良さ、適切な管理のすべてをカバーしていると言えます。
Netflix (ネットフリックス)
動画配信に特化したサブスクリプション型のビジネスモデルで、定額料金を払うことで映画やドラマを見放題で提供する会員制サービスです。
オリジナル作品を制作し、ここでしか見れないコンテンツを提供することで他社との差別化を実現しています。また、日本のアニメやドラマが海外で放映されたり、グローバル展開にも力を入れています。
会員制ビジネスへの実現に向けて
会員制サービスは、顧客との長期的な関係を築き、収益を安定化させるビジネスモデルとして注目されています。しかし、会員制サービスを始めたからと言って、必ず成功するとは限りません。自社サービスの付加価値を提供し、会員の満足度を高めることが成功の鍵と言えます。
また、顧客離れを防ぐためには、顧客のニーズを把握してカスタマイズした体験を提供したり、サービス内容を定期的に更新することが重要なポイントとなります。
顧客の期待に応じたサービスを展開し、会員制ビジネスの可能性をさらに広げてみてください。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。