ファンクラブは従来芸能人や著名人を応援するためのものでしたが、近年では幅広い分野でファンクラブが設立されています。事業者にとってもブランド価値や集客の課題などが解決できる可能性のあるファンクラブですが、会員との関係性をどのように築き、維持していくかが成功の鍵となります。
本記事では、ファンクラブの作り方や運営の仕組みとメリット、そして事業者が注目すべきポイントについて解説します。
目次
- ファンクラブとは
- ファンクラブの作り方
- ファンクラブのメリット
- ファンクラブのデメリット
- ファンクラブ運営のコツ
- ファンクラブについてよくあるご質問
- ファンクラブ運営を成功させるために
ファンクラブとは
ファンクラブとは、アーティストやスポーツチームなど、特定の個人やグループを応援するファンが集まる組織やコミュニティのことです。
ファンクラブの会員になることで、様々な特典を受けることができます。公式ウェブサイトやアプリからの登録が一般的です。
仕組み
ファンクラブに参加するには、まず入会手続きを行う必要があります。その後、会費を払うことで、会員限定の特典を得ることができます。
特典には、ライブやイベントの先行情報やチケットの先行予約、ファンだけが購入できるオリジナルグッズのプレゼント、写真や動画などのデジタルコンテンツの提供が含まれます。
ファンクラブは一般的に運営側からファンへの一方通行的な提供が多いため、より近い距離感で交流ができるようにしたい場合は、オンラインサロンの開設を検討するのが良いでしょう。
入会費
ファンクラブには有料のものと無料のものがありますが、ほとんどが特典を得られる有料のものになります。
有料ファンクラブの会員になるには、入会費と年会費またはサブスクリプションのように月額会費を支払います。
年会費型は、年に一度まとまった金額を支払う形のため、長期間応援したいファンに向いています。また、イベントのチケット抽選が優遇されるなどの特典があるため、ライブに頻繁に参加したい人も年会費型に向いているといえます。
一方、月額会費型は、デジタルコンテンツを中心に提供されるため、動画を見ることが目的の場合や短期的なイベントだけに参加したい人に向いています。
業務内容
ファンクラブの運営では、会員に満足してもらえるような魅力的な企画が必要になります。
それだけでなく、入会や更新手続きを含む会員管理、ファンサイトや決済システムのメンテナンスなども行わなくてはなりません。
主な業務を以下に整理してみました。
- 入会や更新手続きなどの会員管理
- オリジナルグッズや記念品など特典の企画
- ライブやイベントのチケット優先販売
- ファンクラブ限定のコンテンツの作成
- 動画やライブストリーミングなどデジタルコンテンツの配信
- カスタマーサポート
- ファン同士の交流の促進
- ファンクラブの認知度を高めるためのマーケティングやプ- ロモーション
- 会員管理システムや決済システムの管理
- セキュリティ対策
- 経理業務
- 利用規約や商標管理
ファンクラブの運営には幅広い業務が含まれており、専門的なスキルが必要になることが分かります。
ジャンル
ファンクラブと言うと、芸能人のファンクラブのイメージが強いですが、現在では幅広いジャンルでファンクラブが形成されており、芸能人だけでなく、観光地やアニメのキャラクターまでファンクラブが存在します。
実際にどのようなジャンルのファンクラブがあるかご紹介します。
- アイドル
- ミュージシャン
- 俳優
- タレント
- 声優
- 作家
- インフルエンサー
- クリエイター
- 映画監督
- スポーツチームと選手
- 地域おこしキャラクター
- 観光地のファンクラブ
- アニメとそのキャラクター
ファンが集まるファンサイトの作成と運営は、ブランド価値の向上や集客数の増加など、ビジネス的に非常に価値のある施策と言えるでしょう。
ファンクラブの作り方
ファンとの強いつながりがもてるファンクラブの作り方を紹介します。オンラインが活動の中心となるファンクラブは、クラウド型とパッケージ型のどちらかを利用して構築することができます。
クラウド型
インターネットを通じて提供される既存のサービス (ASP) を利用してファンクラブを構築することができます。ASP は、アプリケーションサービスプロバイダの略で、インターネット上でアプリケーションを提供するサービス事業者のことを指します。
- 予算や運営内容を考慮し、プラットフォームを選びます。
- サービスに登録し、必要な契約プランを選択します。
- ファンクラブの名前や特典の内容、料金などを設定し、会- 員向けのコンテンツを作成します。
パッケージ型
PC に直接ダウンロードして使用するパッケージ型ファンクラブの作り方は以下の通りです。
- パッケージ型の会員管理システムを導入します。
- PC にインストールします。
- 利用機能をカスタマイズするタイプの場合は、必要なシステムを設計・構築します。
クラウド型とパッケージ型にはそれぞれ特徴があります。
ファンクラブを作る際に、下記の表を参考にしてみてください。

ファンクラブのメリット
事業者にとってファンクラブの運営は様々なメリットがあります。どのようなメリットがあるか具体的に見ていきましょう。
コアなファンとの関係維持
ファンクラブには通常最も熱心なファンが登録します。ファンクラブを通じて直接的なつながりを持つことで、ブランドロイヤルティを高めることができます。
また、コアなファンが SNS でポジディブな体験を共有すれば、広告にはない信頼性の高い情報が広がります。つまり、ファンと一緒に自然なマーケティング活動が行えます。
追加収益の機会
年会費や月額会費から安定した収益が発生するだけでなく、ファン限定のグッズの販売やイベントからさらに収益を生み出すことができます。会員だけに提供するという付加価値を築くため、商品やサービスの単価を上げることが可能です。
直接的なフィードバック
積極的に対話することで、コアファンからは、質の高いフィードバックを得ることが可能になります。そのフィードバックからインサイト分析を行い、商品やサービスへ展開することができます。
ファンクラブのデメリット
ファンクラブの運営には、多くのメリットがありますが、同時に様々なリスクも伴います。
クレームやトラブルの対応
運営上のミスやシステムのトラブルが発生した場合、適切に対応しないとネガティブな評判が広まってしまい、その後の信頼性を取り戻すのが大変になります。クレームやトラブルが発生した場合のマニュアルを作成し、万が一の事態に備えてきちんと対応できるようにします。
運営コスト
ファンクラブの運営業務は多岐に渡るため、それぞれの分野で専門的な知識が必要になり、様々なコストが発生します。初期のシステム導入時は、開発やスタッフの教育も必要なため、特に資金が必要になります。
会費管理
ファンクラブの会費管理は運営の安定性に直結するため、きちんと処理しておかなければならない重要な要素ですが、未払いが発生したり、更新手続きがスムーズにいかなかったりなどのデメリットがあります。
このような会費管理の課題は、決済代行サービスを導入することで改善することが可能です。
たとえば Stripe Billing のような決済ツールを導入することにより、ファンクラブの年会費や月額会費の請求、請求書の発行や顧客の管理を効率よく簡単に行うことができます。Stripe Billing はサブスクリプション型のビジネスをサポートする多くの機能を提供しているため、ファンクラブ運営にも非常に適しています。
ファンクラブ運営のコツ
ファンとの交流を深めながらブランドイメージを向上させることができるファンクラブですが、押さえておきたいいくつかのポイントがあります。会員にファンクラブに入っている価値を実感させるように工夫しましょう。
会員限定の特典を充実させる
ファンに喜んでもらえる様々な会員特典を用意し、ファンを飽きさせない工夫が必要です。
芸能人であれば、一般には公開しない動画や写真の提供、ファンクラブに入らなければ参加できないオフラインのイベントの開催など、特別感を演出します。
チーム内での役割分担を明確にする
ファンクラブの運営を効率的に行うために、チーム内で役割を明確にしましょう。人手不足であったり専門的な知識を持つスタッフがいない場合は、運営の質を落とさないために外注に出すことも考えます。
ファンエンゲージメント
ファンの声を大切にします。アンケート、フォーラム、SNS などを活用し、アンケート調査を行いフィードバックをもらい、会員の声を運営に反映させることができれば会員の満足度もあがるでしょう。
たとえば、ファンが企画したイベントを一部次回に取り入れるなどすれば、ファンとの絆を一層深めることができます。
ファンクラブについてよくあるご質問
ファンクラブの会費はいつ払いますか?
- 入会費 - ファンクラブに入会するために必要な費用で、入会時に一度だけ払います。
- 年会費 - 入会時に 1 年分を一括で払います。その後は毎年更新します。
- 月額会費 - 入会時に 1 か月分を払います。それ以降は、毎月決められた日に支払います。
ファンクラブの会費の支払い方法は何ですか?
ファンクラブにより使える支払い方法は異なりますが、一般的に以下の決済方法が多く利用されています。
- クレジットカード
- コンビニ払い
- 銀行振込
- キャリア決済
ファンクラブの会費はいくらぐらいですか?
ファンクラブのジャンルにより違ってきます。
一般的に、アーティストのファンクラブは年会費 5,000 〜 6,000 円位が多く、スポーツチームは 3,000 〜 10,000 円位、中でもプレミアム会員は 20,000 〜 50,000 円とさらに高額になります。
ファンクラブ運営を成功させるために
事業者にとって、ファンクラブを作ることは、収益や集客数の増加を見込める非常に価値のある施策と言えます。
ファンクラブを成功させるには、会員限定の魅力的な特典とコンテンツの提供はもちろんのこと、ファンとのコミュケーションを重視し、ファンの声を取り入れることも大切です。
また、個人情報を扱うため、管理を的確に行う必要があります。支払いや会員管理を正しく行うためにセキュリティの高いシステムを導入し、信頼できる運営体制を構築しましょう。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。