テキサス州はビジネスに適した環境なうえ、経済が急成長を遂げており、多くの起業家や既存企業によるテキサス州での法人設立を促しています。2023 年の新規ビジネスの合計数でテキサス州はアメリカで第 3 位でした。同年の上半期だけで開業数は 5 万件を超えており、イノベーションと経済成長の中心としてテキサス州の魅力が高まっていることが分かります。
このガイドでは、要件、コスト、テキサス州で法人を設立するメリットなど、テキサス州での法人設立プロセスについて知っておくべきことをご説明します。また、登録代理人の任命から取締役の選任、内規の策定まで、法人設立プロセス全体をご案内します。
この記事の内容
- 株式会社設立のメリット
- テキサス州で法人を設立するための要件
- テキサス州で法人を設立するためのコスト
- テキサス州で法人を設立する手順
株式会社設立のメリット
株式会社を設立する場合、他の事業形態よりも規制要件が多いうえ、多数の管理作業が必要になります。その一方で、ビジネスを成長させ、投資家を引き付け、自分の所有権を保護したいと考えている事業主などにとっては、メリットが課題を上回ることが多々あります。株式会社の具体的なメリットを以下にご説明します。
責任の制限: ビジネス上の負債や債務に対し、株主の個人資産 (住宅や貯蓄など) が保護されます。株式会社が法的問題を抱えたり、倒産したりした場合でも、通常、株主の個人資産が脅かされることはありません。
永続的な存在: 株式会社は永続的な存在であり、株主の株式売却、死亡、引退によって所有者が変わっても事業が継続します。
所有権の移転: 株式会社の株式は簡単に移転可能です。そのため、持分権の売却が促され、投資家をより引き付けることができます。
資金調達の機会: 株式会社は株式、株券、債券を発行して資本を増やし、公開資本市場にアクセスすることができます。そのため、株式会社は事業活動のために多彩な資金調達方法を利用できます。
税制上のメリット: 株式会社は、営業費用、給与、福利厚生に関して、さまざまな課税控除や税額控除を受けられる場合があります。また、管轄区域によっては法人税率が個人所得税率を下回っており、全体の税負担が軽減されます。
信頼性の向上: 法人化によって事業者の信頼性と評判が高まるため、顧客、パートナー、従業員を引き付けやすくなります。株式会社は厳格な規制要件とガバナンス基準の遵守が義務付けられているため、ステークホルダー間の信頼が高まります。
ストックオプションと株式プラン: 株式会社はストックオプションなどの株式ベースのインセンティブを設けることで、優秀な人材の引き付けや維持を促進できます。
集中管理: 株式会社には、役割と責任が明確に定義された体系的な管理体制と、主要な意思決定を行う取締役会が設けられています。
拡大: 株式会社はフランチャイズ化や子会社の設立によって簡単に拡大できるため、新しい市場や地域への進出が可能です。また、合併や買収を行うための法的枠組みが整備されているため、事業の拡大や多様化を素早く行うことができます。
テキサス州で法人を設立するための要件
株式会社を設立するための要件はアメリカ国内でほぼ共通していますが、テキサス州だけが設けている要件もいくつかあります。
事業免許税: テキサス州で株式会社の設立や事業運営を行う場合、年間総収入が所定の基準額を超えると事業免許税が課されます。2024 年の時点で、この基準額は 247 万ドルです。
必要資本金: 他の州とは異なり、テキサス州には株式会社を設立するための最低資本金要件が設けられていません。そのため、株式会社の設立にかかる初期投資が比較的少なく済みます。
命名要件: 他の州と同様に、テキサス州にもビジネス名の命名要件が設けられています。たとえば、テキサス州の場合、会社名における特定の単語や語句の使用に関する規則が設けられています。具体的な例として、「銀行」という単語を使用するにはテキサス州銀行局から承認を得る必要があります。
別名 (DBA) 要件: 法人名と異なる名称で営業する予定がある場合は、別名証明書 (「商号」や「DBA」とも呼ばれます) を郡書記官に提出しなければなりません。
設立証明書の条項: テキサス州の設立証明書には、授権株式数や額面価格の指定などの条項を規定しなければなりません。同様の要件を設けていない州もあります。
テキサス州で法人を設立するためのコスト
テキサス州での株式会社設立にかかる総コストは、選択した方法や弁護士の雇用の有無によって数百ドルから数千ドルに上ります。さまざまなサービスプロバイダーを調査して価格を比較し、具体的なニーズを考慮して最もコストパフォーマンスの高いサービスプロバイダーを選ぶことが望ましいです。また、テキサス州務長官のウェブサイトには公式の手数料表が掲載されています。
テキサス州での法人設立にかかる必須コストには、申請手数料や登録代理人手数料などがあります。そのほか、以下のコストと手数料が発生する可能性もあります。
名称予約手数料: 申請前に、希望する名称を 120 日間予約するための手数料。
認証謄本手数料: 提出書類の認証謄本を取得するための手数料 (ページ単位)。
特急申請手数料: 書類事務にかかる時間を短縮するサービスの手数料。
別名 (DBA) 申請手数料: 事業を行う各郡で DBA を申請するための手数料。法人名とは異なる名称で営業する場合のみ、この手数料がかかります。
弁護士報酬: 弁護士を雇って法人設立プロセスのサポートを受ける場合、その弁護士に支払う報酬も法人設立プロセスに考慮します。
テキサス州で法人を設立する手順
正式に法人を設立するには、フォーム 201 (設立証明書—営利法人向け) に記入してテキサス州務長官に提出し、関連する申請手数料を支払う必要があります。フォーム 201 はオンライン、メール、対面で提出できます。提出にあたり、以下の情報を提供する必要があります。
会社名: 申請前にテキサス州務長官のオンラインデータベースを調べて、希望する会社名が使用可能であり、名称が酷似する既存法人が存在しないことを確認します。会社名を付ける際は、命名規則に準拠したうえで、「Corporation」、「Incorporated」、「Company」などの法人指定または「Inc.」や「Corp.」などの略語を含めなければなりません。
登録代理人: 登録代理人の名称と住所。登録代理人には、テキサス州に居住する個人またはテキサス州での営業を許可されている事業体がなることができます。
登録事務所: 登録代理人が営業時間中に法的文書を受領できるテキサス州内の住所。私書箱を指定することはできません。
取締役: 会社の主要な意思決定を監督し、方針を決定する取締役会のメンバーの名前と住所。テキサス州の場合、少なくとも 1 人の取締役が必要です。
目的条項: 会社の総合的な目的。ほとんどの会社は、「テキサス州事業組織法に基づき会社を編成できる合法的な活動に従事すること」といった大まかな目的条項を定めています。必要に応じて、より詳細な目的を定めることもできます。
組織者: 設立証明書の作成責任者である組織者の名前と住所。組織者には、単一または複数の個人や事業体がなることができます。
申請が完了したら、最初の取締役会を開催して組織に関する以下のタスクを実施します。
内規の承認: 内規を正式に承認します。内規には、取締役と役員の役割と責任、会議の手順、その他の経営上の規則など、会社の内部統制を記載します。
役員の選任: 主な役員職 (例: 社長、会計役、秘書役) を務める人物を任命します。
株式の発行: 最初の株主に対する株式の発行を承認します。
会計年度の設定: 会社の会計年度を定めます。
上記のタスクが完了したら、管理に関する以下のタスクを実施します。それにより、テキサス州での完全な営業が可能になります。
株式の発行: 株券を用意し、最初の株主に配布します。株式の所有者と移転を記録するため、株式元帳を管理します。
必要な免許と許可の取得: 雇用主識別番号 (EIN) を IRS に申請します。また、事業活動に応じて必要となる州や地方の営業免許・許可を取得します。
テキサス州事業免許税への登録: テキサス州会計検査官に対し、テキサス州事業免許税への登録を行います。毎年、事業免許税報告書と併せて、公開情報報告書 (PIR) をテキサス州会計検査官に提出する必要があります。
会社の銀行口座の開設: 会社の資金を管理するため、ビジネス用銀行口座を開設します。通常、ビジネス用銀行口座の開設には EIN、設立証明書、内規の写しが必要です。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。