非営利有限責任会社 (gGmbH) とは、慈善事業セクターで事業を運営し、責任の制限と課税減免のメリットを享受しようとする企業に選ばれる法人形態の一種です。この記事では、gGmbH とは何かを説明し、設立にあたり満たさなければならない条件など、gGmbH の設立方法についてご説明します。また、gGmbH のメリットとデメリットの概略、非営利事業に適した gGmbH 以外の法人形態についてもご説明します。
この記事の内容
- gGmbH とは
- 非営利事業目的とは
- gGmbH の設立にあたって満たさなければならない要件
- gGmbH の設立方法
- gGmbH の税制上のメリット
- gGmbH の責任者
- gGmbH の代替となる法人形態
- gGmbH のメリットとデメリット
gGmbH とは
gGmbH とは非営利有限責任会社を指します。非営利目的を追求する企業が採用する特殊な形態の GmbH です。持続可能性への注目が高まり続けるビジネス環境で、gGmbH は人気のある法人形態です。特に、社会問題への取り組みを目的とするスタートアップから選ばれています。協会 (Verein) や財団 (Stiftung) とは異なり、gGmbH は利益の創出を目的としています。ただし、利益をその gGmbH が事業目的とする慈善に役立てなければなりません。gGmbH は GmbH の経済面でのメリットと非営利法人法の税制上のメリットを組み合わせた法人形態です。
非営利事業目的とは
gGmbH の設立時の重要な要件として、事業が非営利目的を追求するものでなければなりません。その具体的な定義や満たさなければならない指標については、立法機関が税法に定めています。
原則として、gGmbH の事業目的は非営利的、慈善的または宗教的な目的とする必要があります。具体的には、地域社会に対して物質的、精神的または道徳的に貢献する活動 (税法第 52 条)、無私無欲で個人を支援する活動 (税法第 53 条)、宗教団体を振興する活動 (税法第 54 条) を指します。これに該当する活動は、環境保護や動物愛護、芸術や文化の振興、青少年や老人の医療・介護、礼拝所の建設など、多岐にわたります。ただし、実施できるのは特定の事業目的と明確な関連性がある活動に限られます。たとえば、gGmbH が定款で種の保護を明確に表明している場合、それと並行して高齢者の貧困対策に取り組むことはできません。排他性の原則に反することになります (税法第 56 条)。
非営利とみなされるための原則は他にもあり、企業は無私無欲で活動することが求められます。gGmbH が生み出した利益は、特定の非営利事業目的のために使用しなければならず、企業自身の経済的利益を優先してはなりません (税法第 55 条)。財団、非営利団体、gUG (非営利 UG)、他の gGmbH などが受益者となることができます。また、事業活動を社内で実施する必要があります。このため、第三者に業務を委託することはできません。ただし、限られた枠組みの範囲で補助者にサポートを求めることが認められています (税法第 57 条)。
gGmbH が非営利目的の要件をすべて満たしている場合、管轄税務当局から非営利資格が付与されます。企業に要件が確実に遵守されるようにするため、非営利資格は常に暫定的なものとして扱われます。非営利資格は 1 暦年に遡及して付与されます。違反があり、非営利資格が撤回された場合、高額の滞納税を課される場合があります。
gGmbH の設立にあたって満たさなければならない要件
gGmbH の基本原則は事業目的が非営利であることです。この目的を明確に定義し、基本定款に正確に明記する必要があります。事業目的が非営利であると税務当局ら認められなかった場合、gGmbH を設立することはできません。このことは、有益な貢献を追求するだけでなく、自身の経済的成功も求めて活動する社会起業家や事業者に特に関係します。
gGmbH を設立するには、1 人以上のパートナーが必要です。パートナーの人数に制限はないため、複数人でチームを組むことができます。
もう 1 つの重要な要件として最低資本金があります。現在の最低資本金は 2 万 5,000 ユーロに設定されています。gGmbH の設立時に、この株式資本の半分以上が利用可能である必要があります。ただし、有形投資を考慮に入れることができます。たとえば、不動産、機械、車両などが有形投資に該当します。
gGmbH の設立方法
gGmbH は以下の数ステップで設立できます。
- 基本定款の作成: 基本定款では、特に gGmbH の名称と登記上の事業所、株式資本の額、各パートナーの所有株式、発生する責任と利益分配に関する規定などを定めます。さらに、事業目的と社会的目標を明確に定義しなければなりません。基本定款に記載する情報の完全性と正確性を保証するため、法的助言を求めることをお勧めします。公証を受ける前に、管轄税務当局に書類を提出して、非営利資格の要件を満たしているかどうかを確認する審査を受けることができます。
- 基本定款の公証: 次に、公証人から基本定款の認証を受けなければなりません。公証プロセスの一環として、株主全員が署名を行う必要があります。
- 株式資本の供託: 次のステップとして、パートナーが自身の株式資本を企業の銀行口座に入金します。必要な 25,000 ユーロの半分以上が入金されたことを示す証明が提出されると直ちに、公証人によって管轄地方裁判所の商業登記簿にその企業が登記されます。公証から登記簿への登記までの期間、gGmbH は設立プロセス中であることを意味する「i.G.,」という追加称号を付与して運営します。登記簿への登記が完了すると、数日以内に登記簿の関連部分の抜粋が企業に届きます。
- 企業の登録: パートナーは、該当する通商事務所に gGmbH を企業として登録する必要があります。
- 税務登録書への記入: 税務当局から税務登録書を郵送で返送するよう求められます。このプロセスを完了するには、gGmbH は基本定款、商業登記簿の抜粋、企業登録の確認書を提出する必要があります。また、それと併せて、貸借対照表期首残高と設立から数年間の取引の利益予測も提出しなければなりません。
- 商工会議所 (IHK) または手工業会議所 (HWK) への登録: 企業登記が完了すると、商工会議所 (IHK) または手工業会議所 (HWK) から企業に連絡があります。パートナーはこの連絡に従って gGmbH を登録し、会費を支払う義務を負います。
gGmbH の税制上のメリット
まず、gGmbH には従来の GmbH と同じ税制上のメリットがあります。次に、非営利資格により、さらなる財務上のメリットがあります。ただし、このメリットが適用されるのは、非営利事業の過程で提供されるサービスに限られます。通常の事業運営で提供されるサービスの税制上の扱いは、従来の GmbH と同じです。勘定をまとめる場合、各種のサービスを適切に区別する必要があります。
gGmbH の非営利サービスには法人税と営業税が課税されません。さらに、サービスの多くは付加価値税 (VAT) が免除されるか、7% の軽減税率が適用されます。購入した不動産を gGmbH の非営利目的のために使用する場合、固定資産税が免除されます。他のメリットとして、非営利 GmbH は、寄付の受け付け、および節税に有効な寄付金領収書の発行を可能にする認可を税務当局から受けることができます。最後に、gGmbH は贈与税と相続税も免除されます。
gGmbH の責任者
責任に関しては gGmbH と従来の GmbH との間に違いはなく、責任は企業資産に制限されます。つまり、gGmbH の株主の責任はそれぞれが拠出した資本に限定され、個人資産には及びません (有限責任会社法第 13 条を参照)。ただし、この限定が適用されるのは、株主が注意義務に違反していない場合に限られます。危機的状況のために gGmbH が解散した場合、その gGmbH の現物出資も責任対象として扱われる場合があります。このような責任の限定は、企業が商業登記簿に登記された時点で有効になります。
gGmbH の代替となる法人形態
企業が非営利サービスを提供しようとする場合は、gGmbH 以外にも検討すべき法人形態があります。代替となる法人形態として、gUG、登録協会、財団が挙げられます。
非営利有限責任事業会社 (gUG) と gGmbH の主な違いは、必要な株式資本の水準です。gUG の場合、必要な株式資本は株主あたり 1 ユーロだけです。財源が限られている株主から人気の高い法人形態です。ただし、gUG は年間利益の 4 分の 1 を予備金として保持することが義務付けられます。この規制は、gUG の本源的預金が 2 万 5,000 ユーロに達するまで適用されます。この金額に達すると、gUG は gGmbH に転換できます。責任の範囲を企業資産のみに限定する制限は gUG にも適用されます。
ほかに gGmbH の代替となる他の法人形態として登録協会 (略称: e.V.) があります。gGmbH は責任の制限が可能であり、ビジネスパートナーとなり得る企業からの評判が良いことから、gGmbH の方が選ばれています。さらに、gGmbH の場合、株主が意思決定権を有するため、自社の戦略をより効率的かつ敏速に実行できます。一方、登録協会の場合、個々のプロジェクトの意思決定に関して協会のすべてのメンバーが投票権を有します。ただし、登録協会には資本の蓄積が不要というメリットがあります。
企業はまた、財団によって非営利目的を追求することもできます。ただし、財団を設立するには、gGmbH よりも多くの条件を満たす必要があります。財団を設立するためのプロセスは複雑なうえ、地域の管轄当局から承認を得る必要があります。さらに、財団の目的を達成するために財団の資本を使用できないという違いもあります。財団の資本から生じた収入だけを投資に利用できます。逆にいえば、財団の資本拠出は手付かずのまま保全されます。
gGmbH のメリットとデメリット
この記事で取り上げた gGmbH のメリットとデメリットを以下にまとめました。
メリット
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デメリット
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法的に認められた形態を持ち、非営利団体としてのステータスを確立している組織 | 確固とした事業目的 |
ビジネスの設立に必要なのは、個人 1 名のみ | 売上は事業目的に充当される |
専門的な構造と意思決定プロセス | 複雑で時間がかかる設立プロセス |
非課税とメリット | 最低資本金 2 万 5,000 ポンド |
責任の制限 | |
寄付を受け付ける機能 |
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