消費税とは、事業者が消費者に代わって間接的に国に納める税金です。
そのため、消費税は基本的に消費者が負担するものではありますが、商品やサービスの購入時に事業者が消費税を受領することによって、回収した消費税を納税する義務が発生します。
課税事業者が消費税を適切に納付するためには、納めるべき税額を各自で計算したうえで税務署に納税する必要があります。したがって、消費税の計算方法を正しく理解したうえで適切に手続きを進めることが大切です。
本記事では、日本の確定申告に用いる消費税の計算方法として、本則課税方式、簡易課税方式に加え、2 割特例の計算式についてわかりやすく解説します。
目次
- 消費税の計算方法とは?
- メインとなる 2 つの消費税の計算方法 & 2 割特例
- 消費税の計算方法を正しく理解して確定申告を行うために
- よくある質問
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消費税の計算方法とは?
冒頭の解説のように、消費税は、消費者の代わりに事業者が納める税金です。そのため、課税事業者は消費者から受け取った消費税を、所轄の税務署に必ず納めなければなりません。
納める金額については原則として、仕入税額控除の適用分が事前に差し引かれます。つまり、消費税の計算方法とは基本的に、「課税売上にかかる消費税」から「課税仕入れなどにかかる消費税」を差し引いたものであることを覚えておきましょう (のちほど「本則課税方式」にて詳しく解説します)。
消費税の課税標準額とは?
まず、消費税の計算方法を理解するうえで、消費税の課税標準額についても押さえておく必要があります。
消費税の課税標準額とは、日本国内での取引における課税資産の譲渡等の対価の額 (※) をいいます。商品やサービスにかかる消費税額は課税標準に税率をかけて算出されるため、課税標準額は、納付する消費税額を計算する際の基礎となる金額になります (参考資料: 国税庁『課税標準』)。
わかりやすくいうと、消費税と地方消費税を含まない「税抜きの課税売上高 (課税取引の売上高) 」が課税標準額ということになります。
(※) 課税資産の譲渡等の対価の額とは、資産の譲渡、資産の貸付け、役務 (サービス) の提供の対価として受け取る金額のことで、金銭以外に権利や経済的利益を受け取る場合もあります。
メインとなる 2 つの消費税の計算方法 & 2 割特例
消費税の確定申告の際は、正確な納税金額を算出する必要があります。
国税庁によると、事実と異なる申告や、申告に遅れがあった場合は加算税や延滞税などの附帯税が課せられる恐れがあるため、申告期限に間に合うよう余裕を持って準備を始めることが大切です。
消費税の納付額の計算方法については、各事業者の状況によって選ぶ方法が異なり、「本則課税方式」と「簡易課税方式」の 2 種類があります。この 2 種類の計算方法に加えて、任意で免税事業者から課税事業者になった事業者を対象に、インボイス制度の経過措置として設けられている 2 割特例を用いた計算方法もあります。
本則課税方式
本則課税方式は、仕入税額控除を適用する一般的な計算方法として、業種に関係なくどの事業者も使用できます。別名「一般課税」、「原則課税」とも呼ばれます。簡易課税方式
簡易課税方式は、比較的小規模の事業者に配慮した計算方法です。本則課税方式と比べて計算方法が簡便化されているため、より簡単に納税する消費税額を計算できます。2 割特例
もともと免税事業者から自らの意思でインボイス制度に登録して課税事業者となった場合に適用可能な 2 割特例では、消費税の納税額を売上にかかる消費税額の 2 割に軽減させることができます。適用期間は、インボイス制度開始後の 2023 年 (令和 5 年) 10 月 1 日 から 2026 年 (令和 8 年) 9 月 30日までに属する課税期間となるためご留意ください。
それぞれの方式による消費税の計算について、以下にご紹介します。
本則課税方式
本則課税方式による消費税の税額計算方法では、「課税売上高にかかる消費税額」から、事業者が「仕入れや経費にかかった消費税額」を差し引いて納税額を算出します。この差し引きのことを仕入税額控除と呼びます。
本則課税の計算式
- 課税売上高にかかる消費税額 − 仕入れ・経費にかかる消費税額 = 消費税の納付額
注意点として、消費税を計算する際は、10%、8% の税率ごとに区分して計算する必要があります。また、取引のうち、非課税取引がある場合は、それらの取引を除いて計算します。
このように、売上高や仕入れの際に複数の税率の商品が混在していると、特に細かい取引を日々取り扱う事業者の場合、計算が煩雑になる恐れがあります。さらに、現行のインボイス制度のもとで適格請求書を受け取ることができなかった場合、仕入税額控除の適用を受けられず、申告時の計算がさらに複雑になる可能性があります。
そこで、事業者が条件を満たしている場合に限られますが、より簡単な消費税の計算方法となる簡易課税制度を用いることができます。
簡易課税方式
簡易課税方式とは、「課税売上高にかかる消費税額」と「みなし仕入率」のみで納税額を計算する方法です。
消費税額の簡易な計算方法として知られている簡易課税方法は、基準期間の課税売上高が 5,000 万円以下の課税事業者のみ選択することが認められています。
また、簡易課税方式を選択するためには、課税期間の開始日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を管轄の税務署に提出する必要があります。そのため、たとえ基準期間の課税売上高が 5,000 万円以下の場合でも、届出の手続きを事前に済ませないと簡易課税方式の適用を受けることができないので注意しましょう。
なお、簡易課税方式は、上述のように「みなし仕入率」を用いて消費税の納付額を計算します。ただし、その率は事業区分によって異なるため、注意が必要です。
事業区分ごとのみなし仕入率は以下のとおりです。
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事業区分
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みなし仕入率
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該当する事業
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|---|---|---|
| 第 1 種事業 | 90% | 卸売業 (他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業) をいいます。 |
| 第 2 種事業 | 80% | 小売業 (他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第 1 種事業以外のもの)、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業)をいいます。 |
| 第 3 種事業 | 70% | 農業・林業・漁業 (飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業 (製造小売業を含みます)、「電気・ガス・水道事業」は電気業、ガス業、熱供給業および水道業をいい、第 1 種事業、第 2 種事業に該当するものおよび加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。 |
| 第 4 種事業 | 60% | 第 1 種事業、第 2 種事業、第 3 種事業、第 5 種事業および第 6 種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業などです。なお、第 3 種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第 4 種事業となります。 |
| 第 5 種事業 | 50% | 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます)をいい、第 1 種事業から第 3 種事業までの事業に該当する事業を除きます。 |
| 第 6 種事業 | 40% | 不動産業 |
参考資料: 国税庁『簡易課税制度の事業区分』
簡易課税の計算式
- 課税売上高にかかる消費税額 − (課税売上高にかかる消費税額 × みなし仕入率) = 消費税の納付額
例: 小売業を経営する事業者の課税売上高が 3,000 万円で、課税売上高にかかる消費税は 10% のみで軽減税率の適用がない場合
上記の表のとおり、小売業のみなし仕入率は 80% となります。したがって、簡易課税の計算式を用いると、消費税の納付額は次のようになります。
- 3,000 万円 × 10% − 3,000 万円 × 10% × 80% = 60 万円
簡易課税方式では、非課税取引を区分する必要がなく、通常の課税方式よりも消費税の計算がシンプルなため、会計業務の負担が軽減されます。通常の課税方式とは異なり、インボイス制度の影響を受けず、請求書などの書類も不要なため、免税事業者との取引はこれまでどおり継続できます。
ただし、仕入消費税額が多く、みなし仕入比率で計算した場合、仕入税額控除を使用する通常の課税方式よりも実際に納付する消費税額が高くなることがあります。また、簡易課税方式を選択した場合は、2 年以上継続して適用する必要があります。
売上税の計算方法を選択する際は、ビジネスの見通しや事業計画に基づいて、状況に適した方法を選ぶことが重要です。
20% 特例を使用した消費税の計算
インボイス制度の経過措置として導入された 20% 特例は、免税事業者から課税事業者に転換した事業者に適用されます。売上税の申告時には、20% 特例を適用したことを示す明細書を申告書に添付する必要があります。
参考資料: NTA「消費税 20% 特例および地方消費税確定ガイド」
20% 特例の計算式
- 納付消費税額 = 課税売上に係る消費税額 × 20%
例: 課税売上高が ¥8,000,000、課税売上に係る消費税が ¥800,000 (10%)、税抜仕入れに係る消費税が ¥200,000 (10%) の場合
- ¥800,000 × 20% = ¥160,000
同じ条件で通常の課税方式により納付消費税額を計算すると、¥600,000 となり、以下のとおり 20% 特例を大幅に上回ります。
- ¥800,000 - ¥200,000 = ¥600,000
免税事業者が課税事業者に転換して適格請求書発行事業者となる場合は、所定の欄にチェックを入れて適格請求書発行事業者の登録申請を行うか、(2023 年 10 月 1 日から 2029 年 9 月 30 日までの課税期間のみ) 消費税課税事業者選択届出書を提出する必要があります。
個人事業主などの免税事業者は、メリットとデメリットをそれぞれ考慮したうえで、事業規模や損益に基づいてインボイス制度への登録を慎重に検討する必要があります。
消費税の計算方法を正しく理解して確定申告を行うために
以上、消費税の計算方法について解説しました。
消費税の計算方法には、本則課税方式、簡易課税方式の 2 種類に加え、一定期間において設けられた2割特例があります。消費税の納税が義務付けられている課税事業者は、正しい税額を納めるためにも、これらの消費税の計算方法を理解し、確定申告に備えるようにしてください。
これまで免税事業者であった事業者が、インボイス制度への対応を目的に新たに課税事業者となった場合は、有効期間中において 2 割特例を活用するとよいでしょう。
また、時代の変化とともに DX 化への取り組みがますます必要とされている今日においては、消費税に関する事務作業をスムーズかつ効率的に行うために、複数の税率に対応した計算ソフトを用いたり、経理を自動化する機能を導入を検討してみるのも対応策の 1 つと言えるでしょう。
Stripe では、ニーズに応じてカスタマイズが可能な消費税の自動計算機能を備えた Stripe Tax を提供しています。すべての電子取引において税務処理が自動化されるので、業務効率のアップを実現できます。
よくあるご質問
Q: 内税 (税込価格) から消費税を計算する方法
A: 消費税申告書に必要な計算方法は、課税標準額 (税抜の課税対象売上) を基準にします。また、元の価格に売上税を加算した「内税」の商品価格から消費税を計算する方法を把握しておくと役立ちます。
内税の場合、商品価格を (1 + 税率) で割ります。これにより税抜価格を算出し、該当する税率を掛けることで売上税を求めることができます。
たとえば、標準税率 10% で内税が ¥11,000 の商品の計算式は次のとおりです。
- 税込価格 ¥11,000 ÷ (1 + 0.1 [税抜価格の計算]) × 税率 10% (0.1) = ¥1,000
消費税が軽減税率で 8% の場合の計算式は、商品価格を 1.08 で割ります。
- 税込価格 ¥10,800 ÷ (1 + 0.08 [税抜価格の計算]) × 税率 8% (0.08) = ¥800
Q: 消費税の対象となる取引
A: 日本で消費税を納付しなければならない課税取引には、国内で行われる取引や事業者が行う取引など、いくつかの要件があります。詳しくは、関連記事「課税対象の消費税取引とは」をご覧ください。
Q: 消費税の申告・納付期限はいつですか?
A: 売上税の申告と納付の期限は同じで、法人の場合は事業年度終了の翌日 (事業年度の最終日) から 2 カ月以内です。たとえば、事業年度が毎年 4 月 1 日に始まり毎年 3 月 31 日に終わる場合、納付期限は毎年 5 月 31 日です。
一方、個人事業主の場合、申告期限は翌年の 3 月 31 日 (土日に当たる場合は翌月曜日) です。所得税の申告期限 (3 月 15 日) とは異なるため、注意が必要です。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。