世界中の対象者に向けて教育コンテンツやコースを開発するオンラインクリエイターは、インターネット経済で成長し続けている分野です。クリエイターエコノミー業界は、世界中で 3 億人もの人を雇用し、その価値は 2,500 億ドルと評価されています。また、専門家は継続的な成長を予測しています。2026 年までに、世界の e ラーニング業界は約 4,600 億ドルの価値になるでしょう。

オンラインクリエイターは、ビジネスオーナー、起業家、コーチ、クリエイター、教育者、トレーナーなどいずれの場合でも、ソーシャルメディア、ウェブサイト、マーケットプレイスプラットフォームを通じて無限のリーチを得られます。インターネット経済により、カナダの教育者は、南アフリカ、マレーシア、ブラジル、アメリカの受講者にコースを教えることができます。ビジネスを成長させる一方で、教育や学習用製品をオンラインで販売する際には、特にインターネット経済に後れを取らぬよう規制が進化していくため、微妙な差異がある世界中の売上税法を遵守するという非常に面倒な処理を管理する必要があります。

税務当局は、クリエイターと顧客の所在地、コースやデジタル学習製品の形式 (録画済みまたはライブ)、販売に利用しているプラットフォームやマーケットプレイスによって異なる、新しい法律を施行し続けています。

このガイドでは、オンラインコンテンツ、コース、その他の学習製品を開発および販売するクリエイターの税務コンプライアンスの義務について説明します。このガイドでは、別の税カテゴリーに属する物理的な商品やスポンサーサービスには焦点を当てていません。この情報の大部分は、アメリカとカナダに拠点を置くクリエイター、またはこれらの国の顧客に販売しているクリエイターに関するものです。私たちの目標は、会社を経営して税理士と連携している場合でも、初めてのオンラインコースを開始したばかりの場合でも、複雑で進化し続ける税務環境でコンプライアンスを遵守する方法を理解できるようにすることです。

アメリカとカナダの税制の概要

カナダ

カナダの税金に関する規制はすべて、カナダの 10 の州と連邦政府のそれぞれによって設定されています。物品サービス税 (GST) は全国的に適用され、すべての州で課税されます。国全体で見ると、州レベルの税はそれぞれ大きく異なりますが、ニューブランズウィック州、ニューファンドランド・ラブラドール州、ノバスコシア州、オンタリオ州、プリンスエドワードアイランド州の 5 つの州は同じ税率を適用して GST に追加し、州税と連邦税の両方を含む統一売上税 (HST) を創設しています。

その他の州の売上税 (PST) の税率は範囲が大きく異なります。ブリティッシュコロンビア州、マニトバ州、ケベック州、サスカチュワン州の州政府はすべて、独自の州売上税を個別の税率で徴収しています。アルバータ州、ノースウエスト準州、ヌナブト準州、ユーコン準州の 4 つの州では、州の売上税を適用していません。

アメリカ

アメリカには、連邦レベルの売上税と使用税はありません。州、郡、地区、地方の都市や町など、11,000 を超える税務管轄区域の当局職員が、各管轄区域の独自の規制を施行しています。法律自体が異なるだけでなく、職員が税法の説明に使用する言葉も異なります。

州が売上税を説明する際に使用する用語の概要を以下に示します。

アラスカ州、デラウェア州、モンタナ州、ニューハンプシャー州、オレゴン州の 5 つの州には州の売上税はありませんが、一部の州では、特定の種類の取引や製品に適用されるその他のさまざまな手数料があります。

いくつかの州では、地方自治体が自ら税金を徴収するかどうかにかかわらず、税率と徴収に対する追加の管理権を地方自治体に与えています。たとえば、コロラド州の自治制度は、国内の他のどの州よりも地域社会に多くの権限を与えています。市や町は、どの商品やサービスに税金を課すか、またいくら請求するかを決定します。

クリエイターの登録義務

カナダ

カナダ歳入庁 (CRA) は、カナダの顧客に販売するオンラインクリエイターに対し、居住地にかかわらず納税義務を遵守することを義務付けています。カナダのクリエイターがカナダの顧客に直接販売した場合の総収入が、1 四半期または過去 4 四半期連続で 30,000 カナダドルを超えると、GST/HST の登録が必要になります。

この規制は、カナダの GST/HST の対象となるコンテンツにのみ適用され、免除された売上には適用されません。マーケットプレイスでの売上も、このしきい値にはカウントされません。登録すると、GST/HST アカウントの接尾辞 RT 0001 が付いた一意の 9 桁のビジネス番号 (BN) がクリエイターに付与されます。

カナダ国外に拠点を置くクリエイターも、カナダの顧客への直接販売が 12 か月間に 30,000 カナダドルを超える場合、GST/HST の登録が必要になります。マーケットプレイス運営者がクリエイターに代わって税金を徴収する場合、その売上は登録基準額にカウントされません。外国企業は、簡素化された登録プロセスの恩恵を受けます。

別個の税金を徴収する 4 つの州に拠点を置くクリエイター、またはそれらの州に所在する顧客に販売するクリエイターも、これらの地方自治体に別途登録する必要があります。登録後、該当する税金を請求し、CRA および関連する州に納付する必要があります。

アメリカ

アメリカでは管轄区域をまたいで税務コンプライアンスの義務が複雑かつ多様であるため、クリエイターが登録する場所を把握することは、特にビジネスを拡大する際には難しい場合があります。オンラインクリエイターは、次の 2 つのカテゴリーのいずれかに当てはまる場合、州または地方の管轄区域の税法を遵守する義務があります。

• 「物理的ネクサス」がある。これは、管轄区域内に施設、従業員、または資産の実体的存在を持つ企業または個人を指します。
  
• 「エコノミックネクサス」がある。つまり、州や地方における実体的存在ではなく、経済活動を通じてその地域とつながっていることを意味します。
  

サウスダコタ州はエコノミックネクサス法を制定した最初の州であり、アメリカ合衆国最高裁判所によって支持されました。この規制により、州外の売り手は、当年または前暦年に州内の顧客への直接販売が 100,000 ドルを超える場合、徴税登録を行う必要があります。

多くの州が独自のエコノミックネクサス法を制定し、サウスダコタ州と同じしきい値を導入しました。一方、他の州では、異なる金額のしきい値で同じ原則を支持したり、取引のしきい値を完全に引き下げたりしました。カルフォルニア州とテキサス州では、しきい値は 500,000 ドルです。アラバマ州の顧客に販売する企業や個人の場合、しきい値は 250,000 ドルです。

州によって微妙な違いはありますが、アメリカの管轄区域では通常、マーケットプレイスファシリテーターが売り手に代わって税金を徴収して納付することが義務付けられています。売り手が直接販売では金銭または取引のしきい値に達していないが、マーケットプレイスでの販売ではしきい値に達している場合、通常、州や地方の管轄区域に登録する義務はありません。

管轄区域によるオンラインコンテンツへの課税方法

カナダ

カナダでは、すべてのデジタル商品およびサービスの販売に GST/HST が適用されますが、特定の教育サービスには免除が適用されます。

• 音楽レッスン
  
• 特定の仕事や職業の証明書や卒業証書を取得するための職業訓練所のコース
  
• 学校当局によって承認された、または指定されたカリキュラムに従った個別指導
  

ブリティッシュコロンビア州、マニトバ州、サスカチュワン州にも州税の免除がありますが、州によって異なります。たとえば、ブリティッシュコロンビア州では、次の教育サービスが免除されます。

• 認定された大学のオンラインコースなど、適格な学校または教育機関が提供するプログラム
  
• 専門的能力開発の要件を満たすソーシャルワーカー向けのコースなど、特定の仕事または専門的職業のスキルを高めるための教育またはトレーニングプログラム
  
• 参加者とインストラクターがライブでやり取りするウェビナーなどのリアルタイムの教育プログラム
  

アメリカ

アメリカでは、地方の管轄区域と州が、課税する商品とサービスを決定します。ほとんどの管轄区域では、玩具、電化製品、機器など、有形および物理的な製品に税金が適用されます。インターネット経済が成長するにつれて、規制当局は、ダウンロードされたソフトウェア、リモートアクセスソフトウェア、オンライン情報サービス、オンラインデータ処理サービス、およびデジタル商品にも税金を適用し始めています。

30 年前であれば、ライブのバーチャルトレーニングは稀であったため、課税しようとした政府はなかったでしょう。現在、クリエイターは、コロンビア特別区、ハワイ州、ニューメキシコ州、ペンシルベニア州、サウスダコタ州、ウェストバージニア州に顧客がいる場合、バーチャルトレーニングに売上税を適用する必要があります。

事前に撮影され、ライブストリームで提供されないオンラインコースの場合、クリエイターにはさらに複雑な税務コンプライアンスプロセスが必要になります。多くの州では、デジタルオーディオ、ビデオ、および画像を含むオンラインコースをサービスとしてのソフトウェア (SaaS) として分類しており、他のオンラインサービスとは異なる方法で課税される可能性があります。クリエイターは、現地の法律によっては、同じコースでも異なる商品カテゴリーで課税される可能性があるため、売上税法の微妙な差異や多様性を理解する必要があります。

売上税の計算方法

カナダ

カナダの顧客にデジタルコンテンツを販売する場合、顧客の所在地に基づいて各顧客に適用される税率に従うことができます。CRA は、企業やクリエイターが顧客の拠点を判断するのに役立つ詳細なガイダンスを提供しています。自宅の住所、会社の住所、請求先の住所、デバイスのインターネットプロトコル (IP) アドレス、または支払い関連情報はすべて、適切な税率を示す情報として役立ちます。

連邦レベルでは、CRA が国内物品サービス税 (GST) の遵守を管理しています。5 つの州 (ニューブランズウィック州、ニューファンドランド・ラブラドール州、ノバスコシア州、オンタリオ州、プリンスエドワードアイランド州) は、州税と GST を統合し、統一売上税 (HST) を創設しました。HST には、州税と連邦税の両方が含まれます。

連邦レベルの税金:

• アルバータ州、ブリティッシュコロンビア州、マニトバ州、ノースウエスト準州、ヌナブト準州、ケベック州、サスカチュワン州、ユーコン準州では 5% (GST)
  
• オンタリオ州では 13% (HST)
  
• ニューブランズウィック州、ニューファンドランド・ラブラドール州、ノバスコシア州、プリンスエドワードアイランド州では 15% (HST)
  

個別の州税:

• ブリティッシュコロンビア州では 7% の州売上税 (PST)
  
• マニトバ州では 7% の小売売上税 (RST)
  
• ケベック州では 9.975% のケベック州売上税 (QST)
  
• サスカチュワン州では 6% の州売上税 (PST)
  

アルバータ州、ノースウエスト準州、ヌナブト準州、ユーコン準州の 4 つの州では、州の売上税は適用されません。

アメリカ

ほとんどの州では、クリエイターは顧客の所在地に合致する税率を請求します。デスティネーションソーシング法と呼ばれるこれらの法律の下では、クリエイターは顧客の税務管轄区域を使用して税率を決定します。ただし、一部の管轄区域では、クリエイターは自分の所在地の税率に基づいて顧客に課税する必要があり、税務専門家はこれを「オリジンソーシング」と呼んでいます。アリゾナ州、イリノイ州、テキサス州はすべてオリジンソーシングを使用しています。つまり、これらの州の顧客に販売する場合は、自分の所在地の税率を顧客に請求する必要があります。カリフォルニア州は、州税、郡税、市税にはオリジンソーシングを使用しますが、地区税には顧客の住所に基づくデスティニーソーシングを使用するという点で独特です。

プラットフォームやマーケットプレイスでの販売に対する税務上の影響

カナダ

カナダで活動および居住し、登録要件を満たしているクリエイターは、顧客が企業か個人かにかかわらず、GST/HST を請求して徴収する必要があります。ただし、カナダ国外に拠点を置き、登録要件を満たしているクリエイターは、カナダの個人に直接課される売上税の課税と納付のみを行う必要があります。企業に直接販売する場合は、売上税を請求する必要はありません。企業顧客は購入時に GST/HST アカウント番号を提供する必要があります。

オンラインマーケットプレイスの台頭に伴い、カナダは仮受消費税法を施行しました。これは、マーケットプレイス運営者を通じてコースやその他のデジタル学習製品をオンライン販売するクリエイターの法令遵守義務に影響を及ぼすものです。CRA は、マーケットプレイス運営者は常に支払いを回収または受け取り、その全額または一部をクリエイターに直接または第三者を通じて送金すると述べています。カナダでは、案内広告や広告ウェブサイトなど、クリエイターが自分のコースを掲載できるウェブサイトのみを運営する個人や企業、または決済代行業のみを運営する個人や企業をマーケットプレイスの運営者に含めてはいません。

マーケットプレイス運営者には、コンテンツクリエイターがカナダに所在せず、かつ、カナダの通常の GST / HST 規制に基づいて登録されていない場合にのみ、カナダの個人向けに作成されたデジタルコンテンツやコースに対する GST / HST の徴収が要求されます。コンテンツクリエイターがカナダに拠点を置き、GST / HST を徴収する登録を行っている場合、マーケットプレイスを介しているかどうかにかかわらず、税金の徴収義務を負います。

以下は、直接またはマーケットプレイスを介して販売した場合にクリエイターに求められる GST / HST の納税義務の詳細を、クリエイターの所在地と販売先の顧客の種類に応じて示しています。

アメリカ

アメリカに拠点を置くクリエイターは、顧客が企業であるか個人であるかを問わず、各管轄区域のエコノミックネクサスのしきい値を超えると、顧客に直接提供されたデジタルコンテンツに対する売上税を徴収して納付する必要があります。

アメリカの州のすべてでマーケットプレイスファシリテーター法が制定され、オンラインマーケットプレイスやプラットフォームを通じて実施された販売に対する納税義務の移動が規定されています。法律は管轄区域ごとに異なりますが、マーケットプレイスを通じて行われた販売に関して、大多数はマーケットプレイスファシリテーターがクリエイターに代わって税金を徴収して納付することを義務付けています。この規制には、マーケットプレイスファシリテーターを通じて行われた販売が登録要件のエコノミックネクサスのしきい値には適用されないことも規定されています。

世界のコンプライアンス

このガイドではアメリカとカナダの市場に焦点を当てていますが、世界各地には、場所に関係なくクリエイターに関連する広範な法律があります。それぞれの法律には、独自の微妙な差異と例外があります。

たとえば、カナダのクリエイターが事前に録画された動画コースを EU またはイギリスの個人に販売する場合、クリエイターは最初の販売から登録して現地の付加価値税 (VAT) を徴収する必要があります。しかし、EU とイギリスは、他の国に比べてデジタルコンテンツの定義が狭く、自動化と最小限の人間とのやり取りが指定されています。たとえば、リアルタイムのオンライントレーニングはデジタルコンテンツとは見なされず、EU またはイギリスの VAT に対する登録、徴収、または納付を行う必要はありません。

ニュージーランドとオーストラリアの個人に販売するコンテンツクリエイターは、収益が特定のしきい値に達した場合にのみ、税金を登録する必要があります。オーストラリアでは、クリエイターは過去 12 か月間にオーストラリアの顧客への売上が 75,000 AUD を超えた場合、または今後 12 か月間にその金額を超える可能性がある場合に登録する必要があります。ニュージーランドの場合、課税しきい値は 60,000 NZD です。両国とも、コンテンツクリエイターが提供するすべてのデジタルサービス (ライブのバーチャルトレーニングと事前録画されたコースの両方) に課税しています。

関連する税法は世界中で異なり、より多くの企業が世界中の対象者にリーチするためにオンラインプラットフォームやツールに目を向けるにつれて、税法は進化し続けるでしょう。

Stripe にできること

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Stripe Tax は、次の局面で企業を支援します。

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• 税金の自動徴収: Stripe Tax は、販売する商品や場所に関係なく、適切な税額を計算して徴収します。何百もの商品とサービスをサポートしており、税法と税率の最新の変更に対応しています。
  
• 申告を簡略化: Stripe Tax は申告パートナーとシームレスに連携するため、世界中の申告を正確かつタイムリーに行えます。当社のパートナーに申告書の管理を任せて、ビジネスの成長に集中できます。
  

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