課題
QikServe の創業者である Daniel Rodgers 氏はある日、子供たちを連れてロンドンのレストランにランチに行った際、子供たちをテーブルに残したまま、ひとりで注文の列に並ぶか、あるいは子供たちと一緒に並び、その間にテーブルを他の客に奪われるという危険を冒すか、というジレンマに遭遇しました。どちらも満足のいく方法ではありません。慌ただしい昼食から戻った Rodgers 氏は、モバイルから簡単に注文できるアプリがあれば良いのにと考えました。そして 2011 年、同氏はこうした市場ニーズを満たすために、QikServe を創業しました。
QikServe は QR コードによる注文方法を採用し、レストランの利用客がテーブルから簡単に飲食物を注文できるようにしました。創業以降、同社は事業を拡大して、チャネル全体でセルフサービスのオプションを提供し、接客サービスの企業が注文と支払いのための便利な方法を提供できるようにしました。接客サービス業者は、QikServe ソリューションが注文額の増加、待ち時間の削減、業務の効率化に貢献していることに気付きました。
QikServe は 2021 年、QikServe Payments を立ち上げ、支払い管理を効率化して、複数の決済オプションで顧客層を拡大し、単一のダッシュボードで総合的なレポートを確認できるようにしました。ただし、事業を素早く拡大するには、国内外の顧客のユーザー登録をスピードアップする必要がありました。また、ユーザーが売上に可能な限り早くアクセスできるようにスピーディーな入金処理に対応できるプラットフォームを求めていました。同社は最終的に、事業が急成長する最中においてもユーザーを保護することができる、不正防止対策を備えたソリューションを探すことにしました。
解決策
QikServe と Stripe の関係は 2015 年に遡ります。QikServe は同年、事業者に総合的な決済機能を提供するために Stripe Payments を導入しました。同社はさらに Stripe との関係を拡大し、QikServe Payments を立ち上げることにしました。
QikServe Payments のビジネスマネージャーである Lesley Corr 氏は次のように述べています。「Stripe とはすでにつながりがあったので、ユーザー登録の観点から、決済業界の他の業者と比べて Stripe の技術スタックが非常に強力であることを理解していました。Stripe は追加設定なしで使用できる多くの技術を提供してくれるので、市場参入戦略の一貫として活用することができました」
QikServe は Stripe Connect Express を使用して、国境を超えたビジネスのユーザー登録をスピードアップし、素早く事業を立ち上げ、クレジットカード、Apple Pay や Google Pay といったデジタルウォレットを含む、複数の決済手段を提供できるようにしました。 同社はさらに Stripe Elements を追加し、iDEAL、Bancontact、Cartes Bancaires、Sofort、EPS、Przelewy24 などの現地の決済手段を含む、より多くの決済オプションの利用を可能にしました。また、Connect を導入して現地の取引通貨を有効にして、QikServe のユーザーが自身の現地通貨で価格を表示し、国境を超えて事業を拡大できるようにしました。
QikServe と Stripe の連携を通じて、QikServe Payments は事業者に対して、統合された取引データと詳細なレポートを自社のダッシュボードから提供することで、ユーザーは複数のソースを参照しなくても、すべての主要データにアクセスできるようになりました。Corr 氏は次のように述べています。 「こうした機能は、当社の事業者にとって非常に大きなメリットであると考えています」
QikServe Payments は Connect Express を利用して、入金スケジュールを早め、事業者がよりスピーディーに (通常はわずか 1 日) 自社の売上にアクセスできるようにしました。
QikServe は Stripe プロフェッショナルサービスのチームと連携して、システムを構築しました。チームから詳細な助言を受け、立ち上げまでの時間を短縮できました。プロフェッショナルサービスのチームは、プロセスの一環としてワークショップを提供しました。その内容は、売上フローと価格戦略の定義、IC+ (Interchange Plus の料金体系) と手数料のレポート、イギリスの税金を対象とした QikServe プラットフォームの採用、加盟店のスピーディーなユーザー登録プロセスの構築に関するものです。
QikServe Payments は当初、不正防止システムなしで立ち上げられましたが、同社のチームが不正利用の増加に気付いたため、Stripe Radar for Teams を追加して、QikServe Payments Fraud Protection を構築しました。ソリューションは Stripe に直接組み込まれるので、開発作業は不要で、自動的に不正利用を検知してブロックします。また、QikServe はクライアントのニーズに合わせて不正利用ルールを記述することが可能です。
結果
QikServe Payments、ユーザー登録時間の短縮で登録事業者が 3 倍増
Stripe の導入により、QikServe Payments は国内外のユーザーを数日以内で登録できるようになりました。多くの場合、ユーザー登録はわずか数分で完了し、新規事業者はその日のうちに決済の受け付けを開始することができます。迅速かつシンプルなユーザー登録プロセスによって、QikServe Payments は瞬く間に成長し、加盟店の登録は 12 カ月で3 倍に到達し、市場進出から 1 年以内に処理額が 856% 増加しました。
QikServe Payments は Stripe を使用してサービスを開始してから 2 年以内に、200 万件の取引を事業者に代わって処理し、全体的なオーソリ率は 99% に達しました。
入金時間の短縮で、事業者による売上へのスピーディーなアクセスが可能に
Stripe プロダクトの利用により、QikServe Payments はユーザーに複数のメリットを提供できるようになりました。具体的には、QikServe Payments を使用する事業者は、顧客にさまざまな決済手段を提供し、購入完了率と顧客体験の向上を実現できます。また、ユーザーは総合的なレポートと売上データをすべて QikServe ダッシュボードから入手できるので、運営効率が向上します。 そのほか、QikServe は短い入金スケジュールを提供するため、事業者は自身の売上に素早くアクセスできます。
QikServe は今後、スピーディーかつ安全な決済体験を実現する Stripe ソリューションの Link など、システムに複数の機能を追加し、購入完了率を高め、事業者の顧客の利便性を向上させる計画です。また、Stripe Terminal を使用して、対面支払い用のキオスク端末の提供を強化することも計画しています。
Radar の使用で QikServe の不正利用率が直ちに減少し、不正利用が 0.01% まで低下
Radar for Teams を使用した QikServe Payments Fraud Protection によって、不正利用が直ちに減少し、不正利用率はゼロに近い状態を維持しています。QikServe は Stripe ソリューションの使用によって、自社のビジネスモデルに沿ったリスク許容度を選択できます。過去の取引データを活用することで、QikServe はモデリングを実験して、さまざまなルールの変更がビジネスにどのような影響を与えるかを確認できます。こうした機能は、プラットフォームが不正防止と不正利用ルールを改善し、非常に低い不正利用率を実現するのに役立っています。
プロフェッショナルサービスとのやり取りで時間を削減し、実装がスムーズに完了
Stripe のプロフェッショナルサービスチームと連携した結果、QikServe は QikServe Payments の立ち上げを 4 カ月以内に完了させることができました。プロフェッショナルサービスは、QikServe の開発者と密接に連携し、QikServe が Stripe のプロダクトから最大の利益を得られるように、細かい助言を行いました。Corr 氏は次のように述べています。「Stripe の助言と指示は非常に重要でした。これがなければ、間違いなく QikServe Payments の開発と運用開始は遅れていたでしょう」
当社にとって最も重要なのは、すべての機能を備えた技術スタックに加え、実装プロセスの一環としてサポートとプロフェッショナルサービスを提供してくれるプロバイダーと提携することでした。Stripe の機能をテストするために、3 カ月のトライアル期間を設けました。その結果を見れば、Stripe を選択することに何の迷いもありませんでした。