フラッシュセールとは、短期間の限定された時間内に開催される大幅な割引セールを指します。このフラッシュセールでは通常、消費者の販売意欲を急速に大きく向上させることを目的としており、他のセールに比べると割引率が高く設定されています。
本記事では、フラッシュセールについて、メリット・デメリットのほか注意点や具体例などを踏まえて解説します。
目次
- フラッシュセールとは
- フラッシュセールの種類
- フラッシュセールのメリットとデメリット
- フラッシュセールを開催するときの注意点
- フラッシュセールの具体例
- フラッシュセールについてよくある質問
- フラッシュセールを効果的に活用するために
フラッシュセールとは
フラッシュセールは英語で「Flash Sale」と書きますが、この「Flash」を直訳すると「閃光」や「一瞬」を意味します。したがって、フラッシュセールとは言葉どおり、一瞬光が差し込むといったニュアンスとして短期間に開催され、大幅な割引価格が注目を集めるセール内容となります。
他のセールやキャンペーンに比べ、フラッシュセールは割引率が高く設定されているだけでなく、開催期間についても、24 時間や 48 時間限定のものもあれば、数時間限定のように特に短い期間で開催されることがよくあります。そのため、消費者からすると「今しかないチャンスだから見逃せない」という緊急性とお得感を喚起させます。このように、フラッシュセールは、消費者の購買意欲の向上と購買を加速させるための効果的なセール戦略といえるでしょう。
また、フラッシュセールは主にオンラインショップで用いられることが多く、余剰在庫の処理や新規顧客の獲得のほか、新商品の注目度アップや潜在顧客への販売促進を目的に行われます。近年では、日本においても、セール企画としてトレンドになっているブラックフライデーやサイバーマンデーなどのセールに便乗する方法もあり、このほかにも SNS やプッシュ通知、メールを活用するなど、フラッシュセールは事業者にとって重要な販促活動でもあります。
フラッシュセールの種類
フラッシュセールには「モール型ネットショップ形式」と「共同購入型クーポン形式」の 二種類の形式があります。
モール型ネットショップ形式
フラッシュセールとして最も代表的と言えるのが、この「モール型ネットショップ形式」です。豊富な商品を取り扱う食品、雑貨の小売販売やアパレルなどの多くの EC サイトでは、数時間単位から 24 時間、または 48 時間などのような短期間のフラッシュセールを行っています。
例:「毎日 20 時更新、0 時まで開催!最大 80% OFF のフラッシュセールを日替わりで実施中!」
共同購入型クーポン形式
「共同購入型クーポン形式」は、事業者側にとって、コストを抑えながらも宣伝効果を高めることが期待できる手法です。
「共同購入型クーポン形式」では、決められた時間内において、関心のある消費者による購入申し込みが最低数を超えたときに取引が成立します。成立した場合には高い割引率 (50% OFF から 80% OFF が主流) のクーポンが発行・適用されます。
そのため、このクーポンを利用して商品やサービスの購入を目的とするユーザーによって、主体的にクーポン企画を宣伝してもらうことができます。(ただし、特定の申し込み人数に達しなかった場合、注文そのものがなかったことになります。)
この形式は、SNS や個人ブログによる口コミによってセール情報が広がりやすい点が特徴です。
例:「48 時間以内に 200 人の購入数に達すると 50% OFF クーポンを即時発行!」
フラッシュセールのメリットとデメリット
定価からの大幅な値引き価格や最安値で商品を購入できるほか、集客率アップなどが見込めるフラッシュセールですが、メリットがある一方でデメリットもあります。以下に、フラッシュセールを採用するメリットとデメリットについて詳しく解説します。
フラッシュセールのメリット
短時間で集客効果が得られる
先ほどの解説のように、フラッシュセールはごく短い期間で開催されます。よって、消費者は購入を後回しせず優先的に行う傾向にあるため、セール期間中の短時間だけで集客効果を得られる可能性があります。
また、開催期間が短いフラッシュセールであるからこそ、ある程度頻繁に開催することで、顧客維持率をアップさせることも期待できます。
潜在層へのアピールに繋がる
気になる商品について購入するかどうか、あるいはどのサイトで購入するべきか迷っている潜在顧客に対して、フラッシュセールによる割引率の高い価格を提示すれば、自社 EC サイトでの購入意思が固まりやすくなり、期間内の購入を促すことができます。
余剰在庫の処理
普段は購入することのない商品でも、フラッシュセールによって 50% 以上のような大幅な割引価格となり、他のセールと比べてもはるかにお買い得な商品であれば「一度買ってみようかな」という気持ちで購入に進む消費者も少なくはありません。
そのため、商品があまり売れなかったり、大量に在庫が余っているときは、抱え込んでいる在庫の処分を目的としてフラッシュセールの対象商品にすることで、売上につながることが期待できるでしょう。
フラッシュセールのデメリット
フラッシュセール期間外の購買率の低下
短期間に開催されるフラッシュセールだけを狙って購入をする消費者の場合、その期間しか購入に至らないため、フラッシュセール期間だけは高い集客率があったとしても、フラッシュセール期間外の通常価格では、なかなか集客を見込めず、購買率が低下するリスクがあります。すなわち、これらの消費者においては、「待てばそのうち安くなるだろう」という心理が働き、定価で購入をするリピーターにはならない点がデメリットとして挙げられます。
また、商品を格安で試してみたものの、品質に満足できなかったため今後の購入は控えるケースもあります。しかし、フラッシュセールを機に、これまで購入したことがなかった商品を購入し、気に入ったことでリピートするケースもあるため、一概にリピーターの数が増えにくいというわけではありません。
つまり、フラッシュセールだけを目当てに商品を購入する消費者ばかりではなく、新商品や気になる商品を購入したい消費者なら、フラッシュセールの後でもリピーターとなることも考えられるのです。
フラッシュセール期間中そのものの利益が低い
フラッシュセールはできるだけ多くの商品を売りさばくことを目的に、対象商品が大幅な割引価格となるため、定価販売よりも利益率が下がりやすくなります。
先ほどのメリットでも解説したように、事業者によっては、とにかく大量の余剰在庫を減らしたい際、利益を重視するよりも格安で販売することで集客率を高め、少しでも在庫を処理し、売上につなげるためにフラッシュセールを行うケースも多く見られます。
このように、在庫を処理できることはメリットといえますが、大量に販売できたからといって大きな利益を生み出す結果とはならないことも理解しておく必要があります。
ブランディング価値の低下
フラッシュセールで価格を大幅に下げると、消費者から「安い商品」として見なされてしまうことがあります。その結果として、普段は高めの価格設定となっている商品でも、ブランドイメージとしての価値が低下する恐れがあります。
そのため、たとえフラッシュセールによる一時的な価格調整であったとしても、ある程度知名度のある高価な商品については、市場のブランドイメージを意識した価格設定を考慮するようにしましょう。また、繰り返しフラッシュセールを開催する場合は、毎回むやみにフラッシュセールの対象商品にせず、必要と判断する際のみにセールの対象とすることも大切です。
フラッシュセールを開催するときの注意点
せっかくフラッシュセールを開催したものの、売上機会を損失してしまうことだけは避けたいものです。ここではフラッシュセールに関する注意点について、いくつかご紹介します。
システムダウンやレイテンシのリスク
多数の商品が一気に割引となるスケールの大きいフラッシュセールを開催する際、ウェブサイトやアプリ上での決済が集中すると、システムダウンまたはレイテンシ (データの処理や転送中に生じる遅延時間) が発生する場合があります。このような状況が続くと、顧客は決済ができないため、自社 EC サイトからの購入を断念してしまうでしょう。
決済中のシステムダウンやレイテンシの発生を避けるには、高い決済成功率を実現できる決済システムを取り入れることも一つの手段です。そのためには、購入完了率の最大化と顧客体験の向上が実現可能な決済機能を考慮してみるとよいでしょう。
なお、Stripe では、コンビニ決済やクレジットカード決済をはじめとする、多数の決済手段に対応可能な Stripe では、オンライン決済に関わる様々な機能やサービスを提供しています。
たとえば、ショップ (出店者・出品者)、顧客 (商品の購入者) など、複数の当事者が関わる自社プラットフォームやマーケットプレイスの運営や、フラッシュセールの実施にあたり、決済機能の強化と、決済フローの簡易化を目指す方は、Stripe Connect を用いることで、よりスムーズで効率的な事業展開を図ることができます。これに加え、同機能では、プラットフォーム上で行われる顧客からの支払いについても、その一部を販売手数料として振り分けるなど、複数の当事者間で売上を適切に分割することが可能です。
在庫切れの商品ばかりが表示される
もう一つの注意点として、在庫管理の不備が挙げられます。予想以上にアクセスが集中し、瞬く間に商品の在庫が無くなってしまうことがあります。そのため、フラッシュセールの特設ページに掲載されている対象商品に在庫切れの商品ばかりが表示されると、一時的な消費者の購入意欲の低下だけでなく、今後サイトを利用しない消費者が増える可能性もあります。
このような状況を避けるためには、事前の注意書きとして「現在ある在庫のみとなるため、在庫が残りわずかな商品は、短時間で売り切れになる可能性があることをご了承ください」のような文言を添えるほか、「残りわずか」のラベルを商品ページに加えるなど、顧客への配慮を心がけるようにしましょう。
以上二つの注意点のように、フラッシュセールの期間中に快適なショッピングができない状況が発生し続けると、EC サイトへの信頼感が低下する恐れがあるため、フラッシュセールを開催する際は、事前準備をしっかりと行うことが大切です。
フラッシュセールの具体例
多くの企業が、「限定販売」や「クリアランスセール」など、さまざまな名前でフラッシュセールを行っています。ここでは、フラッシュセールの具体例を紹介しますが、セールの名称は異なる場合もあります。
KKday (ケーケーデイ)
KKDAY JAPAN (ケーケーデイジャパン) は、オンライン旅行予約サイト「KKday.com」を運営し、季節限定のキャンペーンやフラッシュセールを定期的に開催しています。
2024 年には創業 10 周年を記念し、毎月 7 日に「KKday キラキラの日」と称した月替わりのフラッシュセールを開催しました。このセールは、最大 77% 割引 (割引率は時期により変動) となる大規模なセールでした。また、アプリメンバーのみがセールを利用できるようにすることで、特別感を演出しています。
GLADD
最大 90% の割引を提供する GLADD は、有名ブランドのアパレルや雑貨を販売するフラッシュセールサイトです。この種のサイトとしては日本最大級の規模を誇ります。参加企業は毎日午後 8 時にセール商品を入れ替え、割引商品の品揃えを常に交換するようにしています。
また、ソーシャルメディアのハッシュタグを使用したキャンペーンや会員限定のギフトの提供もあり、多くの場合、顧客満足度上げるための取り組みを前面に押し出しています。
写真工房パレット
北海道各地で写真スタジオを運営する写真工房パレット (株式会社三景スタジオ所有) は、2024 年 12 月に札幌エリアの店舗と函館エリアの店舗限定の 3 日間のフラッシュセールを開催しました。
このフラッシュセールは、生後 100 日、生後 6 カ月、1 歳の誕生日などの節目となる写真に限定された赤ちゃんや子どもの写真が対象でしたが、セール期間内に購入しておけば、6 カ月前から予約することができました。
割引率は通常、正規価格の 10% ~ 20% で、大型の EC サイトでのフラッシュセールと比較すると大きな割引ではありません。しかし、ウェブサイトでの予約機能や、オンラインや電話による相談サービスにより、顧客にはお得感を提供できました。これにより、写真工房パレットは、このセールで限られた層の特定の顧客を引き付けられました。
フラッシュセールについてよくある質問
フラッシュセールはどのような仕組みのセールですか?
EC サイトで広く活用されているフラッシュセールは、限られた期間内にて大幅な割引セールを行うことで、効果的な集客を目指す手法です。また、他のセールやキャンペーンと異なり、割引を適用できる人数に制限を設けていたり、開催期間も比較的短期間 (「12 時間限定」や「3 日間のみ開催」など) となっています。
フラッシュマーケティングとフラッシュセールは同じ意味ですか?
フラッシュセールはマーケティング手法の一種で、「フラッシュマーケティング」と呼ばれる場合があります。「閃光」を意味する「Flash」という単語とを組み合わせてできたこれら二つの用語は、どちらも短期間において開催されるセール手法として、同じ意味を持っています。
フラッシュセールを効果的に活用するために
フラッシュセールは、短期間で集客と売上を向上させ、在庫を速やかに処分するための効果的な販売促進手法です。オンラインショッピングが一般化している今日、フラッシュセールは、e コマースや SNS だけでなく、メールやプッシュ通知などのさまざまな媒体をとおして開催されています。
フラッシュセールは、消費者の購買意欲を掻き立て、販売者にとって新規顧客の獲得や潜在顧客層へのアピールとなる一方で、過度の採用によるブランディング価値の低下などを含むいくつかのデメリットも伴います。
したがって、フラッシュセールは、むやみに開催するのではなく、適切なタイミングや開催期間を見計らいながら、セールの効果を最大限に引き出すためのセール内容やターゲット層を見極めた戦略を用いることが大切です。
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