イタリアの VAT 課税対象者

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  1. はじめに
  2. VAT 課税対象者について
    1. 欧州法に基づく VAT 課税対象者
    2. イタリアの法律に基づく VAT 課税対象者
    3. VAT 課税対象者でない者
  3. VAT 課税対象者に対するインボイスの発行
  4. 付加価値税 (VAT) 適用の 3 条件
  5. 課税対象者の VAT 税管轄区域
    1. 「属地主義」とは
  6. VAT が適用されないケース
    1. 非課税取引
    2. 免税取引
    3. 無課税取引
  7. 課税対象者の VAT 控除

イタリアの企業財務管理において、付加価値税 (VAT) は重要な意味を持っています。貴社がイタリアで事業を営んでいる場合、またはイタリアで事業拡大を計画している場合、VAT 課税対象者とその納税義務を知っておくことは、法令を遵守しながら効率的に事業を運営する上で重要です。この記事では、VAT 課税対象者の意味、このカテゴリーの該当者、VAT 課税対象者のインボイス発行要件、適用可能な VAT 控除について説明します。

この記事の内容

  • VAT 課税対象者について
  • VAT 課税対象者のインボイス発行
  • 付加価値税 (VAT) 適用の3条件
  • 課税対象者の VAT 税管轄区域
  • VATが適用されないケース
  • 課税対象者の VAT 控除

VAT 課税対象者について

欧州法に基づく VAT 課税対象者

指令 2006/112/EC 第 9 条 によれば、VAT 課税対象者とは、場所、目的または結果に関係なく、独立して経済活動に従事する者を指します。経済活動とは次のような活動です。

  • 生産者、商人、または鉱業、農業もしくは専門的役務などの役務を提供する者の活動

  • 継続的に収入を得る目的で有形または無形の財産を使用すること

販売者が顧客に商品を発送する際に新たな輸送手段を経常的ではなく提供する者、または EU 域内ではあるが当該加盟国の外に居住する顧客もしくはその代行者も全員が課税対象者です。

イタリアの法律に基づく VAT 課税対象者

イタリアの法律のもとでは、大統領令 633/72 第4条および第5条 が定義するように、ビジネス活動、芸術活動または専門的活動の一環として VAT の対象となる物品または役務を提供する者が VAT 課税対象者です。これらの活動に従事し、輸入または域内取引を行う者も VAT 課税対象者です。

VAT 課税対象者 (別称「法定納税者 (de jure taxpayers)」) は、販売した物品または役務の価格に加算する形でインボイスに VAT を適用しなければなりません。ただし、顧客 (「事実上の納税者」) は、国庫(Treasury)に対して直接納税義務を負うわけではありませんが、最終的に税額を負担するのは顧客です。

VAT 課税対象者は、売上に VAT を加算しなければならないため、課税対象取引で徴収した VAT を税務当局に納付する責任を負います。これには域内取引も含まれます。VAT 課税対象者は、納税義務を負わない場合でも、VAT 課税対象取引の書類および申告要件を遵守しなければなりません (大統領令 633/1972 第 17/1 条 および法令 331/1992 第 44/1 条、I)。

VAT 課税対象者でない者

税務当局は、個人利用を目的とする活動、または従業員のための活動を遂行する個人または課税対象者を VAT 課税対象者と見なしません。納付した税を回収できないという点で、個人利用の顧客は事実上納税者ですが、納税義務はなく、税務当局との取引もないため、VAT 課税対象者とは見なされません。

VAT 課税対象者に対するインボイスの発行

課税対象の物品または役務を提供する課税対象の自然人または法人はインボイスを発行しなければなりません。2019 年 1 月 1 日以降、イタリアでインボイスを発行する企業は、インボイスを電子的に発行し、イタリア歳入庁 (Italian Revenue Agency) の交換システム (Exchange System) を通じて提出しなければならなくなりました。

B2B 取引 (すなわち、双方が VAT 登録済みの場合) と B2C 取引 (供給業者が VAT 課税対象者で買い手が個人の場合) のいずれにおいてもインボイスを発行しなければなりません。

電子インボイスを正しく発行するため、適切な電子インボイス発行ソフトウェアを使用の上、インボイスに次の詳細事項を記載しなければなりません。

  • インボイスの発行日
  • 一意のインボイス番号 (連番)
  • 発行者のデータ (社名、事業内容または商号など)、姓名および居住地または住所
  • VAT 番号
  • 顧客のデータ (社名、事業内容または商号など)、姓名および居住地または住所
  • 買い手の VAT 識別番号、または別の EU 加盟国で設立された課税対象者の場合は設立国が割り当てた VAT 番号
  • VAT 番号を持たない個人の場合は納税者番号
  • 取引に含まれる物品または役務の内容、数量および価格
  • インボイス発行者が物品または役務を提供した日付
  • 顧客が代金を支払った日付 (インボイス発行日と異なる場合)
  • VAT の税率 および課税対象額
  • 企業またはフリーランサー宛てインボイスの場合は受取人コード、行政機関宛てインボイスの場合は一意のコード、個人宛てインボイスの場合は受取人コードの欄に「00000000」

付加価値税 (VAT) 適用の 3 条件

VAT は、大統領令 633/1972 第 1 条 の定めに従って適用されます。同大統領令は、「事業活動、芸術活動または専門的活動の一環としてイタリア国内でなされる物品および役務の供給、ならびにあらゆる者による輸入に対して VATを課す」と定めています。

VAT を適用するためには、取引が次に挙げる 3 つの基本条件を満たしていなければなりません。

  • 客観的な前提条件
    その取引が、大統領令第 2 条および第 3 条が定義する物品の供給または役務の提供に該当すること。

  • 主観的な前提条件
    経常的に事業を運営する者または自営業を営む者による取引であること。

  • 地域に関する前提条件
    その取引がイタリア国内で行われること。

課税対象者の VAT 税管轄区域

属地主義に従い、イタリア領土内で課税対象者が実施または受領した取引に VAT が適用される場所が決定されます。

「属地主義」とは

その取引に VAT が適用されるためには、物品の供給または役務の提供がイタリアの領土内で行われなければなりません。

当該取引に国内の、EU の、または国内の一時輸入制度下にある不動産または動産が含まれる場合、税務当局は、その物品供給がイタリア国内で行われた とみなします 。

さらに、ある役務がイタリアで設立された課税対象者に対して提供された場合 (すなわち B2B の場合) 、税務当局はその役務がイタリアで 提供されたものとみなします。その他の役務は、イタリアで設立された課税対象者が非課税の顧客に提供する場合 (すなわち B2C の場合) 、イタリア国内で提供されたと見なされます。

VAT が適用されないケース

イタリアでは、3 つの主要な取引、すなわち非課税取引、免税取引、無課税取引に VAT は適用されません。

非課税取引

非課税取引は、外国との取引における物品の販売と役務の提供です。これらのケースでは、インボイス発行、登録、VAT 申告の義務は尚も適用されますが、当局が顧客に課税することはありません。このカテゴリに該当する主な取引は次の通りです。

  • 輸出
  • 輸出として取り扱われる取引
  • 国際サービスまたは国際貿易に関係するサービス
  • EU 域外への旅客輸送
  • サンマリノおよびバチカン市国との取引
  • 国際条約および国際協定に基づく取引
  • 域内供給

免税取引

免税取引は、規則が VAT 課税対象外として明示的に分類している特定の物品および役務に関する取引です。免税取引に含まれるのは、ヘルスケア、教育・文化活動などの役務、ならびに特定の不動産取引などです。一覧については、大統領令 633/1972 第 10 条 をご覧ください。これらの取引にも、インボイス、登録、申告に関する要件が適用されますが、企業は顧客に VAT を請求しません。

無課税取引

無課税取引は、VAT 課税の基本条件 (客観的条件、主観的条件、または地域的条件) の少なくとも 1 つを満たさない取引です。例としては、延滞利息、梱包費用などが挙げられます。これらの取引は VAT の対象外となるため、インボイス発行や登録は不要です。また、関連する購入の VAT 控除もできません。
頻繁に改正される税法の最新情報に通じることは、企業にとって困難な場合があります。企業様を支援するために、取引を追跡し、税務当局への申告が必要な時期と場所をお知らせするのが Stripe Tax などの自動ツールです。このツールはさらに、正しい税額を自動的に算出し、認定パートナーを通じて申告書の提出を支援します。また、お客様がご自分で申告書を提出する際に役立つ詳細なレポートもご用意しています。

課税対象者の VAT 控除

VAT 控除は、VAT 課税対象者が納付すべき VAT から、事業活動に関わる購入で支払った VAT を控除できる制度です。実務上、企業は、事業活動のために取得した物品または役務に関してすでに支払った VAT を控除することにより、国に納付すべき VAT を減額することができます。

VAT 課税対象者が VAT を控除するためには、次の条件を満たさなければなりません。

  • 供給業者は VAT 還付を正しく運用しなければなりません。つまり、インボイスで顧客に税を転嫁していれば、供給業者が納めた VAT を回収できるということです。
  • その取引は事業活動に関係する取引でなければなりません。つまり、購入と事業活動の間に直結した直接的つながりがなければならないということです。
  • 大統領令 633/72 の 19-bis1 および 19-ter が定める通り、VAT 控除不能性に関する条件は一切適用されません。
  • VAT を控除できるのは、課税取引または非課税取引が行われた場合のみです。免税または無課税の取引から VAT を控除することはできません。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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