起業家や自営業者、創業者は、税務規制の遵守を含め、さまざまな課題に対処することが必要になります。こうした規制の 1 つに、VAT (付加価値税) あるいは売上税に関するものがあります。こちらの記事では、VAT 番号とは何か、その有意性、および EU 諸国で企業の VAT 番号を確認する方法についてご紹介します。
この記事の内容
- VAT 番号とは
- VAT 番号の構成
- VAT 番号が必要な企業、必要ではない企業
- EU 域内におけるリバースチャージの VAT 番号要件
- VAT 番号の申請方法
- 企業の VAT 番号の確認方法
VAT 番号とは
VAT 番号とは、Value Added Tax (付加価値税) 番号のことをいいます。ドイツでは Umsatzsteuer-Identifikationsnummer (USt-ID) と呼ばれています。VAT 番号は、EU 域内で活動する企業を、税務上の目的から明確に特定できるようにするためのものです。EU 域内で企業同士が取引をする際に、VAT を正しい金額で課税し、支払われるようにするために必要になります。
VAT 番号は納税者番号とは異なるため注意が必要です。納税者番号は、国の税務当局が発行し、国の税務規制に基づいて企業を特定するために使用されます。一方、VAT 番号は EU 域内での国境をまたぐ取引に使用されるものです。したがって、EU の VAT 規制に特化して設計されています。
VAT 番号は EU で活動する企業にとって非常に重要なものです。課税額が正しいことと、二重課税されていないことの確認は、VAT 番号を使って行われるためです。国境をまたいでサービスを提供している企業や、国外の EU 諸国に商品を販売している企業は通常、VAT 番号を申請して請求書に記載することが必須となります。
VAT 番号の構成
VAT 番号の桁数および構成は国ごとに異なります。ドイツの場合、VAT 番号は、国コードの DE と 9 桁の数字 (例: DE123456789) で構成されています。イギリスの VAT 番号も数字は 9 桁です。その他の EU 諸国のVAT 番号は、桁数と構成が異なります。VAT 番号は、どんな売上請求書にも必ず記載されている必要があるものです。
EU 諸国の VAT 番号の概要
国
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コード
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サフィックス
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オーストリア | AT | 9、最初の文字は必ず「U」にする |
ベルギー | BE | 10 桁 |
ブルガリア | BG | 9 または 10 桁 |
クロアチア | HR | 11 桁 |
キプロス | CY | 9、最後の文字は必ずアルファベットにする |
チェコ | CZ | 8、9、または 10 桁 |
デンマーク | DK | 8 桁 |
エストニア | EE | 9 桁 |
フィンランド | FI | 8 桁 |
フランス | FR | 11 桁、最初または 2 つ目の文字はアルファベットも可 |
ドイツ | DE | 9 桁 |
ギリシア | EL | 9 桁 |
ハンガリー | HU | 8 桁 |
アイルランド | IE | 8 または 9 文字、アルファベットと番号を含む |
イタリア | IT | 11 桁 |
ラトビア | LV | 11 桁 |
リトアニア | LT | 9 または 12 桁 |
ルクセンブルク | LU | 8 桁 |
マルタ | MT | 8 桁 |
オランダ | NL | 12 文字、アルファベットと番号を含む |
ポーランド | PL | 10 桁 |
ポルトガル | PT | 9 桁 |
ルーマニア | RO | 10 桁 |
スロバキア | SK | 10 桁 |
スロベニア | SI | 8 桁 |
スペイン | ES | 9、最初または最後の文字はアルファベットも可 |
スウェーデン | SE | 12 桁、最後の 2 文字は常に「01」の組み合わせ |
VAT 番号が必要な企業、必要ではない企業
企業が VAT 番号を必要とするかどうかは、事業内容、取引の種類、活動を行っている国など、いくつかの要素によって決まります。通常、EU 域内で活動している企業、特に国境をまたいでサービスを提供したり、他の EU 諸国に商品を販売したり、企業顧客にサービスを提供したりしている企業には VAT 番号が必要になります。
例外と特別規定
ただし、特定の状況や、各 EU 諸国の国の税法によっては、例外や特別規定が適用されることがあります。その一例を次に紹介します。
- 小規模事業者の規定: 一部の国では、売上高が特定の基準に満たない小規模事業者には VAT 番号を免除する特別規定があります。
- 特定のサービス: 各国の国内法および VAT に関する特定の規制により、特定のサービスで VAT 番号が免除されることがあります。
- 各国に固有の規制: VAT 番号の要件は国ごとに異なります。したがって、企業は、活動する国に固有の規制を確認する必要があります。
EU 域内におけるリバースチャージの VAT 番号要件
リバースチャージ方式とは、EU 域内での国境をまたぐサービスの提供や商品の販売に VAT を課税する仕組みのことです。この方式では、VAT を支払う責任が売り手から買い手に移行します。そのため、リバースチャージが正しく実行されるようにするために VAT 番号を提示する必要があります。
買い手と売り手の双方に VAT 番号があり、リバースチャージ方式が適用される場合は、VAT は、売り手ではなく買い手の所在地がある国で支払います。それにより、EU 諸国間の商取引をスムーズに実行し、国境をまたいで活動する企業の複雑な手続きを軽減することができます。
VAT 番号の申請方法
VAT 番号を取得するときは、通常、管轄の税務署または国の税務当局への連絡が必要になります。申請の方法は国によって異なります。ドイツで VAT 番号を取得する場合の手順は、通常、以下のとおりです。
- 必要な書類を集める: 申請前に、必要な書類と情報をすべて用意します。これには、自社のビジネスに関する情報、たとえばビジネス名、会社の住所、会社法人等番号 (該当する場合) などが含まれます。また、企業活動に関する情報が必要になることもあります。
- 管轄の税務署に連絡する: 会社が所在する地域で VAT 番号の申請に対応している税務署を確認しておきます。税務署の情報は、国の税務当局のウェブサイトで確認できます。税務署に直接連絡して問い合わせることもできます。
- 申請書を作成する: VAT 番号の申請書を作成します。書類は、税務署のウェブサイトで、または税務署から直接入手できます。必要な情報を正確に、すべて記入します。
- 申請書を提出する: 作成した申請書を管轄の税務署にオンラインで送付します。国の法律によっては、税務署に直接持ち込んで提出できる場合もあります。
- VAT 番号が処理および発行される: 申請書を提出すると、税務署がこれを審査し、問題がなければ VAT 番号が発行されます。発行に要する時間は国によって、また税務署の処理量に応じて変わってきます。
- VAT 番号を受け取る: VAT 番号が発行されると、税務署から確認書または通知書が届きます。この書類には、VAT 番号と、番号の使用および有効性に関する関連情報が記載されています。
企業の VAT 番号の確認方法
企業の VAT 番号は、欧州委員会のウェブサイトから、以下の手順で確認できます。
- 欧州委員会のウェブサイトの、VAT 番号の確認ページを開きます。
- VAT 番号の確認ページに入力フォームが表示されます。表示されたフィールドに確認したい企業の VAT 番号を入力し、その企業が所在する国を選択します。確認者自身の国および VAT 番号も入力する必要があります。VAT 番号を入力するときは、最初の国コードは省略します。
- 確認 (Verify) ボタンをクリックして、確認を実行します。有効性の確認が実行されます。
- 確認が完了すると、ウェブページに結果が表示されます。入力した VAT 番号が有効であれば確認ページが、番号が無効であるか見つからない場合はエラーメッセージがそれぞれ表示されます。
- VAT 番号が有効である場合、ビジネス名や当該登録に関する追加情報など、その他の情報が表示されることがあります。
注意: VAT 番号を確認するウェブページの提供状況やページの UI は、国によって異なります。番号を確認するためのウェブサイトやデータベースを、欧州委員会とは無関係に、独自に提供している国もあります。番号の有効性を確認するときは、関連する当局が提供している指示や手順に従うようにしてください。
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この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。