イタリアの付加価値税 (VAT) クレジット:相殺または還付にクレジットを使用する方法

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  1. はじめに
  2. VAT クレジットとは
  3. インプット VAT とアウトプット VAT の違い
  4. VAT クレジットの相殺
    1. VAT クレジットの計算方法
    2. 水平型相殺と垂直型相殺
    3. 水平型相殺の制限
    4. 1 年ごと、四半期ごとの VAT クレジット相殺
  5. VAT の還付
    1. VAT 還付の対象者
    2. VAT 還付を申請するための条件
    3. VAT クレジット還付の仕組み
    4. 3 万ユーロを超える VAT クレジットの還付
    5. VAT クレジット還付の申請方法
    6. VAT クレジット還付申請の期限
    7. VAT はどのように還付されるのか

イタリアで VAT の対象となる事業を運営している事業者は、VAT 申告書を提出する際に VAT クレジットを獲得します。しかし、VAT クレジットとは何なのでしょうか。このクレジットをどのように使えばよいのでしょうか。この記事では、VAT クレジットの意味、クレジットを相殺に使用する方法、還付を請求する方法について詳しくご説明します。

この記事の内容

  • VAT クレジットとは
  • インプット VAT とアウトプット VAT の違い
  • VAT クレジットの相殺
  • VAT の還付

VAT クレジットとは

VAT クレジットは、納税義務者が商品またはサービスを購入し、商品の代金と VAT の両方を支払った際の VAT の金額です。支払われた VAT は VAT クレジットと見なされます。支払ったのは VAT ホルダーなので、この事業者は国に対して債権を持つことになります。

VAT クレジットの例を挙げます。ある企業が機械を 24,400 ユーロで購入しました。うち 4,400 ユーロが VAT でした。この企業は、4,400 ユーロの VAT クレジットを持つことになります。

インプット VAT とアウトプット VAT の違い

インプット VAT は、事業者が仕入請求書で支払う VAT の金額です。アウトプット VAT は商品やサービスを販売する際に徴収する税金です。

たとえば、ある企業が 350 ユーロのチェストに 22% (77ユーロ ) の VAT を乗せ、総額 427 ユーロで販売する場合は、77 ユーロが VAT 納税額です。これは、その企業が国家に対して負う債務であり、その企業はこの金額を財務省に納めなければなりません。

VAT クレジットの相殺

VAT 申告の段階で、申告書で算出されたアウトプット VAT と差し引きすることによりインプット VAT を相殺できます。このように、納付すべき税額を減らす方法と、クレジットを取得して適宜使用する方法があります。以下に VAT クレジットの計算方法を示します。

VAT クレジットの計算方法

VAT クレジットを計算するためには、インプット VAT とアウトプット VAT の金額を決定しなければなりません。インプット VAT については、合計購入代金に、該当する VAT 税率 を乗じます。インプット VAT がアウトプット VAT より高額である場合、事業者は支払いを行う必要はなく、2 つの VAT の差額に相当する VAT 控除を国に請求することができます。それ以外の場合は支払いを行う必要があります。

次に例を示します。ある企業が合計 3 万ユーロの商品を購入し、22% の VAT を支払いました。

30,000 ユーロ x 22% = 6,600 ユーロ

インプット VAT は 6,600 ユーロです。この企業は同期間に総額 15,000 ユーロの商品を販売し、22% の VAT を徴収しました。アウトプット VAT は次のようになります。

15,000 ユーロ x 22% = 3,300 ユーロ

したがって、アウトプット VAT は 3,300 ユーロ、インプット VAT は6,600 ユーロです。この例では、インプットがアウトプットより大きいため、この事業者はクレジットを持つことになります。

インプット VAT の総額 – アウトプット VAT の総額 = VAT クレジット

この例では、VAT クレジットは 3,300 ユーロです。

6,600 ユーロ – 3,300 ユーロ = 3,300 ユーロ

この金額は租税債務との相殺に使用できます。

水平型相殺と垂直型相殺

VAT の相殺方法には、垂直型と水平型の 2 つがあります。

  • 垂直型相殺:特定のカテゴリに属するクレジットが、同じ租税債務の清算のみに使用される場合に発生します。たとえば、VAT クレジットを VAT 債務の相殺に充てる場合です。

  • 水平型相殺:個人所得税 (IRPEF) や法人所得税 (IRES) など、VAT 以外の税金に関わる債務の相殺に VAT 控除を充てることができます。

水平型相殺の制限

VATクレジットを自由に使えるのか、制限が課されるのかを知るためには、相殺の種類を理解することが重要です。実際のところ、垂直型相殺には制限がありません。水平型相殺では、クレジットは 5,000 ユーロを上限として自由に使用することができます。革新的なスタートアップ企業については、限度額が 5 万ユーロに引き上げられます。この制限を超える場合は、次のルールを考慮に入れなければなりません。

  • 5,000 ユーロを超えるクレジットは、有資格の専門家が申告書を承認した場合に限り、年次 VAT 申告書の提出日から 10 日目以降、相殺に充てることができます。また、監査機関に申告書への署名を依頼することも可能です。

  • イタリア歳入庁の 2023 年 4 月 27 日付け規則 が定めるように、2023 年度に算定されたサマリー信頼性指数 (ISA) のスコアが 8 以上 (または、2023 年度および前年度の ISA スコアの平均が 8.5 以上) の納税者は、5 万ユーロを上限としてクレジット相殺に関するコンプライアンスビザの提出が免除されます。ISA スコアが 9 以上の場合は、税務コンプライアンスの簡素化に関する政令(2024 年 1 月 8 日政令第 1 号) が定める通り、免除対象額が 7 万ユーロに引き上げられます。

F24 フォーム による相殺での VAT クレジットの使用は、提供された電子的手段 (Fisconline、Entratelなど) でしか行えません。ホームバンキングの使用は認められていません。

VAT クレジット相殺の使い方を以下にまとめます。

最大 5,000 ユーロの VAT クレジット

5,000 ユーロ~ 50,000 ユーロの VAT クレジット

5,000 ユーロ~ 50,000 ユーロの VAT クレジット*

5,000 ユーロ~ 70,000 ユーロの VAT クレジット**

年次 VAT 申告

不要

必要

必要

必要

コンプライアンスビザ

不要

必要

必要

必要

クレジットの使用

翌年 1 月 1 日

翌 10 日
VAT 申告書の提出日

翌 10 日
VAT 申告書の提出日

翌 10 日
VAT 申告書の提出日

*ISA スコアが 8 以上、または 2023 年度とその前年度の ISA スコアの平均が 8.5 である納税者。

**ISA スコアが 9 以上の納税者。

1 年ごと、四半期ごとの VAT クレジット相殺

相殺に使用できる VAT クレジットには、次の 2 つのカテゴリーがあります。

  • 年次 VAT クレジット
  • 四半期 VAT クレジット

年次 VAT クレジットは、毎年提出される VAT 申告書に基づいて発生します。これは、次に挙げる税との相殺に充てることができます。

  • その後の期間に発生した VAT 債務
  • IRPEF、IRES などその他の国税
  • 社会保障および福祉負担金

これに対し、四半期 VAT クレジットは、四半期ごとの VAT 納付の結果として生じます。この種のクレジットは、翌月以降に発生する VAT 債務との相殺のみに使用できます。
企業にとって、絶えず変化する税制に対応するのは困難なことがありますが、Stripe Tax などのツールを使用すれば、税の計算と徴収、すべての支払いに関する納税申告書の提出をワンストップで行うことができます。

VAT の還付

相殺以外にも VAT クレジットを使用する方法があります。それは VAT の還付申請です。

VAT 還付の対象者

VAT クレジットを登録した企業は、VAT 還付申請を提出することができます。具体的には次に該当する企業です。

  • 居住者

  • イタリアに恒久的施設 を有する非居住者、税務管理人を任命した非居住者、または本人確認がなされた非居住者

VAT 還付を申請するための条件

年次 VAT クレジットの還付を受ける権利は、1972 年大統領令第633 号第 30 条第 3 項 に示された次の条件を少なくとも 1 つ満たしている場合に認められます。

  • 購入および輸入に適用される税率より低い税率で課税される取引を伴う活動

  • 全取引の総額の 25% を超える非課税の取引

  • 研究開発を目的とする、減価償却可能な物品およびサービスの輸入

  • 1972 年大統領令第 633 号第 7 条 に基づき、領土内課税の条件を満たさないために大部分が VAT の課税対象でない取引

VAT クレジット還付の仕組み

VAT クレジットの還付を申請するためには、少なくとも 2,582.28 ユーロのクレジットが必要です。金額が 3 万ユーロ以下の場合は特に制限がありませんが、金額が 3 万ユーロ を超える場合は、コンプライアンスビザ、および追加的な保証(適宜)が必要です。

3 万ユーロのしきい値は、相殺と還付に関して別々に計算しなければならないので注意が必要です。つまり、例えば、相殺する VAT クレジットが 5,000 ユーロで、還付の申請額が 28,500 ユーロの場合、2 つのクレジットの合計が全体で 3 万ユーロのしきい値を超えていてもビザは不要です。

3 万ユーロを超える VAT クレジットの還付

まず、リスクありと見なされる者とリスクなしの者を区別する必要があります。実際に、1972 年 10 月 26 日大統領令第 633 号第 38 条 が定めるリスク条件に該当する者は、コンプライアンスビザに関する資格を満たさないため、しかるべき保証を提出しなければならないと法律で定められています。これに該当する者は次の通りです。

  • 事業活動に従事してから 2 年未満の課税対象者 (2012 年 10 月 18 日政令第 25 条、第 179 号 に記載される革新的なスタートアップ企業を除く)

  • 還付請求から遡ること 2 年の間に、評価額と納税額または控除申告額の差額が次の金額を超える旨の通知を受けた課税対象者

    • 15 万ユーロ以下の場合は申告額の 10%
    • 15 万 ユーロ超 150万 ユーロ以下の場合は申告額の 5%
    • 申告額が 150 万ユーロ超の場合は申告額の 1% または 15 万ユーロ

その他の対象については、3 万ユーロを超える VAT 還付の場合、保証は不要ですが、宣誓供述書に代わる申告書を VAT 申告書に添付しなければなりません (大統領令 445/2000 第 47条 に基づく)。納税者の資産および実施した事業活動が次に挙げる所定の基準を超えていないことを申告書で証明しなければなりません。

  • 前課税期間と比較して純資産および不動産が安定しており、減少が40% 以下であること、かつ事業活動が終了または大幅に減少していないこと。

  • 非上場株式会社の申請前年に株式資本の 50% を超える株式売却または価値相当分の売却が行われていないこと。

  • 社会保険料および保険料負担金の納付を遵守していること。

条件を満たさない場合は保証が必要です。認められる保証の形態 は、国債もしくは政府が保証する有価証券、銀行保証、または保険保証契約証書です。

VAT クレジット還付の申請方法

VAT 還付は次の機会に申請することができます。

次に該当する場合は、コンプライアンスビザを添付せずに VAT クレジットの還付および相殺を申請することができます。

  • ISA スコアが 8 以上の納税者 (または、2023 年度および前年度の ISA スコア平均が 8.5 以上の納税者) は、5 万ユーロまでのクレジット相殺に関してコンプライアンスビザの申請が免除されます。

  • ISA スコアが 9 以上の納税者は、最大 7 万ユーロの税控除が受けられます。

VAT 申告書または TR フォームの該当欄に詳細情報を入力して還付を申請してください。入力するのは、クレジットの金額、還付を申請するための条件、保証の提示免除を受ける権利などの情報です。

VAT クレジット還付申請の期限

毎年の還付申請を行う年次 VAT 申告書は、毎年 2 月 1 日から 4 月 30 日までの間に提出しなければなりません。四半期ごとの申請書は、次の期限までに提出しなければなりません。

  • 第 1 四半期: 4 月 1 日から 4 月 30 日まで
  • 第 2 四半期: 7 月 1 日から 7 月 31 日まで
  • 第 3 四半期: 10 月 1 日から 10 月 31 日まで

VAT はどのように還付されるのか

税務当局は VAT 申告書の提出から 3 カ月以内に還付を行うことになっています。還付が遅れた場合、期限である 90 日が経過した後、年率 2% の利息が納税者に支払われます。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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