決済データは、売上の確認だけでなく、顧客の購買傾向や決済時の問題、さらには不正利用の兆候などを把握するためにとても役立つ情報です。
独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) の DX 動向 2025 によると、日本国内で何らかの形でDXに取り組む企業の割合は 77.8% に達しており、2022 年の 69.3% から着実に上昇しています。この数字は、データに基づいた経営判断の重要性が多くの企業で認識されていることを示しています。
一方で、DX 推進の中で「具体的にどのデータから活用すべきか」と模索する企業も少なくありません。そこで注目したいのが、日々の取引から確実に蓄積される「決済データ」です。事業者が日常的に取得できる決済データを分析することは、売上改善や業務効率化、ビジネス成長に向けた、確実な一歩となります。
この記事では、決済データの基本から、分析でわかること、具体的な活用方法まで、実例を交えて解説します。
この記事でわかること
- 決済データとは、決済日時、決済金額、決済手段、返金、決済失敗など、支払いに関する情報です。
- 決済データを分析することで、売上の推移、顧客の購買傾向、利用されている決済手段、不正利用の兆候を可視化することができます。
- 決済データは、販促施策、新商品開発、需要予測、業務効率化、不正利用対策などに役立ちます。
- 決済データ単独ではなく、購買データや顧客データを組み合わせることで、より具体的な分析が可能になります。
- 決済代行サービスや専用ツールを活用することで、決済データを一元管理できるようになります。
決済データとは?
決済データとは、商品やサービスの購入時に発生する、支払いに関するさまざまな情報のことです。
具体的には以下の項目に関する情報が決済データの中に含まれます。
- 決済日時
- 決済金額
- 通貨コード
- 決済手段
- 購入場所
- 返金やキャンセル
- 決済失敗
- 不正利用
キャッシュレス決済が拡大する中で、決済データは、顧客がいつ、どこで、いくら使ったのかを把握するための重要なデータになります。POS データや購買データ、顧客データなどと組み合わせれば、マーケティング施策、需要予測、業務改善などにも利用できます。
決済データで何がわかる?
キャッシュレス決済を含めた日々の決済データからは、主に以下のようなことがわかります。
マーケティング施策に役立つ情報
決済データを顧客データや購買データと組み合わせることで、どの顧客層が、いつ、どの商品を、どの決済手段で購入しているのかなど、顧客の消費パターンや好みの傾向を分析することが可能になります。
決済失敗に関する情報
決済データからは、決済失敗に関する情報も確認できます。決済失敗が多い場合は、入力項目の複雑さ、本人確認の手続き、エラー表示、決済手段の不足などに課題がある可能性があります。
また、決済失敗の傾向を確認することは、カゴ落ち対策のひとつです。同じ顧客の決済失敗が続いている場合は、支払い方法の更新案内や別の決済手段の提案など、状況に応じた対応を提案しましょう。
不正利用の兆候
決済データからは、短時間に繰り返される決済、高額な取引、通常とは異なる地域やデバイスからの注文、返金やチャージバックの増加など、注意が必要な取引パターンが把握できるため不正利用対策にも役立ちます。
決済データを事業に活かす方法
決済データを適切に分析することで、売上向上や商品開発など、事業に役立つ施策につなげることができます。
売上アップに活用する
決済データとともに、顧客の属性やこれまでの購買行動を詳しく分析することで、人気の高い商品や購入されやすい時間帯、需要のある地域、人気のある決済手段などの具体的な傾向が見えてきます。
こうしたデータを基に、パーソナライズされたキャンペーンや広告配信、メールマーケティング、クーポン施策が可能になります。
たとえば、特定の顧客層が同じブランドやフレーバーの商品を継続して購入している場合、その傾向を基に、関連商品を表示したり、再購入を促すメールを配信したりするなど、パーソナライズした提案を行うことができます。
また、海外から抹茶の購入が増えている場合は、商品ページやラベルの英語対応の強化や、アクセスが多い地域の配送方法や決済方法の見直しなどを行うことで、海外ユーザーからの売上アップを期待することができます。
新商品開発や需要予測に活用する
決済データを分析すると、どのカテゴリの商品が伸びているのか、どの時期に購入が増えているのかといった傾向が見えてきます。たとえば、プロテインの需要が伸びている場合、どのフレーバーが人気なのか、どの年齢層に購入されているのかなどを確認することは、新商品の開発や既存商品の改善に役立ちます。
また、売れ行きのよい商品やリピート購入が多い商品を基に、PB (プライベートブランド) 商品の開発を検討することもできます。購入のタイミングや購入頻度の変化を追うことで、今後の需要や商品トレンドを予測することができ、在庫管理や仕入れ、販売計画の見直しにも活用することができます。
業務効率化に活用する
売上、返金、決済失敗、チャージバックなどの決済データを、決済手段別や期間別に確認できるようにしておくと、日々の集計やレポート作成にかかる手間を減らせます。必要なデータをすぐに参照できるため、経理や運用の担当者は、確認作業だけでなく改善施策にも時間を割くことができます。
決済データを分析する際のポイント
決済データを事業に効率的に活かすためには、以下のようなポイントを押さえて分析することが大切です。
改善の目的を明確にする
売上分析、マーケティング施策、決済失敗の改善、返金やチャージバックの確認など、決済データの使用目的は多岐に渡ります。まずは何を改善したいのかを明確にしましょう。
購買データや顧客データと組み合わせる
決済データだけでも売上や決済手段、返金、決済失敗などの傾向は確認できますが、顧客ひとりひとりの好みや購入パターンを詳細に分析するには限界があります。しかし、購買データや顧客データを組み合わせることで、より具体的な分析が可能になります。
決済代行サービスや専用ツールを活用する
クレジットカード、コンビニ、QR コード決済など、複数の決済手段を個別に確認するのは大変です。決済代行会社やサービスを利用すれば、複数の決済手段のデータを一元管理することができ、売上や返金、決済失敗などの状況もまとめて確認できます。
また決済代行サービスによっては、蓄積された決済データを分析できる専用ツールが用意されている場合が多くあります。このようなツールを使用することで、必要なデータをより効率的に活用することが可能になります。
決済データの活用事例
決済データを活用した事例として、AI マーケティングプラットフォームの Blaze を紹介します。
Blaze は、事業の成長に伴い、収益やチャーン、リテンションなどをより深く把握する必要がありました。一方で、Stripe の決済・サブスクリプションデータのエクスポートや、複数システムのデータ結合、モダンデータウェアハウスの Snowflake への手動取り込みなどに時間がかかり、分析よりもデータ準備の負担が大きくなっていました。
そこで Blaze は、Stripe Sigma と Stripe Data Pipeline を活用し、Stripe の決済・サブスクリプションデータに、顧客ペルソナデータやプロダクト利用データ、マーケティングデータなどを組み合わせて分析できる体制を整えました。
Blaze は、長期的な価値が高い顧客層を特定し、マーケティングや商品・サービスの訴求内容の見直しにつなげた結果、顧客獲得コストを25% 削減することに成功しています。
Stripe Sigma でできること
Stripe Sigma は、カスタムレポートの作成や Stripe データの分析に活用できる強力な SQL エクスプローラーです。Stripe ダッシュボード内で、財務に関する深いインサイトに素早くアクセスできます。
Stripe Sigma の特徴
SQL を使用してビジネスインテリジェンスダッシュボードを構築する: Stripe のデータを直接クエリして、製品ライン別の売上から、地域ごとの納税義務、顧客生涯価値に至るまで、より正確なカスタムレポートを作成します。
複雑なデータエンジニアリングが不要: コストのかかる ETL パイプラインを構築および維持することなく、Stripe データにすぐにアクセスできるため、エンジニアリングチームの開発と保守作業を数週間分節約できます。
収入とリテンションに関する詳細なインサイトの活用: MRR、顧客チャーン、コホートパフォーマンスなどの複雑な指標を分析し、成長機会の発見や顧客基盤全体のチャーンリスクへの対処に活用できます。
レポーティングとチーム全体のコラボレーションの効率化: 重要なクエリを保存してチームと共有、または自動レポートをスケジュール設定することで、すべてのステークホルダーが主要業績評価指標 (KPI) を把握できる状態を維持します。
セキュアなエンタープライズグレードのインフラでのスケール: Stripe の高可用性かつ PCI 準拠の環境により、パフォーマンスやセキュリティを損なうことなく、最も機密性の高い財務情報へクエリを実行できます。
Stripe Sigma によるビジネスデータ活用方法について、詳しくはこちらをご覧ください。今すぐ開始する場合はこちら。
決済データについてよくある質問
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。