登録代理人とは、事業を代表して法的文書および公的文書を受け取るように指名された、個人または団体です。株式会社や有限責任会社 (LLC) などの事業体は、事業を登録した州および事業を運営するその他の州に、(私書箱ではない) 物理的な住所を持つ登録代理人を定める必要があります。登録代理人には、通常の営業時間内に、納税通知書、年次報告書のリマインダー、法的通知などの文書を必ず受け取れること、およびそれを企業に転送できることが求められます。

所有者自身、同僚、外部顧問などの個人を登録代理人として指名してもよいですし、専門サービスを利用してもかまいません。以下では、登録代理人になることに興味がある場合に知っておくべきことをご紹介します。必要な資格からサービスのマーケティング方法まで、詳しく説明します。

この記事の内容

• 登録代理人になるために必要な資格
  
• 企業の登録代理人になる方法
  
• 自身が所有する会社の登録代理人になれるか
  
• 登録代理人として複数企業にマーケティングする方法
  
• 登録代理人の責任と潜在的な賠償責任
  
• 登録代理人としての収入
  

登録代理人になるために必要な資格

登録代理人になるために必要な、学位や認定要件はありません。その代わり、実務的な要件はあります。詳しく見てみましょう。

• 登録代理人を務める州に、私書箱ではない物理的な住所があることが必須です。事業を運営している場合、そこを事務所の住所にできます。

• 通常の勤務時間内 (午前 9 時から午後 5 時) にその住所にいて、法的文書および税務文書を受け取れることが必須です。

• 18 歳以上であることが必須です。

これらの要件に加えて、細部にまで気を配れる信頼に足る人物であることが求められます。さらには、ビジネスファイリング、納税申告書、州固有の法律に精通していることも、候補としてふさわしい要件であるとみなされます。

企業の登録代理人になる方法

自分の会社の登録代理人になる場合でも、他者にサービスを提供する場合でも、自身の役割を州で公式に手続きする必要があります。方法は次のとおりです。

既存事業の場合

既存の企業が新しい登録代理人を雇う場合は、登録代理人変更フォームを提出しなければなりません。このフォームは通常、対象の州務長官事務局のウェブサイトで入手でき、州により異なる料金を支払う必要があります。登録代理人の氏名と住所を記載する必要があります。この情報は公開記録になることに注意してください。フォームに記入してから、オンライン、郵送、または対面で提出します (州により異なる)。

新規事業の場合

初めて登録代理人を指名する新規事業は、会社設立の申請文書に、代理人の情報 (名前と住所) を記載する必要があります。これらの文書を州に登録します。一部の州では、登録代理人が役割に公式に同意することが義務付けられています。通常は、「指名への同意」フォームへの署名が求められます。これは、代理人が責任を理解し受け入れていることを確認するための、簡易な宣誓書です。

自身が所有する会社の登録代理人になれるか

はい。あなたは自分の会社の登録代理人になることができます。実際のところ、お金を節約しながら法令遵守の管理維持を希望する中小企業の経営者は、よくこのやり方を選択しています。すなわち自分の会社の登録代理人として、自身がすべての法的文書および政府文書の正式な受領者となることに同意します。通常の営業時間内に、登録した州の住所で文書を受け取れることが必須となります。(なお複数の州で事業を行っている場合に、複数の州で登録代理人を務めることはできません。)

所有者自身が登録代理人になることの長所は以下のとおりです。

• 節約: 登録代理人サービスを雇うと、通常、年間 50 ドルから 300 ドルの料金がかかります。自分で代理人を務めることで、これらのコストを節約できます。

• 管理: 届いた文書をいち早く確認できるので、第三者と調整を行ったり、連絡の遅れ’を心配したりする必要がありません。

所有者自身が登録代理人になることの短所は以下のとおりです。

• プライバシーに関する懸念: 登録代理人の住所は公的記録です。自宅の住所を使用している場合は、誰にでも知られてしまいます。

• 対応に関する問題: 通常の営業時間内に常に連絡が取れるようにする必要があるため、オフィス内に常在しているわけではない場合は対応が難しくなります。不在で重要な文書を見逃した場合、罰則、法的トラブル、さらにはその州での事業資格を失うリスクがあります。

一般的に自身が登録代理人になることは、あなたが起業したばかりで、コスト減に務めていて、登録した住所で一貫して対応可能であり、住所の公開に抵抗がない場合には、理にかなっています。しかし、ビジネスが拡大している場合、複数の州で事業を展開している場合、または単に責任を増やしたくない場合は、登録代理人サービスに外注するのが賢明であると言えます。

登録代理人として複数企業にマーケティングする方法

企業は信頼できる登録代理人を求めており、第一印象が重要です。面倒な法令遵守に対処しコストがかかる不備から事業者を保護する、信頼できるパートナーとして自身をマーケティングしましょう。専門知識、スマートなネットワーキング、クライアントのニーズに合わせた配慮を組み合わせれば、紹介や新しい機会に恵まれることでしょう。ここでは、登録代理人としての地位を確立するためのヒントをいくつか紹介します。

信頼できるオンラインプレゼンスを構築する

オンラインプレゼンスは、プロフェッショナルで親しみやすいものでなければなりません。提供しているサービスを明確にします。

• 説得力あるウェブサイトを作成する: ウェブサイトで、あなたの経歴、提供サービスの内容、あなたのサービスを利用することの利点 (法令遵守、安心、プライバシーなど) を説明しましょう。受け付けている連絡方法についての詳細を記載し、「登録代理人が必要な理由」や「サービスの特徴」といった一般的な質問に回答するセクションを設けます。

• 専門知識を実証する: サイトやソーシャルメディアを使用して、ビジネス知識をアピールします。ブログ投稿、LinkedIn の更新、短い動画などで、法令遵守のトピックを説明すると、専門家としての地位を確立するのに役立ちます。お客様の声、ケーススタディ、カスタマーレビューで、信頼性をさらに高めることができます。

• 検索エンジン最適化 (SEO) を使用する: 地域の登録代理人を検索したときに、あなたのウェブサイトが上に表示されるように工夫します。サイトには「[あなたの市区町村]登録代理人サービス」などの語句を含めましょう。

ローカルネットワークを利用する

登録代理人サービスは場所がすべてなので、近隣で戦略を開始しましょう。

• 現地の関係者と知り合う: 現地の会計士、弁護士、中小企業コンサルタントと関係を築きます。多くの場合、登録代理人を必要としている企業は、まず彼らに問い合わせるからです。相互に有益な関係を築くために、クライアントを紹介し合うことを提案します。

• 地域のイベントに参加する: 中小企業展示会、地元の商工会議所の会議、または起業家のネットワーキングイベントに参加し、潜在的なクライアントに会いにいきましょう。口説き文句を練り上げておくことが重要です。

ビジネスにとって確かな価値を提供する

マーケティングにおいては、「私は登録代理人です」という説明だけでなく、ビジネスオーナーが抱える次のような課題に直接言及しましょう。

• プライバシー: 在宅勤務をしている起業家の私生活と、公的な事務作業を分けるサポートを行えると訴えかけます。

• 安心: 期日に間に合わなかったり、罰則を受けたりという事態にならないよう、重要文書はすぐに転送していることを伝えます。

• 費用対効果: 手続きの規定を守れなかった場合のコストや、法令順守を自社で管理する場合のコストを、あなたが提示する料金と比較してください。

メールキャンペーンやダイレクトアウトリーチを活用する

新規登録企業や成長企業など、潜在的な顧客を特定したら、直接連絡を取ります。

• メール: ターゲットを絞りパーソナライズしたメールを、あなたの地域の企業各社に送信します。短く役立つ内容を記載してください。企業が登録代理人を必要とする理由、期日に間に合わなかった場合のリスク、それをどのように支援できるかを説明してください。「信頼できる登録代理人が必要ですか」などの、分かりやすい件名にします。

• ダイレクトメール: デザイン性の高いはがきやチラシを地元企業に郵送すると、かなり効果があります。以下のような行動喚起を明記します。「まずは[あなたの番号]にお電話ください。または[あなたのウェブサイト]にアクセスしてください。」

サービスを差別化する

登録代理人として、競合他社と差別化を図る方法はいくつかあります。以下を提供してみてはいかがでしょう。

• サブスクリプションサービス: 企業は予測可能なコストを好むものです。、年間サブスクリプションとしてサービスを提供し、料金体系を分かりやすいものにします (例: 年間 125 ドル、月額 10 ドル)。また追加料金で、メール転送や複数州の法令順守などの、アドオンサービスを利用できるようにしましょう。

• カスタマーポータル: クライアントがスキャンした文書にアクセスしたり、期日を確認したりできる、安全なオンラインダッシュボードを提供しましょう。

• 自動通知: 自動リマインダーを使用して、申請期限が近づいていることを企業に警告することを検討してください。この機能は、あなたとクライアントの両方の予定管理に役立ちます。

よいサービスは、最高のマーケティングになります。信頼性が高く、対応がよく、知識が豊富であることを知ってもらえば、その企業があなたについての評判を広めてくれます。

登録代理人の責任と潜在的な賠償責任

登録代理人の主な役割は、企業への法的通知や政府連絡の、公式な連絡先として対応を務めることです。登録代理人になると、以下の責任を負うことになります:

• 法的文書を受け取る: 訴訟や召喚状などの法的文書を企業を代表して受け取る責任があります。

• 政府からの連絡を受け取る: また、納税通知、年次報告書のリマインダー、州政府または連邦政府からのその他の連絡にも対応します。

• 文書を転送する: 受け取った文書は、速やかに企業に届ける必要があります。遅延やエラーがあると、企業に深刻な影響が出る恐れがあります。

• 対応可能な状態を保つ: 登録代理人は、指名のときに記載された住所で通常の営業時間内に対応できることが必須となります。これにより、法的文書をいつでも受け取れます。

• 情報を最新の状態に保つ: 住所や連絡先に変更があった場合は、対応する州でその情報を更新する責任があります。これを怠ると、あなたが代理人を務める会社が事業資格を失う可能性があります。

上記の責任はシンプルであるかもしれませんが、これらの義務が適切に果たされないとリスクが生じます。登録代理人の義務を果たさなかった場合の潜在的な影響は、以下のとおりです。

• 法的文書や通知を企業に適宜に転送しないと、その企業は対応する期日に間に合わず、懈怠判決を受けたりその他の法的罰則を科されたりする場合があります。その結果、あなたの過失責任を問う訴訟につながる恐れがあります。

• 州の法令順守文書を転送しなかった場合、企業は事業資格を失う可能性があります。これにより、罰金や罰則が科せられたり、その州で活動する権利が取り消されたりする可能性があります。

• 法律文書や政府文書に含まれる機密情報を不適切に開示または紛失した場合、法的な問題に直面する可能性があります。

• 営業時間内に対応可能にすることや、住所を維持するなどの義務を守らなかった場合、罰金を科せられたり、登録代理人を解任されたりする可能性があります。

登録代理人としての収入

登録代理人としてどれだけ収入を得られるかは、サービスの構成方法とビジネスの規模によって異なります。堅実な計画を立てれば、特に複数の企業にサービスを提供している場合は、安定した収益性の高い収入源になる可能性があります。登録代理人は通常、1 企業あたり年間 50 ドルから 300 ドルを請求しています。正確な手数料は以下によって異なります。

• どの州で事業を展開しているか (一部の州は他の州よりも競合が激しい)

• 基本的な登録代理人サービスを提供しているか、メール転送や法令順守リマインダーなどの追加機能を選べるか

参入し始めの場合は、50 ドルから 150 ドルを請求して、顧客ベースを構築しながら中小企業を引き付けるのが妥当と思われます。評判が高まってから、料金を上げたり、プレミアムサービスを追加したりしましょう。

登録代理人であることのメリットは、柔軟性です。わずかなクライアントから小規模に始めて収入を補い、自信と需要が高まってから規模を拡大していく、ということが可能です。副業を探している場合でも、フルタイムの運営を目指している場合でも、収益をあげられる可能性があります。