定期的に一流の起業家や投資家を招き、Stripe Atlas コミュニティとの Q&A セッションを開催しています。先日は、ThirdLove の共同創業者兼共同 CEO である Heidi Zak 氏が Stripe Atlas の創業者からの質問に答えました。
資金調達
資金調達初期の頃は何がうまくいったのですか?
資金を調達できたのは、私たちが信頼できる創業者だったからです。知識があり、情熱を持ち、大きなビジョンを描いて投資家に売り込む力がありました。
私は立ち上げ期の企業にエンジェル投資をしていますが、よく目にする最大の失敗の 1 つが、大きなアイデアを売り込まない創業者です。重要なのは、最初の 1 年や 3 年で何を実行するかではなく、5 年後、10 年後にどんな会社になるかです。どのような 10 億ドル規模のビジネスを構築しようとしているのか。壮大なビジョンは何か。それが問われています。
私自身もこの点で苦労しました。共同創業者のデイブから学んだのは、なりたい姿を語ることは嘘ではないということです。大きなビジョンを売り込むのは、時として気が引けることもあります。しかし、それこそがやるべきことなのです。
資金調達の初期段階でうまくいかなかったことは何ですか?
最初の頃はあらゆることを話そうとしていました。しかし、最も大きな教訓は、それをすべきではないということです。
ピッチの会話はそれぞれ異なります。同じ内容のピッチをすべての相手に届けて共感を得ることはできません。相手をよく観察することが大切です。
アイコンタクトやボディランゲージを観察しましょう。話している内容に退屈しているようであれば、次に進んでください。すべてを話す必要はありません。その相手にとって興味深い話題だけを取り上げ、先に進むことが大切です。
ピッチ資料はどのように改善していきましたか?
ミーティングのたびに変化しました。毎回、それまで聞いたことのない質問が出てくるため、ピッチ資料は常に進化し続けるものです。
調達したどのラウンドのピッチも、終盤には絶好調でした。目をつぶっていても答えられるほど、あらゆる質問への答えを把握していました。しかし最初は、どうしても試行錯誤が続くものです。
ミーティングのたびに、スライドを見直し、自問する機会が生まれます。「完結した説得力のあるストーリーを伝えられているか。さらに良くするために何を更新すべきか。」ピッチ資料は生きて呼吸する生き物であり、資金調達期間を通じて進化し続けます。
各ラウンドの調達時点で、事業はどの段階にありましたか?また、各ラウンドの規模はどのくらいでしたか?
これまでに 3 つのラウンドで資金調達を行いました。最初の 9 カ月間はブートストラップで運営し、$50,000 の自己資金を投入して 2 人を採用しました。その後、プレローンチの段階で 2013 年に 550 万ドルのシードラウンドを調達しました。これは当時、消費者向け最大のシードラウンドでした。2015 年には 800 万ドルのシリーズ A を調達し、2017 年にはシリーズ B を調達しましたが、公表はしませんでした。
最も調達が難しいのはシリーズ A です。投資家はプロダクトマーケットフィットの確立を求めますが、平均的な起業家はその段階に達していません。私たちも例外ではなく、一部は把握していましたが、すべてを確立できていたわけではありませんでした。
各ラウンドにどのくらいかかりましたか?
それぞれ約 3 カ月かかりました。
最初は非公式なコーヒーチャットで、ビジネスが好調に進んでいることを投資家に簡単に伝えました。そして会話のどこかで、「そろそろ資金調達を検討しています。おそらく今後数カ月以内に」と切り出しました。そうすることで、相手の関心の度合いを把握することができました。これが最初のステップです。
そしてピッチミーティング本体があります。通常は 1 カ月以内に収めるようにしていました。つまり、コーヒーチャットに約 1 カ月、ミーティングに約 1 カ月、そして場合によっては交渉に約 1 カ月、という流れです。
モダンブランドの構築
顧客獲得コスト (CAC) を低く抑えながら、顧客をどのように教育し、コンバージョンにつなげましたか?
これは非常に良い質問です。ThirdLove が存続の危機に瀕したのは 2015 年初頭、ちょうどシリーズ A の資金調達を行おうとしていた頃でした。その時点で、製造体制は確立されており、素晴らしい製品もありました。ブラジャーを手にした女性たちが気に入ってくれていることもわかっていました。ただ、顧客数が十分ではありませんでした。Facebook を活用していましたが、CAC は $400。とんでもない数字でした。
当時、会社の従業員は約 12 人でした。テーブルを囲んで話し合い、状況は明らかでした。「収益性の高い顧客獲得の方法を見つけられなければ、1 年後には廃業してしまう。では、どうすればいいのか。」
当時は「このブラは本当に快適です」といった広告や、「今まで着けた中で最も快適なブラ」などといったありきたりな謳い文句を並べていました。しかし、それはうまくいきませんでした。
ThirdLove が何者なのか、誰も知りませんでした。誰も聞いたことがなく、誰も信頼していませんでした。女性たちはこれまでの人生でずっとブラジャーに失望させられてきたのです。そんな中、見ず知らずの会社が「今まで着けた中で最も着心地の良いブラジャー」と謳う Facebook の広告を、信頼できるはずがありません。
答えは明白です。信じてもらえず、広告もクリックされず、最悪の買い物になるかもしれないブラに $68 を費やしてもらえるはずがありません。
そこで思いついたのが、「Try Before You Buy (買う前に試す)」というプログラムです。今日でも他に類を見ないこのプログラムでは、$2.99 をお支払いいただくとブラジャーが届き、タグを外して実際に 30 日間着用できます。気に入ってそのまま手元に置く場合は、30 日後に料金をお支払いいただきます。気に入らなければ、無料で返送できます。
このプログラムは、マーケティング方法を一変させました。料金を請求する前に顧客の注目を集め、価値を証明できるようになったのです。
Try Before You Buy 以外に、見込み客を初回購入につなげるうえで効果的だった戦略は何ですか?
最も効果的だったのは、Fit Finder です。
会社を立ち上げる際に自問すべき質問が 2 つあります。1 つ目は、印象的なキャッチフレーズがあるかどうかです。私たちには「Try Before You Buy」がありました。2 つ目は、ほとんどの人が商品を試すのを躊躇させている原因は何かということです。オンラインでブラジャーを購入する場合、サイズ選びに不安を抱える女性が多いのです。
Fit Finder クイズを作成し、女性が 10 〜 15 問の質問に答えることで、最適なサイズをご提案できるようにしました。そのサイズが適している理由を説明し、適切なサイズ選びをサポートすることで、購入を決断しやすい環境を整えています。
D2C (Direct-to-Consumer) ブランドは通常、特定のニッチな分野にのみ訴求しますが、ThirdLove はマスマーケットにも独自の訴求力を持っています。どのようにそれを実現しましたか?
面白い質問ですね。マスマーケット向けの D2C ブランドを構築することが最初からの計画だったと言えれば良かったのですが。😂
計画していたわけではありませんが、実際にそうなりました。当初は 25 〜 45 歳の女性をターゲットにしていました。しかし、快適で美しいブラジャーという素晴らしい製品を持っていたおかげで、あらゆる年齢層の女性にリーチできていることがすぐにわかりました。
競合他社について考えてみましょう。Victoria's Secret のマーケティングは明らかに女性が求めるものとは異なります。デパートにはそもそもマーケティングがありません。一方、私たちのマーケティングは、根本的なところで不快感を与えないものです。それがあらゆる年齢層の女性に響いたのだと思います。
しかし、誰にとっても魅力的で、退屈な印象を与えないメッセージを伝えるにはどうすればよいでしょうか?
快適さ、自信、エンパワーメント——これは 15 歳であれ、40 歳であれ、75 歳であれ、共感を呼ぶメッセージです。その根底にあるのは、女性が本質的に求めているものであり、女性という存在そのものです。
コアメッセージがこれほど強ければ、余計なことを付け加える必要はありません。ただ、ブレずにフォーカスし続けることが大切です。
顧客からの信頼はどのように築いてきましたか?
販売数を増やすことには注力していません。
重要なのは、ブラジャーをどれだけ販売できるかではなく、どれだけ多くの女性を幸せにできるかです。購入したブラジャーが気に入らなければ、返品してほしいと思っています。
Victoria's Secret では、店に足を踏み入れると、目的はただ一つ——何かを売ることです。サイズは関係ありません。店にある在庫のサイズを売りつけようとします。顧客にとって最善でなくても、自社の利益になるものを押しつけるのです。
私たちの場合、該当するサイズがなければ、その旨をお伝えするだけです。何よりも顧客の満足を優先しています。それを徹底すれば、他のことは自然とついてきます。
会社拡大の課題
ThirdLove の初期に、必要なすべてのことに圧倒されたと感じたことはありますか?
いいえ、決して。😉
最初の 2 年間の 80% は、失敗、失望、ストレスの連続でした。時間の 80% は完全に追い詰められた気分でした。残りの 20% は、素晴らしい顧客とのやり取り、メディアへの好意的な掲載、製品ローンチといった大きな成果の瞬間でした。しかし創業初期は、時間の大半を試行錯誤に費やすものです。
本当に大変です。ただ一つ言えるのは、時間がかかるということです。EC ビジネスを構築する場合、その多くはブランド構築にかかっています。そしてそれには本質的に時間が必要です。どれだけお金をかけても、無理に進めようとしても、速くなることはありません。しばらくの間「死の谷」に身を置き、そこに慣れることが必要です。
ThirdLove がスケールアップする中で直面した最大の課題は何ですか?
採用です。優れた人材を継続的に採用するにはどうすればよいか。それには多くの経験と時間が必要です。
そのためにはまず、どのような人が最も活躍しているかを把握する必要があります。最も活躍している人に共通する特徴は何か、なぜその特徴が成功につながるのか——こうした問いを自分に投げかけることが大切です。
もう 1 つ効果的なのは、採用活動をすべて社内で行うことです。自社の採用チームを構築することを強くお勧めします。理由は 2 つ。(a) 外部エージェンシーに費用を払う必要がなく、(b) 自社のことを自社以上に知る者はいないからです。
ThirdLove の拡大に伴い、個人的に直面した課題は何ですか?
一番難しいのは、以前のように全員のことを把握できなくなったことです。社員が 30 人、60 人だった頃は、全員をよく知っていました。それぞれの仕事だけでなくプライベートな面も把握し、より緊密に連携していました。今はそれができていません。
その改善策として、毎週 3 〜 4 人の少人数チームとランチをしています。取り組んでいること、会社へのアイデア、改善できる点についての意見を聞く機会です。こうした取り組み方を模索することがとても重要です。
最後に伝えたいことはありますか?
ビジネスを立ち上げるのは本当に大変なことです。何かを始めたなら、すでに大多数の人よりも多くのことを成し遂げています。Peloton を思い出します。インストラクターはいつもこう言います。「すごいのは、今まさに自転車に乗っているということ。自転車に乗っている一方で、他のみんなはベッドで寝ています。自分のために行動したんです!」
同じことです。法人化し、事業を立ち上げ、製品を販売する——それ自体が本当に大変なことです。そしてその後はさらに困難になります。しかし、あらゆる段階で着実に前進しています。
そのことを忘れないでください。自分を責めすぎる必要はありません。すべての起業家がたどる道です。成功は一朝一夕には訪れません。勤勉さ、献身、情熱——それが「死の谷」を乗り越え、その先へと進む力になります。