日本で EC サイトを運営する際に、「チャーンレート」という言葉を見聞きしたことがある方もいるのではないでしょうか。チャーンレートは、サブスク解約の状況を把握するために使用される重要な指標で解約率を意味します。
サブスクリプション型のビジネスモデルは、顧客に継続して購入してもらうことで安定的な収益を見込みやすい一方、解約が増えると売上の安定性が損なわれる可能性があります。そのため、日本の EC サイトでサブスクを運営する際は、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客に継続して利用してもらうための施策が欠かせません。
この記事では、日本の EC サイトでサブスク解約を防ぐために知っておきたい考え方や、主な原因、対策について解説します。
この記事でわかること
- サブスクの解約には、顧客の意思で発生する「任意チャーン」と、決済失敗などによる「非任意チャーン」があります。原因に応じて対策を分けることが大切です。
- 日本ではサブスク市場が拡大しており、ユーザーは複数のサービスから選べるため、何かがうまく行かないとすぐに解約につながります。そのため、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客に継続して利用してもらう施策が求められます。
- 任意チャーンを防ぐには、配送頻度やプランの変更、初回購入後のフォローアップ、解約理由に合わせた提案が有用です。
- 非任意チャーンを防ぐには、決済失敗時の通知や支払い方法の更新手続きを整えることが大切です。継続課金に対応した決済ツールも役立ちます。
サブスク解約 (チャーン) とは
サブスク解約 (チャーン) とは、サブスクリプションサービスを利用している顧客が、契約や定期購入を停止することを指します。EC サイトにおける定期購入や会員制サービスのようなサブスクビジネスでは、一定期間内にどの程度の顧客が解約したかを把握するために、チャーンレートが使われます。
チャーンレートの計算式
チャーンレートは、特定の期間内に解約した顧客の割合を示す指標です。一般的なカスタマーチャーンレートは、次のように、一定期間内の解約顧客数を期間開始時点の顧客数で割って算出します。
カスタマーチャーンレート = 一定期間内の解約顧客数 ÷ 期間開始時点の顧客数 x 100
たとえば、月初のサブスク顧客数が 1,000 人で、その月に 50 人が解約した場合、カスタマーチャーンレートは 5% になります。
サブスクビジネスでは、顧客数だけでなく、毎月の継続収益を基に解約の影響を確認することもあります。月次継続収益を意味する MRR (Monthly Recurring Revenue) ベースのチャーンレートでは、一定期間内に解約によって失われた MRR を、期間開始時点の MRR で割って算出します。
MRR チャーンレート = 解約によって失われた MRR ÷ 期間開始時点の MRR x 100
たとえば、月初の MRR が 100 万円で、その月に解約によって 5 万円の MRR が失われた場合、MRR チャーンレートは 5% になります。
任意チャーンと非任意チャーンの違い
チャーンは、「任意チャーン」と「非任意チャーン」に分けられます。
任意チャーンは、顧客が自分の意思でサブスクを解約するケースです。一方、非任意チャーンは、顧客に解約の意思がないにもかかわらず、カード情報の変更や決済エラーなどにより契約が継続できなくなるケースを指します。
それぞれ原因や対策が異なるため、チャーン対策を行う際は、どちらの解約が多く発生しているのかを把握することが求められます。
日本のサブスク市場とチャーン対策の重要性
日本では、定期購入や会員制サービスなど、継続利用を前提とした EC モデルへの関心が依然として高い傾向にあります。市場調査会社の IMARC Group によると、日本のサブスクリプション型 E コマース市場規模は、2025 年に 233 億米ドルに達しており、2034 年にはその約 20 倍となる 4610 億米ドルまで拡大すると予測されています。
サブスク市場の拡大に伴い、参入する事業者も増え、ユーザーが複数のサービスを比較して自分に合ったものを選ぶことができるようになりました。また、ひとつのサービスを長く使い続けるだけでなく、無料期間や割引キャンペーン、季節のイベントなど、必要なタイミングに合わせてサブスクを使い分けるユーザーも増えています。
そのため、日本の EC サイトでサブスクを運営する際は、新規顧客を獲得することだけに注力するのではなく、既存顧客に継続して利用してもらうための施策が重要です。チャーンレートを確認しながら、解約の原因を把握し、商品や料金プラン、サブスクの決済方法、顧客対応などを随時改善していくことが求められます。
サブスク解約の主な原因
サブスク解約の原因は、顧客が自分の意思で解約する任意チャーンと、決済失敗などにより発生する非任意チャーンで異なります。
任意チャーンの主な原因
任意チャーンは、顧客が商品やサービスに不満を感じたり、継続して利用する必要性を感じなくなったりした場合に発生しやすくなります。
主な原因として、次のようなものがあります。
- 商品やサービスに満足できなかった
- 利用頻度が下がった
- 価格が高いと感じた
- 他社サービスに乗り換えた
- プランの内容や配送頻度が自分に合わなかった
- カスタマーサポートへの不満があった
EC サイトのサブスクでは、初回購入時の期待と実際の商品やサービスにギャップが出てしまうと、早期解約につながりやすくなります。また、食品や化粧品などの定期購入では、配送頻度が合わずに商品が余ってしまうことも解約の理由になります。
非任意チャーンの主な原因
非任意チャーンは、顧客に解約の意思はないにもかかわらず、決済失敗などにより気がつかないうちに契約が解約されてしまうケースを指します。
主な例は以下のとおりです。
- クレジットカードの有効期限が切れた
- カード情報が変更された
- 残高不足で決済できなかった
- 登録している決済手段が利用できなくなった
- システムエラーにより決済が完了しなかった
- 決済失敗後の通知や再決済の導線が不十分だった
非任意チャーンは、商品やサービスへの不満が原因ではないため、サブスクの決済方法や通知、再決済の手続きをわかりやすくすることで、解約を防止できる場合があります。特に、サブスク EC では継続課金が前提となるため、決済が失敗した場合の対策を必ず用意するようにしましょう。
サブスク解約防止のための施策
サブスク解約を防ぐための対策を、任意チャーンと非任意チャーンに分けて紹介します。
任意チャーンを防ぐための施策
任意チャーンを防ぐには、顧客が「このサービスを続けたい」と感じられる状態を作ることがポイントです。商品やサービスの品質だけでなく、料金プランや提供しているサポートを見直し、顧客が無理なく続けられる環境を整えましょう。
配送頻度やプランを柔軟に変更できるようにする
顧客の生活環境が変わることにより、これまでと同じペースでサブスクを利用できなくなる可能性を想定しましょう。たとえば、出産や引っ越し、長期出張などのライフイベントが発生した際に、一時停止や配送頻度の変更、スキップなどのオプションがあれば、すぐに解約せずに利用頻度を調整することができます。
初回購入後のフォローアップを行う
初回割引やキャンペーンで獲得した顧客は、通常価格に戻るタイミングで解約を考えることがあります。初回購入後にフォローアップを行い、商品の使い方や継続利用のメリット、次回配送のタイミングなどを案内しておくことで、価格だけでなく商品やサービスそのものの価値を伝えられます。
解約理由に合わせた選択肢を提示する
顧客が解約しようとしているタイミングで解約理由を確認できるようにしましょう。商品やプランの問題点を把握でき、今後の改善につなげることができます。価格や利用頻度、配送頻度などが理由の場合は、別プランや一時停止、期間限定オファーなどを提案でき、解約を阻止できるかもしれません。
非任意チャーンを防ぐための施策
非任意チャーンを防ぐには、決済失敗が起きた時に、顧客がすぐに支払い方法を更新できる状態にしておくことが大切です。顧客に解約の意思がなくても、カードの有効期限切れや残高不足、カード情報の変更などにより、契約がキャンセルされることがあります。
決済失敗時に顧客へ通知する
決済に失敗した場合は、顧客へ早めに知らせることが重要です。メールやアカウント内で決済が失敗したことを案内し、支払い方法の更新や再決済が必要なことを伝えることで、顧客も次に何をすればよいのかを理解することができます。
支払い方法を簡単に更新できるようにする
カード情報の変更や有効期限切れが原因で決済できない場合、顧客がすぐに支払い方法を更新できる仕組みが必要です。アカウント内で簡単に更新手続きができるようにし、決済失敗による契約停止が起こらないようにしましょう。
継続課金に対応した決済ツールを活用する
決済手段を個別に導入し管理することもできますが、継続課金に対応した決済サービスやサブスク決済ツールを利用すると、再決済、支払い方法の更新、顧客への通知などを一元管理することができるため、利便性が高まります。
ツールによっては、決済失敗時の自動リトライや顧客への通知、支払い方法の更新案内など、決済失敗からのリカバリー機能を備えている場合もあります。このような機能をうまく利用し、チャーンレートを改善していきましょう。
Stripe Billing でできること
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日本におけるサブスク解約に関するよくある質問
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。