ドイツにおける gUG (有限責任) について知っておくべきこと

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もっと知る 
  1. はじめに
  2. gUG (有限責任) とは
    1. gUG と UG の違い
    2. gUG と gGmbH の違い
    3. gUG と 非営利団体の違い
  3. 非営利事業目的とは
  4. gUG の設立方法
  5. gUG の税制上の優遇措置

gUG を設立することで、創業者は非営利事業のビジョンを実現し、その過程で税制上の優遇措置を受けることができます。この記事では、gUG とは何か、UG、gGmbH、非営利団体とはどう違うのかを紹介します。また、非営利事業目的とは何かを説明したうえで、それを基に gUG を設立する方法、さらには gUG がもたらす税制上の優遇措置についても概説します。

この記事の内容

  • gUG (有限責任) とは
  • 非営利事業目的とは
  • gUG の設立方法
  • gUG の税制上の優遇措置

gUG (有限責任) とは

gUG は、ドイツ語の「gemeinnützige Unternehmergesellschaft」 (英語で「nonprofit entrepreneurial company」、起業家的会社) を略した言葉で、非営利目的の有限責任会社のことを指します。これは特別な種類の UG (有限責任) と考えることができ、また gGmbH の代替としても捉えることができます。その特徴により、gUG は、社会的または文化的活動に携わりながら財務リスクを抑えたい創業者に特に適しています。gUG における出資者とマネージングディレクターの責任は、会社の資産に限定され、個人資産には及びません。

gUG と UG の違い

会社を gUG として設立するか UG として設立するかは、事業目的によって異なります。UG は主に経済的利益を追求し、利益を生み出すことを目的としています。対照的に、gUG の事業目的は、非営利、慈善、または宗教的なものです。これには特に、科学と研究の促進、芸術と文化の振興、青少年と高齢者の福祉、環境保護、動物保護、顧客保護などが含まれます。gUG の法人利益の 4 分の 3 は、明示された非営利目的に充てられなければなりません。

gUG と gGmbH の違い

gUG も gGmbH も非営利目的の事業です。この 2 つのタイプの会社の大きな違いは、必要な資本金の額です。gGmbH を設立する場合、GmbH と同様、2 万 5,000 ユーロ以上の資本金を拠出する必要があり、少なくともその半分は会社の銀行口座に入金しなければなりません。gUG の場合、UG と同様、必要な資本金は出資者あたり 1 ユーロだけです。

この特別な規定により、gUG は年間利益の 25% を準備金として確保する義務があります。このようにして、gGmbH の設立に必要な 2 万 5,000 ユーロに達するまで、最初の拠出金に追加されていきます。準備金がこの金額に達した時点で、gUG は gGmbH に移行することができます。

gUG と 非営利団体の違い

登録組合 (e.V.) も、ドイツでは非営利プロジェクトによく使われる法人形態ですが、gUG と大きく異なる点がいくつかあります。

gUG は 1 人でも複数人でも設立できますが、組合は 7 人以上の設立メンバーが必要です。また、組合はメンバーを無制限に増やすことができますが、gUG は新しいメンバーや出資者を増やすように設計されているとは限りません。出資者数は、法的に制限されているわけではありませんが、実務上、おのずと数人に限定されます。

組合は会費で賄うことができ、gUG と違って資産を構築する義務はありません。gUG では、経営計画において安全性が強化され、責任が明確に規定されています。さらに、出資者とマネージングディレクターは正社員として報酬を受け、意思決定の簡素化によるメリットを得られます。対照的に組合における意思決定は、多くの場合、すべてのメンバーが影響力を行使できる総会で行われます。

非営利事業目的とは

原則として、gGmbH の事業目的は、非営利、慈善、または宗教的なものにする必要があります。ドイツ財政法 (AO) によると、活動が「一般公共の利他的な向上に対して物質的、精神的または道徳的に」貢献している場合、その活動は非営利とみなされます (AO 第 52 条を参照)。その受益者は、個々の家族や企業など、小規模または閉鎖的なグループであってはなりません。

活動が「人に対する利他的な支援」に特化したものであれば、それは慈善活動とみなされます (AO 第 53 条を参照)。これには、貧困の影響を受けている人や、身体的、精神的、または感情的な状態を理由に援助に依存している人が含まれます。

宗教的な目的には、「公法上の法人である宗教団体の利他的な発展に」貢献する活動が含まれます (AO 第 54 条を参照)。これには特に、礼拝所の建設や維持、礼拝の実施、聖職者の養成などが含まれます。

非営利目的でも、慈善目的でも、宗教的な目的でも、決め手となるのは事業の利他性です。gUG は、自身の経済的目的を優先してはなりません。つまり、生み出した利益は、事業や出資者の利益にはならず、特定の非営利事業目的の利益となります (AO 第 55 条を参照)。したがって、会社の受益者は、gUG の設立趣意書に記録されていなければなりません。特に受益者には、非営利団体、財団、gGmbHs、その他の gUG が含まれます。

AO 第 56 条では、排他性が非営利活動の条件の 1 つとして挙げられており、「排他性は、定款に定められた税制上の優遇措置のみを法人が追求する場合に存在するとみなされる」とあります。したがって、gUG は、明示された事業目的に明確に関連する活動または支援プロジェクトのみを実施することができます。

gUG の事業目的も、UG 自体がこの目的を達成した場合にのみ非営利とみなされます。その活動を第三者に委託することはできませんが、法律の範囲内で補佐官からサポートを受けることは認められています (AO 第 57 条を参照)。

税務署は、gUG 設立時に、設立趣意書の非営利原則が満たされているかどうかを判断します。いずれにせよ、非営利法人としての地位は暫定的なものであり、暦年で 1 年間遡って付与されます。これにより、gUG は確実に要件に準拠するようになり、違反行為を発見した税務署は、その事業から非営利法人としての地位を剥奪することができます。最悪の場合、税金滞納に対する支払いが発生する可能性もあります。特にこれは、社会起業家には影響があります。このような起業家の活動は、大義だけでなく、経済的成功も目的としていることが多いため、特に非営利法人としての地位を失うリスクにさらされています。

gUG の設立方法

gUG は、他の種類のビジネスと比較して、すばやく簡単に設立できます。

  • 事業目的を定義する: gUG の本質は、非営利な目的を果たすことです。まずは、これを明確に定義します。目的は何ですか。どのような対策を取る予定ですか。具体的にどのようなプロジェクトを支援しますか。
  • 基本定款と設立趣意書を作成する: 基本定款では gUG の内部の取り決めが定義されます。特に、出資者間の関係、経営、利益と損失の分配、責任に関する規定が定められています。設立趣意書には、事業の目的や目標などに関する情報が記載されています。どちらの書類も、公的な目的のため、また代理人が内容を把握するために重要です。そのため、基本定款と設立趣意書は慎重に作成し、疑問がある場合は法的助言を求める必要があります。
  • ビジネス用銀行口座を開設する: ビジネスとプライベートの取引を区別するために、gUG には、ビジネス用銀行口座を開設する義務があります。
  • 資本金を入金する: 開設した口座に資本金を直接入金します。金額は出資者 1 人あたり 1 ユーロ以上にする必要があります。
  • 非営利法人としての地位を確認する: 会社が作成した書類は、公証人による認証の前に所轄税務署に提出しなければなりません。当局は、gUG の設立趣意書および意図する活動が、形式的にも非営利目的に関しても、要件を満たしているかどうかをチェックします。
  • 書類を公証してもらう: 公証人が、gUG の作成した書類の合法性をチェックし、認証します。
  • gUG の商業登記を行う: 税務署の確認後、会社の商業登記を行うことができます。
  • 税務・営業許可登録を手配する: 最後のステップとして、税務署および登記機関 (該当する場合) に gUG を登録します。

gUG の税制上の優遇措置

gUG には、一定の税制上の優遇措置があります。たとえば、法人税 (利益の 15%) を支払う必要がありません。営業税もかかりません。不動産が会社の非営利目的のために使用されている場合、固定資産税も免除されます。贈与税や相続税も同様にかかりません。付加価値税 (VAT) が免除される場合がありますが、この場合もその収益が、非営利または非課税の活動から生み出されていることが条件となります。

ただし、ビジネスの商業的な側面から生み出された収入に対しては他の規定が適用され、法人税と営業税は全額支払う必要があります。また、VAT については 7% の軽減税率が適用されます。したがって、会社の非営利収入と商業収入および支出を明確に区別することが重要です。

gUG は寄付を受け、税控除の対象となる寄付金領収書を発行することもできます。

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