イタリアの DAC7: 概要と仕組み

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  1. はじめに
  2. DAC7 とは?
  3. DAC7 の対象者
  4. イタリアの DAC7 の仕組みとオンラインビジネスへの影響
    1. 伝達が必要なデータ
    2. データの収集方法
    3. 各国間での税務協力
  5. DAC7 の罰則

デジタルプラットフォームエコノミーは急成長しています。欧州理事会のデータによると、この分野の売上は 2016 年から 2020 年の間に 30 億ユーロから 140 億ユーロへと約 5 倍に増加しました。概算では、配送およびタクシー業界の売上が最も大きくなっています。DAC7 (行政協力に関する指令) というヨーロッパの規制は、こうした背景から制定されました。この規制は、多くの収入源が申告されていない分野での脱税を撲滅することを目的とし、税務情報の申告・伝達義務を商品やサービスの販売を促進するデジタルプラットフォームにまで拡大しています。この記事では、DAC7 の概要、対象者、オンラインビジネスへの影響について説明します。

この記事の内容

  • DAC7 とは?
  • DAC7 の対象者
  • イタリアの DAC7 の仕組みとオンラインビジネスへの影響
  • DAC7 の罰則

DAC7 とは?

DAC7 は、E コマースビジネスでの脱税の撲滅と、課税に関する行政への協力の改善を目的としたヨーロッパの新しい規制です。欧州理事会の指令 (EU) 2021/514 号 (通称「DAC7」) は 2021 年 7 月 1 日に施行されました。イタリアでは、イタリア政令 32/2023 号により、2023 年 3 月 26 日に官報に掲載された一連の追加事項も含まれています。

DAC7 の導入は、デジタルプラットフォームを使用して商品やサービスをオンライン販売する個人およびビジネスの増加に対応するために行われました。多くの場合、ビジネスはオンラインプラットフォームを介して受領した利益を申告しておらず、特に別の国で運営されているプラットフォームに関しては、関連する税金を支払っていません。これにより、税収が失われ、E コマース運営者は従来のビジネスに比べて不当に有利な利益を得ています。欧州委員会によると、DAC7 で導入される仕組みにより、欧州連合全体で約 300 億ユーロの追加税収が見込まれています。

DAC7 の対象者

DAC7 はデジタルプラットフォームを対象としています。「プラットフォーム」という用語は、利用者にアクセス可能で、事業活動を行って何らかの報酬を得るために利用者間の仲介役として機能するソフトウェア (ウェブサイトやモバイルアプリなど) を指します。対象となる事業活動は次のとおりです。

  • 住宅用不動産、商業用不動産、その他の不動産、駐車場などの不動産リース
  • 個人向けサービス
  • 商品の販売
  • あらゆる輸送手段のレンタル

この指令は、イタリアまたは場合によっては他の国に居住するデジタルプラットフォームマネージャーが、DAC7 に関連するフォームでイタリア歳入庁に特定の税務データを伝達する義務を定めています。このデータにより、税務当局はデジタルプラットフォームを通じて受け取った利益を申告していない納税者を特定できます。

言及したすべての事業活動がこの目的に関連すると見なされるわけではありません。次のアカウントについては、プラットフォームマネージャーは売り手のアカウントデータを伝達する義務が免除されます。

  • 1 年間の取引が 30 件未満
  • 1 年間に受領する支払いが 2,000 ユーロ未満

イタリアの DAC7 の仕組みとオンラインビジネスへの影響

伝達が必要なデータ

イタリアの DAC7 規制の範囲内において、2023 年 1 月 1 日現在、申告の義務を負うデジタルプラットフォームマネージャーは、売り手の種類 (自然人および法人) に応じてプラットフォームを使用する売り手に関する特定のデータを収集し、確認する必要があります。マネージャーは、自然人の次のデータを取得する必要があります。

  • 氏名
  • 主要な住所
  • 売り手に指定されている税コード (利用可能な場合): 発行元の EU 加盟国を明示します。税コードがない場合は売り手の出生地を明示します。
  • 売り手の付加価値税 (VAT) 番号 (利用可能な場合)
  • 生年月日

マネージャーは、法人用の DAC7 フォームを使用して次の情報を伝達する必要があります。

  • 企業名
  • 法律上の本社
  • 売り手に指定されている税コード (利用可能な場合): 発行元の EU 加盟国を明示します。
  • 売り手の VAT 番号 (利用可能な場合)
  • 会社法人等番号
  • ビジネスが欧州連合内で関連活動を行う恒久的施設の存在 (利用可能な場合): 所在地の EU 加盟国を明示します。

イタリアでは、DAC7 により、企業は上記のデータに加えて詳細情報も収集して税務当局に申告する必要があります。この情報の例としては、金融口座の識別情報、財務的特性を持つその他の情報 (プラットフォームマネージャーが把握している場合)、申告期間の各四半期に支払いまたは入金された金額の合計、支払いまたは入金金額に関する関連活動の数などがあります。さらに、申告期間の四半期ごとに申告義務があり、プラットフォームによって控除または課金された手数料、コミッション、税金なども含まれます。不動産賃貸業について、入手可能であれば、マネージャーは地籍データと申告期間中の各不動産の合計賃貸日数を収集する必要があります。

イタリア歳入庁には、プラットフォームマネージャーが疑問を解消し、DAC7 を確実に遵守できるよう、よくあるご質問のリストが用意されています。

データの収集方法

実際的なレベルにおいて、DAC7 の適用についてはプラットフォームマネージャーが責任を負い、当該プラットフォームの登録時に売り手が受け入れなければならない片務条項を契約条件に含める必要があります。DAC7 を遵守するために、売り手は本人認証 (KYC) フォームに記入して、プラットフォーム運営者が利用者の ID を確認できるようにする必要があります。

売り手が、2023 年 1 月 1 日以前にいずれかのデジタルプラットフォームにプロファイルを登録している場合は、プラットフォームマネージャーから記入が必要な DAC7 フォームがメールで届きます。ただし、売り手がデジタルプラットフォームで新しいアカウントを開設する場合は、契約に DAC7 条項がすでに含まれており、当該プラットフォームへの登録時に KYC フォームへの記入がリクエストされます。この場合、当該活動が税金の監視向けに設定された制限を超えた場合にのみ、イタリア歳入庁にデータを再度伝達する必要があります。

各国間での税務協力

DAC7 はその主な目的の中で、EU 加盟国間での情報交換についても定めています。さまざまな国で運営しているプラットフォームに関しては、デジタルプラットフォームマネージャーが EU 加盟国に登録されている場合は、当該国の税務当局に情報を送信する必要があります。各売り手の居住地に応じて、その国の税務当局が他の EU 加盟国の税務当局に自動的にデータを伝達します。たとえば、イタリアの売り手が eBay で少なくとも 30 個のアイテムを販売し、少なくとも 2,000 ユーロの請求書を発行した場合、E コマースプラットフォームはそのビジネスで得た収入をドイツ (eBay の登記上の事業所がある国) の税務当局に伝達します。その後、ドイツの税務当局がイタリア歳入庁にデータを送信します。この時点で、イタリアの税務当局はドイツから受け取った情報とビジネスの納税申告書を相互参照します。データの不一致があると、調査が開始されます。

DAC7 の罰則

イタリア歳入庁に必要なデータを伝達する義務を負うプラットフォームマネージャーが、毎年 12 月 31 日 (2024 年度については 2 月 15 日まで期限を延長) までにデータを伝達しなかった場合は 3,000 ユーロ~ 31,500 ユーロの罰金、情報が不完全または不正確な場合は 1,000 ユーロ~ 10,500 ユーロの罰金が科されます。

売り手が初回のリクエスト以降 2 回の催促を受けた後も DAC7 で求められている情報を提供しなかった場合、プラットフォームマネージャーは 60 日後に売り手のアカウントを閉鎖して再登録できなくするか、リクエストされた情報を提供するまで売り手に支払う金額を保留することができます。

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