ブロックチェーン決済は、共有された検証可能な台帳上で行われるすべての取引を記録することで、資金を即時かつ透明性を持って移動させ、シームレスな国際決済も実現します。パブリックブロックチェーンとステーブルコインを注目する企業が増えています。それが短時間での海外送金、送金コストの削減、照合作業の自動化をさらに推し進めています。実際、B2B の国際決済にステーブルコインを利用している企業は、最大 60% のコスト削減に成功し、数分で決済が完了すると報告しています。
ここでは、ブロックチェーンがいかに決済処理に変革をもたらすか、どの決済形態が最も大きな恩恵を受けるのか、ブロックチェーン技術が決済・照合・記録管理のプロセスをいかに改善・効率化するのかを解説します。
目次
- ブロックチェーン技術が変化させる決済の仕組み
- 最も大きな恩恵を受ける決済形態
- ブロックチェーンネットワークによる決済と記録管理の効率化
- ブロックチェーンと既存システムとの連携における課題
- ブロックチェーン決済の導入プロセスとその効果の測定方法
- Stripe Payments でできること
ブロックチェーン技術が変化させる決済の仕組み
ブロックチェーンは台帳の維持管理を仲介者に頼るのではなく、誰もが検証可能な唯一かつ共有された取引記録を構築します。これにより、価値の移転は何層もの仲介者を経由することなく、参加者同士で直接行われるようになります。
ここでは、ブロックチェーンによって決済状況がどのように変化しているかを解説します。
スピードと利便性: パブリックブロックチェーン上の決済は世界中どこからでも 24 時間 365 日いつでも数分以内に決済が完了します。銀行と違い営業時間や受付締め切り時間はありません。この「常時稼働型」インフラは、現在すでに 1 日あたり 300 億ドル相当のステーブルコイン取引を処理しています。
低コスト: 2024 年第 1 四半期の海外送金コストは平均 6.35% でした。これに対してブロックチェーンネットワークを利用すれば、同じ送金を 1% にも満たないコストで行うことが可能です。
リーチの拡大: インターネット環境さえあれば、銀行口座の有無にかかわらず、パブリックブロックチェーン上で誰もが資金の送受を行えます。これまで従来型の金融システムの枠組みから除外されていた企業や顧客へのアプローチが可能になり、新たなグローバル市場が開かれる可能性を秘めています。
組み込まれた信頼と透明性: すべての取引は暗号化によって署名され、改ざん防止機能のある台帳に記録されます。一度確定されたデータは変更できないため、組織が持つ内部帳簿を突き合わせて照合する必要がなくなり、不正のリスクも軽減されます。決済データが存在するか否かは明白であり、ネットワークへのアクセス権を持つ誰もが同じ事実を確認できます。
最終確定性: ブロックチェーン上の取引の決済が完了すると、後から取り消しやチャージバック、あるいは数日に及ぶ清算待ちは発生しません。オンチェーンで受け取った資金はほぼ即座に次の支払いに充当できるようになります。
最も大きな恩恵を受ける決済形態
ブロックチェーンは、特に国境を越える大量のビジネス取引においてその進化を発揮します。
ブロックチェーン技術が有益な決済形態 3 種をご紹介します。
越境決済: ブロックチェーンを活用することで、送金者から受取人への直接送金が可能になります。決済はほぼ即座に完了し、送金プロセスも完全に可視化されます。
B2B 決済: 企業の取引は請求書の不一致やシステムの分断により遅延することが多々あります。ブロックチェーン技術を導入することで、商品が到着したとき、またはデータが一致したときにスマートコントラクトが決済を自動で実行します。これにより異議申し立てが減少するだけでなく、これまでリザーブに滞留していた運転資金を他の用途へ自由に活用できるようになります。
小売決済: 特にカード決済インフラが整備されていない地域では、顧客と企業双方の手数料が削減され決済は迅速になります。ステーブルコイン取引はカード特有のチャージバックリスクを排除しつつデジタルキャッシュのように機能します。
ブロックチェーンネットワークによる決済と記録管理の効率化
ブロックチェーンは決済そのものを恒久的な共有記録として一体化させることで、決済プロセス全体を効率化します。
具体的な方法を見ていきましょう。
単一の情報源: 関係者全員が同一の取引記録を参照するため、認識の齟齬が解消され、決済処理が加速します。
記録管理の自動化: 取引データにはタイムスタンプ、署名および参照可能なアドレス情報が含まれるため、財務システムへの自動的な記帳仕訳帳ができます。
決算プロセスの迅速化: 取引が常に承認・確定されるため、収益認識とキャッシュポジションの把握が迅速にできるようになります。ブロックチェーンの台帳自体が詳細な取引ログとなるため、日々の決算の負担が大幅に軽減されます。
プログラマブルな決済処理: スマートコントラクトを活用すれば、検証済みの条件に基づいて資金の振り分け、分配、または執行を自動化できます。インボイスと配送データの一致、マイルストーンの達成、あるいは複数当事者による承認などと連動させることで、決済の実行と承認記録の作成をワンステップで完結させられます。
不変の監査証跡: すべての取引データは暗号技術によって直前の記録と連結されています。したがって監査人はマークルプルーフを確認することで価値のフローを追跡できます。断片的な情報をつなぎ合わせる手間をかけずに、データの網羅性を検証することができます。
プライバシー重視のコンプライアンス: 台帳によって追跡可能性が確保されますが、その一方で、プライバシー制御機能を活用することで規制当局が必要とする情報のみを的確に開示して、それ以外のデータは非公開のまま保持することができます。
基幹システム (ERP) との連携: ブロックチェーン上の標準化、構造化されたデータは既存の会計システムに紐付けられるため、複数主体間の照合業務において高い予見性、再現性が確保されます。
ブロックチェーンと既存システムとの連携における課題
ブロックチェーン決済を旧来の会計、銀行取引、コンプライアンスシステムと統合することは、非常に複雑で困難な作業となる場合があります。
企業が懸念するのは次の点です。
インフラの互換性: 旧来の財務管理システムや ERP システムはトークンやウォレットアドレスを扱う前提で設計されたものではありません。両者を連携させるには、ブロックチェーン取引を一般的な会計事象に読み替える必要があります。多くの場合、ミドルウェアや決済パートナーがこのプロセスを自動化し、ブロックチェーン上の決済データを標準的なダッシュボードや資金報告書に集約します。
実務上設計と資産保管: ブロックチェーン資産の保有は、秘密鍵の管理を意味するため、その責任は財務部門ではなくサーバーセキュリティ部門の管轄になります。企業は規制当局の認可を受けたカストディアンの利用や複数署名による承認フローを構築してリスク削減を図ります。
仮名環境におけるコンプライアンス: 暗号資産の取引データは現実の身元と直接紐付いているわけではありません。しかし、マネーロンダリング防止 (AML)、本人確認 (KYC)、経済制裁に関するルールは引き続き適用されます。ブロックチェーンアナリティクスがリスクの追跡や疑わしい活動の検知を支援する一方で、FATF トラベルルール などの国際基準により、送金者および受取人の情報の確認が義務付けられています。
通貨リスクとステーブルコインへの信頼: 企業は暗号資産特有のボラティリティは回避しつつ、ブロックチェーンの処理スピードを活用したいと考えています。法定通貨にペッグされ、透明性の高いリザーブに裏付けられたステーブルコインは、その理想的なバランスを提供します。その結果、財務チームはステーブルコインをデジタル版の現金と同じように扱う確信を得ることができます。
性能と相互運用性: ブロックチェーンはそれぞれコスト、スピード、信頼性の面で異なる特徴を持っています。例えば Layer-2 ネットワークを活用すれば、大量の決済を低コストで処理することができます。
ブロックチェーン決済の導入プロセスとその効果の測定方法
ブロックチェーン決済を導入することで業務オペレーションと財政管理双方が高度化します。それを最大限引き出すには、注意深く設計された導入プロセスを着実に評価、実行する必要があります。
ここでは、ブロックチェーン決済の導入方法とその高価の測定方法をご紹介します。
成功の基準を定める
「改善」とはどのようなものかを決めます。「改善」が意味するものは、決済の迅速化、コストの低減、エラーの削減、あるいは流動性の改善かもしれません。これらの要素をベンチマークとして活用してください。
効果の測定
現在のコストを詳細に記録します。例えばネットワーク手数料、為替スプレッド、チャージバック、照合作業にかかる人件費、決済所要時間などがあります。これらの既存費用とブロックチェーンの取引コストを比較し、想定される取引量に基づいた投資収益率 (ROI) を算出します。また、運転資金の効率化によるメリットを追跡します。決済の迅速化により開放された資金は、即座に次の運用に回せるようになります。その資金効率向上の価値を、短期借入金利や加重平均資本原価 (WACC) を用いてモデル化します。さらに業務効率化の恩恵も考慮にいれます。照合作業の軽減、異議申し立ての減少、監査プロセスの集約により時間と出費両面で大幅に節約されます。
本格導入前にテストを行う
まずは摩擦の大きい業務フロー、たとえば越境送金、サプライヤーへの決済、パートナーへの送金などから着手します。小規模に開始することで導入価値を想起に証明しシステム固有の細かな挙動を洗い出し、プロセスを洗練させられます。
経験豊富なパートナーの活用
透明性を確保するために、資産管理、コンプライアンス、およびシステム連携については規制当局から認可を受けたプロバイダーを活用します。すべてのツールを社内で構築する必要はありません。
早い段階でセキュリティとコンプライアンスを組み込む
KYC、AML、トラベルルールへの対応、および秘密鍵の管理をプロジェクトの核となる必須機能として位置づけます。複数署名ウォレットと安全な資産管理ソリューションを活用すれば、業務効率を損なうことなく強固な資産保護が実現します。
段階的な統合と継続的な効果の測定
速度、コスト、エラー率、コンプライアンス指標を事前に設定した基準値と照らし合わせて継続的にモニターします。効果が検証された段階で、プロセスの改善に着手し、本格的な事業拡大に移行してください。
Stripe Payments でできること
Stripe Payments は、成長中のスタートアップから大企業まで、あらゆるビジネスがオンライン、対面、そして世界中で決済を受け付けられるようにする統合型グローバル決済ソリューションです。
Stripe Payments でできること:
決済体験の最適化: 構築済みの決済 UI、125 種類以上の決済手段へのアクセス、Stripe が構築したウォレットである Link により、スムーズな顧客体験を実現し、エンジニアリング工数を何千時間も節約できます。
新市場への迅速な展開: 195 カ国、135 種類以上の通貨で利用可能な国際決済オプションにより、世界中の顧客にリーチし、多通貨管理の複雑さとコストを軽減できます。
対面とオンラインの決済を統合: オンラインと対面のチャネル全体でユニファイドコマース体験を構築し、インタラクションをパーソナライズし、ロイヤルティを高め、収益を拡大できます。
決済パフォーマンスの向上: ノーコードの不正利用対策や承認率を向上させる高度な機能など、カスタマイズ可能で設定が簡単な決済ツールにより、収益を増やすことができます。
柔軟で信頼性の高いプラットフォームで迅速に成長: 過去の稼働率 99.999% と業界トップクラスの信頼性を備え、ビジネスの成長に合わせて拡張可能なプラットフォーム上で構築できます。
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この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。