課題

後払い (BNPL) ソリューションがアメリカや北ヨーロッパで普及し始めた頃、バルセロナに拠点を置く SeQura の創業者は、南ヨーロッパの顧客向けに特化した新しい POS ファイナンスオプションを新規に開発する好機であると捉えました。他の成熟した市場とは異なり、南ヨーロッパには API を通じて信頼性の高い信用調査を提供する定評のある信用情報機関が存在しませんでした。このため、同社は 2013 年、信用評価アルゴリズムを使用した新たな BNPL を立ち上げました。

柔軟な分割払いオプションを提供し、決済承認率を高め、スペインで最速の決済体験を実現したものの、BNPL が企業や消費者の間で好評を博すにつれ、成長期ならではの問題に直面しました。スペイン国外への進出に伴い、現地の複数の決済代行業者と提携したことから、決済処理インフラが複雑になり、購入完了率とオーソリ率の低下が発生するようになりました。

こうした状況を受け、同社は 2014 年、自社の市場拡大をサポートする新たな決済パートナーを探し始めました。複数の市場で、多種多様な現地の規制要件やパートナーシップモデルに対応してくれるのはもちろんのこと、最初の取引だけではなく、その後の分割払いも確実に成功させる高度な決済処理機能を備えていることが条件でした。

SeQura の最高商務責任者である Joaquim Ferrer は次のように述べています。「後払いにおいて最も重要なのが決済です。決済処理に失敗するようなことがあれば、弊社の事業は成り立ちません」

このため、高度な決済機能に加えて、新製品開発を支援できるリソースを持ち、自社の決済手段の利用者をさらに拡大する機会を提供する戦略的パートナーが必要でした。

解決策

SeQura は 2024 年、Stripe と戦略的パートナーシップを締結。Stripe プロフェッショナルサービス と連携して Stripe の技術を自社の BNPL ソリューションと他の新規製品に導入する一方、新規顧客を獲得するためのサポートも受けました。

Stripe Connect を BNPL インフラに導入したことで、SeQura は各市場の規制要件やパートナーシップモデルに見合ったアカウント構造の構築が可能となりました。たとえば、一部の市場では、現地の金融パートナーと提携して分割払いを管理しますが、Connect は柔軟性が高いため、SeQura チームは売上を適切なパートナーに適宜振り分けることができます。SeQura の決済・パートナーシップ担当のバイスプレジデントである Mike Komor 氏は次のように述べています。「弊社のシステムは複雑です。他のアクワイアラーが提供する製品は、Connect のようにすぐに利用できるものではありません。そもそも、そのような機能も提供されていません」

Connect と Stripe Payments を連携させたことで、SeQura は初回取引とその後の分割払いの支払い成功を最大化する Stripe の機能を利用できるようになりました。Payments では、SeQura の初回利用者による取引を対象に、SeQura 決済プロセスで追加の認証が必要な場合に 3D セキュア認証を提供します。分割払いについては、自動カード更新機能や Adaptive Acceptance など Stripe のオーソリ最適化機能を有効にし、誤って支払いが拒否された際に、AI による再試行メッセージと経路選定の最適な組み合わせを特定して、売上回収につなげることができます。

SeQura はこのほか、Connect を使用して、業界別スタンドアロンプラットフォームを構築し、製品拡張に対応しました。Connect を一度導入しただけで、 教育・トレーニングコース向けの eduQa および眼鏡技師向けの optiQa という、新規に立ち上げた 2 つの事業に Stripe 決済処理機能を埋め込むことができました。

Stripe プロフェッショナルサービスは、SeQura の Connect 導入を計画・実装からテストまでサポートしました。金融機関向けにプラットフォームが適切に設定されているか、さらに、金融機関と連携したアカウントにおいて決済手段が機能しているかという確認も重要です。同チームは、SeQura がプラットフォームの立ち上げと運用開始後の管理に備えられるよう、トレーニングワークショップを何度か開催。Stripe プロフェッショナルサービスを通じて、滞りなく順調に立ち上げを完了できるよう、問題発生時の解決方法や専門知識を提供するなど、パートナーシップはプラットフォーム立ち上げ時に大きな役割を果たしました。

SeQura は 2024 年に Connect を導入すると同時に、BNPL の利用者を拡大するために、Stripe での提供も開始しました。

結果

Connect が 4 カ国で SeQura の決済をサポート

Connect は、各国の規制やパートナーエコシステムに合わせた柔軟な設定が可能です。このため、SeQura は 2024 年に Stripe を通じてスペイン、イタリア、フランス、ポルトガルで BNPL の処理をスムーズに開始できました。2025 年にはドイツ、イギリス、アメリカでも Stripe を決済処理業者として利用する計画です。

Stripe によって支払い成功率が増加

複数の決済処理業者に Stripe を追加したことで、オーソリ率低下の問題を解決することができました。また、Stripe での取引成功率は、他のどの決済パートナーよりも高いことが判明しました。

「弊社では数値を週次および月次でオーソリ率を監視しています。その比較結果から、特にヨーロッパの国際取引では、Stripe のオーソリ率が市場をリードしてことを確認できます」(SeQura の戦略担当 Jack Mayor 氏)

決済手段の多様化で、分割払いのオプションを拡充

SeQura では現在、主要な決済手段としてクレジットカードを利用していますが、登録されているカードが資金不足などの理由で拒否された場合に備え、分割払いを処理する新たな方法を検討しています。SeQura は Stripe のシステムを通じて、追加のコーディングなしで顧客に現地の決済手段を提供することが可能です。

Connect の利用で、業界特化型プラットフォーム拡張の開発リソースを節約

Connect は柔軟性が高いため、Stripe のテクノロジーを SeQura の既存の業界特化型プラットフォームや今後開発するプラットフォームにも簡単に適用することができます。

「Stripe Connect は多くの開発リソースを節約できるよう作られています。実装した Connect を利用することで、自社の決済処理機能を他のプラットフォームにも素早く埋め込むことが可能です」 (Ferrer 氏)

Stripe を通じたサービス提供で、55% の増収を達成

新たな地域の市場や業界特化型市場への進出に継続的に取り組んだほか、Stripe を通じて BNPL の顧客を拡大したことで、2024 年の売上は前年同期比で 55% 増加しました。

Stripe を利用する加盟店が決済オプションとして SeQura を追加することで、SeQura の売上が継続的に増加することが予想されます。Mayor 氏は次のように述べています。「加盟店が Stripe で SeQura への対応を開始するプロセスは極めてシンプルです。Stripe アカウントにログインして、決済手段のページで SeQura を探して、有効に切り替えるだけです」