決済機能を備えた予約システムとは、スケジュール管理と集金をデジタル化して 1 つのプラットフォームにまとめたシステムです。これらのシステムには、サロンやジムなど、特定業種の事業者向けのものも、多様なサービスに対応できる柔軟性を備えたものもあります。決済機能を備えた予約システムにより、事業者の日常的な作業の簡約化、顧客との関係の強化、信頼性に優れた収益フローの創出を実現できます。
こうしたシステムでは、決済と予約に別のシステムが使用された場合に生じる問題の多くを解決できます。フォームの入力に使用するウェブサイトと支払い用のウェブサイトが別れていると、煩わしく感じる顧客も存在します。事業者側では、カレンダーやスプレッドシートなどの複数のシステムを両立させて使いこなそうとすることで、ダブルブッキング、予約逃し、記録の間違いが発生しかねません。
予約 / スケジュール管理ソフトウェアには大きな需要があり、この市場は 2024 年には 143 億 3000 万ドルを達成し、2034 年までに 421 億 5000 万ドルに届くと予測されています。さらにこうしたソフトウェアに決済機能もまとめられた方が望ましいとする顧客も増加しています。この記事では、決済機能を備えた予約システムの概要、役立つ機能を紹介し、Stripe がどのようにして合理的なシステムを構築できるかについて説明します。
この記事の内容
- 決済機能を備えた予約システムの概要
- 予約システムと決済システムの統合から得られるメリット
- Stripe が実現する予約と決済の合理的な統合
- 予約システムへの決済機能の統合から得られるメリットが大きい業種
- 予約システムのデータセキュリティを確保する方法
決済機能を備えた予約システムの概要
決済機能を備えた予約システムとは、顧客が特定の日時での利用を申し込み、同じページで支払いも実行できるソフトウェアです。予約が完了すると、カレンダーを自動的に更新して、その予約に関する詳細を記録し、確認メールやメッセージなどで関連する連絡を送信します。
このシステムは、コワーキングスペースのデスクの予約をはじめ、オンラインコースへの登録などまで、あらゆる用途に使用できます。スケジュール作成、決済、記録管理など、取引のすべての要素を同じ場所で処理できます。これなしでは、スケジュール管理プラットフォーム、決済代行業者、それに何枚かのスプレッドシートの間を行ったり来たりしなければならないことになります。
決済機能を備えた予約システムの多くに追加機能があります。所有者がプラットフォームを通じて割引コードやプロモーションを直接提供できるものもあれば、サブスクリプションベースのサービスの継続支払いに対応できるものもあります。また、無断キャンセルを最小限に抑えるため、予約の数日前に顧客にリマインドメールを自動送信するシステムも少なくありません。
この種の予約システムは、予算規模の大きい大企業向けであるとも限りません。ヨガのインストラクターや犬の散歩請負人など、個人事業主でも、報酬の受け取りや仕事のスケジュール作成の効率化に利用できます。柔軟性に富み、デジタルを理解しているユーザーだけでなく、スピーディーで簡単な決済を望む顧客にも対応できるシステムです。
予約システムと決済システムの統合から得られるメリット
業務運営には、多くのバックオフィスタスクが付随する場合があります。予約と決済を組み合わせたプラットフォームに切り替えることで、その作業負荷の大部分をなくし、顧客基盤の拡大、新しい市場への進出、作業の減少から得られる時間を新たに活用することができます。また、予約と決済の両方を 1 つのソフトウェアで処理できるため、チームg使いこなす必要があるシステムが少なくなり、スタッフのトレーニングの負担も軽くなります。ここでは、予約と決済を統合したシステムで業務がどのように改善されるかについて、詳しく説明します。
管理負担の軽減
予約リクエストの手動配置、決済用リンクの個別送信、延滞請求書の追跡などは時間を取られやすい業務です。最新の予約システムでは、この種の作業が自動的に処理されます。予約が固定されると、手動介入なしで支払いが回収されます。
顧客からの信頼の強化
2023 年のレポートによると、世界の顧客の 84% が購入を決定する際にブランドの見つけやすさ、購入のしやすさ、使用しやすさに重きを置いていることが判明したとされています。多くは、予約と支払いを 1 つのインターフェイスで行い、支払いの確認をすぐに受け取りたいと考えています。ユーザーが使いやすいシステムなら、透明性が確保され、予約が完了したという安心感が得られます。
パフォーマンスに関するインサイトの改善
完全に統合されたアプローチでは、特定の週の予約数、最も人気のある時間帯、毎日生み出される売上などのパフォーマンス指標をリアルタイムで表示できます。このインサイトは、事業者の人員配置計画、在庫管理 (該当する場合)、将来の傾向の予測に活用できます。
返金とスケジュール変更の処理機能
状況によっては、顧客から予約の変更や、返金のリクエストを要求される場合があります。システムでスケジュール管理と決済が統合されているため、このプロセスの処理が簡単になります。あるシステムで取引を検索し、別のシステムで時刻を更新するような必要はありません。
ブランド体験の一貫性
予約と支払いを組み合わせたページは、事業者のウェブサイトやアプリの他の部分と同じような外観にすることができます。これにより、顧客に一貫性のある表示を提供でき、クレジットカード情報入力時の不安を解消できます。逆に言うと、顧客をサードパーティの決済サイトにリダイレクトすると、連続性が失われる可能性があります。
拡張性
事業の成長が勢いを増すと、管理が必要な予定が週に数回であったものが、数百件にまで急速に成長することがあります。あらかじめスケジュール管理と決済が統合されている予約プラットフォームであれば、追加のシステムを必要とするプラットフォームと比較して拡張がはるかに簡単になります。
Stripe が実現する予約と決済の合理的な統合
Stripeは、多くの予約プラットフォームで重要な役割を果たしています。事業者は、優先決済プロバイダーとして Stripe を予約ソフトウェアに直接導入することも、プラグインや拡張機能を介して接続することもできます。どちらの方法を使用するにしても、Stripe は決済機能を導入するための柔軟で強力なツールです。導入後、顧客は時間帯を選択し、クレジットカード (または別の決済手段) で支払い、数秒以内に予約確認を受け取ることができます。ビジネスが拡大するにつれて、Stripe はスケジュールシステムを大幅に整備しなおすことなく、取引量の増加に対応できます。その仕組みをご紹介します。
設定プロセス
社内に開発者がいる事業者は、詳細なガイドを備えた Stripe のアプリケーションプログラミングインターフェイス (API) を利用できます。専任の開発チームがいない事業者は、プラットフォーム上で Acuity Scheduling や Calendly などのユーザーフレンドリーな連携を通じて Stripe を設定できます。接続されると、Stripe はカード支払いをバックグラウンドで処理し、必要に応じて税金や地域の要件に対応し、設定されたスケジュールで会社の銀行口座に売上 (取引手数料を差し引いたもの) を入金します。
利用可能な決済手段
Stripe は、クレジットカード、デビットカード、Apple Pay や Google Pay などのデジタルウォレットをはじめとして、さまざまな決済手段に対応します。こうした数多くの手段を使用できるため、それぞれに異なる手段を好む顧客を幅広く引き付けることができます。
バックエンドの自動更新
顧客の支払いが完了すると、予約プラットフォームにすぐに通知されます。これにより、予約ステータスが最新の状態に保たれるため、未払いの予約により混乱が生じることはありません。顧客がキャンセルした場合、または一部返金が必要な場合、プラットフォームから自動的に Stripe に処理を求めることができます。
予約システムへの決済機能の統合から得られるメリットが大きい業種
スケジュールの予約を利用する業種はすべて、決済の処理が可能な予約プラットフォームのメリットを享受できます。通常、都合の良いときに利用可能な空き状況を確認して、前払いできるオンラインポータルは、顧客に歓迎されます。
健康とウェルネス: 医師、歯科医、セラピスト、栄養士は、たいていデジタルシステムを使用して予約を調整しています。デジタルプラットフォームは、受付に並ぶ時間を短縮し、遠隔医療に付随する管理作業を最小限に抑えることができます。
美容 / パーソナルケア: サロン、スパ、理髪店、マッサージスタジオは、通常、予約プラットフォームを使用して、飛び込み客とリピーターのバランスをとる多忙なスケジュールを管理しています。これにより、利用者に事前予約のオプションを提供しながら、スタッフは各自のスケジュールの埋まり具合をよりよく把握できます。
ホームサービス: 配管工、電気技師、清掃サービスなどの現場技術者の多くは、予約プラットフォームを使用して予約のスケジュールを管理し、手付金や全額を事前に回収します。これにより、顧客の無断キャンセルを思いとどまらせ、また、自営技術者はルート計画を効率化することができます。
フィットネス、教育、クラスレッスン: ヨガスタジオ、ダンススクール、料理教室、などの事業者は、スケジュール管理と支払いに予約プラットフォームを使用しています。中には、会員が定期的な時間枠を選択して、パッケージ全体または月ぎめの会員料金を支払うことができるものもあります。
コーチング & コンサルティング: 独立系コンサルタント、キャリアコーチ、ファイナンシャルアドバイザーは、予約と決済を統合したソリューションを使用することで、管理タスクを減らし、予約済みのスケジュールが確定していることを利用者に伝えて安心させることができます。
予約システムのデータセキュリティを確保する方法
セキュリティは、売上の回収や、個人の予約スケジュールを作成する際の重大な関心事の 1 つです。事業者も顧客も、名前、住所、クレジットカード番号などの詳細情報の安全について確信を得ることを願い、信頼性の高い予約プラットフォームはこのデータの保護に特別な対策を講じています。ここでは、予約プラットフォームがユーザー情報の保護に使用する一般的なセキュリティ対策と実務慣行をいくつか紹介します。
PCI 準拠の決済代行業者
多くの場合、Stripe などの信頼性の高い決済プロバイダーを利用しているシステムでは、カード処理などの機能を決済代行業者のサーバーに任せています。このため、事業者と予約ソフトウェアがカードの詳細情報に直接接触することはなく、Payment Card Industry Data Security Standard (PCI DSS) の順守にかかる負担を最小限に抑えることができます。
転送中のデータの暗号化
機密情報の送信は、ブラウザーで通常「https」で示される安全な接続を介して行う必要があります。信頼できる予約プラットフォームは、支払いプロセスで完全な暗号化を強く求めて、住所や電話番号などの個人データも保護する場合があります。
2 段階認証 (2FA)
特別な保護を必要とするビジネス向けに 2FA を提供する予約システムと関連支払いポータルは少なくありません。これにより、顧客の電話やメールにコードを送信して確認が行われるなど、本人確認の機能がさらに強化されます。
継続的なセキュリティ監視
評価の高いソフトウェアプロバイダーは、継続的なセキュリティチェックに力を注ぎ、速やかに脆弱性に対処して修正し、悪用を未然に防ぎます。セキュリティ情報を公開したり、コミュニティにバグの報告を奨励したりする場合もあります。
厳格なアクセス制御
予約プラットフォームの一部は、管理者が財務情報や個人情報を表示できるスタッフを決定するため、不正な閲覧やデータ漏洩を防ぐことができます。これは「最小特権」の原則であり、スタッフには各自の作業に必要なものだけが表示されます。
ソフトウェアの定期更新
最新の予約システムは、変化する業界標準に対応するために定期的に更新されます。これには、新たに発見された脆弱性に対する修正プログラムの適用や、新しい規制への対応が含まれます。
事業主は、セキュリティが強力であるとの実績で評価が高いプラットフォームを選択することで、これらの保護手段を強化できます。また、データ処理、暗号化ポリシー、認証、法規制順守のログに関するプロバイダーのドキュメントには必ず目を通す必要があります。常にパスワードを安全に保ち、2 段階認証を有効にし、管理パネルへのアクセスを制限することも、個人情報の安全保護に有益です。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。