Stripe、OpenAI と共同開発の Agentic Commerce Protocol (ACP) を公開 ChatGPT の Instant checkout 機能を支援 ~ChatGPT 内での直接購入が可能に~

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  • 米国の ChatGPT ユーザーは、Stripe が提供する決済機能を使いチャット内で Etsy の加盟店からの商品購入が可能に (Shopify の加盟店も順次対応)
  • OpenAI と Stripe が共同開発した「Agentic Commerce Protocol (ACP)」を公開

プログラマブルな金融サービスを構築する Stripe は、この度、OpenAI 社が提供する新しいコマース体験、ChatGPT 内の Instant Checkout 機能の支援を開始することを発表しました。本機能により、米国の ChatGPT ユーザーは、米マーケットプレイス Etsy の加盟店、 さらに近日中に 100 万を超える Shopify の加盟店などから順次チャット内で直接商品を購入できるようになります。AI を活用した e コマースの進化に大きく寄与するこのマイルストーンは Stripe と OpenAI が共同開発したオープンスタンダード「Agentic Commerce Protocol(ACP)」によって実現され、世界で最も急速に成長しているビジネス向けに e コマースのインフラを構築してきた、Stripe の 15 年間の経験に基づいて開発されています。

AI ツールが日常生活で幅広く使われるようになるにつれ、ChatGPT のようなインターフェースは急速に新しいタイプの「店舗」になりつつあります。

以下のフローで、ChatGPT のチャット内での直接購入が可能になります。
- ユーザーが商品のおすすめを聞き、購入の準備ができた際にチャット内で Stripe のチェックアウト画面が表示されます。
- ユーザーが希望する決済方法 (Stripe の Link を含む) で決済を完了すると、Stripe は「 Shared Payment Token (SPT) 」という新しい決済トークンを発行します。SPT は、購入者の決済情報を公開することなく、ChatGPT のようなアプリケーションが決済を開始できるようにするものです。このトークンは特定の加盟店とカートの合計金額に紐づけられています。
- 発行された SPT は、API を通じて ChatGPT から加盟店のバックエンドに送られます。
- 加盟店は、Stripe を通じて取引を処理することも、他のプロバイダーを利用して決済を行うこともできます。その際も、Stripe の不正防止リスクスコアの恩恵を受けることができます。

購入後の注文は ACP を介して ChatGPT から加盟店のバックエンドに送られます。事業者側は、従来通り注文を承認または拒否し、支払いの請求や消費税の計算と送金、そして商品のフルフィルメントと返品処理を行うことができます。消費者にとっては ChatGPT 内でのスムーズな購入体験が可能になり、事業者は新しい販売経路が確立されます。

Stripe のプロダクトおよびビジネス担当プレジデントであるウィル・ゲイブリック (Will Gaybrick) は、次のように述べています。
「Stripe は、AI のための経済インフラを構築しています。私たちは、最も意欲的な企業と協力して、何十億という人々に向けて新しい AI を活用した e コマース体験を創造しています。また、エージェント主導の取引が当たり前になる世界で、ビジネスが成功するために必要なツールも構築しています。」

また、OpenAI のアプリケーション担当プレジデントであるフィジー・シモ (Fidji Simo) は、次のように述べています。
「Stripe と共同で Agentic Commerce Protocol を開発したことで、規模を問わずあらゆる事業者が消費者との接点を持つことを可能とし、消費者はチャットをしながらシームレスに購入を完了できるようになりました。」

従来の e コマースでは、人間を対象に作られており、事業者がインターフェースと決済を管理し、消費者は商品を閲覧していました。一方で、AI 主導の e コマースでは、エージェントが購入者を代理し、身元情報や支払い方法、購入の経緯を取引に持ち込み、購入を完了します。

Stripe の決済部門責任者であるケビン・ミラー (Kevin Miller) は以下のように述べています。
「Stripe は 15 年間、人間向けにコマースを最適化してきました。現在、私たちは AI エージェント向けにも同じことを始めようとしています。」

こうした変化に対応するため、事業者側は AI エージェントが利用できる形で商品や価格、決済プロセスを公開する必要がありますが、一方で支払い情報の保護や不正防止にも考慮が必要となります。また、エージェントが事業者と消費者の間に位置することで、決済やチェックアウトから不正チェックに至るまで、すべてを再構築する必要があります。また、多くの AI エージェントが登場する中、事業者がそれぞれと連携を維持するのは現実的ではありません。

その結果、Stripe と OpenAI は事業者と AI エージェント間の共通言語となる ACP を開発しました。単一の連携で、加盟店は AI エージェントを通じた販売を開始でき、販売する商品、ブランドの見せ方、そして注文の処理方法などをコントロールできます。ACP は、事業者が顧客との関係や既存のシステムを維持しながら、エージェント主導のコマースに参加するために必要な標準化を提供します。オープンスタンダードの ACP は、Stripe で決済処理を行っていない事業者でも、既存の決済プロバイダーと共に導入することができ、あらゆる AI エージェントで機能します。

Stripe と OpenAI が 2023 年にパートナーシップを結んで以来、OpenAI は ChatGPT Plus のサブスクリプションに Stripe Billing と Stripe Checkout を導入しているほか、不正検知に Stripe Radar を活用し、Link で迅速かつ簡単な決済を実現しています 。今回の発表を皮切りに、Stripe は OpenAI が ChatGPT を通じて全く新しいコマースの収益モデルを開拓する支援をしていきます。今後両社はより多くの地域、事業者および消費者向けにサービスを拡大していく予定です。

現在、Forbes AI 50 に掲載されている企業の中でオンライン決済に対応しているすべての企業が Stripe を利用しています。そのほとんどが、決済や請求、不正防止、税務処理などにも Stripe を活用しています。過去 1 年間、Stripe は AI 時代における新しいコマース体験やビジネスモデルを構築するための基盤として、Agent toolkit や Stripe MCP といった広く利用可能なインフラを公開してきました。

Agentic Commerce Protocol の詳細はこちらを参照ください。