課題

ファッションの世界は、ご存知のとおり目まぐるしく変化します。1948 年に創業したハイストリートファッション小売業者 River Island は、次々と現れる新興のオンライン小売業者との競合に直面していました。決済を取り巻く状況は絶えず変化し続けているため、小売業者は購入者の好みの変化に遅れないようにしながら、決済システムで可能な限り最高の顧客体験を提供する必要があります。しかし、River Island は手間が増すばかりのレガシーアーキテクチャーに頼っており、オーソリ成功率と柔軟性の向上、進化するビジネスモデルへの対応を進めるために、決済プラットフォームを最新化する必要に迫られていました。

同社の決済システムは連携しておらず、オンラインと実店舗の決済体験が統合されていなかったため、更新が大変でした。動作が異なる別のシステムでそれぞれ更新する必要があったので、コストもかかる。そのため同社は、優れた顧客体験を提供し、コストも削減するために、実店舗とオンライン両方の決済フローに対応した統合決済ソリューションを構築しながら、その一環として実店舗でのショッピング体験を一新したいと考えていました。

River Island の最高情報責任者を務める Adam Warne 氏は次のように述べています。「当社の場合、オンラインのお客様と実店舗のお客様という区別はありません。自分の望む方法で買い物をしたいお客様がいるだけです。最高の体験を作り出し、その 2 つの世界の境界線をなくすことが重要です」

解決策

River Island は決済システムの徹底的な見直しに着手するにあたって、イギリスとヨーロッパの大手ブランドに携わった経験を豊富に持つ IT コンサルティング企業 Cabiri の支援を仰ぎました。両社のチームで協力して調査した結果、River Island のビジョンを実現できる決済代行業者は Stripe だと判断しました。

Cabiri で CEO を務める Rex Bigger 氏は次のように述べています。「Stripe をパートナーに選んだ主な理由は、プロジェクトデリバリーフェーズで手厚いサポートを提供してくれるからです。Stripe は各企業に合わせた個別のサポートで、疑問点や懸念を解決しながら、プロジェクトの重要なマイルストーンを順調に達成できるように支援してくれます」

River Island と Cabiri は密接に連携して、バラバラだった River Island の既存システムに置き換わる複数の Stripe プロダクトを導入しました。

オンライン決済に関しては、Stripe Payments と Stripe Elements を利用することにしました。オーソリ成功率を向上させるために、Stripe Adaptive Acceptance も利用しています。これは、誤って支払い拒否と判断されたすべてのカード支払いで失われた売上を回収するために、最適なリトライのメッセージと経路の組み合わせを特定する機能です。

River Island は Stripe が提供する最適化された決済プロダクトも利用しています。安全で埋め込み可能な UI コンポーネントを使って世界中の決済手段の中から最適なものを表示する Payment Element もその 1 つです。2023 年には、3 種類の決済手段をスピーディーに追加できました。River Island の専用ドメインがあるすべての国で Apple Pay と Google Pay を導入し、アイルランドの店舗向けに Klarna を導入。また、購入完了率を向上させるために、支払いリクエストボタンを利用して、決済時に Apple Pay と Google Pay のウォレットオプションを動的に表示するようにしたため、デバイスでそれらのウォレットを有効にしている購入者はこのオプションに気付けるようになりました。

River Island は Stripe が提供する最適化された決済プロダクトに含まれるこれらのコンポーネントを利用して、購入者が希望する決済オプションを導入し、顧客体験をレベルアップさせました。また、購入完了率と売上が伸びるスピーディーで簡単な決済プロセスも実現しています。購入者の負担をさらに減らして購入完了率を高められる可能性があることがわかったため、購入者が保存した決済情報や配送の詳細を自動入力してスピーディーな決済機能を実現する Link も導入する予定です。

実店舗内のキオスク端末としては、Stripe Terminal カードリーダーを採用しました。Stripe を一度導入するだけでオンラインとオフラインでの販売をすべて一元管理でき、購入者を総合的に把握できるようになりました。

一部の店舗には、埋め込まれた RFID タグで買い物客が選んだ服を認識してすぐに表示する画面が付いた、スマート試着室も設置しました。この画面を使って、買い物客は販売スタッフに別のサイズをリクエストしたり、他のおすすめアイテムを見たりすることができます。購入する気になったときに、列に並ぶ必要はありません。試着室を出てセルフレジ端末に行き、Stripe Terminal カードリーダーを使って支払うだけで済みます。このセルフレジ端末では、現在は決済用に、インターネットを介して Stripe Terminal SDK に接続する BBPOS WisePOS E カウンタートップ型リーダーを利用しています。スタッフに聞きたいことがあれば、近くに River Island の従業員がいるので手助けしてもらえます。

Bigger 氏は次のように述べています。「これまでと同様の顧客体験を重視したソリューションを開発することに重点を置きました。River Island の既存の顧客体験に合わせて慎重にテクノロジーを入れ替えたことで、Stripe を当社の決済プロセスにシームレスに導入できました」

結果

Stripe と Cabiri の力を借りて、River Island は扱いづらかったレガシーの決済スタックを最新の洗練されたソリューションに入れ替えました。優れた顧客体験を実現し、複数チャネルで効率的に事業運営をするためには、そのような最新のソリューションが必要でした。現在は、River Island の店舗のセルフ決済も、オンライン販売もすべて Stripe が処理しています。このように導入したことで、River Island は購入者と売上フローを総合的に把握できるようになりました。

オーソリ成功率が 3% 向上

実装してすぐに、River Island のオーソリ成功率が向上しました。Adaptive Acceptance や Payment Element など複数の Stripe ソリューションが効果を発揮したことで、この成果を達成できました。また、Apple Pay や Google Pay などの新しい決済手段を導入したことも、オンラインのカード入力フォームを利用していたときと比べてオーソリ成功率が向上した理由です。

Payment Element のおかげで River Island はこのような変更をすぐに実装できました。各決済手段を導入するのに 1 ～ 2 カ月もかけることなく、たった 1 回のスプリントで導入できるので、導入期間が 3 分の 1 で済みました。

また、決済プロセスで確認と支払いのステップから取引ステップに進む購入者も 2% 増えたため、全体的な購入完了率にプラスの効果がありました。購入者が購入を完了する割合が増え、送信した決済の承認率も向上したため、River Island は売上が伸びると予測しています。

River Island のデジタルプロダクトリードを務める Emily Haddrell 氏は次のように述べています。「Stripe とパートナーになって最初の 12 カ月で、これまでよりも数百万ポンド以上多くの売上を得られる見込みです」

1 人 1 人に合わせてきめ細かくカスタマイズしたショッピング体験を作り出す

River Island 初となるセルフレジ端末の初期導入実験では、店舗での購入者の 40% がセルフレジを使うという結果になり、成功しました。従来の有人レジに行くよりも約 30% 早く決済が完了したため、この店舗での購入完了率は 1% 向上しました。River Island はセルフレジを引き続き展開していく予定で、イギリス全域の店舗で購入完了率が向上すると見込んでいます。

Cabiri について

Cabiri は、ヘッドレスかつサーバーレスの EC ストアソリューションに特化した小規模専門店向けのコンサルティング事業を運営しています。小売業、高級品販売業、エンターテインメント産業に関する豊富な経験を活かして、企業や開発者との緊密な協力関係を築き、オムニチャネルのデジタルコマースソリューションを世に送り出しています。