オリックスが電帳法対応のビジネス書類電子保管サービス「PATPOST」に Stripe を採用

日本を代表する多角的金融サービスグループ、オリックス。DX 推進のための企画・開発に取り組む同社は、2023 年、ビジネス書類電子保管サービス「PATPOST」をリリースしました。オリックスは Stripe とパートナーシップを組み、「あらゆる帳票管理業務のストレスをなくす」ことをミッションに同サービスの普及に取り組んでいます。

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課題

「PATPOST」開発以前、オリックスは社内で利用中のオンラインストレージから目当てのデータファイルをなかなか探し出すことができないといった業務上の課題を持っていました。そこで、課題解決に向けたプロジェクトが立ち上がります。

一方、「電子帳簿保存法」の改正により、日本の事業者は電子取引における請求書や見積書・領収書などの書類や帳簿を、電子データで保存することが義務付けられました。オリックスは「自分たちと同じように電子化した大量のドキュメントを適切に管理することに課題を感じている企業は多いのではないか」という思いで、サービス設計を進めていきました。

「書類の管理や検索の業務に工数がかかってしまうと、生産性や収益にも影響します。まずは、できるだけ多くの企業様に『PATPOST』をご活用いただき、DX の歩みを進めていただければ嬉しいです。大がかりなシステム開発や、現場の今の業務フローを大きく変えることなく、低コストで、誰でも簡単に操作できるシンプルな UI にこだわって開発しました」牛尾知里氏(法人営業本部 デジタル戦略推進室 マネージャー)

UI にこだわる「PATPOST」の開発は、その決済システムの選定においても、厳密な比較検討が実施されました。

「まず初めに、10 種類程度のサービスを比較検討しました。5 つまで絞り込んで、それから実際にオンライン面談を行いました」

そして、最終的に選ばれたのは Stripe のソリューションでした。

ソリューション

「PATPOST」における決済システムの選定要件として、「与信管理コストが小さいこと」「サービス利用料回収、紹介手数料支払いのオペレーションを完全自動化できること」「決済手数料が安価であること」の 3 つが重要なポイントであったと、牛尾氏は言います。

「『PATPOST』はビジネス文書、特に国税関係書類などの電子取引データの法対応に価値提供を置いています。その上で、税理士・会計士の先生方に顧問先企業のご紹介などをいただいた場合の『紹介手数料支払い処理』の業務についても自動化を検討しておりましたが、 Stripe Connect はそれを実現してくれます。他のサービスではカスタマイズコストが発生してしまうので、選定の大きな決め手となりました。また、未収発生時のリマインドメールが標準サービスとして提供されている点も、コスト削減にこだわる『PATPOST』として大きなポイントでした」(牛尾氏)

さらに、契約手続きの効率化も Stripe のソリューション選定の決め手のひとつになりました。

「『PATPOST』のお申し込み企業に対しての事前審査が不要ということで、お申し込み時にお客さまをお待たせすることなく契約手続きを進められることができるようになります。一方で『顧客紹介契約』の締結先に対しては、手数料支払先として Stripe 側で厳格に審査がなされますので、我々の管理コストの削減が実現できると思いました」(牛尾氏)

Stripe とオリックスのパートナーシップは 2022 年 4 月に始まり、約 1 年の構築期間を経て 2023 年 5 月にサービスがリリースされました。この間、Stripe は以下のような事項についてサポートを提供しています。

  • 資金決済のスケジュール
  • 顧客紹介契約締結における申込審査の連携方法
  • トライアル期間、ID 追加・削減、次年度更新時の連携方法
  • 請求履歴・紹介手数料支払履歴の管理画面上での連携表示
  • 収益計上の要件整理

オリックスは Stripe のプロフェッショナルサービスチームとの共同体制を築き、実装の全過程において専門的な知識と支援を得ることができました。詳細な製品についてのワークショップや定期的な Q&A セッションを通じて、決済システムだけでなく、顧客タイプに合わせた柔軟なサブスクリプション料金体系や、紹介料を考慮した上でプラットフォームビジネスモデルの構築を実現しました。

また、サービスリリース後は有償サポートを利用。インボイス制度や電帳法などの規制への対応のほか、振り込みや収益認識などの日々の運用課題も、Stripe のサポートマネージャーと連携することで、解決しています。特に収益認識サービスの要件定義では、時間をかけて慎重に認識合わせを行い、システムの構築における各種課題に対応しました。

「年払いの請求だったため、サービス提供期間(役務提供期間)で収益を期間按分して計上する必要がありました。まずはどのように計上処理をすべきかの確認と共有から始まり、正常系・異常系のサンプルデータを作成してテストし、実際の処理のオペレーションを組み立てるところまで Stripe のプロフェッショナルサービスチームと有償サポートチームに、手厚くサポートいただきました。今後多くのトランザクションを適切に会計処理することに大きく貢献すると思います」(牛尾氏)

結果

「PATPOST」は Stripe の決済システム導入により、決済手数料を抑えながら、人手によるオペレーションを極力排除した効率的なサービス提供を実現しています。

「今後は、2023 年 10 月に開始されるインボイス制度に対応して、インボイスに記載された適格請求書発行事業者登録番号を識別・照合する機能を追加するなど、サービスや機能の拡充を図っていく方針です。さらに、『PATPOST』に保管される請求書、領収書などのデータをもとに、ユーザー企業に有益なファイナンスサービスをタイムリーに提案する仕組みなども検討しています。それらに合わせて料金プランの追加、オプション料金・従量課金の課金体系の追加も検討したいと思っております」(牛尾氏)

マーケットフィットを見極めながら進めるプロダクトの継続的な開発と、それに伴う課金体系の最適化。Stripe ソリューションは最小限の設定で、それらを可能にします。さらに、細やかなサポートにより、Stripe はオリックスにおけるサブスクリプションビジネスの成長を伴走していきます。

シンプルな料金体系

手数料によるわかりやすくシンプルな料金。 初期費用や月額費用の固定費はありません。

簡単に導入開始

わずか 10 分程度で Stripe に登録し利用開始できます