逆風の中にあっても成長を続けるサブスクリプション経済

Midjourney のプロンプト: /imagine Carousel of credit cards, recurring lines to show passage of time, isometric, depth of field, --ar 16:9

  • Stripe で処理される継続支払いの金額が 1 回限りの支払い額よりも 16% 速いペースで増加しており、サブスクリプション型企業は国際的拡大を続けています。
  • サブスクリプション型企業の大半は、使用量ベースのモデルやプレミアムプランを含む柔軟な価格戦略へと向かいつつあります。
  • 意図的でない解約の増加を報告している企業の 3 分の 1 は、解約率を下げるためのサードパーティ製のツールをまだ使用していません。

サンフランシスコおよびダブリン: 企業向けの金融インフラプラットフォームを提供する Stripe は、State of Subscription and Billing Management report (サブスクリプションおよび請求書の管理の現状) (英語) を本日公開しました。このレポートは、今後 1 年間の戦略に関してサブスクリプション型企業 1,500 社のリーダーの考えを分析したものです。調査対象の企業は B2B の SaaS 企業やデジタルサービスプロバイダーから、物理的な製品のサブスクリプションを提供する企業まで多岐にわたります。

サブスクリプション型企業は、コロナ禍で消費者と企業からの需要が高まるにつれて急拡大しました。そして、コロナ禍によって押し上げられた成長が次第に陰りを見せていく中、サブスクリプションモデルは広範なオンライン経済よりも優位に立ち続けています。その証拠に、Stripe で処理される継続支払いの金額が 1 回限りの支払い額よりも 16% 速いペースで増加しています。

こうした成長にもかかわらず、サブスクリプション型企業のリーダーはさらに複雑な環境に備えています。今回の調査に参加した企業のリーダーの 43% が意図的でない解約の増加を予測していますが、その背景にあるのが、不安定なグローバル経済のあおりを受けて減少する購入者の数です。同時に、継続購入の予測可能性がこれまでよりもさらに重要になるという点で、回答者の 81% が同じ認識を持っており、既存客を維持するさらなる方法を探しています。

サブスクリプション型企業のリーダーは、この複雑な環境の「羅針盤」として主に 3 つのアプローチを採用しています。料金最適化、継続的な国際展開、自動ツールを使って意図的でない解約を抑制することの 3 つです。

料金最適化

高インフレの状態では負担するコストも増大するため、ほとんどのサブスクリプションサービスにとって値下げという選択肢はありません。値下げによって顧客離れに対応するという企業はわずか 25% にとどまっています。その代わりに 40% の企業が、顧客のニーズを的確に満たし、サービスの価値を実証するために、新たな価格戦略への投資を計画しています。

最も一般的な料金モデルは定額ですが、マクロ経済の不確実性によってさらに柔軟なアプローチが求められています。回答者の 67% は、価格に敏感な加入者の声にあおられて使用量ベースの料金モデルがさらに広く普及すると予測しています。その一方で、サブスクリプション型企業は価格に敏感でない顧客層向けのプレミアムオプションを開発しています。金融サービスサブスクリプション型企業の 52%、技術系サブスクリプション型企業の 42% が、高価格帯のプレミアムプランを提供する計画があると回答しています。

Midjourney の CFO、Nadia Ali 氏は次のように述べています。「段階性のサブスクリプション料金と使用量ベースの追加料金を併用することで、従来の画一的なアプローチと比べて、さらに多くのお客様に当社の製品をお届けすることが可能になります。Stripe のおかげで、当社のツールに対するお客様のさまざまな関心と用途に応えることができます。Stripe でサブスクリプションプランのオーダーメイド化を進めることによって、AI のマニアから AI を始めたばかりのユーザーまで、幅広い顧客グループにアピールできるようになります」

無料トライアルを簡単に実装して料金の最適化を試すことができますが、無料トライアルにはそれ自体に課題があります。多くの場合、支払いとトライアルのキャンセルを管理するのはコストと手間がかかります。というのも、利用者がトライアル終了前にサブスクリプションのキャンセルを忘れると、サポートチケットと返金要求が発生するからです。SaaS スタートアップである Tango は、決済手段を必要としない無料トライアルを提供することで、この問題を解決しました。この結果、返金サポートを管理するというリスクが生じることなく、利用者は製品の価値を体験できるようになりました。

国際展開

コロナ禍で過熱した成長が陰りを見せるのに伴い、サブスクリプション型企業は顧客を増やし続けるために海外に目を向けつつあります。サブスクリプションサービスでは物理的なロジスティクスが不要であることが多いため、国際的な拡張性は多くのサブスクリプションサービスの重要な利点となります。

回答者の半数以上が今後 1 年以内に国際展開を計画しています。この計画にあたって、国によって支払い習慣が異なること、そして各地域の購入者は自身の好みの決済手段で支払えるようになると期待していることを企業は理解しています。それを受け、回答者の 71% が今後 1 年間で新しい決済手段を最低でも 1 つは追加する意向だと述べました。

意図しない解約の抑制

サブスクリプション型企業は海外での新たな顧客の開拓を模索する一方で、既存客を維持するためのツールへの投資を行っています。特に重視しているのが、支払い情報の問題によってサブスクリプションが失効するときに発生する意図しない解約を抑制するツールです。アンケートに回答した企業の 41% が意図しない解約が増加していると報告しており、これらの企業の 3 分の 1 (32%) が、こうした解約の発生を自動で抑制できるツールを未だに活用していません。

たとえば、Stripe の Smart Retries のように、機械学習のアルゴリズムを使用して、失敗した支払いを再試行する最適なタイミングを判断するツールや、失効したカードを新しい支払い詳細で自動的に再発行する自動カード更新機能などがあります。売上回収ツールを使用すると、意図しない解約が大幅に抑制され、収入の減少が緩和され、顧客の購入およびサブスクリプションから得られる価値が最大化されます。Stripe の自動売上回収機能によって、2022 年には Stripe ユーザーに 38 億ドルの追加収入がもたらされました。

Stripe 情報部門の責任者 Emily Glassberg は次のように述べています。「ここ数年で、他のインターネット経済とともに継続購入モデルが爆発的に増加しました。予測可能な費用対効果を企業と消費者が簡単な方法で獲得できるため、このモデルは今なお人気です。企業のリーダーは、今やサブスクリプション経済の次なるステージをスタートさせ、サードパーティ製のツールを活用して新しい市場へと事業を拡大し、さまざまな料金体系モデルを試し、忠実な顧客からさらに多くの収入を得ています」

「State of Subscription and Billing Management report」は、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、メキシコ、シンガポール、イギリス、アメリカの 1,500 名の創業者、役員、製品/決済/エンジニアリング部門のリーダーを対象に実施したアンケートの回答をまとめたものです。