課題
2023年に、Vyro は重大な決断を迫られました。同社はそれまで広告から収益を得るモバイルアプリの開発で成功を収めていました。しかし創業者たちは、台頭しつつある生成 AI の分野に大きな可能性を見出しました。この機会を捉えるために、Vyro はビジネスモデルを刷新し、モバイルアプリ開発からウェブベースのAI サービスへと移行し、最初のサービスとして ImagineArt を立ち上げました。このプラットフォームが人気を博すと、Vyro は事業を拡大して ImagineArt を画像、動画、スケッチ、音楽、オーディオのツールを一つにまとめた、フルスタックの生成 AI クリエイティブスイートへと発展させました。
Vyro の戦略的ビジネスパートナーである Talha Arshad は次のように述べています。「当社のビジネスモデルは、広告収入からサブスクリプション収入に変化しました。私たちのターゲット市場は世界に拡大しましたが、特にアメリカやヨーロッパのようなティア 1 市場に重点を置いています」
Vyro はこれまで、モバイルアプリの決済処理と財務管理において、Google や Apple の請求システムに依存していました。これらのプラットフォームは、決済処理から税務コンプライアンスに至るまで、すべてを管理する決済代行業者として機能していました。しかし、ウェブベースの AI サービスに進出するようになって新たな現実に直面しました。仲介役となるアプリストアのプラットフォームなしで自社でゼロから決済インフラをゼ構築する必要に迫られたのです。このインフラは、ImagineArt の様々なサブスクリプションプラン、国際取引、多様な決済方法、複数の法域にまたがる複雑な税務コンプライアンスに対応できるものでなければなりませんでした。
Vyro は急成長を続ける中、承認率を最適化し失敗した決済の回復にも取り組んでいました。これらの課題を適切に管理しなければ、会社の大きな損失につながる可能性があるからです。また、Vyro のユーザー数の増加に伴い、不正利用の試みも必然的に増加しました。そのため、成長するビジネスを保護するために効果的な不正利用防止対策が必要でした。
解決策
Vyro はウェブベースの AI プラットフォームを立ち上げる準備を進めていた 2023 年 5 月に、Stripe アカウントを作成し、新しいサービスのテストのため、少額の決済処理を始めました。その後、成長の軌道が明らかになり、Vyro は、Stripe Payments を皮切りに、決済インフラ全体を Stripe のプラットフォームで構築しました。
Vyro は決済フローを改善し多様な決済方法を提供するために、Stripe 決済ソリューション を導入しました。中でも Stripe Checkout は既製の決済フォームのため、同社は大幅な技術リソースを節約することができました。Checkout の UI は柔軟であるため、Vyro のチームは決済体験を自在にカスタマイズすることができ、常に変化する規制にも対応しやすくなりました。Vyro はクレジットカード、Apple Pay や Amazon Pay といったデジタルウォレット、地域限定の決済手段、そして Stripe が提供するウォレットの Link をといった様々な決済手段をダッシュボードから追加しました。
支払いの受け付けをさらに強化するため、Vyro は決済最適化機能を活用しました。Smart Retries は、決済に失敗した場合の再試行に最適な曜日と時間を特定するものです。また、Adaptive Acceptance は、AI を使用してオーソリリクエストを最適化します。
Vyro は、高度なサブスクリプション管理システムに対応するために、Stripe Billing を導入しました。これにより顧客は、週単位と年単位双方の請求サイクルで価格の異なる複数のトークン・パッケージを購読できるようになりました。さらに、必要に応じて追加のトークンを購入することもできます。Stripe Billing は、プランのアップグレードやダウングレードに伴う日割り計算など、サブスクリプション請求の複雑な処理を自動的に管理しています。
Vyro の事業はグローバルであるため、複数の国・地域の税務規制に対応する必要があり、少人数のチームにとっては非常に困難な課題でした。Stripe Tax がそれを解決しました。顧客の所在地に基づいて税金を自動的に計算、徴収、報告する機能が備わっているのです。
Vyro の顧客基盤が拡大するにつれて、不審請求の申し立てや不正利用の試みが増加しました。これに対応するために同社は Stripe Radar for Teams を導入し、リスクの高い決済を事前に特定してブロックするようになりました。このツールを使用することで、Vyro のチームは特定の地域から不正取引にパターンがあることに気づき、その問題に対処するためのカスタムルールを作成しました。
結果
Vyroはこの包括的な決済インフラを数日で導入
Vyro はわずか 5 日で Stripe との統合プロセスを完了させました。Vyro のバックエンドの責任者である Muhammad Shariq 氏は、次のように述べています。「Stripe には決済に関する素晴らしいドキュメントがあり、API のリファレンスも充実しています。必要なものがあれば、いつでも簡単に見つけることができます。Stripe はリファレンスやドキュメントの面で特に成熟しています」
Vyro は Stripe を利用するようになって数カ月でグローバルな決済処理を実施
Vyro は Stripe と統合したことで、わずか数カ月でサードパーティのアプリストアに全面的に依存する状態から、自社でグローバル決済インフラを管理する体制に移行しました。「国際的な決済は私たちのビジネスにとって重要でした。Stripe のおかげで、様々なユーザーに多様な支払い方法を提供できるようになりました。この柔軟性は間違いなく、私たちの事業拡大を後押ししてくれています」と Arshad 氏は述べています。
購入の 45% が Link 経由
Link の導入により、Vyro の決済プロセスは大幅に合理化されました。現在、全購入の 45% が Link 経由で完了しており、これによりカート放棄率が低下し購入完了率が向上しています。また、アメリカの顧客には、Stripe の新しい ACH 方法であるInstant Bank Payments を利用するという選択肢が提供されました。これにより、顧客は Link で簡単にチェックアウトし、銀行口座から直接支払うことができます。この決済方法では、カード決済と同様に支払が即座に確定され、2 営業日以内に決済されます。さらに、Instant Bank Payment の手数料は成功した取引あたり 2.6% + 30 セントで、カード手数料より安価です。
Smart Retries とメールによる自動通知により、収益回収率が 40% 向上
Vyro は 2 カ月間でそれまでの 6 カ月間の平均と比較して、収益回収率が 40% 増加しました。同社は、この成果を、Smart Retries や決済失敗時のメール自動送信といった、インテリジェントな最適化機能によるものだと分析しています。
Vyro は Stripe Billing の柔軟なサブスクリプション管理機能を利用して 4 倍の成長を達成
Vyro が AI を活用したサービスを拡大し続ける中、Stripe Billing は会社の急成長に貢献しています。同社の収益は 2023 年から 2024 年にかけて 300% 増加しました。
Arshad 氏は次のように述べています。「この成長は、Stripe の拡張性の高い決済インフラに支えられています。このインフラは、当社のビジネスの需要増加と複雑性の管理において不可欠であることが証明されました」
Stripe Billing は、1 回限りの支払いから従量課金モデルまで、複数の価格設定に対応しており、Vyro の多様な顧客ニーズに応える上で重要な役割を果たしています。直感的に利用できるダッシュボードがパフォーマンスをトラックし、より賢明なビジネス上の意思決定を行う上で実用的な洞察を提供しています。
自動化された税務コンプライアンスにより、Vyro の財務チームの負担軽減
税務コンプライアンスを Stripe Tax に集約することで、Vyro は業務を大幅に簡素化しました。同社の少人数のチームは、グローバルな税務規制を把握したり、異なる管轄区域の税率を手作業で計算したりする代わりに、革新的な AI 機能の開発に集中できるようになりました。
「Stripe にこの税務処理機能がなかったら、自分たちですべての計算をするか、新たな人員を追加で雇わなければならなかったでしょう。その人はてんてこ舞いすることになります」
Vyro は Radar の不正利用インサイトにより、危険な支払いをほぼ 100% ブロック
Vyro が不審請求申し立ての増加という課題に直面する中、Radar for Fraud Teams は、この問題に積極的に対処するのに役立ちました。顧客が Vyro の AI サービスを利用した後、正当な取引であったにもかかわらず不正な取引と偽って安易な返金を求めるケースにも対処しました。Radar が AI で生成した不正に関する洞察により、Vyro は特定地域からの高リスク取引のパターンを特定してブロックすることができました。最終的に不正利用が減少して同社のサービスが保護されました。
不審請求を申し立てる率の上昇に対処するため、Vyro はRadar のリスクに関するインサイトとリスクスコアを使用して、特定の地域や銀行からの高リスク取引のパターンを検出しました。シンガポールの特定の銀行が常に不正利用スコアの引き金となった場合、チームはカスタムルールを導入してこれらの支払いをブロックし、最終的にほぼすべての不正利用を防止しました。
Vyro のデータ・マーケティング担当の Shaiq Habib 氏は次のように述べています。「不審請求申し立てが増加したとき、私たちは Stripe から受けた早期警告に対応して、リスクスコアの高い決済をブロックするカスタムルールを導入しました。この先見的なアプローチにより、リスクの高い支払いをほぼ 100% ブロックすることができました」
Stripe の決済プロセスはとても簡単に統合することができました。その機能のほとんどが当社の事業に関連するので、アップデートに沿ってできるだけ多くの機能を有効にしています。新機能は私たちが必要としているものなので、リリース前からキャンセル待ちリストに加わっているほどです。