創業者のベスティングでは、創業者が保持する株式数と、その人物が会社に関与し続ける期間とが結び付けられます。創業者には通常、最初に株式が発行されますが、未確定部分はベスティングスケジュールに基づく買い戻しや没収の対象となる場合があります。創業者が早期に退職した場合、一般的には確定済みの株式は保持されますが、未確定の株式は会社が回収できます。
ベンチャーキャピタルの支援を受けているか、自己資金で運営しているかに関わらず、多くのスタートアップがこの構造を採用しています。ベンチャーキャピタルのタームシートを分析したところ、2025 年にイギリスで作成されたシードラウンドのタームシートの 65% に、創業者のベスティングが含まれていました。この仕組みは、共同創業者が多額の株式を保有したまま退職した場合に生じる問題の解決に役立ちます。
ここでは、創業者株式のベスティングスケジュールの一般的な仕組み、スタートアップがこれを利用する理由、ベスティングスケジュールを設けずに創業者株式を付与する場合との違いについて説明します。
この記事でわかること
創業者のベスティングでは、株式を最初に一括付与するのではなく、株式の所有権と会社での在籍期間が結び付けられます。
創業者が早期に退職した場合に会社を保護できるため、投資家は通常、ベスティングを資金調達の条件として要求します。
83(b) election は、創業者が確定済み株式を受け取った直後に提出しなければならない、期限の厳しい税務申告です。
創業者のベスティングとは
創業者のベスティングとは、法人化した日に完全に所有するのではなく、時間をかけて株式を獲得していくことを意味します。標準的な構造は 1 年のクリフ (待機期間) を設けた 4 年間です。最初の 1 年間は何も確定しませんが、12 カ月が経過すると一度に 25% が確定します。その後、4 年が経過するまで、残りの株式が毎月 (通常は毎月総付与数の 1/48 ずつ) 確定します。このスケジュールにおいて 18 カ月後に退職する創業者は、25% のクリフと、6 カ月分 (各 1/48) を合わせた約 37.5% の株式を取得することになります。
スタートアップが創業者のベスティングを利用する理由
早期に退職したにもかかわらず全株式を保有し続ける創業者がいると、会社に残ったメンバーに問題が生じます。会社を構築し続けているメンバーがすべての業務をこなす一方で、過去のパートナーは実際には行われなかった貢献に見合った規模の株式を保有することになるためです。そのため、ベンチャーキャピタルは通常、創業者のベスティングを資金調達の条件とします。チームが何年にもわたって業務を遂行することを見込んで投資を行うため、会社にスケジュールが設定されていない場合は、デューデリジェンスの際にベスティングを要求します。
ベスティングは、競合リスクからの保護も強化します。退職する創業者に未確定株式の放棄を強制することで、早期に退職して競合会社に加わったり、競合会社を立ち上げたりするリスクを軽減できます。日々の業務から身を引く一方で、別の創業者がより多くの事業を担うようになるなど、ある創業者の貢献度が大幅に変化した場合でも、未確定株式があれば、残りの創業者や取締役会は当初の株式分割にとらわれることなく、その状況に対処できます。こうした理由から、意見の対立が生じる前にベスティングの条件を設定し、全員が同じ期待値でスタートすることが重要になります。
ベスティングと株式の一括付与の違い
一括付与では、設立時にすべての株式が条件なしで創業者に付与されます。アイデアを出し、初期段階のリスクを負ったのだから、完全に所有するのは当然であり、その時点ではこの方法が公平だと感じられるかもしれません。しかし、一括付与の仕組みは、ベスティングがまさに回避しようとしている問題を引き起こします。100% 確定済みの 40% の株式を持つ創業者が数カ月後に退職した場合、その株式を回収して後任者に再分配したり、代わりに業務を行う人材を採用するための材料として利用したりすることは容易ではありません。結果として、会社の所有構造に対処が困難な空白が生じます。
ベスティングが標準となった理由は、投資家からの圧力だけではありません。自分自身や友人が共同創業者の分裂による悪影響を経験した創業者は、次回以降、ベスティングを最も強く支持する傾向があります。所有権がタイミングではなく貢献度に連動していることを投資家や将来の従業員に示すため、このスケジュールは会社に残るメンバーや、最初から誠実にスケジュールを設定した創業者を保護します。
創業者株式のベスティングの例
スタートアップは通常、同じ 4 年間の枠組みのいずれかのバージョンを使用します。
標準的なスケジュールと一般的なバリエーションの詳細は以下のとおりです。
1 年のクリフ (待機期間) を設けた標準的な 4 年間のベスティング: 最初の 12 カ月間は何も確定せず、その後一度に 25% が確定します。残りの 75% はその後 3 年間にわたって毎月 (通常は毎月 1/48 ずつ) 確定します。
法人化前の業務に対する評価: 会社を設立する前に 6 カ月や 1 年かけてプロダクトを構築した創業者は、実質的なスケジュールの短縮を交渉することがあります。これは、4 年間のスケジュールをゼロから開始するのではなく、それまでの業務を考慮に入れるものです。
シングルトリガーによる前倒し: 会社が買収された場合、未確定株式がすべて即座に確定します。ただし、買収企業は退職する創業者に対し、移行期間中も会社に留まる理由を求めることが多いため、この条件は一般的ではなくなっています。
ダブルトリガーによる前倒し: 会社が買収され、その後一定の期間内 (多くの場合 12 カ月) に創業者が正当な理由なく解雇されたり、役職がなくなったりした場合、未確定株式が即座に確定します。この構造により、買収後すぐに創業者が追い出されるのを防ぐと同時に、創業者が留まる理由があるという安心感を買収企業に与えることができます。
創業者のベスティングと 83(b) election の関係
ベスティングによって、米国の創業者は IRS に83(b) election を提出するかどうかを事前に決定する必要があります。通常の税法では、各確定日の株式の価値に基づいて、株式が確定するたびに所得税が課されます。しかし、スタートアップの価値が 4 年間で上昇した場合、付与された時点ではほとんど無価値であった株式に対し、価値が高まった時点で課税されることになります。
83(b) election を選択した場合、各部分が確定する時点ではなく、株式の価値が通常は 0 に近い設立時に、付与された全価値に対して課税されるため、税の負担は最小限に抑えられます。提出期限は株式付与の受領から 30 日間であり、期限に間に合わなかった場合でも IRS は延長を認めません。Stripe Atlas を利用すると、法人化時の創業者株式の設定の一部として、83(b) election を自動的に提出できます。
Stripe Atlas によるサポート
Stripe Atlas は、法人化、雇用主責任番号 (EIN)、株式の設定、税務申告など、会社を合法的に立ち上げるために必要なすべての作業を処理します。これにより、世界中のどこからでも、最短 2 営業日で資金調達、銀行口座の開設、支払いの受け付けを開始できます。
Y Combinator、a16z、General Catalyst などのトップ投資家の支援を受けるスタートアップを含め、Atlas を使用して法人化された 100,000 以上のスタートアップの仲間入りを果たしましょう。
数分で開始
申請は 10 分未満で完了します。会社の構造を選択し、希望する社名が利用可能であることを確認して、最大 4 人の共同創業者を追加し、株式分割を設定して電子署名を行います。その後は、共同創業者への電子署名の通知を含め、Atlas が手続きを引き継ぎます。
将来の株式取得に関する簡易契約 (SAFE) による資金調達
法人化後は、Stripe ダッシュボードから直接 SAFE ラウンドを開始できます。ツールを切り替えることなく、取締役会の承認書類を作成し、YC 標準の SAFE を発行して、投資家からの確約を追跡できます。Stripe Treasury をご利用の場合、投資家の資金は直接 Stripe 金融口座に振り込まれます。
EIN 到着前の銀行業務と支払い
Atlas は法人化後、自動的に EIN 申請を行います。Atlas により、EIN 取得前でも支払いと銀行業務が可能になるため、待つことなく直ちに支払いの受け付けと取引を開始できます。社会保障番号を持つ米国の創業者は、通常、IRS による迅速な処理の対象となります。
83(b) 税務選択の自動申請
個人所得税を軽減するため、Atlas は米国と米国以外の創業者を問わず、追跡機能付きの米国郵便公社の配達証明郵便を利用して 83(b) election を提出します。署名済みの 83(b) election と提出証明書は、配達証明の確認とともに Stripe ダッシュボードで直接受け取ることができます。
世界水準の会社の法的文書
Atlas は、会社経営を開始するために必要なすべての法的文書を提供します。Atlas の C 法人書類は、世界有数のベンチャーキャピタル法律事務所である Cooley と共同で作成されています。これらの書類は、所有権構造、株式分配、税務関連の法令遵守などをカバーし、すぐに資金調達を開始でき、会社が法的に保護されるよう設計されています。
2,500 ドルの Stripe クレジットと 50,000 ドル以上のパートナー割引
Atlas を利用するスタートアップは、初年度に 2,500 ドル分の Stripe プロダクトクレジットを受け取れるほか、Mercury、AWS、Carta、Xero、Perplexity、その他の必須ツールに対する 50,000 ドル以上の割引を利用できます。デラウェア州の登録代理人サービスも初年度は無料で含まれます。
会社の法人化、資金調達、運営を 1 カ所で完結させる Stripe Atlas の仕組みをご覧ください。
創業者のベスティングに関するよくあるご質問
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。