スウェーデンでビジネスを運営する場合には、特に販売を扱うケースでは、厳しい規制を遵守しなければなりません。ほとんどのシナリオで、税務コンプライアンスのために認定レジが法的に義務付けられています。

ビジネスに適したレジの選択は、ビジネスモデル、決済手段、および長期計画によって異なります。簡易レジでうまく管理できる企業もあれば、総合的な POS (販売時点情報管理) システムの柔軟性を必要とする企業もあります。また、これらの装置を購入するかレンタルするかを決める必要もあります。

以下では、スウェーデンで簡易レジを選ぶ方法と、法的要件に準拠する方法を説明します。

この記事の内容

• 簡易レジの概要、およびスウェーデンでの仕組み
  
• スウェーデンのレジの法的要件
  
• 企業が簡易レジに求めるべき機能
  
• スウェーデンの簡易レジにかかる費用
  
• 簡易レジと POS システムの比較
  
• スウェーデンで簡易レジを購入・レンタルする前に考慮すべきその他事項
  

簡易レジの概要、およびスウェーデンでの仕組み

簡易レジは、売上の処理、合計 (税込み) の計算、現金の保管、および領収書の印刷を行います。これは、小さなカフェ、ブティック、サービスベースのショップなどの実店舗のビジネスで、取引を記録するための主要ツールです。

スウェーデンでは、ほとんどの企業に認定レジが法的に義務付けられています。商品やサービスを直接販売する場合は、Skatteverket (スウェーデン税務庁) の基準を満たす認定レジシステムを使用する必要があります。

スウェーデンのレジの法的要件

スウェーデンには、企業が売上を正確に報告するための厳格な規則があります。これらの規則は、ほとんどの小売店、カフェ、レストラン、サロン、サービスプロバイダーに義務付けられています。以下のような一部事業者は義務が免除されています。

• 販売額が非常に少ない企業 (年間 235,200 スウェーデンクローナ (SEK) 未満)
  
• タクシー事業
  
• E コマース、自動販売機、訪問販売
  

免除事業者でない限り、Skatteverket が定めた以下の規制を遵守する必要があります。

認定レジと制御ユニット

レジは、認定された制御ユニットとペアリングする必要があります。このユニットは、販売ごとに一意の制御コードを生成します。これにより改ざんを防ぎ、法令遵守をサポートします。新しいレジを使い始めるときは、Skatteverket で認定を受ける必要があります。

毎日の現金管理と決済タイプのログ記録

毎日の営業開始時に、最初のキャッシュフロートを記録し、追加または削除された現金を追跡します。これにより、正確な記録を保持できます。また、レジ内の時計が
正しく設定されていることを確認してください。

すべての売上の領収書

すべての取引で領収書を作成する必要があります。顧客が拒否した場合でも、印刷または送信する必要があります。電子領収書は、顧客が受信できる方法 (メールなど) で送信される場合に限り許可されます。

安全な取引ログ

レジシステムは、制御コードを含む取引データを自動的に記録して保存します。これらのコードは、税務当局が監査中に販売を確認し、不正を検出するのに役立ちます。レジの電子仕訳帳は、公式の会計記録の一部として少なくとも 7 年間保存する必要があります。

日報と保存記録

各日の終わりに、すべての取引を要約した Z レポートを作成する必要があります。これらのレポートには、税務上の重要な会計情報が記載されており、通常は電子的に保存されます。

法令遵守検査と罰金

Skatteverket は、予告なしにいつでもあなたのビジネスを検査する場合があります。レジが認定済みかを確認したり、取引ログを確認したり、特定のレシートコードを要求したりする場合があります。違反した場合、初回の違反に対しては最大 12,500 SEK の罰金が科せられ、1 年以内に違反が繰り返された場合は 25,000 SEK が科せられます。

企業が簡易レジに求めるべき機能

すべてのレジが同じというわけではありません。スウェーデンにおける優れた簡易レジとは、使いやすく、法律に準拠し、日常の取引を効率的に処理できるものでなければなりません。ここでは、考慮すべき点について説明します。

使いやすさ

インターフェイスは、はっきりしたボタンやタッチスクリーンを備えたわかりやすいものにします。レジに必要なトレーニングは最小限で、スタッフが簡単に売上を計上し、割引を適用し、返金を行うことができるものにします。また、全般的に決済フプロセスをスピードアップできることが必要です。

主要な機能

レジは付加価値税 (VAT) を正しく計算し、必要なすべての詳細が記載された領収書を印刷できることが必要です。一部のモデルでは、商品カテゴリ (「食品」や「飲料」など) を事前にプログラムして、売上の追跡をシンプルにできます。品目価格を事前設定する必要がある場合は、レジに十分な価格読み取り (PLU) スロットがあることを確認します。

決済システムとの連携

レジは、カードリーダーに簡単に接続して、決済金額が自動的に転送されるものにします。レジにリンクされていないスタンドアロンのカードリーダーがあると、手動での照合が余分にかかるため、可能であればこれを避けるとよいでしょう。

スウェーデンでは、カードリーダーの伝票自体は有効な領収書ではなく、レジが発行する領収書が必要です。オンライン決済に Stripe を使用する場合は、統合レポート用に POS システムと統合することを検討してください。

レポートと記録

少なくともレジは、Z レポート (1 日の終わりのサマリー) を作成し 7 年間記録を保存して、スウェーデンの要件を満たす必要があります。X レポート (正午の売上合計) は、パフォーマンスをリアルタイムで追跡するのに役立ちます。一部のレジでは、会計用のデータをエクスポートできるため、すべてを手動で入力したくない場合に役立ちます。

セキュリティ機能

ロック可能なキャッシュドロワーが標準であり、これにより不正アクセスを防止できます。「売上なし」でドロワーを開く場合はログに記録するか、管理者キーが必要です。電子ジャーナルがある場合は、データを (SD カード、USB、またはクラウドストレージを介して) バックアップできることを確認してください。

スウェーデン法の遵守

レジは、認定された制御ユニットに接続し、Skatteverket に登録することが必須です。検査の場合に備えて、すべての取引の管理コードを格納する必要があります。容易に法令を遵守できるモデルを探してください。一部のレジは、重複レシートと制御コードの検索を簡単に行えます。

その他の便利な機能

必ずしも必要というわけではありませんが、いくつかの機能があると便利です。具体的には、バーコードスキャナーのサポート (小売業では便利ですが、すべてのビジネスで必要というわけではありません)、キッチンプリンターや注文ディスプレイ (カフェやレストラン向け)、販売データへのリモートアクセスのためのクラウド接続、屋外の市場やポップアップで販売する場合のコンパクト型／バッテリー駆動モデル、などです。

スウェーデンの簡易レジにかかる費用

簡易レジは、購入するかレンタルするかにより、一部の企業にとっては 1 回限りの投資、他の企業にとっては継続的なコストになります。価格は、機能、法令遵守要件、ビジネスが計画している使用期間によって異なります。

購入またはレンタル

• 購入: 新しい認定レジの価格は、機能によって異なります。非常に基本的なモデルは最もコストがかかりませんが、より多くの機能や統合を備えた高度なレジは高額です。
  
• レンタル: レンタルの費用も異なりますが、レンタルすると時間の経過とともにコストが分散され、多くの場合、メンテナンスが含まれています。
  

継続的な経費

• レシート用紙・消耗品: 紙、感熱ロール、インクリボンは軽微ですが、経常的なコストです。
  
• 修理・メンテナンス: 制御ユニットは時間の経過とともに不具合を起こす可能性があります。延長保証またはサービス契約が利用できる場合があります。
  
• ソフトウェアアップデート: VAT 規則が変更された場合、一部のレジを更新する必要があるため、アップデートが無料か有料かを確認してください。クラウドベースの POS システムとは異なり、ほとんどの簡易レジでは継続的なソフトウェア料金はかかりません。
  

業界別のコストに関する考慮事項

• 小売店・ブティック: 中間価格のレジを選べば何年も使用できます。
  
• レストラン・カフェ: 簡易レジから始めて、最終的には在庫管理やテーブル管理のために POS にアップグレードするのがよいでしょう。
  
• ポップアップや季節限定ショップ: レジを購入して何か月も使わないでいるよりも、毎シーズンレンタルする方がよいかもしれません。
  
• モバイル事業: タブレット、カードリーダー、小型のキャッシュドロワーは、従来のレジよりも費用対効果が高い場合があります。
  

先行投資と長期的価値

7 年から 10 年使用できる 15,000 SEK のレジは、年間で計算するとそれほどの費用ではありません。より高価なモデルでレポート作成や法令遵守の時間を節約できれば、すぐに元が取れます。最も安価なオプションには主要機能が不足している可能性がありますが、ビジネスモデルによっては、より高価なシステムでは行き過ぎかもしれません。価格だけでなく、ビジネスニーズに基づいて選択しましょう。

簡易レジと POS システムの比較

レジと POS システムはどちらも販売を処理しますが、異なるビジネスニーズに対応しています。この 2 つのうちどちらにするかを決める際には、次の違いを考慮してください。

機能性

レジは、売上の計上、領収書の印刷、現金の保管など、基本的な処理を行います。POS システムは、売上と在庫の同期、リアルタイムレポートの提供、顧客履歴の管理、簿記の自動化など、これらすべてを行います。

柔軟性とアップグレード

レジは静的であり、ソフトウェアの更新やアドオンはありません。購入したものを、そのまま使います。
POS システムは進化します。ソフトウェア上で実行されるシステムであるため、機能の更新、アプリの統合、新しい決済手段の採用が可能です。

使いやすさ

レジはシンプルさが身の上です。通常数分で使い方を習得できますが、POS システムにはより多くの設定やトレーニングが必要です。ただし多くの場合、一度構成すると直感的に操作できます。

コストに関する考慮事項

POS システムでは、多くの場合、初期費用や毎月のサブスクリプションが高くなり、経時的に加算されます。利点は、自動化、分析情報、効率化に優れていることです。

うまくフィットするかどうか

レジは、カフェ、理髪店、市場の屋台、ブティックなど、単純な販売を行う小規模ビジネスに最適です。つまり、在庫追跡や顧客インサイトを必要としない場合にうまく機能し、ソフトウェアの更新や接続が求められないため、手間がかかりません。

POS システムは、次のような企業にとって理にかなっています。

• 在庫の追跡、複数の販売チャネルの管理、または詳細なレポートが必要である
  
• 大量のデータを処理し、自動簿記、ロイヤルティプログラム、またはデータへのリモートアクセスを希望している
  
• 対面販売とオンライン販売を、Stripe やその他のオンライン決済プラットフォームを介して 1 つのシステムに連携したい
  

スウェーデンで簡易レジを購入・レンタルする前に考慮すべきその他事項

何が必要であるかがわかったら、次のステップは適切なレジを入手することです。購入するかレンタルするかに関わらず、考慮すべき点は以下のとおりです。

新品または中古品を選択

新しいレジは、kassasystem (レジシステム) を専門とする正規販売店および一部の事務用品店から入手できます。そのモデルがスウェーデンの法令に準拠して認定されていることを、必ず確認してください。新しい保証、品質保証、サポートを購入します。

中古レジはお金を節約できますが、より手間が多くかかる場合があります。次のことを確認してください。

• モデルはまだ現行の法律に準拠している
  
• 制御ユニットが含まれており、貴社ビジネスに再登録できる
  
• 信頼できる再販業者から購入している、技術者にユニットを検査してもらう、またはその両方
  

最終決定前の確認

妙にお得な取引だと思われる場合は、何が含まれているかを再確認してください。低コストのオプションでは、制御ユニットや法令遵守機能などの、必須コンポーネントが不足している場合があります。次の主要チェックリスト項目を調べてください。

• 法令遵守: Skatteverket から認定されていることを確認してください (メーカーの宣言を求めてください)。
  
• 設定とトレーニング: サプライヤーが VAT の設定や装置の登録を手伝ってくれるかどうかを確認します。
  
• サポートと保証: 保証期間とオンサイトサービスが利用可能かどうかを確認します。
  
• アップグレードの可能性: 後で機能を追加できるかどうかを尋ねます (例: バーコードスキャナー、より大きなキャッシュドロワー)。
  

将来を見据えた選択

当面のビジネスニーズを考慮しなければならないのはもちろんですが、今後数年間でこの投資をどのように使用し、適応させることができるかに注意を払ってください。

• 拡張性: 設置場所を増やしていく場合は、リンク可能なレジが必要になります。
  
• 今後の決済のトレンド: 現金の使用が減少しているため、レジシステムがデジタル決済をサポートしていることを確認してください。
  
• ビジネスとの連携: オンライン決済に Stripe を使用する場合は、後で POS システムに移行できるレジを検討してください。