課題
研究・教育分野の世界的リーダーであり、テクノロジー先進企業の Wiley は、同社の各デジタル商品を提供する相互接続された一連の技術機能を何十年もかけて構築してきました。時間の経過とともに、このそれぞれ独立していた技術機能により同社の商品間で顧客体験の分断が生じ、購入時の顧客の負担 (煩わしさ) が増大しました。Wiley のデジタルコマースプラットフォーム部門の責任者である Brendan Gualdoni 氏が新しい事業戦略を模索し始めたとき、時代遅れの決済機能が原因で発生したオンラインのカゴ落ちによる売上機会の損失額が 20 万ドルを超えると判明しました。
Wiley は、幅広い物品とデジタル商品、およびサービスを多くの地域と通貨にわたって提供しています。ビジネス環境がこのように複雑なため、従来の決済ソリューションで Wiley のすべてのビジネスドメインを 1 つの支払いプロセスに統合しようとすると、膨大なリソースが必要になることが分かりました。Gualdoni 氏は次のように述べています。「既存の戦略では、あらゆるケースに対応する汎用ソリューションの提供が目的でした。当社では、モノリシックな (一枚岩の) アプリケーションから、API ベースのヘッドレス製品を備えたプラットフォームに移行する必要がありました。そうすることで、構成可能なアーキテクチャーを採用し、柔軟性の高い機能を導入してカスタマージャーニーを向上させることが実現できるのです」
Wiley は、単一ですべてに対応できる決済プロバイダーを利用して、同社の特徴的なブランディングを維持し、何千ものビジネスドメインと数多くの商品・サービスを統合できるターンキー方式の決済ソリューションを求めていました。そして出会ったのが Stripe でした。
ソリューション
Wiley は、従来の一連の決済ソリューションを Stripe と統合することでソリューションの置き換えを開始しました。さらに、システムの展開時に必要な専門知識をさらに広げるために Stripe Enterprise Support も導入しました。Stripe Payments が Wiley Payment Services の基盤として活用される予定でしたが、Wiley は以前の決済プロセスを 1 対 1 で置き換えるだけでは満足しませんでした。同社は、ビジネスの成長に合わせて拡張可能で、わかりやすい顧客体験を提供し続けることができる決済ソリューションを設計しました。
Wiley と Stripe の共同チームは、より一貫性のあるグローバルブランドと分かりやすさと安全が強化された決済体験を創出するために、Stripe Checkout と Stripe Elements を導入しました。その結果、Wiley は、事業の拡大に伴って展開する新しい地域やドメインに一貫性のある、カスタマイズ可能なブランディングされた購入ページを作成できるようになりました。こうした新たな柔軟性をもたらす機能の 1 つとして通貨換算があらかじめ構成されており、Wiley は新しいマーケットにいち早く参入できます。また、Elements を活用して、事前構築済みの UI コンポーネントを利用できるため、チームは各ページをテストしてコンバージョンをさらに改善し、カゴ落ちを減らすことができます。
こうした決済機能の改善により、Wiley は対面での書籍販売での購入プロセスを効率化することもできました。現在、同社は、大学での書籍のポップアップ販売など、イベント時に Stripe Terminal を利用しています。これにより、統合され、均一的な購入体験を顧客に提供できるようになりました。
Wiley はまた、不正使用の監視をシンプルにするために Stripe Radar を導入しました。同社が以前に利用していた決済プロバイダーでは、新しいウェブサイトドメインを作成するたびに新たな不正対策ソリューションを導入しなければならず、同社が海外に事業を拡大する際の妨げとなっていました。Radar では導入に追加の時間がかからないため、同社は短期間で事業を立ち上げて、不正対策以外のビジネス分野に集中することができました。
結果
5,000 を超えるドメインを Wiley の決済機能で絞り込み
Wiley は、従来のテクノロジーを使用した柔軟性に乏しい広範な決済機能を Stripe に置き換えることで、5,000 を超えるドメインを単一の決済プロバイダーに統合しました。
従来のソリューションでは、商品群ごとにカートが別れていたために、Wiley の商品を自由に組み合わせてカートに入れることはできませんでした。今では、顧客は統一された購入体験を通じて Wiley のあらゆる商品やサービスを好きなように組み合わせたり、まとめたりして購入できるようになりました。この統合にはオフラインでの販売も含まれます。Terminal により Wiley の在庫情報と決済システムが接続されているため、顧客は特定の書籍を購入するためにオンラインで商品をカートに入れて、自分で決済することもできます。
Wiley のオンラインストアが 180 カ国以上で利用可能に
Checkout と Elements を活用することで、Wiley はより効果的に新しい地域にビジネスを展開できるようになりました。同社は自動化された通貨換算を活用して、カナダ、オーストラリア、英国をはじめとする 180 カ国以上で事業を展開しており、その数は増え続けています。Gualdoni 氏は次のように述べています。「Wiley はグローバル企業であるため、当社がビジネスを行っているすべての国に責任加盟店が存在します。私たちは、それらの個々のアプリケーションと直接連携し、それに専用のソリューションを構築してサポートを提供し続けなければなりませんでした。この作業は瞬く間に複雑化してしまうのです」
カスタム化により新しい収益ストリームを創出
柔軟性の高い Stripe Payments を利用することで、Gualdoni 氏は viax を使用した電子書籍端末の新しい SaaS (サービスとしてのサブスクリプション) モデルの PoC (概念実証) をほんの 6 週間で実施できました。Gualdoni 氏は次のように述べています。「私たちは、このモデルを Stripe で導入し、主要な利害関係者にデモを行いました。Stripe は、不正使用やカードのトークン化といった難題に適切に対処し、そのドキュメントや UI は驚くほど良くできていました」
Wiley と Stripe とのパートナーシップは非常に良好であるため、今後 Gualdoni 氏は、他部署からの Stripe 導入のリクエストにも対応しています。Stripe をオンラインビジネスの他のマーケットプレイスに導入し、研究、教育、人材リソースを世界中のより多くの専門家や学生が利用できるようにする新たな取り組みが進行中です。
以前のベンダーと Wiley Payment Services の構築を行っていたときは、仕事が遅々として進まず、その完成は何年も先のことでした。Stripe に切り替えるや否や、3 カ月もかからずに立ち上げて稼働でき、社内の顧客を探していました。