これまでにも、さまざまな大手クラウドコンピューティング企業の財務チームを率いた経験をお持ちですが、Snowflake にはどのような経緯で入社されたのですか?
経緯は実に単純なのです。Snowflake に入社する前に勤めていた 2 つの会社でも、Snowflake の現会長兼 CEO である Frank Slootman の下で CFO として働き、上場させた経験があるからです。第一線を退くつもりでしたが、Frank から Snowflake で一緒に働かないかと打診がありました。Snowflake のことは、サンフランシスコの国道 101 号線にある看板で見かけたことがあるくらいで、それ以外は何も知りませんでしたが、プロダクトについて詳しく調べるとかなりの市場機会があると分かり、この 3 年間はとてもすごい仕事になると思いました。
Snowflake は使用量に基づく料金体系が特徴で、利用者は使った分の料金だけ支払う仕組みです。そうすると、財務計画の立案が難しくなるのではないかと思うのですが。
当社は使用量モデルを設定し、それを使ってお客様の使用量を予測しようとしています。Snowflake にとって最大の課題だと思われましたが、始めてみると、社内の予測が楽になってきました。
しかし、それ以上に大きな課題がありました。契約を獲得すれば売上が得られるというモデルでは営業担当者に報酬を出すのはとても簡単ですが、使用量モデルだと、お客様にプロダクトを利用していただくための営業活動に関与した担当者にインセンティブを確実に与えたい場合、契約報酬だけの支払いにならないようにし、その代わりに実際の使用量に対して多額の報酬を支払うように、報酬モデルを変える必要がありました。これは大きな変革であり、営業担当者の考え方もそれに合わせて変える必要がありました。
その変革をどのようにしているのですか?使用量を増やすよう促すことが営業の仕事だと担当者に納得してもらうために何をしていますか?
当社は、販売後にお客様と連絡をやり取りするカスタマーサクセス組織を別途設けていません。社内の全員がカスタマーサクセスに責任を持ち、営業担当者も関与します。営業担当者の報酬は売上と連動しているからです。営業担当者には、お客様に対応する時間を増やすことがメリットになると説明しています。お客様に対応する時間が増えると、そのお客様の使用量に貢献したと評価される機会が増え、そのお客様の売上拡大に直結します。
このような状況でリーダーとしてどのようなアプローチを取っていますか?
私のアプローチは非常に直接的ですが、マイクロマネジメントはしません。普通と違うものを見つけたら、その原因を直接確認します。営業リーダーにフォローアップを頼むのではなく、営業担当者に直接個別に連絡して、問題に取り組むように依頼します。企業が必要としているのは、リスクを取る従業員です。私がマイクロマネジメントするしかない状況であれば、そのリスクを取る機会や間違いから学ぶ機会を奪ってしまうことになります。
使用量モデルでは、お客様に製品を利用していただくための営業活動に関与した担当者にインセンティブを確実に与えるべきです。
Snowflake の事業状況に関するデータの管理においても、Snowflake のデータ分析プラットフォームを使用しているのですか?
当社はお客様との契約から使用状況の測定まで、すべてのデータを、当社のグローバルに分散したデータプラットフォームである Snowhouse に取り込んでおり、お客様の過去の使用パターンを見て翌年の売上を予測しています。このデータは毎日更新されます。それぞれのお客様の状況と当社の予測を比較して確認できるほか、1 日あたりの売上を先週比や前年比で確認することも可能です。このようなデータをすべて確認して、細分化し、思いどおりの形式のグラフを作成できます。ビジュアルも美しく仕上がります。
まるで、見込み顧客に対して、CFO であっても Snowflake のツールを使用できます、と紹介しているように聞こえます。
まさにそうです。会社の誰でも同じことを実現できます。
請求モデルの違いを顧客が理解するのは難しくないですか?他社がサービスとしてのソフトウェア (SaaS) を提供している状況で、Snowflake が従量課金ベースのモデルを販売するのは難しいのではないでしょうか?SaaS に鞍替えすることについて考えたことはありますか?
Snowflake はベンダーのコンピューティングとストレージを大量に使用していますが、このようなモデルでコストを確実に賄うには、実際の使用量に紐付いた料金体系にするしかありません。しかし、それはお客様にとっても便利なことなのです。当社が販売しているプロダクトは 1 つですが、SaaS 企業はシステムのユーザー数に応じた請求になっています。SaaS モデルでは、お客様が規模を拡大したい場合や、新機能がリリースされた場合は、調達サイクルをもう一度行わなくてはなりません。Snowflake ではそのような手順が必要なく、新しい機能を簡単に導入でき、多くの場合、使用量も増加します。
従量課金ベースの料金体系に移行したいと考えている CFO にはどのようなことを勧めますか?
まず、使用量の単位を決定することをお勧めします。これはお客様にとって理解しやすい概念である必要があります。次にお勧めするのは、一部だけ従量課金ベースにするというハイブリッドな方法ではなく、すべてを一気に従量課金ベースにすることです。ハイブリッドだと、最終的にユーザーが自社に一番有利になるよういいとこ取りするようになり、売上を予測するのが難しくなります。また、同じ料金で前年よりも多くの機能を利用できることを示さないといけなくなります。
当社はお客様との契約から使用状況の測定まですべてのデータを、当社のグローバルに分散したデータプラットフォームである Snowhouse に取り込んでおり、お客様の過去の使用パターンを見て翌年の売上を予測しています。このデータは毎日更新されます。
Snowflake はパートナーエコシステムについてどのようにお考えですか?特に、連携相手となるパートナーについてはどうでしょうか。
パートナーシップの評価基準は 2 つあります。1 つは、Snowflake の使用を推進できるパートナーかどうか。もう 1 つは、当社のお客様に合っているかどうかです。Stripe はその最たる例です。利用者は自社の Stripe データを Snowflake のプラットフォームと連携させたいと考えており、Stripe と Snowflake 共通のお客様は 1,000 社を超えています。これまで、あるアプリケーションのデータを Snowflake に取り込むには、さまざまな ETL ツールを使用するか、カスタムパイプラインを構築しなければなりませんでした。しかし、今は当社が標準のパイプラインの構築に取り組んでおり、販売データを Snowflake にシームレスに取り込んで分析を実行できるようにしています。
Stripe と Snowflake が共同で解決に取り組んでいる課題はありますか?
さまざまなお客様から話を伺うと、データをある場所から別の場所に移動させてリアルタイムで確認できるようにすることが最大の課題だと言われています。しかし、当社が提供する標準のパイプラインを利用すれば、その処理がシームレスになります。Stripe と Snowflake が共同開発しているため、データをリアルタイムで分析できます。不正利用の検知、顧客の購入パターンや、顧客が望んでいるあらゆることに役立ちます。
他のデータソースとも連携できるのですか?
もちろんです。Salesforce データや CRM データを追加して、販売データとマーケティングデータの両方を確認し、購入とその元になったターゲティングキャンペーンをひも付けることもできます。
最後になりますが、Snowflake と Stripe が提携することによって、両社共通のお客様が現在の先行きが不透明な経済状況を乗り切るためにどのような支援になると思いますか?
お客様は Stripe からほぼリアルタイムのデータを取得して分析することによって支出を把握できます。Stripe と Snowflake の共通のダッシュボードでは、財務の指標や地域別の給与データを確認できます。その分析を行えば、自社の弱みも把握できるため、景気後退への備えを強化することができます。
Stripe と Snowflake が共同開発しているため、データをリアルタイムで分析できます。不正利用の検知、顧客の購入パターンや、顧客が望んでいるあらゆることに役立ちます。