自分で作ったものは自分で売るしかない
起業家は、最初の数件の顧客は自分で積極的に探さなければなりません。これは大変ですが、大切な仕事です。初期の顧客を通じて、商品を洗練させ、マーケットにおける立ち位置を把握し、企業として重要な社会的証言を得ることができるからです。積極的に売り込むことで顧客を獲得しましょう。受け身な顧客が偶然、あなたの商品に目をつけるというのはあまり期待できません。初期段階の企業には、再現性のある方法で安定して顧客を呼び込むマーケティング能力はありません。その代わりに、一人ずつ商品を使ってもらうように売り込んで説得します。
この売り込みはきっと成功します。たとえそれまで営業経験がなく、苦手意識があってもうまくいきます。なぜなら、ほとんどの営業担当が持ち合わせていない強みがあなた自身にあるからです。あなたはその分野の課題への、深い理解を持ち合わせた信頼できる専門家であり、契約のために顧客が求める変更もほぼリアルタイムで決定できます。
朝飯前というわけにはいかないかもしれませんが、大半の起業家が考えているほど最初の営業というのは難しくはありません。10 社以内であれば、完璧な商品でなくとも、営業スキルが優れていなくとも契約に繋げることができます。
ではなぜ 10 社なのでしょう。もちろん顧客数が 10 社では事業維持はできないかもしれませんが、商品に満足する顧客が 10 社もあれば、もはやその商品は「まぐれの当たりとは言えません」。その頃には顧客のニーズについて繰り返し聞くようになるでしょうし、企業としての信頼が芽生えだし、新たな顧客の紹介や推薦を得られるようにもなります。社員候補や投資家に向けて、次のようにアピールできるのです。「夢物語ではなく、10 の顧客がいるソフトウェア企業は必ず 100 の顧客を獲得できますし、100 の顧客がいれば 1,000 の顧客も必ず獲得できます。あとはやるだけです。あなたもご一緒にこの目標に取り組みませんか?」
ここでは、B2B における販売上の困難の解決方法をご紹介します。貴社のソフトウェアを使う企業の見つけ方、ターゲット企業の素早い絞り方、そして契約にいたる会話へのこぎつけ方を紐解いてみたいと思います。
意外かもしれませんが、初期段階の営業は、たとえば実演販売などでの売り込みのようなピッチと驚くほど似ています。より詳しく話を聞いてもらうために、自分のアイデアを手短に話し、興味をかき立てるのです。
見込み顧客を見つけるには
まずはスプレッドシートに断片的な情報を記入していきましょう。企業名、個人名、メールアドレスなど、まだ列の数は少ないでしょう。このスプレッドシートは最初は真っ白で、大きな不安を感じるかもしれません。時間をかけて、名前を追加していきましょう。最初は名前が少なくても大丈夫です。20 ~ 30 もあれば十分です。会社名から意思決定者の連絡先情報を調べる方法を把握するまでは、連絡を取るに至るまでだけでかなり時間をとられることになります。
起業家の大半は、まっさらな状態から商品分野や業界に参入するわけではありません。すでに元同僚や、ベータ版のユーザーといった人脈があるのではないでしょうか? まずは彼らをリストに追加しましょう。もしも販売対象でないなら、彼らを通して同じような環境にいる人への紹介をお願いします。飛び込みの営業よりも、親身な紹介を受けているほうが契約につながります。まずは手の届く範囲から成果をあげましょう。
これをしながら、自分の商品を使ってくれそうな企業や人の新たな手がかりを探します。一番簡単なやり方は、自分の商品を使いそうな業界や職種を書き出していき、もうこれ以上は見つからないというところまで Google で調べることです。たとえば、歯科医院用の業務管理ソフトウェアを売るとします。部屋に 1 時間こもって調べれば、たとえば木更津市の歯科医院の連絡先を数十件は集められるはずです。必要な地域でこの過程を繰り返し、それぞれ数十の名前を集めましょう。
業界団体やカンファレンス、コミュニティフォーラム、専門ディレクトリなど、顧客がオンラインで集まる場所を見つけることで、効率が高まります。こうした場所はぜひ調査すべきです。手がかりをつかめるだけでなく、ターゲットとなる顧客の本質的な行動がわかるからです。顧客同士で、店について繰り返し挙げられている問題点は何か? どのような不便さを感じているのか? それを顧客はどのように表現しているか? 他にどんな商品やサービスを利用しているのか? こうした質問への答えが、開発やマーケティング、営業におけるヒントになります。
注意が必要なのは、顧客候補のリストを購入できるさまざまなサービスです。こうしたリストは多様な理由から、あなた自身で探すリストと比べて効率的でない可能性があります。得られる経験も、自身でのリサーチには及びません。顧客の開拓や獲得の仕組みについて自分自身の手で学べば、その後、長きにわたって営業プロセスにおける知識となります。たとえ困難でも最初は自身での営業を厭わないでください。リストを購入するのはその後でも遅くはありません。
見込み顧客の良し悪しの見分け方
会社の運営経験を積むにつれて、顧客の見分け方も上手くなります。どの顧客がコンバージョンに繋がり、最も利益に貢献し、サポートが容易かが分かるようになるのです。はじめのころはデータが少なく、マーケットや顧客のプロフィールに対しての直感も働きにくいものです。
その中でも、初期段階のスタートアップから見た「良い顧客」にはいくつかの共通点があるので、これらを優先的に見ていくことをお勧めします。
アーリーアドプター:コンサルティングサービス、ソフトウェアや製品など、あなたの商品が何であれ、以前に同じ分野の商品を買ったことがある顧客に売るのが良いでしょう。こうした顧客であれば商品の価値や、購入に至る社内の意思決定プロセスも理解しています。そうでない顧客は大変です。購入に至る意思疎通を正確にできなかったり、適切な商品価値を理解しなかったり、オンボーディングやサービス提供に労力を要したりするケースが格段に増えます。
「アーリーアドプター」という言葉があります。友人や同僚に先んじて新しい商品を使いこなす人達のことです。周りより早くインターネットを使い始めたような人達です。スマートフォンの最新モデルを発売日に買い、新しいソフトウェアを楽しんで使い、常に新しくて便利なものを探し求めています。
ではどうすればアーリーアドプターを見つけられるのでしょう? 1 つの方法は、競合他社ではないが、サプライチェーンで同じような位置にいる企業の商品を早い段階から使っている顧客や、リファレンスカスタマー (自費で商品を購入し、積極的に商品のポジティブな感想を発信している顧客) を探すことです。たとえば、あなたがウェブ開発企業に支払い請求ソフトウェアを販売しているとします。その場合は、あなたと同じような立ち位置にいるスタートアップが開発したプロジェクト管理ツールを使っている企業を探してください (ブログやホームページからそうした顧客を見つけられることも少なくありません)。これによって、大きな障害の 1 つ (新しい会社との取引というリスク要素) を取り除くことができます。すでにそうした経験があるため、このような企業であれば、「未知の」会社のソリューションを採用する度量があることが分かります。
他に Product Hunt のようなアーリーアドプターが集まる場所を探すのも良いでしょう。そこで業界から絞り込むのです。こうすれば顧客を 10 社見つけるのもさほど難しくありません。
インターネット上: インターネット企業は、同じくインターネットを使いこなしている人達への営業が一番の近道かもしれません。
では、そのような人はどう見分けられるのでしょうか? 自主的にインターネットで時間を費やしている人種を探せば良いのです。オンラインコミュニティーを頻繁に利用し、オンラインでの姿とプロとしてのあり方が混ざり合い一致しているような人種です。そのような人たちは見つけやすく (オンラインでの存在を示すエビデンスがあり、連絡先が見つかるため)、販売面でもメリットがあります。大半はオンライン取引に抵抗がないため、リファレンスカスタマーや、高品質の紙媒体のカタログをはじめとする販売のための多大な努力がいらないのです。
スプレッドシートを作る時は、ハイエンドな企業とオンライン上である程度の影響力を持った人たちを優先しましょう。インターネットで見つけられない企業は今でも非常に多く存在しています。こうした企業は素晴らしい顧客ではありますが、現時点のあなたの事業にとっては最適な顧客とは言えないでしょう。
短い販売サイクル: 同じ市場内であっても、購入までのプロセス数は企業ごとに異なります。単一の意思決定者が、自由裁量の予算内で商品の購入を決定できるような企業に絞り込みましょう。これにより多数の見込み顧客が候補から外れるでしょうし、市場によっては大半が消えるかもしれません (たとえば大企業向けソフトウェア)。それでも、10 社くらいは残っているでしょう。
では、意思決定権と予算のあるユーザーはどうやったら見つかるのでしょう? 実際に対話を始める前に、大体の目安をつけます。たとえば、小企業の事業主は全面的な裁量権を持っていることが多く、重要な購入に深く関与します。セールスポイントとして、5,000 円から 500 万円の商品を販売するのに向いています。実際にあなたの商品のエンドユーザーとならなくても、あなたの商品を認めて直接使ってくれそうな人に紹介してくれることがあります。
見込み顧客と話した後に、相手が購入の決断を 1 人で行えるのかを率直に尋ねてみてください。こういった質問をするのに気後れする起業家も多いですが、ぜひ尋ねられるようになってください。契約相手はこういった質問をされるものですし、それによって気分を害するというのは非常に考えにくいです。もし難色を示した場合は「現時点では不要」リストに入れ、次の見込み客に移りましょう。10 社に一通り営業した後、いつでもやり直すことはできるのですから。
そもそも営業しやすい相手: 本質的に営業しやすい事業や意思決定者というものが存在します。
具体的にどういった場合でしょうか? それは仕事上で営業が必須な事業です。弁護士や会計士、コンサルタントをはじめとするサービス業は、必ずダメ元で電話をかけます。彼らは常に新しい顧客を探しており、これが新しい顧客を見つける第一の方法だからです。一方、バックオフィスで働いている人達や個人エンジニアなどは大きく異なります。彼らは通常「本当の仕事」の邪魔になるので電話を嫌がります。現場サービス業と比べれば、エンジニアは本質的に営業しやすい相手といえます (毎日、一日中コンピューターの前に縛り付けられているため)。
初期段階で販売効率を上げるには、ソフトウェアを販売しやすい企業および意思決定者に、優先的に営業を行いましょう。
顧客との会話はどう行うべきか
あなたと顧客にとって自然な方法で行いましょう。ですがもし心配であれば、最もありふれた方法はコールドメール (これまでつながりのなかった人にいきなり送るメール) を送って電話してもらうことです。この場合の販売は、基本的に電話やその後のやりとりで行います。
コールドメールは簡潔かつ行動指向な内容にします。これは見込み顧客に対し、あなたと話すことによるメリットと押し付けがましさのバランスを取るためです。一般的に、最初のメールは 1 段落、かつ 3 ~4 文、質問は 1 つにまとめます。
労力をかけたことを示す
コールドメールで良い結果を得るには、スパムメールではなく人間らしさが伝わる内容にすることが重要です。人間らしさを感じられるメールを心がけましょう。スケールしないことをしようの段階であり、1 日に膨大なメールを送る必要もないでしょうから、数分かけて見込み顧客を調査して、繋がりを感じさせる丁寧なメールを送ることもできるはずです。
私がこれまでに受け取ったコールドメールのなかで最高のものは、求人サービスからのメールでした。ソフトウェア業界には何百万というリクルーターがいます。雇用する立場の人間であれば、嫌というほどコールドメールが送られてくるものです。このリクルーターは、そのとき私が抱えていた問題を明確に把握していました。私がその頃に投稿していたブログの記事から問題を汲み取っていたのです。そして気の利いたソリューションを提示し、もし詳細に興味があれば電話をすると提案してきました。さらに、電話中にピッチを行う旨を明言していました。
この内容は、普通は挨拶文の後に一文ほどで書くことができます。(言うまでもないかもしれませんが、私の受信箱に舞い込んでくるピッチメールの半分は挨拶文が不適切です。調査をして、見込み顧客の名前は知っておく必要があります。それに見込み顧客が好む形式で送るべきです)。
カレンさん、こんにちは。カレンさんが行った、ファイナンシャルプランナーが新しい顧客を探すにあたり繰り返し使えるやり方についてのプレゼン、非常に意義深かったです。特にユーザー人格についての分析は興味深いものでした。
この書き出しであなたの人間らしさは十分に伝わります。なぜならカレンのプレゼンを突き止め、少なくともその一部について理解できるだけの頭があることが伝わるからです。(顧客の仕事内容が理解できていたほうが良いことは言うまでもありません。ですが顧客が述べている顧客独自の強みに言及するなど、顧客の言葉を言い換えるだけでも大半のピッチよりはるかに良いものとなるでしょう。)
価値の提供をはじめる
顧客の注意を引くことができたら、次はあなたとの対話が有意義だと思ってもらう必要があります。そのためには「話してから示す」手法が有効で、自社の優れた点を話した上で、短く例を示すのです。創業者は文字通り自分自身の得意分野で会社を起こしたので、自分では準備不足だと思っていても、顧客の大半はあなたを「野心的で、問題となっている分野に精通している」と捉えます。
名乗った後は、できれば参考になるようなキーポイントをいくつか紹介して、あなたのメールに読む価値があることを見込み顧客に示しましょう。
私はソフトウェア会社を運営しています。小規模な企業のためのオンライン広告の最適化ソフトで、異なる人格に応じた複数のキャンペーン管理を行えます。たとえばあなたのウェブサイトでは、事業主や退職者、若いカップルたちの利用率が高いのが分かります。当社のソフトウェアはそうした最適なオーディエンスに広告表現や商品を合わせることで、ターゲティングを行います。そこで、あなたのオンライン広告とランディングページを改善するためのアイデアがいくつかあります。たとえば、現在の Facebook のキャンペーンでは 20 代の婚約者に向けて退職後の計画に関する質問が送られていますが、愛する人と使うためのお金について書かれた投稿を行うとさらに良いかもしれません。
具体的で細かな質問を 1 つ
メールの最後は具体的な「質問」で締めます。電話で話すきっかけが欲しいからです。営業である旨を明記しても良いですが、事業主や経験豊富なプロ相手であれば普通は書く必要はありません。見込み顧客はこれまでも営業を受けてきたわけで、あなたがただ寂しいからいきなりメールを送った訳ではないことは理解しています。もし電話を受けてもらえるようであれば、それはあなたの提案を聞くのがやぶさかではないと思ったからです。
イエスと簡単に言ってもらえるような質問を用意してください。相手に認知負荷が一切かからないようにしましょう。たとえば相手にスケジュールを考える手間をかけさせるのではなく、どれくらい時間がかかるか、いつできるかについて自分から適切な提案をしましょう。
御社の見込み顧客をさらなる収益に結びつけるにはどうしたら良いかについて、お話したく思います。木曜日に 15 分、お時間をいただけますか?
経験の浅い起業家は、メールで拒否されることを想定して書くことがあります (もし木曜日がお忙しいようでしたら…等) が、これは見込み顧客にメールを読む時間を余計にとらせてしまいます。もし木曜日の都合が悪いのであれば、相手に提案してもらいましょう。もし本当に興味があるのであれば、かわりとなる日時を提案してくるはずです。「木曜日は都合が悪いです」と返ってきた時は、他の時間を提案するか、相手の予定に合わせることを伝えましょう。
フォローアップはどうするか?
営業で最も難しく、避けて通れないのがフォローアップです。人付き合いの機微として、私たちは相手の反応がなければそれは相手が無関心だからだと考えがちです。
これは、営業で成果をあげるには良い考え方ではありません。そうではなく、無反応はあくまで無反応と捉えるべきです。あなたの見込み顧客はたくさんの案件を抱えている多忙な人たちです。忙しすぎて先週は返信できなかったのかもしれません。そうした場合に 1 文だけ書いたフォローアップのメールを送れば、今度は良いタイミングで届くかもしれないし、優先度を上げてもらえるかもしれません。
なかには、ノーと言われてもそれを返事と捉えない営業担当すらいます。とりわけ初期の顧客からは、「非常に興味深い話ですね」という返事はほとんど期待できません。反応がなくても、何度も連絡し続けましょう。顧客が相手をしてくれるまで、週に 1、2 回連絡し続けましょう。そして相手をしてもらえたら、自然に会話を始めましょう。
このプロセスを自動化してくれるツールもあります。営業担当にとっては時間効率が上がるツールですが、反応しないことで興味がないことを示している顧客にとっては時間の無駄になるでしょう。初期段階の創業者として時間を惜しみなく使えるのですから、自らフォローアップのメールを書いて、その都度送りましょう。整理できていれば、10 分で 20 通ほど、こうしたメールを送れるようになります。
電話では何を頼むべきか
売りたい商品が低価格か高価格かで、電話の内容も大きく異なります。「高価」の範囲も業種や地域によって異なりますが、大まかに言えばスタートアップのソフトウェアとしては月に 5 万円以下であればロータッチ、価格が年間でおよそ 50 万円を超えるようであればハイタッチによる販売が必要になります。
ロータッチでの販売はいずれ人との接触なしに行えるようになります。ですがこの時点では、学ぶためにもあなた自身で販売を行います。
ロータッチの取引の場合、意思決定者がひとりで即決できるならば電話の最後に購入を持ちかけてみましょう。このとき支払いや (商品であれば) 送り先の情報等、即座に注文を受けられるように準備しておくのが理想的です。あなたのソフトウェアのアカウントを暫定的に提供し、支払い情報を後から受け取る形式も良いでしょう。
スタートアップによる低価格帯のソフトウェアには、無料トライアルがあるものがたくさんあります。顧客のうちでも最初の数社は、無料トライアルで提供すると逆にあなたのソフトウェアを採用してもらいにくくなる場合が少なくありません。使いこなそうとせず、トライアル期間が終わる前にキャンセルしてしまうのです。無料トライアルのかわりに、顧客のユーザー登録や導入をこれでもかというほど懇切丁寧に行うことを強くお勧めします。たとえばデータをインポートする必要があるなら、顧客には単にファイルをメールで送ってもらい、あとはそれをあなた自身が操作してインポート (データのクリーンアップまで含めて) しましょう。
相手が導入しやすくなるように 30 日の返金保証をつけるのも良いでしょう。返金保証は無料トライアルとは仕組みがまったく異なります。あなたのソフトウェアの購入を約束した顧客は、なんとかそれを使いこなそうとします。返金が発生するのは、欠陥のせいで機能を果たさなかった場合だけです。しかし購入の約束をしなかった顧客は、決断を先延ばしにします。購入しようと考えるに至らず、最終的に購入に結びつくこともありません。この時点では購入を約束してくれる顧客からフィードバックを得ることが最適化につながるため、約束を取り付けるようにしましょう。
商品によってはもともと複雑なものもあり、シンプルな注文が難しい場合もあります。実際に購入手続きに入る前に、商品が目的に沿っているかを確認する証拠が必要になることがあるのです。そうした場合は、顧客との親密な関係を築くために電話をかけてください。顧客の抱える問題や動機について聞き、顧客を限定した上で、適切であれば 45 分程度のデモか正式な提案を行う機会がもらえるか聞きます。そこで提案を受け入れてくれたら実施に取り掛かります。より組織的な販売プロセスの仕組みについてはまた別のガイドで説明します。
販売プロセスを改善していくには
このような販売手法は、そのまま将来の販売プロセスの雛形となり、繰り返すことで、より大規模な販売に適用できるようになります。今は変更したいと思ったときにプロセスを変更できるので、ターゲットとなる顧客、ピッチの内容、提供する商品に応じて大胆に実験しましょう。
慣れてきたら、このプロセスの体系化を進めることになります。まるで脚本があるかのように、繰り返し再現できるよう体系化しましょう。そうして出来上がった脚本を、他の人に教えます。複数人で構成されたチームがより効率的に、より高い質でこの脚本を実行できるように、システムやプロセスを構築しましょう。
企業として成熟するにつれて、販売プロセスの改善に繋がるような、商品に関連したものを生み出すようになります。たとえばマーケティングデータ (顧客の事業を改善するためのガイド等) を蓄積し始めると、面識のない相手に営業を行うときに会話の糸口として活用できるようになります。また、見込み顧客にとって独自の価値を持つようなソフトウェアも開発できます。たとえばあなたがウェブホスティングを販売しているなら、ウェブサイトの速度分析ソフトウェアを開発しておけば、初めて会話する相手であってもすぐに非常に価値のある商品を用意していることを示せます。
さらに、セールスから学んだことを直接製品に活かしましょう。たとえば顧客が使う言葉を用いて、インターフェイスやドキュメンテーションを作るなどです。
このような商品開発とマーケティング、販売間での相乗効果を生み出すことは、事業を運営する上での楽しみのひとつです。あなたの事業について、ぜひお聞かせください。連絡先は atlas@stripe.com です。
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