アメリカドルを使用している国全一覧

  1. はじめに
  2. アメリカドルがいかにして世界経済を形成しているのか
  3. アメリカドルを使用している国
    1. 主要通貨
    2. 併用通貨

アメリカドルは世界の主要準備通貨であるとみなされており、世界の金融と貿易に多大な影響を与えています。国際通貨基金によると、アメリカドルは、2023 年第 3 四半期に各国の中央銀行が保有している外貨準備高の 59% を占めています。これは約 6 兆 5,000 億ドルであり、ユーロのシェア (19.5%) や日本円のシェア (5.5%) を大きく上回っています。

アメリカドルがこのような地位を築いたのは、アメリカの経済力や安定性、アメリカ金融市場の流動性や深度、法律および制度的な枠組みに対する信頼性が認められているといった要因によるものです。これらの要因により、アメリカドルは市場の混乱下における安全投資先としての地位を確立し、世界の投資家を引き付け、ドル建て資産の需要が生まれました。

アメリカドルは準備通貨としての地位を築いたのは、1944 年のブレトンウッズ協定で金に対するドルのレート、およびドルに対する他の通貨のレートを固定し、ドルを金と直接交換可能な唯一の通貨と定めたことが始まりでした。金本位制は 1971 年に終焉を迎えたものの、アメリカ経済の継続的な耐久力と現実的な代替通貨の不存在により、ドルが勢いを失うことはありませんでした。

現在、国際金融でドルが果たしている役割は安全性ですが、中国といったアメリカ以外の国の台頭のほか、ユーロや特別引出権などの代替となる準備資産の人気の高まりにより、将来的にはドルの支配が終わりを迎える可能性があります。仮想通貨の登場も対抗馬となり得ますが、不安定な上、規制の展望が不明瞭であることが現在も障害となっています。

グローバル経済が進化する中でドルが現在の地位を保てるかどうかは、国際金融の変化に対して柔軟に対応し、すばやく応答し、魅力を持たせることができるかどうかにかかっています。ここでは、グローバル経済におけるドルの全般的な役割について説明し、また、アメリカドルが使用されている国の一覧もご紹介します。

この記事の内容

  • アメリカドルがいかにして世界経済を形成しているのか
  • アメリカドルを使用している国

アメリカドルがいかにして世界経済を形成しているのか

アメリカドルはグローバル経済のあらゆる面に深く浸透しており、ドルの価値は世界の金融市場の健全性と安定性に幅広く関わっています。連邦準備制度の金融政策決定はアメリカ経済だけでなく、グローバル経済全体にも影響を与え、その影響は全世界の資本の流れ、インフレ、経済成長に及びます。ドルが持つ多大な影響力に後押しされてアメリカの経済・政治力は拡大してきました。経済が「ドル化」した国の多くは、アメリカの政策・利害関係と緊密に歩調を合わせるようになりました。ドルが国際金融取引の基準としての地位を築き、グローバル経済の安定性の象徴となったことにより、アメリカは金融大国となりました。

ここでは、国際金融取引におけるアメリカドルの使用状況についてご説明します。

  • 準備通貨: アメリカドルは世界第一位の準備通貨です。各国の中央銀行は準備金の大部分をアメリカドルで保有しています。

  • 国際貿易および取引: 国際貿易取引の大部分がアメリカドルで行われています。これは、国内でドルが使用されていない国同士の取引にも当てはまります。このようにアメリカドルを統一的に使用することで、取引がシンプルになると共に、為替レートリスクを減らすことができます。

  • 物価: 石油や金といった重要物資は通常、アメリカドルで価格設定されます。ドルの価値が変動すると、世界の物価が直接影響を受ける可能性があります。

  • 投資通貨: アメリカドルは、その安定性の高さから、国際投資や貯蓄の通貨として好まれる傾向にあります。

  • 為替レート: アメリカドルの価値は世界の為替レートに大きな影響を与えます。ドルの動きは、世界の貿易、投資、経済の安定に幅広く影響を及ぼす可能性があります。

  • 融資および与信: 公的債務などの国際的な融資および与信の多くはアメリカドル建てで行われています。

アメリカドルを使用している国

アメリカドルは世界の複数の国や地域で使用されています。主要通貨として使われている場合もあれば、現地通貨と並行して使われている場合もあります。世界の多くの地域、特に現地通貨の安定性に欠ける国や、経済が不安定な国では、多くの場合アメリカドルが安定性の高い価値保蔵手段として使われ、不動産、高級品、国際貿易などの高額取引に使用されています。現地通貨が強い国でも、主要観光地、大型ホテル、国際的なショッピングアウトレットでは通常、ドルによる支払いが受け入れられています。

アメリカドルが公式通貨である国や広く受け入れられている国以外でも、アメリカドルは国際金融における標準通貨として大きな影響力があります。アメリカドルが通貨として使用されている国と地域は以下のとおりです。

主要通貨

アメリカやその国外領土以外に、以下の地域および国でもアメリカドルが主要通貨として使用されています。これらの国では、経済の安定、過去の合意、単なる実用性など、いくつかの理由によって、アメリカドルを主要通貨としています。アメリカドルは、アメリカと政治的または経済的な結びつきが緊密である地域で多く使用されています。

  • ボネール、シント・ユースタティウス、およびサバ: ボネール、シント・ユースタティウス、およびサバはオランダの特別自治区であり、2011 年にアメリカドルを採用し、ユーロと共に使用しています。

  • エクアドル: エクアドルは金融危機後の 2000 年にアメリカドルを採用しました。

  • エルサルバドル: エルサルバドルは、経済の安定を目的として、2001 年にアメリカドルへの切り替えを行いました。

  • パラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦: パラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦はすべて、 自由連合盟約の一環としてアメリカドルを使用しています。

  • パナマ: パナマはアメリカドルを主要通貨としており、パナマバルボアと共に使用しています。

  • 英領ヴァージン諸島およびタークス・カイコス諸島: 英領ヴァージン諸島およびタークス・カイコス諸島 (イギリス海外領土) では、アメリカドルを公式通貨として使用しています。

  • 東ティモール: 東ティモールでは 2000 年からアメリカドルを使用しています。

  • ジンバブエ: ジンバブエは自国通貨のハイパーインフレが起きたため、複数の通貨を使用しており、アメリカドルを主要通貨としています。

併用通貨

以下の国と地域ではアメリカドルが現地通貨と並列的に使用されています。

  • アルバ: アルバでは、アルバフロリン (AWG) と併せて米アメリカドルが使用されています。フロリンとアメリカドルのどちらも広く使われています。

  • バハマ: バハマでは、バハマドル (BSD) と併せてアメリカドルが使用されています。アメリカドルは広く受け入れられており、多くの場合、1:1 の為替レートでバハマドルと交換可能です。

  • バルバドス: バルバドスでは、バルバドスドル (BBD) と併せてアメリカドルが使用されています。観光地などでは、アメリカドルが一般的に受け入れられ、為替レートが明示されています。

  • ベリーズ: ベリーズでは、ベリーズドル (BZD) と併せてアメリカドルが使用されています。観光地など、アメリカドルが広く受け入れられており、1 USD あたり 2 BZD の固定為替レートが設定されています。

  • バミューダ: バミューダでは、特に観光地などで、バミューダドル (BMD) と併せてアメリカドルが使用されています。

  • カンボジア: カンボジアでは、カンボジアリエル (KHR) と併せてアメリカドルが使用されています。アメリカドルは商取引や給与などの取引に広く使用されています。

  • カナダ: カナダでは、カナダドル (CAD) と併せてアメリカドルが使用されています。国境地帯や有名観光地などでは、アメリカドルが広く受け入れられています。

  • ケイマン諸島: ケイマン諸島では、ケイマン諸島ドル (KYD) と併せてアメリカドルが使用されています。1 KYD あたり 1.25 USD で固定されています。

  • コスタリカ: コスタリカは、コスタリカコロン (CRC) と併せてアメリカドルが使用されています。特に観光業界では、アメリカドルが一般的に受け入れられています。

  • キュラソー島: キュラソー島では、アンティルギルダー (ANG) と併せてアメリカドルが使用されています。1 USD あたり約 1.80 ANG で固定されています。島全体でアメリカドルが一般的に受け入れられています。

  • グアテマラ: グアテマラでは、グアテマラケツァル (GTQ) と併せてアメリカドルが使用されています。観光地や大都市圏など、アメリカドルがよく利用されています。

  • ホンジュラス: ホンジュラスでは、ホンジュラスレンピーラ (HNL) と併せてアメリカドルが使用されています。多くの場合、観光地や大型購入ではアメリカドルが利用できます。

  • ジャマイカ: ジャマイカでは、ジャマイカドル (JMD) と併せてアメリカドルが使用されています。観光地ではアメリカドルが広く受け入れられており、また、大型取引ではアメリカドルが好まれる傾向にあります。

  • レバノン: レバノンでは、レバノンポンド (LBP) と併せてアメリカドルが使用されています。レバノンポンドが経済的に不安定なため、多くの取引でアメリカドルが広く使用されています。

  • リベリア: リベリアでは、リベリアドル (LRD) と併せてアメリカドルが使用されています。国内全体でアメリカドルが広く受け入れられています。

  • メキシコ: メキシコでは、メキシコペソ (MXN) と併せてアメリカドルが使用されています。観光地、国境都市、大都市圏ではアメリカドルが一般的に受け入れられています。

  • ミャンマー: ミャンマーでは、ミャンマーチャット (MMK) と併せてアメリカドルが使用されています。観光地ではアメリカドルが一般的に受け入れられています。

  • ニカラグア: ニカラグアでは、ニカラグアコルドバ (NIO) と併せてアメリカドルが使用されています。観光業やサービス業など、アメリカドルが広く受け入れられています。

  • セントキッツ・ネイビス: セントキッツ・ネイビスでは、東カリブドル (XCD) と併せてアメリカドルが使用されています。観光地などでは、アメリカドルがよく利用されています。

  • シントマールテン島: シントマールテン島では、アンティルギルダー (ANG) と併せてアメリカドルが使用されています。1 USD あたり約 1.80 ANG で固定されています。島全体でアメリカドルが一般的に受け入れられています。

  • ベトナム: ベトナムでは、ベトナムドン (VND) と併せてアメリカドルが使用されています。観光地や大型購入など、多くの場所でアメリカドルが広く受け入れられています。

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